投稿記事

ノーパンの記事 (1)

おかず味噌 2020/07/14 21:36

ちょっとイケないこと… 第十五話「厚意と行為」

(第十四話はこちらから↓)
https://ci-en.dlsite.com/creator/5196/article/343506


 天井を突くように、天高く飛翔する龍が如く、真っ直ぐに屹立した棒。その麓にはやはりそれも弟の成長を立証するものなのだろうか、生えかけの陰毛が茂っている。

 私は、純君のペニスに愛おしさを覚えた。

 未成熟であるにも拘らず、それでも精一杯に背伸びしようとする一生懸命な姿に。ある種の共感さえも抱いた。それは私の「陥没乳首」にも共通するところがあった。

 だけど彼の勃起は私の乳首とは違い、外から力を加えずとも勝手に隆起している。

 あくまで興味本位で、純君のアソコを覆う余分な包皮を指で軽く引っ張ってみた。皮内で擦れる度に刺激が与えられるらしく、彼は目を閉じたまま、私にされるがままその攻撃に甘んじている。まるで弄ぶように、私はしばらくママゴト遊びを続けた。

「痛っ!!」

 突然、彼は短く叫声を上げる。少々、調子に乗り過ぎてしまったらしい。

「あっ、ごめん…」

 己の好奇心旺盛を詫びる。不勉強なせいか、イマイチどう扱うべきか分からない。それでも今や勤勉となりつつある私は、今一度だけ純君に最終確認をするのだった。


「今日だけ、だよ?」

 彼を諭す。そうすることで、自らにも言い聞かせるみたいに。言い訳するように。純君はこくりと頷いた。

「いい?今日のことは、誰にも言っちゃダメだからね?」

 釘を刺す。口止めを施し、口約束を交わす。純君はまたしても頷いた。

「わかった。じゃあ、お姉ちゃんが『してあげる』」

 可を示す。そんな卑猥な言葉が自分の口から発せられたこと自体、意外だった。

 ゆっくり上下運動を開始する。さきほど彼が衝動に駆られてそうしていたように、今度は私の主導により弟を受動的な快楽へと誘導する。

 皮がずれたことで、可愛らしい彼の先っちょが亀の如く、ひょっこりと顔を出す。鮮やかなピンク色をした亀頭。すでにズボンもトランクスも脱ぎ去ったというのに、これまで日光を浴びることのなかったそこがようやく日の目を見る。

 棒を掴んだまま指を伸ばし先端に触れる。その瞬間、純君の体がびくんと跳ねた。痛かったのだろうか。だが彼は何も言わず、私にさらなる要求をしてくるのだった。


「ねえ、口でして」

 純君は言う。どこでそんな台詞を覚えてきたのだろう。弟の早熟さが心配になる。いつか恋人にも平気で同じことを頼むのではないか、と。

「だめ」

 純君からの申し出を一度は断った。だけどその「断り」からも垣間見えるように、やがてすぐに理から外れてしまうのだった。

「お願い!お姉ちゃん…」

 今日だけだから、と純君は言う。私が一方的に交わしただけの約束を逆手に取る。彼と視線が交錯する。悲痛が込められたようなその表情に、あえなく私は陥落した。

「しょうがないな…」

 一体何に対する譲歩なのかも不明なまま、彼の「一生のお願い」を聞いてあげる。純君の股間に一心に顔を近づけ、一瞬ばかり焦らしたのち、そこから一気に頬張る。


 口の中が純君のアソコで満たされる。

 いや、満たすには程遠い。陰茎を丸ごと含んで尚、口内には幾分かの余裕がある。やはり○○さんのモノとは違う。彼のは咥えるだけで精一杯だった。

 純君のペニスは複雑な味がした。全ての絵具を混ぜ合わせた色が黒になるように、あらゆる味覚が混ざり合った結果がその苦みだった。

――何の味だろう?

 合体を期待して滲み出した液体。挿入に先走ることで迸った汁なのかもしれない。あるいは包皮の内側に残った『おしっこ』だろうか。だとしたら私の『おしっこ』もこんな味がするのだろうか。

 匂いについても、イカしたものではなかった。青臭さの奥底にある「イカ臭さ」。嗅覚がイカレてしまいそうなほどの異臭。それは紛れもなく「恥垢」によるものだ。

 彼はきちんと洗えていないのだろう。そんな状態のまま女性に咥えさせるなんて、それこそマナー違反もいいところだ。仮にもそれが愛すべき弟のものでなかったら、私はすぐさま嘔吐していたことだろう。


 だけど姉である私はそんな弟の不始末さえも受け入れる。ヌルヌルとした舌触り。込み上げる臭気と苦味。吐き気を催すような不快さえも余すところなく受け止める。

 不衛生なペニスの周囲にこびりついた、熟成されたチーズのような濃厚な味わい。彼の不浄なアソコを私がきれいにしてあげている。舌先で「チンカス」を舐め取り、同時に快楽を与え続けている。

 座位の姿勢のまま「気をつけ」するみたいに私の口の動きに身を委ねていた彼は、そこで自らの意思をもってさらなる触手を伸ばすのだった。

 彼の手が私の髪に触れる。かつて弟にそうしていたように。なでなでするように。だけど純君の手はそれだけに留まらなかった。

 彼の手が私の背をなぞる。ゆっくりと弧を描くように。姉のことを褒めるように。そして純君の手がついに私の腰の辺りに迫ったところで。

「ふぁめふぁよ(ダメだよ)」

 声で彼を抑止するも。お口に咥えたままだったので、ヘンな言葉になってしまう。


 歪曲された響きのみならず、この期に及んで拒否する滑稽さは重々承知している。

 私が触れたり舐めたりする分には良くて、どうして彼が触れるのはダメなのかと。だけどこれは私にしか分からない、微妙なラインなのだ。

 私から快楽を与えるのは許可するけれど、彼から与えられるのは如何なものかと。それはもはや双方向の愛撫となり、直接的な性行為としての意味合いを帯びてくる。それはイケないことなのだ。

 あくまで一方的にという条件付きで、さらに今夜だけという期限付きでなければ。それは私が自らに課した制限であり、決して譲ることのできない防衛線でもあった。

 確固たる態度が功を奏したのか、彼は伸ばした手を引っ込めた。与えられる刺激、それのみに集中するつもりらしい。だがそれだって多くの一線を越えたものなのだ。

「お姉ちゃん、気持ちいいよ…」

 彼は呟く。それは率直な感想でありながらも、続く懇願への伏線にも感じられた。


「ねえ、お姉ちゃんが今穿いてる『パンツ』見せて」

 案の定、彼は次なるサービスを要求してくる。

「ダメだよ」

 さきほどの反省もあって股間から一旦口を離し、口淫を中断してから私は言う。

「どうして?」

 彼は不満そうに訊き返す。ここまでしてくれておいて、どうしてダメなのかと。

「ダメなものはダメ!」

 当たり前だ。そんなことできるはずがない。これ以上彼に褒美を与えることなど、しかもそれが「姉の下着」によるものなど、絶対ダメに決まっている。

 もし仮に私が今ここでショーツを見せたりすれば、きっと彼は抜け出せなくなる。「姉に対する劣情」という名の呪縛から、永久に解き放たれることができなくなる。

 彼は今後も私のショーツを出来合いのおかずにし続け、それだけでは飽き足らず、またしても私の秘密を知ろうと企むかもしれない。


 それに。私は思い出す。私が現状抱えている秘密を。すっかり忘却していた記憶を。アソコがスースーする感触を取り戻す。私が今現在「穿いていない」という事実を。

 そうだ。私は「ノーパン」なのだ。

 どうしてそうなってしまったのかについては、今さら説明する必要もないだろう。私は粗相によりショーツを脱がなければならない苦境に追い込まれてしまったのだ。

 奇しくも、あの夜と同じ状況。彼が目撃し、彼の性癖を歪めてしまったその元凶。あるいは今の私は、あの夜と地続きの延長線上にいるのかもしれない。

 そもそも、こんな状態のまま弟の部屋を訪ねてきたこと自体が間違いだったのだ。真面目な姉が今「ノーパン」であろうことなど、まさか純君は知る由もないだろう。だからこそ本来そこに穿いているべきものを彼は「見せて」と言ってきたのだろう。

 だが生憎そうすることはできない。もちろん最初からそのつもりは無いのだけど、どうしたって見せてあげることはできない。

 彼が息を呑んで凝視した先に、私の下着はないのだ。そこにあるのは――。


 私の「オマ〇コ」。(〇の位置はこれで合っているのだろうか)


 紛れもない、姉の陰部である。まだ一人だけにしか見せたことのない、私の秘部。それを二人目に、あろうことか弟の眼前に晒すことになる。

 純君はそれを見て、何を思うだろう。彼だってまだ一度もその経験はないはずだ。彼にとっての初見、それがまさか姉の股間になるなんて予感すらしていないだろう。

 自分が穿いていないことを意識したせいか、ふいに私のアソコが熱を帯び始める。

 純君のペニスに触れたせいかもしれない。触れるだけではなく、咥えもしたのだ。いくら弟のものとはいえ、それはれっきとした男性の部分。脳機能が誤作動を起し、体が勝手に反応してしまったのかもしれない。

 ショーツを穿いていたなら、クロッチ部分に盛大なシミが出来ていたことだろう。『おしっこ』とは違う液体。より粘着性を帯びながらも、同じくらいに羞恥な痕跡。『おもらし』と見紛うほどの量が。

 幸い、ショーパンの厚い生地のおかげで外部から内情を窺い知ることはできない。だけどもし触れられでもしたなら、濡れたヴァギナは確実に音を上げることだろう。甘美に満ちた淫靡な悲鳴は、彼に余計な期待を抱かせる要因にもなりかねない。


「お願い!今日だけでいいから」

 尚も純君は食い下がる。相変わらず「今日だけ」という定型句ばかりを繰り返す。それで私の方が引き下がるとでも思い込んでいるのだろうか。だとしたら甘すぎる。いや、そんな風に彼を甘やかしたのは私なのかもしれない。

 だけど、こればっかりはいくら頼まれようともダメだ。そこに譲歩の余地はない。「一度見せてくれたら、それで終わり」と彼は言うかもしれない。だけど見せたら、それで全てが終わってしまうのだ。

「あと、もう少し…。もうちょっとなんだよ…」

 決死の懇願に、私の決心が一瞬揺らぎそうになる。もしちゃんと穿いていたなら、それを見せてもいいというくらいに。だけどそれが出来ないのだ。

 純君に対して申し訳ない気持ちでいっぱいになりながら。せめてもの償いとして、彼のペニスに集中する。出来るだけのことをしてあげたい、と行為に本気を出す。

 あくまで純君のために出来る限りのことをする。そんな私の覚悟さえ知らずに…。


「なんか…お姉ちゃんの、あんまり気持ち良くない…」

 あろうことか、彼はそんな感想を口走った。

――何様のつもりなのか!

 私は怒りを覚えた。そりゃ確かに私が経験不足であることは間違いないだろうが。それだってもう少し言い様があるだろう。

 私の行為は否定された。好意による厚意さえも真っ向から全否定されたのだった。私の「フェラチオ」が下手くそだから、そんなんじゃイケないのだと純君は言った。その指摘には、私が処女であるという私的な事実さえも含まれているように感じた。

 私は泣きそうになる。中学生の弟すら射精させてあげられない己の不甲斐なさに。

 まるで憑き物が落ちたみたいに、たちまち私は落ち着いた心持ちになるのだった。彼のアソコから口を離す。それ以上、その行為を続けることに無為さを感じた。

 床に散らばった衣類を拾って、彼に履かせる。彼のペニスを元通りに仕舞い込む。彼は意味不明のまま一瞬だけ抵抗を試みたけれど、最終的には姉である私に従った。

 弟にズボンと下着を履かせるという行為に、私は在りし日の姉弟の面影を重ねた。だけどそれは遥か遠くの記憶にも感じられた。


 私は腰を上げた。彼に背を向けて、大股で出口へと向かう。

「えっ?どうしたの…?」

 彼は戸惑いながら訊いてきた。私は答えなかった。

「もう、終わりなの…?」

 彼は不服そうに言った。その通りだ。私の超法規的措置はここで打ち止めなのだ。

「そんな…」

 彼は残念そうに呟いた。哀しそうな、淋しそうな声音が背中越しに伝わってくる。それでも私は振り返るつもりはなかった。

 全ては自業自得なのだ。彼があんなことを言わなければ。欲張りさえしなければ。彼は無事に果てることが出来たかもしれないのに。それを拒んだのは彼の方なのだ。

 昔、彼に読んであげていた童謡。その劇中に登場する多くの強欲者と同様の末路。彼は一体そこから何を学んだのだろう。

 あるいはこれで良かったのかもしれない。私は寸でのところで踏み止まれたのだ。すでに幾つもの一線は越えていたけれど、それでもまだ私は戻ることができたのだ。

 彼を置き去りにして、ドアノブに手を掛ける。あと一歩、これで本当にお仕舞い。ようやく私は非日常から日常へと還ることができる。

「おやすみ」

 この夜を終わらせる締めの一言を添える。彼を見ずに。彼の姿を視界に捉えずに。

 だからこそ私は気づくことが出来ないでいた。彼が現状どんな心境でいるのかを。いかなる衝動に襲われていたのかも。何をしようとしているのかさえ知らなかった。


――!!!???


 ふいに、お尻がスースーするのを感じた。下着を穿いていないからではなかった。本当に「何も穿いていない」みたいだった。

 私はショーパンを脱がされ、純君の眼前に「ノーパン」の下半身を晒していた。


――続く――

この記事が良かったらチップを贈って支援しましょう!

チップを贈るにはユーザー登録が必要です。チップについてはこちら

月別アーカイブ

記事を検索