光る君へ 11話
「まどう心」の感想です。
見逃し配信 光る君へ NHKプラス
【キャスト】吉高由里子、柄本佑、黒木華、井浦新、吉田羊、ユースケ・サンタマリア、佐々木蔵之介、岸谷五朗、段田安則
【作】大石静(脚本家)
(C)NHK
光る君へ
まどい いざよい ままならぬ
今までの描写で、許されぬことが多くてできないと分からされての、まひろと道長の恋の行く末。
権力が有っても無くても、男でも女でも、恋する2人でも、悩み間違い行き違い、想い届かず果たせずままならない。
視聴者も翻弄されるドラマでした。
政変と除目
よく映画やアニメで見る政変は王朝政権丸ごと変わるダイナミックなものですが、天皇と側近が予定より早く変わる、となると早いですねぇ。
敵対者も罰するのでは無く、公的権力のみ剥奪で済ますのは藤原兼家自身の為でもありますが、宇賀ギリものと断じた為時の娘にあってわざわざ説明するのは、兼家の優しさで誠実さに思います。
「正道を、天下国家の為の政治を」が信条なのだと思えます。
その手段が人の心を踏みにじり卑怯なだけで……
いややっぱりダメだよ兼家!
父・藤原兼家
道綱への優しさや道兼への対応を見るに、ちゃんと個人としてみて、息子としてそれなりには愛しているのですよね。
ただ一族の権力・繁栄が正義で、そのために家族を権力の道具にすることも正義なだけで……
愛情に飢えた獣なのは道兼自身の問題ですが、ここまで肥大したモンスターになってしまったのは、優しく愛しもした、そして決定的に道具にした兼家のせいだよなぁ。
平安時代の美しさ
今回多くの人物が初登場しましたが、ほかの方々のポストを見るに、なんだか不幸な未来がほの見えて。
なんですか!
平安時代は美しいんじゃないんですか!?
……ああ、高貴な人々の滅びは美しいですね。これなの?
他に鎌倉時代と比べれば政変が優しいというのもあって吹きました(笑
そりゃ族滅と比べらた、まひろは貧しいだけだし花山院も優雅に生きますけどね!
救いは何処か
そんな厳しい展開の中、時に優しく厳しくまひろに助言し、心配したり秘密の恋を打ち明けたり、倫子様のサロンが今話ほぼ唯一の癒しでした。
なのにハッキリと、視聴者だけに見える地獄。
「楽しみ〜♡うふふ」
手心、手心を……!
いやまぁ一番道長とまひろが憎まないお相手ではあるんですけど、だからこそさぁ!
あとの癒しはもう家族ないと、姫様のために身分を飛び越える乙丸、心配する道長の後ろでぴょこぴょこ烏帽子が揺れる百舌彦の従者ズでした。
可愛い!
十六夜の逢瀬
劇伴全然分からない人間なのですが、この大河ドラマ、平安時代ときて一番のクライマックスシーンにエレキギター持って来るセンスと胆力、強くて好きです。
この平安の貴族社会に息苦しくて、このまま秘密のままでは想いが強過ぎ、2人だけで生きるのも叶わず、貴族らしく結ばれるのは怖くて。
権力争いに翻弄される官僚貴族の為時一家(経験済)と、権力争いで振り回す摂政・兼家家の道長に対比が、断絶が心に苦しい。
道長だって振り回されてばかりで人生最大に辛いのですけどね……
北の方・正妻に出来ないのも父が許さないから「無理」なのでしょう。
だから、初めてまひろに怒ってしまった。
幸せと苦しさと孤独さで追い詰められて、吐露出来るただ一人の、恋した女性に。
今回の道長くん
最後の道長は今までと違って横暴で格好悪い王子様でしたが、立場や追い詰められて「本性が出た」のではなく。
振り回されまくりで「自暴自棄」なだけに感じました。
それでも他人に当たらず騒がず、でも悪いことをしたと見せ敵を作らないスタンス、兼家にない政治センスだなぁ。
周りは皆、権力、権力権力、知らねーよ!(でも一番才能がある
まひろに泣きつきたくて、でも前回断られたし負目があるからと、自分ができる最大限で考えて、拒絶された。
一番大好きな人に届かなくて、拒絶されて、でさらに自暴自棄。
ままならないのも史実も分かった上で、せめて心通じて、一度別れて欲しいです。