雨傘日傘 2011/09/29 16:41

冒険者の手引書・オーク古種に関する手記

大陸各地に見られるオーク種は通常、
力の突出した雄の部族長を中心として
30~50程度の雄と
10程度の雌によって集団を成しており、
おもに自然洞穴などを利用した『巣』に
生活共同体を形成している。
彼らは雄個体に対して
雌個体が極端に少なく、異種族の雌個体を
共同体に取り込んでいることが多い。
巣の傾向はもととなった洞穴と
その付近の環境に依存しており、
規模の大小や生活基盤は部族ごとに様々だが、
大陸北方のややひらけた山林に残る
古いオーク種の巣では、その入り口付近に必ず、
彼らの縄張り境界を示す
なんらかの表示が為されている。
表示物は部族の力を他に示すものでもあり、
そこには狩猟等によって会得された
獲物の遺骸(毛皮や骨)など、
主に共同体の成果物が置かれるのだが、
巣によっては彼らが所有する
異種族の雌個体が設置されていることもある。

彼女らはほぼ例外無くその巣の族長の『妻』であり、共同体に暮らす異種族の中では比較的厚遇され
示威物として設置されている昼間を除いては巣内においての立場と食料を与えられている。
街道に襲撃を受けて壊滅した商隊から浚われた女性が30年以上にわたって
彼らの巣に暮らした例も報告されており、『妻』の身の安全はある程度保障されるようだ。

冒険の過渡にもし君がこれらの示威設置物を見つけた場合、
君は必ず周囲を警戒しながら直ちにその場を離れること。
このような示威行為をするオークは最初の戦争期以前から続く古種であり、
彼らの力は現在大陸各地に多く見られる灰色オークを大きく凌ぐものであるからだ。
間違っても彼らの『妻』を救出しようなどと考えないように。
あるとき小国の騎士団から編成された大規模の討伐隊が
翌日、全員縄張りを示す設置物となった、というような逸話が北方には山ほどもある。

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