よもやまサンド 2021/06/09 19:00

俺と彼娚(かのと)の性別行為 プロローグ

「娚性とは」
「2030年頃から増えていったヒト属の新種。学名「Homo diverse(多様の人)」」
「新種ではあるがヒト種と交配が可能であることから、種と呼称される事は少なく別性との認識が殆どである」
「多様なDNAを持ち、ヒト種には見られない身体的特徴(ネコ科の耳など)を有して出生する」
「また、出生直後はヒト種と同様に雌雄を持っているが、思春期に入って早くに異性の性器や一部身体的特徴が発達する」
「ヒト種の減少が進んだおよそ2200年以降は、種の総数は娚性と入れ替わる形で推移」
「2530年現在、地球内外を含めた総人口140億の約7割は娚性となっている」

男 「・・・か」
男 「俺って絶滅危惧種だったんだなぁ」

西暦2541年、地球を支配していたヒト種は同じヒト属の新種により絶滅の一途をたどっていた。
もっとも同属とはセックスも問題なく出来るわけで、いまいち自分がヒト種である自覚は薄かった。
学生の頃は同種の異性も居たし、娚性の子ももちろんいた。いた、のだが

男 「つっても相手が居なきゃ種もなにもねえよなぁ・・・」

御年25歳、生まれてこの方彼女も彼娚(かのと)も居ない。
仕事も大よそが在宅ワークのため、大学を出て以降は出会いの場もほぼ無いのだ。

男 「大学の時に多少は合コン出るべきだったな」

出不精だった自分はこれまであったはずのチャンスを不意にしていたのだ。
昨今では出遅れると出会いが起きにくい事が社会問題となっているそうだが、まさに自分がそれだった。

男 「・・・シコって寝るか」

考えて悔いてても仕方ない。今日は休みだから存分にリフレッシュして平日に備えよう。
思考の切り替えは昔から早かったので、日課のオナニーをとりあえずする事にした。
その矢先
[ピンポーン]と玄関のチャイムが鳴る。

男 (タイミングわる・・・)

小さく呟いた後、玄関のドアに向かって少し声を張って「ちょっと待ってて」と言い、
脱ぎかけたズボンを履き直しながら軽く身だしなみを整えてからドアを開ける

男 「どちらさま―」
??? 「兄ちゃん、遊びに来た」
男 「ああ、和奈か」

田前和奈、自分がこの家に越してきてから1年経った頃に近所で産気づいていた親を助けた事があった。
その時に奥さんが身ごもって居たのがこの和奈。それもかれこれもう9年ほど前になる。

男 「あれ、でも明日の約束じゃなかったか?」

元々和奈とは明日遊ぶ約束をしていたのだが、子供の事だし予定を変えることもあるかと思っていた矢先

??? 「突然ごめんなさいね。」
男 「あ!すみません。気づきませんでした」

ドアの影に隠れて気づかなかったが、和奈の母が脇に立っていた。
母親は低身長の娚性であるため、一般のドアではすぐ隠れてしまう。

和奈の母 「いいのいいの、もう慣れっこ♪」
男 「で、どうしたんですか親子揃って」
和奈の母 「ええっとね・・・」

和奈の母は少し言い淀んだが、意を決したように続ける。

和奈の母 「貴方にうちの子の性別をしてもらいたくて・・・」
男 「え」

この現代で性別には2つの意味がある。
一つはヒト種におけるオスとメスの区別。元来からある意味だ。
そしてもう一つは、娚性における「性別選択」
そもそもとして、娚性に性別という概念は存在しない。
生殖細胞は精細胞・卵細胞のどちらともなりえる上、身体的特徴も個人差はあるもののさほど変わらないためだ。
では、ここでいう性別とは何か

男 「つまり、それってこの子と『性交』して欲しい・・・と?」

娚性はヒト種と比べても遥かに早熟で思春期の始まる8歳以降から初潮・精通が起こり始める。
娚性とは言え男性・女性ホルモンは有しているため、成長による体の変化の過程でホルモンバランスが崩れ、
体調を崩したり、身体の発達が悪くなってしまうことがある
それを防ぐため、どちらか一方のホルモンで安定出来るよう刺激を与える「性別選択」を行い、体調を整えるのである。

和奈の母 「本当は学校の子とするべきなんだろうけど、和奈が全然聞かなくてね」
和奈 「・・・」

和奈はただじっと俺を見つめていた。
妹のように可愛がっていた子が自分の事を性別対象として見ていた。
シチュエーションとしては大いに燃える所だが、いざ自分がそれになると戸惑ってしまう。
そんな思考を巡らしていたが、その間和奈は時折目を逸らすもこちらを見つめ続ける。

男 「和奈」

目線が合うように屈んであやす様に言葉を出す。

男 「お兄ちゃんじゃないとダメか?」

和奈は少しびくっとさせて口を噤んだが、絞り出すように

和奈 「兄ちゃんが、良いから・・・」

と、少し震えた声で答えた。
よく見れば顔は僅かながらに紅潮しており、体も緊張からか強張らせている。

和奈の母 「あらあら・・・♪」

母親はそれを見て微笑ましそうに見つめている。

男 「…わかりました。引き受けます」

それを聞くと不安そうな顔をしていた和奈の顔がワッと明るくなった。

男 「それで何なんですけど・・・その・・・自分、性交経験がなくてですね・・・」
和奈の母 「あらあら、じゃあ初めて同士ね♪」
和奈 「大丈夫、私授業でちゃんと習ったから兄ちゃんに教える!」

さっきとは打って変わってはきはきと和奈は答えた。

和奈の母 「それじゃあ、和奈の事改めて頼むわね♪」

そう言うと、和奈の母は足早に自宅へと帰って行った。

男 「…あれ、今から?」
和奈 「今から!」

元気のいい声で和奈との『性別』が始まるのだった。


前回から間が開いてすみませんでした。
以前に告知していた作品ですが、予想以上に作業量が多い(店の内装や制服の設定などなど・・・)となったため
一度見送りにして、先程書き出した今作品を進めようと思っています。
まだキャラデザも出来てませんが箱庭えっちな作品になる予定です。
冒頭の話から大分ぶっ飛んでますが、よろしければお付き合いいただければと思います。

話は逸れますが、来る令和3年5月28日から私よもやまサンドは
屋号「よもやまサンド」として開業いたしました!
と言ってもやる事は変わりませんが一応ご報告という事で。


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