もに太 2020/11/22 22:01

【完成】囚われのフィニ


フィニちゃんの磔ピンチ絵完成です。SSも書けたので載せておきます。名無しのオリジナル宇宙人が登場します。ノゾナ星人といい、私が書くオリジナル星人はなんかアホっぽくなってしまう。駆け足で書いたので色々不安ですが大目にみてやってください…。

囚われのフィニ

敵宇宙人を追い、フィニとリアンが辿り着いたのは地球だった。

「やっと追い付いたですぅ!」
「もう逃げられへんで!覚悟しいや!」

町中に降り立った宇宙人を挟み撃ちにするようにして、二人は着地する。追い詰められたはずの宇宙人は、薄ら笑いを浮かべていた。

「覚悟するのは貴様らのほうだ。ふん!」

掛け声と共に宇宙人が二人に分裂した。

「うわ、厄介やな……フィニ、援護頼むで!」
「はいですぅ!」

リアンが駆け出し、エネルギーをリング状にしてをまとわせた片腕を大きく後ろに引く。

「ラトスラッシュ!」

腕を振り抜き、鋭利な刃を回転させる光輪を飛ばす。しかし敵は散開して回避した。

「くくく、何処を狙っている」
「うっさい!」

二人の侵略星人はリアンを翻弄する。リアンは格闘で応戦するが、敵はなかなかリアンに隙を見せない。

「そぉらっ!」
「うあっ!」

一人から飛び蹴りを食らってしまう。リアンがバランスを崩すと、もう一人が背後に迫る。

「後ろがガラ空きだウルトラレディ!」
「チィッ!」
「させないですぅ!ディフェンスウォール!」

敵の攻撃が直撃する寸前、フィニの遠隔バリアがリアンを守る。

「メディカルレイ!」

続けて放たれた回復光線が、リアンのダメージを取り除く。

「サンキュー、フィニ!」

フィニが作ったチャンスを、リアンは逃さない。エネルギーを両腕にまとい、十字に交差させる。

「カンサシウム光線!」

高出力の破壊エネルギーが分裂宇宙人の片割れに直撃した。

「ぐおああ!!」

そのまま呆気なく爆散。リアンはすかさずもう片方に向き直る。

「よっしゃ、あとはアンタだけや!」
「くっ!こうもあっさりと……だが、今のでエネルギーを消費しているな?もう迂闊に大技は……!」
「ドートンボリバー水流!」

話を無視し、リアンが両手を合わせる。掛け声と共に発射されたのは水流。敵星人は頭から水を被るが、ダメージはほとんどない。

「……はっ、やはりこの程度の技で精一杯のようだな!」

禍々しいエネルギーを手に収束させ、放水を続けるリアンに放とうとした、その時、

「メディカルフロスト!」

フィニが、合わせた両手から冷却ガスを噴射。ずぶ濡れの侵略星人は瞬く間に凍りつき、身動きが取れなくなった。

「な……にぃ……っ」
「このまま押しきるですぅ!」

フィニが再び防御壁を展開。それを両手で押し出した。

「ウォールアタック!」

本来防御に使われるディフェンスウォール。その強固なエネルギー壁を相手にぶつけることで物理的なダメージを与える、フィニにとって唯一と言っていい攻撃技だ

「ぐああッ!」

氷漬けの状態では避けることは叶わない。迫る壁が直撃し、敵星人は爆散した。

「よっしゃあ!これで……って、まだおる!?」

なんと、分身がもう一人、距離を開けてリアンとフィニを見据えていた。

「……フンッ!」

クローン星人は黒い光弾を連射。弾道には、逃げ惑う人々の姿があった。

「守るですぅ!ディフェンスウォール!」

フィニが慌ててシールドを展開し、事なきを得る。追撃に備えて構えるが、侵略星人は予想に反し、フィニとリアンに背を向けて逃走を開始した。

「なっ……待たんかいこらぁ!」

リアンが後を追う。フィニも駆け出そうとした、その時、

─ドシュッ!

「あう!?」

背後から首に衝撃を受け、一瞬で視界が暗転する。次の瞬間には頬に冷たい地面の感触を覚え、フィニは自分が不意打ちに倒れたことを悟る。

「う……うぅ……」
「ったく……レッドタイプのオマケだと思って甘く見てたが、思ったより面倒なことしてくれるじゃないか。ま、分裂の繰り返しで力が分散して弱くなっちまってる今の俺でも一撃で倒せるのは助かったぜ」
(フィニとリアンちゃんを引き離す罠だったですね……リアンちゃんに知らせを……ウルトラサイン、を……)

気力を振り絞るも、フィニの意識はここで途切れた。

「……ん……う……」

フィニが目を覚ます。だが、完全な覚醒には至らない。何故なら、彼女のエネルギーは既にクローン星人によって吸収され、生命を維持できる最低限の量しか残されていないからだ。
目を開ける気力すら奪われた状態だが、ここが地球ではないことは分かった。おそらく生命体のいない小惑星といったところか。

(体が……動かないですぅ……)

両手首と足首に太い鎖がガッチリと巻かれ、体を十字型に固定されている。いわゆる磔だ。逃れることは到底不可能だろう。
加えて、凄まじい倦怠感がフィニを襲う。一体何をされたのか、体に嫌な感触が残っていた。

(……フィニが捕まっていたら、みんなに迷惑がかかるです……早く脱出を……)

自責の念に駆られるフィニ。そんな彼女を嘲笑うかのように、下衆な笑い声が二つ、近付いて来た。当然、彼女を捕らえた分裂星人達だ。

「一時はどうなることかと肝を冷やしたが、思わぬ収穫だぜ。それにしても、あのオレンジ髪のウルトラレディのキレ顔は傑作だっな。返せ返せ~!って、必死過ぎるだろ。このブルータイプがそんなに大事かよ」
「いいじゃねーか。コイツを人質にしておけば、ウルトラレディも迂闊には手出し出来ないってこった。あの微乳ウルトラレディも磔にして売り飛ばしてやろうぜ」
「なら、このブルータイプと抱き合わせにしないとだな。需要無さそうだし」

言いたい放題の彼らに、今のフィニは反論を飛ばすことも出来ない。

(リアンちゃん……メリアちゃん……ごめんなさいです……)

脳裏に浮かぶ、友の顔。自分だけが売り飛ばされるのならまだマシだ。しかし、大事な仲間を巻き込んでしまうことだけは、あってはならない。己の無力さに、フィニの閉じられた目から涙が溢れる。
その時、侵略星人たちの無駄話を遮るように、分身の一人が持っていた小型の映像端末のブザーが鳴り響いた。

「どれどれ。未確認飛行物体が接近中……お、やっぱあのオレンジ髪だ。サクッと捕まえてオークションに出品だぜ」
(リアンちゃん……来ちゃダメです……)

恐れていたことが起ころうとしている。
しかし、

「……ん?おい、もう一人いるぞ。長い銀髪で胸がデカくて……うおっ、すげぇ美人。あ、カメラ破壊された」
(長い、銀髪……?)
「いいねぇ。まとめて捕まえてやる。こっちには人質がいるからな。チョロいもんよ」
(まさか……メリアちゃん、と……)

……小一時間後、フィニは無事に救出され、クローン星人達は残らず倒されたのだった。

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