BL小説(R18)第一話「俺、社会人!~就職が決まったら同棲していた彼氏が姿を消した」
序章 最悪な別れ
俺、社会人っ!
一年間の大学浪人と四年間の就職浪人を経て、やっと……やっと、俺は就職にありついた……と言っても、俺が夢に描いていたような就職は無理で――。
そうだよな。成績の悪い俺には到底無理な話だよな。
警察官なんて……。それでも就職は就職だっ!
俺はマンションのエントランスにあるメールボックスに入っていた茶封筒を握りしめて、部屋に急いだ。
早くあいつに知らせたい。ぐうたらで、出来の悪い俺を見捨てずにずっとずっと傍にいてくれた大翔(はると)に俺の成功を喜んでもらいたいんだっ。
俺はエレベータがゆっくりと降りてくるのを耐えきれずに、階段で六階までかけあがった。
慌ただしく玄関の鍵を開けて、室内に飛び込めば、静かで綺麗な空間が広がった。
俺がバイトに出かける前までは、俺の脱いだものや散らかしたものが、あちこちに散乱していたというのに。今は綺麗さっぱりして、廊下が光り輝いてる。
すげーな、大翔。やっぱり手際が良いや。
「大翔っ! 見てよ、これっ」
居間のソファでゆったりと座り、新聞を読んでいる大翔に俺は適当に封を切った茶封筒を押しつけた。
「湊、元気だね。これは僕が勝手に見てもいいの?」
「いいから、いいから。見ろって」
大翔が新聞を丁寧に折りたたんでから、ソファの空いているスペースに静かに置いた。俺が手渡した茶封筒の中身を見ると、大翔は微かに眉間に皺を寄せた。
「これ……」
「大翔、喜べ! やっと就職できたんだっ。念願の就職だ。これで大翔一人に負担かけないですむぜ。今まで、悪かったな」
「いや……別に」
「ああ、まじでちょー嬉しんだけど。なあなあ、今夜はさ。豪華な夕飯にしよーぜ」
「湊、嬉しそうだね」
大翔が、少しだけ微笑むと太腿をパチパチと叩く。あいつのその動作は俺に、「膝の上においで」と合図している。
俺はなんのためらいも無く、大翔の上に跨った。
「嬉しいに決まってるだろ。これで大翔と同等に家賃も払えるし、親に『就職しろ』って言われなくていいんだから」
「家賃なら、気にしなくていいのに」
「だって、キツイだろ? 俺、なんもしねえで。大翔におんぶに抱っこ状態だ」
「湊は何もしなくていい。僕の傍に居てくれるだけで、いいんだ。僕のために、可愛く鳴いてくれれば」
大翔が、俺のシャツの上から突起を軽くつまんだ。
「あっ……んんっ」
すでに就職の通達を見て興奮していた身体は、大翔の指先の刺激だけで全身に快感が走る。
「ちょ、待って。俺、まだバイトから帰ったばっか……」
「待てないよ。僕はこれから夜勤なんだ。湊を食べないと、仕事ができない」
「な…何言って……って、え? 今夜、夜勤なのか? 俺、聞いてなっ、んんぅ、あっ」
大翔が無理やり俺の唇を奪う。いつものことだけど、大翔はスイッチが一度入ると、止まらないんだ。
口づけをしたまま、俺はソファに押し倒される。俺の背中の下に入った新聞紙が、『バリっ』と悲鳴をあげたのを俺は酸欠になりながら聞いた。
キスの熱で、意識が朦朧となったのか。それともただの酸欠なのか。
よくわかんねえけど、頭がクラクラする。大翔はこれから仕事だっつうのに、よくセックスする元気があるもんだ。
俺なんか、バイトしてきただけで身体中がクタクタなのに。大翔の体力はすげーよ。
大翔の手が俺のシャツの裾にかかる。俺は両腕をあげて、するりとシャツを脱がされた。
上半身を持ち上げた大翔が、まじまじと俺の素肌を眺めてきた。
「大翔、どうしたんだよ?」
「今日も綺麗だなって」
「は……はあ? 綺麗って……俺、男だけど」
「湊は綺麗だよ。誰よりも、可愛い。僕の愛しい湊」
大翔が左胸を「ちゅうっ」と吸い上げる。
「……っあ。やめ、んんぅ」
カリッと大翔が歯をたてた。キスマークをつけるつもりなのだろう。
三日とあけずに大翔はセックスをするけど、キスマークはあまり付けないのに。今日は珍しいな。
「好きだよ、湊。愛してる」
「ちょ…恥ずかしいだろっ」
「僕の素直な気持ちだよ」
素直って……そりゃ、好きじゃなきゃ、男に抱かれねえけど。何度も口に出されると、尻がムズムズする。
俺、こういうのあんま得意じゃねえんだ。大翔にとったら口に出すのは、そんなに苦じゃねえんだろうけど。
俺は純日本人気質っつうか。なんつうか。フランス人みたいに、愛の言葉をつらつらと言える性格じゃねえんだよ。
はあ、恥ずかしい。
「湊、可愛い僕の湊……」
大翔の指が俺の素肌を這っていく。くすぐったさでぞわぞわっと鳥肌がたつ。
俺のぼつぼつになった腕を見て、大翔がくすっと笑った。
「いつまでも感じやすいね」
「あ……ん、大翔のせいだ」
「僕のせい? それは光栄だね」
大翔が嬉しそうに微笑むと、俺のズボンのベルトに手が伸びた。
カチャカチャとベルトが外され、チャックを下ろされる。俺は大翔の手首を掴んだ。
「仕事前に、マジでやるのかよ」
「仕事前だから、やるんだよ。さあ、僕に湊を食べさせて」
大翔の手が、俺のパンツの中に滑り込んでくる。すでに頭をもたげている部分に触れた大翔が嬉しそうに笑った。
「嫌がっているわりには、反応しているね」
「ば…なっ……だって、大翔が触るからだ」
俺の頬がかあっと熱くなる。大翔が俺を抱くかもしれないってだけで、俺の身体が勝手に反応しちまうんだ。
そういう身体にしたのは、大翔だろうが。俺はもう、大翔以外のヤツには……たぶん、反応はしない。
「ほんとに。湊は可愛いね」
大翔が俺の耳元で囁いたのと同時に、俺のを上下に擦り始める。
「や、ん。ちょ…パンツのゴムが伸びるっ」
いつも言ってるだろうが! 俺は金がないんだから。下着一つでも、長持ちさせたいんだよっ。
安売りで買った安パンツだけどさ。全然、ブランドもんじゃねえけど。簡単に買えるほど、俺の金銭面は裕福じぇねえの。
「わかったよ。ちょっと触りたかっただけだよ」
大翔がくすっと失笑してから、俺のズボンとパンツを一気にズリ下ろした。一気に俺は素っ裸になる。
何年も。何十回と、俺の素っ裸を大翔は見ているけれど。やっぱ、こういう状況で、裸にされるのはこっ恥ずかしい!
俺は股を擦り合わせると、耳までもが真っ赤になるのを感じた。
「いつまでも初々しいね、湊は」
大翔が、俺の足をぐいっと広げさせる。すでに反応している俺が、ぴょんと顔を出した。
「湊、今日の僕はちょっと抑えがきかないよ。こんな可愛い湊を見て、優雅に解してあげるなんて出来ない」
大翔がズボンのチャックを下ろして、ボクサーパンツの隙間からデカイ物を出す。
うわっ。相変わらず、デカ過ぎだっつうの。なんで男相手で、こんなに反応するんだ?
…っていう俺も、男に触られて気持ち良くなっちまってるんだから、大翔を責められないけど。
大翔がテーブルの下に置いてある木箱に手を伸ばして、ジェルのチューブを取りだした。慣れた手つきで、俺の穴を潤わすとぐぐっと、腰を沈めてきた。
「あ、ああっ。は…大翔っ、きつ、い、ん、あっ、ああ」
「解してないからだね。すぐに気持ち良くなるよ。可愛い、可愛い、僕の湊」
※サンプルは以上です。
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