ベレス解部 2023/03/12 15:51

           

昨年の10月頃から創作への気力が急速に減退し、最早これまでと荷物をまとめて国に帰る準備をしていたところ、勝手口の方からすごい音がして、細木数子の亡霊がドタドタと侵入してきました。

首から下がガンタンクの細木数子は持参した土鍋を取り出し、ここにあんたの魂を入れんのよと鎮座。
何をするつもりかと思ったら、なにやら人体から抜いた魂を土鍋に入れてまた人体に戻すという儀式じみたことをやるようでした。

目の前で行われている儀式の準備を眺めながら、土鍋にまつわる話を聞きました。
土鍋はもともと土葬の文化から生まれたもので、死んだ人の魂を埋葬する前に土鍋に入れて皆で囲み、夜が明けたら蓋を開けて空へ飛ばすという、弔いの風習があったそうです。(後に嘘だと分かる)

目線の高さにある土鍋を見ているうちに、この土鍋がフリスビーみたいに飛んできて前歯に直撃したらどうなるんだろうという考えが感情を上書きし、自分がなぜ土鍋に魂を抜かれているのか分からないまま、次第に意識が溶けていきました。

気付いた時には感覚が鈍くなっていて、床にバナナが落ちていてもバナナが落ちているとしか思えず、通常の状態であれば拾って食べたはずのバナナが黒ずんでいき、どうだナスビと見分けがつかなくなったろうなどと喋り出したバナナを横目に、回り続ける細木数子のキャタピラを眺めていました。
眺めているうちに、断片的な事は言えてもまとまりのある事が言えなくなっていることを自覚し、その時は誰とも話せる気がしなくて、ただ部屋の中に居ました。

いくら時間が過ぎても細木数子の亡霊は部屋の中央に鎮座したままで、視界に混在した数子とバナナを見ていると、それが亡霊なのか物体なのか曖昧になってきて、全てがバナナと同じ物体に見えてきました。バナナと違うのは腐らないことだけでした。

視界も黒ずんできた時、不意に声が聴こえました。
細木数子の声です。

何かを言おうとしている細木数子を見ていると、この細木数子になら話せるような気がしてきて、細木数子にどうしたらいいか尋ねたところ、細木数子は、「黙れ! 死にな!!」と叫んで、コア・ファイターを射出してきました。

すんでのところでぼくは身をかわしました。
かと思いきや かすりヒットしており、シャツがビリビリになって乳首が露出。

(それでいいのさ……)という怨念を残し、空高く消えていく数子。

…………。

毎週進捗記事を上げると言ったのに守れなくてすみません。
もう一度作品の制作をやらせてください。

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