「オークに犯される女魔法使い」(仮名)の文章の草稿。
挿絵絵2枚分までのところです
「 ドーン」
清涼な森に包まれた湖畔で凄まじい水柱が立つと共に爆音が鳴り響き、無数の鳥が驚いて飛び立った。
「フゥ」
湖畔に佇む少女はその水柱を見上げて 袂に抱えた本を手に取るとページをめくり、 まだ大きな波紋を広がる湖面とを見比べると、満足と安堵の入り混じった表情を僅かに口元に浮かべた。
青い髪のまだあどけない顔立ちの彼女、レレイは魔法使いである。
自分の背丈ほどの魔法杖を持つレレイは、青いラインが入った白いローブを纏い、人里離れたこの湖畔で一人、魔法の鍛錬を欠かさなかった。
彼女がじゅもんを唱えながら読み耽る本は、純白の紙に見慣れぬ文字が並んでいる。
その記述はこの世の理(ことわり)を示しているという。
それを読み進めながら一つ一つ魔法的な力を試していた。表紙には異世界の言語で禍々しいバケモノの専門書を示す言葉が書かれていた。
――「化け学」―― と。
事実、この異世界の書物の理をなぞるだけで、魔法力が何十倍にも引き上げられる。
このような実験を人里で行えば人に恐怖しか与えないだろう。だからこのような深い森奥でレレイは一つ一つ、この書物に内包する力を畏怖と共に検証していた。
だがその代わり森奥には様々なモンスターや野盗が出る。その為周囲に検知魔法を施していた。その魔法「悪意感知」――ディテクトイビル――は、自分に害を与える意思を持った何者かが近づけば、その瞬間にたちどころにレレイの頭に警報が鳴り、大まかにではあるが位置さえ検知できる。
精神集中が必要とされる魔法実験中には周囲の警戒が散漫になる為、そういった警戒魔法は欠かせないもので、動物であれ魔物であれ、彼女に害をなすものが近づけばわかる――――はずであった。
風の向きが変わった時だ。
不意に何かすえた臭いが漂ってことでレレイは修行を中断した。
この清涼な森には似つかわしくない腐った汚物のような臭気。
(近くに動物の死体でもあるのだろうか)そうレレイが思ったがすぐに頭を振った。今まではなかったその臭気が何故漂ってきたかだ。
(近くに何かが来た?)
そう思い至った時レレイは戦慄し周囲を警戒したがすでに遅かった。
ヒュン
不意に小さなものが飛んできて彼女の白く細い首筋に当たった
カラン
手にしていたロッドを落とし、全身の力を不意に失い彼女はそのまま膝を落とし崩れ落ちた。同時に藪の中から嬌声がした
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2枚めの絵までの草稿
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