セックスは最高の異文化交流 アメリカ東海岸編 女性視点 “Eva Stone”
「ヘイ、見ろよエヴァ、アジア人のYouTuberがバカなことやってるぜ」
恋人のマイクとマイアミの街を歩いていると、目の前に身体つきのがっしりした、アジア人の男性が立っていた。
男性というより、青年の方が近いかもしれない。とくにアジアの人は見た目が幼いから、実年齢の五歳くらい若く見えることはよくあることだった。
体付きは大柄――と言っても183センチある私よりは小さい。全体的に毛深いし、アジア人らしい顔立ちで、見た目も決してスマートは言えない。
私自身、黄色人種を差別するつもりはないけれど、マイクが見ろよと指さしたプラカードを見たときは、さすがに眉を顰めていた。
――僕が“良かったら”、その良さに応じて旅の資金をください。
言葉は濁しているけれど、それが暗にSEXを意味していることは一目でわかった。
彼は日本人のYouTuberで、YouTubeの企画として旅をしているのだという。よく見ると胸元に小型カメラもぶら下げている。
このアジア人とSEXして、お金を払う。
誰かにやらされているのか、それとも自主的にやっているのか。
どちらにせよ、あまりに荒唐無稽な企画だと思ったわ。だって彼を見てSEXしたいと思うアメリカ人が、一人でもいるとは思わなかったから。
私たちはアメリカ人。アメリカ合衆国の国民だ。日頃からありとあらゆる出生の人たちが集まる環境で暮らしているし、白人、黒人、ヒスパニック、アラブ系、アジア系と、身近な人たちの人種も様々だ。
アジア系だって、数は少ないけれど、私たちの隣人の一人だ。
しかし良き隣人にはなれても、恋人――もっと言えばSEXの相手となるかと聞かれたら、多分私はNOと答えると思う。
アジア人だからダメとか、白人だからいいというわけではないけれど、人種差別とは別にして、彼らとSEXしたいかと聞かれたら答えは絶対NOだった。
私の考えは、多分少数派じゃない。逆に圧倒的多数だと思う。
だからこの企画がいかに無謀か、アメリカ人の実感として理解できる。
中にはアジア人がパートナーという友達もいるけれど、その子は仲間内ではかなり変わり者だった。
断言できるのは、彼がプラカードをぶら下げて一日中街に立っていたところで、彼とSEXして、あまつさえお金まで払おうという女性が出てくるはずはないということだった。
「頭イカれてるぜ。本気で白人の女とFuckする気かよ」
私のカレ、マイクはレイシストではないけれど、アメリカ人として一般的な、人種に関する意識を持っている。
白人、ヒスパニック、黒人と来て、最後がアラブ人やアジア人。
単純にこのフロリダ州の人口比率がそんな感じだから、彼がそう考えるのはごく自然なことだった。
私は人種差別が嫌い。
でもこの国の一般的な価値観まで否定する気はない。みんな無意識のうちに、頭の中でヒエラルキーを作っている。
だから、マイクを咎めるつもりはない。
マイアミの人たちがあの日本人を馬鹿にしたような目で見るのも、仕方のないことなのだ。
でもだからといって、彼を放っておくわけにもいかなかった。
このまま絶対に成功しない企画を続けて、彼が餓死でもしたら、絶対寝覚めが悪くなるし、残された彼のご家族に、アメリカが白状な国だと思って欲しくない。
「悪いけど、この企画は上手くいかないと思うわ。正直言って私、あなたにセックス的な魅力を感じないもの」
だから私は、YouTuberの彼に面と向かってそう言った。
昔から遠慮はしないタイプだったし、その結果私が嫌われようが、彼が飢え死にするよりはいいと思ったから。
時刻は夜の十時。
マイクと外で食事して、家の前で別れてから、何箇所か駅前通りや広場を梯子して、目立たない公園でようやく彼を見つけた。
「僕も……そう思う」
彼は力なくそう言った。あれからずっとプラカードを持って立っていたのか、疲弊の色がかなり見える。
「誰かにやらされてるの?」
「否定はできない……かな」
「YouTuberも仕事としてやるのは大変そうね」
「普段はこんなことしてないんだけど」
「そんなカードぶら下げてるってことは、普段はそういう仕事してるの? ええっと、ポルノ俳優とか」
「……まあ、似たようなものかもしれないです」
思いのほか聞ける英語だと思った。もちろんネイティブとは程遠いし、文法や発音が間違っているところもあるけれど、アメリカが初めてというわけではなさそうだ。
体付きは大きいけれど、威圧感は全然ない日本人だと思った。決してスマートな見た目ではないけれど、喩えるならペットとして飼われているライオンやトラみたいな感じだった。
見た目は粗野なのに、どこか純朴な感じがする。そのせいか、夜の公園で二人きりだというのに、私は彼への警戒心をいささか解いてしまっていた。
「セックス、得意なの?」
「わからないな……」
「こんなこと聞いていのかわからないけど、今までに何人と寝たの?」
「多分……500人くらいだと思う」
さすがにそれはクレイジーだと思った。多分かなり“盛って”るんだろうけど、彼がそこまでの百戦錬磨にはとても見えない。むしろどこからどう見てもstill a virgin(童貞)という感じだった。
「私、彼氏がいるし、あなたに協力しあげることはできないけど、夕食ぐらいは奢ってあげられるわよ。レストランとかは無理だけど、ファーストフードくらいなら買ってきてあげる」
出過ぎた真似をするわけにもいかないから、私は彼にそう提案した。
お腹が空くのはいけないことだし、空腹が満たされて冷静に考えられるようになったら、改めて企画の中心を提言しようと思った。
「本当にセックスでしか稼げないの? 本気で馬鹿げてると思うわ」
しかし彼は私の提案を固辞した。あくまで企画には従わないといけないらしい。
その時点で、彼が自分から馬鹿な企画を言い出したのではなく、他人にやらされているのだと気付いた。誰がどう見ても成功しない企画なのに、彼が私の提案を断るのは、そうすることで何らかの不利益があるからだ。
いじめ?
真っ先にそう思った。
彼をいじめる大学生の友達が、この青年を無理やりYouTuberをさせて、この晒し者みたいな企画で尊厳を侵害している。
アジア人の彼が、こんな企画でメイン州に行けるわけがないのに、彼らはそれをわかっていてこのプラカードを彼にぶら下げているのだ。
だとしたら、許せない。
彼が夜になってもこの場から離れないのは、企画を放棄すれば何かしらの危害を加えられるからに違いない。
こんなことが許されていいの?
彼が気弱そうなのをいいことに、その優しさにつけ込んでる。きっと彼はこの動画を後で見て、嘲笑するに決まっている。
「どこまでだったらセックスにカウントして貰えるの? 例えば私が手でしてあげて、夕飯をご馳走するんだったらそれはセーフなの?」
「た、多分、大丈夫だと思うけど」
自分でも驚いたけど、私は彼の企画に協力したいという気持ちになっていた。
もし彼を説得して、この企画を途中放棄させても、多分結果は変わらない。いじめはもっと苛烈になり、彼のことを苦しめるに決まっている。
でももし、彼がこの企画を成功させたら?
本当に彼がSEXの収益のみでメイン州までたどり着いたら、彼らは彼のことを見直すのではないだろうか。
よしんば見直さなかったとしても、無謀な企画を成功させた凄い奴として、一目を置かれるに違いない。
彼をいじめから救いたいというより、単純にこのカメラの向こうの奴らをギャフンと言わせたい。
そんな気持ちが私の心を支配していた。
「ペニス、出して」
いけないことと思いつつも、義侠心にも似た、彼らへの怒りが先行する。
私が彼に今、申し訳程度の行為をして、メイン州まで行ける程度の資金を渡す。
そうすればもう企画は成功だ。明日にでもバスや電車に乗って、目的地を目指せばいい。
まさかの展開に首謀者たちは驚き、これからは安易に彼に手を出せなくなる。
これは神様が私に与えたボランティア。
そう思いながら、彼が下ろしたズボンの中身を見た。
「何なの……これ……?」
彼が露出したペニスを見たとき、私は文字通り両目を丸く見開いていた。
アジア人のペニスはどれも小さい。
そういう事前情報はあった。経験則ではなく、アジア人の彼を持つ友達がそう言っていたから。
でもそういう事前情報とは関係なく、私は身じろぎひとつできなかった。
彼の、目の前の日本人のペニスが、見たこともないほど大きかったから。
「こんな凄いの……正直見たことないわ」
マイクだって、決して小さい方ではない。むしろこれまで付き合ってきた彼氏に比べたら立派な方だ。
しかしそんなマイクのペニスを遥か置き去りにして、彼のペニスは堂々とぶら下がっていた。
太さも、長さも、かなり凄い。
竿だけでなく袋までずっしりとしていて、この中にどれだけのものを溜め込んでいるか想像もつかない。ペニス全体として、あまりにも逞しい。自分が女であることとか、相手が男であることとかは関係なしに、その圧倒的な存在感に思わず目を奪われてしまっても、それは無理からぬことだった。
「まあポルノ俳優なんだものね。マイクのより大きくて当然よね……」
ポルノ俳優だからペニスが立派。
そう自分に言い聞かせて、私は彼の凄味に見て見ぬ振りをした。
ポルノ俳優だからって、みんながみんなこんなに凄いわけじゃない。それに彼のペニスは、物理的な逞しさだけでなく、自然と目を逸させずにいる何かがあった。
数秒間無言で、ただ彼の下半身を見つめていたと気付いたとき、私は彼のcockに見惚れていたのだと気付いた。
「悪いけど、手でするだけで勘弁してね。こんなのとしたら絶対、私頭おかしくなるから」
こんなこと早く終わらせよう。そう自分に言い聞かせるけれど、自らの意志に反して胸の鼓動は早くなっていく。
こんなの、本当に触っていいの?
こんなことして、本当に彼に押し倒されたら、後で文句なんて言えないんじゃないの?
自分には彼氏がいる。結婚だって考えてる。
その事実はわかってるのに、私は自分の意志で地面に膝をついて、彼のペニスに顔を近づける。
(……臭いが、すごい……)
まだ勃ってすらいないのに、彼のモノは臭いが強烈だった。
男性器特有の汗臭さと、オス臭さ。
思わず顔を顰めてしまう匂いなのに、彼のペニスから顔を離せない自分がいた。
臭気という鎖に繋がれて、動けない。生まれて初めての経験だけど、そう言い表すしかない状況だった。
決して心地良い匂いではないはずなのに、いつまでも顔を埋めて嗅いでいたくなる。
「言っておくけど、彼氏以外にはこんなこと、普段は絶対しないから」
私は決してはしたない女じゃない。
そう言っておかないと、これから自分がすることに説明がつかない。
彼氏以外の男性のペニスに触るなんて。自分の行動を激しく後悔するけれど、今さらやめるだなんて失礼なこと、できるわけない。
もし彼のペニスがマイク以下だったら、こんな後悔はしなかった。
でも彼のペニスは、明らかにマイクのモノを凌駕している。凌駕しているどころか、オスとしての逞しさの差を悠々と見せつけるレベルだった。
ただのボランティアのはずなのに、心臓の鼓動が破裂しそうなくらい高鳴るのがわかる。
私virginじゃないのに、まるで初めてそれを見るみたいに、彼のペニスにドキドキしてる。
触ったら、戻れなくなるんじゃないの?
そう自分に言い聞かせても、メスとしての自分の本能が、彼のモノに触れと囃し立てる。
手で触るぐらい、浮気じゃないわ。
私には正当性がある。彼を馬鹿げた企画から救うという正当性が。
だからこれは、そういうのとは別行為。
本当だったら、彼にお金を与えれば済むはずなのに、彼が頑なにそれを拒むから仕方なかったのよ。
それにカメラで撮影されている以上、SEXに関わる何かしらがないと彼が企画を成し遂げたことにはならない。
手で、射精させるだけ。
それだけの行為だ。それだけなら神は、決して不貞の女と罵ったりはしない。
だから私は、ゆっくりと彼の股間に手を伸ばし、そのどっしりとしたペニスをシゴき始めた。
ずっしりと重い、彼のペニス。
手に持ったそれは信じられないほど太く、見たことないような長さを誇っている。
最初は弾力のあった長竿も、手のひらを表面に這わせていると、次第に男らしい硬さを取り戻していく。
なんて硬さ、なんて熱さなの。
恥ずかしくて彼の顔が見られない。
でもそれではあまりに失礼だから、私は思い切って顔を上げる。
すると当然のように、目の前に見たこともないほど逞しいペニスが現れた。
勃起した日本人のペニスは、信じられないほど大きく、逞しかった。
長すぎる竿は日本刀のように反り返り、天高くそそり立っている。太さなんてまるで丸太のよう。カリ首もあんなにも露出して、見ている私を圧倒する。ぶら下がった袋の大きさも、重量感も、白人の男性とは何もかもが違った。
喩えるならこれは、逞しい野性のペニスだ。
小動物でも草食動物でもなく、肉食を好む猛獣のペニスだった。さっきまではあんなに優しそうで、身なりもパッとしない男の子だったのに、ペニスを見た途端印象がガラリと変わる。
多分、温厚そうな性格までは変わらない。
でも彼がどういうSEXをするのか、このペニスを見た瞬間にわかったような気がした。
彼は紛れもなく、本物のオスなのだ。
「日本人って、みんなあなたみたいな大きさしてるの?」
彼のペニスをさすりながら、もう股間の逞しいものから目が離せなくなる。本当に石みたいに硬い。グロテスクなもののはずなのに、このカリから視線が逸らせないのはどうしてなの?
「わ、わかんないけど、周りでは僕が一番大きいと思う」
「そ、そうよね。日本人がみんなこうなら、私これから日本人の男性と話すとき顔見れなくなるわ」
さすがにこれが日本人男性の平均なら、この国はとっくに彼らに乗っ取られている。
彼のみんながみんなこんな感じのペニスなら、今までデートを断ってきたアジア人の男の子たちも、そういう目で見ちゃうようになっちゃうじゃない。
「……正直に言うわ。私、口でもしたいって思ってる。あなたのこれ、blow jobさせてもらってもいい?」
もはや、自分の気持ちを包み隠すことに意味はないと思った。
私、彼のペニスに見惚れてる。
恋人でもないのに、口の中に入れてみたいって思ってる。
「わ、わかった……エヴァに僕のdick、咥えて欲しい」
彼から貰った許可に、顔中が熱くなるのがわかった。
しかしいざ咥えていいと言われると、途端に躊躇してしまう。
こんな大きいの入るの?
本当にblow jobだけで終わるの?
そんな堂々巡りみたいな自己問答を続けて、やがて無意識に、彼とSEXしてる姿を想像してハッとする。
私、彼とSEXしたいんだ。
この凄すぎるペニスを挿れられて、マイクでも触れたことのないような奥を掻き回されたいんだ。
そう気付いたとき、もはや躊躇う意味はどこにもないのだと察した。
「エ、エヴァ――」
私は、顎が外れそうなくらい大きな彼のモノを、少しずつ口で咥え込んだ。
咥えただけなのに、苦しい。
大きさだけでも相当なのに、硬さがあまりに凄すぎて圧迫感の逃げ場がない。
加えて臭いも凄くて、鼻腔を突き刺す臭気に、不思議とお腹の奥が熱くなる自分がいた。
信じられないくらい、大きい。
しかも、形や硬さがありえないくらい逞しい。
(んっ……)
それでも彼のペニスを口に含んでいるという事実が、少しずつその圧迫感を慣れさせる。
1ミリ、2ミリ、3ミリと、少しずつストロークの深さを増やしていって、かろうじてblow jobと呼べそうな行為に到達する。
「まだ、全然射精しないの?」
唾を使って音を立ててblow jobしても、彼は一向に射精しない。
できれば早く射精させて楽になりたいのに、日本人YouTuberのペニスを咥えるという行為は、全然終わりそうになかった。
できるなら、早く終わらせたい。
人だって来るかもしれないし、ここはマイアミ。もし友達に見られたら、マイクになんて言えばいいかわからないじゃない。
「……わかったわ。私も早く、終わらせた方がいいと思うから」
顔を赤くしつつも、私は恥じらいを捨てることにした。
彼を射精させるためには、blow jobくらいではダメなんだ。
「マイクにもまだ、一回もしたことないわ。これであなたのdickが気持ちよくなるといいんだけど」
自分でもどうかしてると思ったけど、私は夜の公園でシャツもブラも脱いで、上半身を露出した。そして丸見えになったバストで、彼の逞しいモノを挟み込んだ。
とたんに、火傷しそうな熱さが左右のboobsを襲って、クラクラしそうになる。
こうして直に彼のペニスを感じると、彼のモノがいかに異様か容赦なく理解させられる。
「エ、エヴァ……」
上下に激しくboobsを揺らすと、日本人の彼がすごく気持ちよさそうな顔をした。私はそれがなぜか物凄く嬉しくて、一生懸命彼のペニスをboobsで挟み続けた。
(乳首……擦れてるわ……)
彼の骨盤に私の乳首が擦れる。最初は偶然だったけど、その感触が云いようのないくらい心地よくて、後半は自分から先端を擦り付けている自分がいた。おっぱいの全体が痺れて、自分でも勃ってるのか勃ってないのかわからない。
「エヴァっ! Mou deru!”
彼が日本語で何かを叫ぶ。それを察した私は、躊躇なく彼の亀頭を咥え込んだ。
ついに彼が、射精する。
あの逞しい玉袋に溜め込んだスペルマを、目の前の鈴口から放出しようとしている。
だったら、全て飲み込むのが大人のとしてのマナー。
そんな風に思いながら、私は彼の吐き出した弾丸のようなスペルマを口の中で受け止めた。
「んんっ――!!」
(なにっ……この量っ――)
喉奥で受け止めた彼のスペルマは、想像より遥かに荒々しく、凄まじい量を私の胃袋に注ぎ込んだ。
一回一回が、弾丸のように激しい。
それも一度や二度じゃ終わらなくて、彼の逞しい射精が、何度も何度も私の喉に襲いかかる。
これ本当にcumshotなの? こんな量、絶対に飲みきれない。
そう思いながらも、私は涙目になってなんとか、彼のスペルマを受け止めた。
大量のスペルマを口の中に溜めながら、私はどうせなら顔や胸で受け止めればよかったと後悔する。だってそれは、彼にマーキングされるってことだから。私が彼のものであると、証明するための行為だから。
(私……彼にマーキングされたいんだ……)
気付いたときにはもう遅かった。
私は彼の前でズボンもショーツも下ろし、既に熱くなった剥き出しのpussyを晒して、街灯のポールに手をついてお尻を突き出していた。
「あなたのdick、私の中にちょうだい。その信じられないくらい凄いので、私の奥をかき回して」
それは紛れもなく、今の私の本心だった。
私にはマイクがいるのに。彼のことなんか好きだなんて思ってないのに。口の中にスペルマを注ぎ込まれたら、もうそうするのが当たり前のことのように思えていた。
(なんでそんなに、逞しいままなの……?)
射精してもなお反り返ったままの彼の竿を見て思う。
これは、メスとしての仕方のない本能なのだと。
逞しいオスを言い寄られたら、結局は身体を許してしまう。
たとえ、アジア人であっても。
いいえ、アジア人だからこそ、同族にはない逞しい遺伝子に、犯して欲しいって思うんだ。
(私……彼とSEXするのね)
剥き出しのペニスを入り口に添えられて、私は今更ながらそんなことを実感する。
反り返った竿に、凶悪なまでに逞しい亀頭。ガチガチに硬くなった先端で小陰唇にキスされながら、彼もまた私とSEXしたいのだと思い知る。
当たり前だ。彼はSEXをするためにアメリカに来たのだから。あんなプラカードをぶら下げていたYouTuberに、声を掛けたのは私なのだ。当然ながら彼は、私とSEXができると思っている。
ゴムなんて着けない。そんな雰囲気は微塵もない。私は生まれて初めて小陰唇で感じる生のペニスに、女として危機感を覚えずにはいられない。
このままだと、挿れられる。
本当にそんなことさせていいの?
自分から誘っておいて、馬鹿げた問いだと思った。
彼のペニスをこんなにさせたのは私だ。
自分から手でシゴいて、おっぱいで挟んで、blow jobまでしたのは私だ。
あまつさえ自らショーツを脱ぎ捨てて、彼にお尻を突き出しているのはどこの誰なのだ。
言い訳なんて、もうできない。
彼とSEXしたいのは私の方なのだ。
最初はボランティアのつもりで声を掛けたけど、今はもうそんな言い訳は通用しない。
だって彼に亀頭を添えられた状態で、私は濡れてるんだもの。どんなに言い訳をしたって、私が彼に“発情”してるって事実は誤魔化しようがない。
もしかしたら彼に声を掛けた時から、いや、あるいはプラカードをぶら下げた彼を見つけた時から、私は無意識の内に彼とSEXしたいと思っていたのかもしれない。
こんなこと、アジアの男性には絶対ないことだって思ってたけど、そうでないとこの状況を説明できない。
だっていくら親切心だからと言って、見ず知らずの男性にこんな時間に声を掛ける?
ひょっとしたら無理矢理拉致されてレ○プされるかもしれなかったのに、こんなあからさまなプラカードを下げた異性に声を掛ける時点で異常だ。
だからもう、白状するしかない。
――僕が“良かったら”、その良さに応じて旅の資金をください。
あのプラカードをぶら下げて往来に立っている彼を見たとき、私は無意識に、彼とSEXする自分の姿を想像したのだ。
彼のペニスはどんなので、SEXはどんな感じで、どんな風に女を扱うのか。想像していなかったとしたら、こんな風に一人の時に声を掛けているわけがない。
もちろん無意識だったけど、今になって思えば無謀すぎる私の行動は、そうじゃないと説明がつかない。
――彼はもしかして、凄いんじゃないの?
何の根拠もなしに、私はそう思ってしまったのだ。
アジア人なんてまったく興味なかったのに、彼の朴訥な姿が頭から離れなかった。
あんな優しそうな顔をして、パンツの中はとんでもないんじゃないかって、勝手な妄想を膨らませたのだ。
でも結果的に、妄想ではなかった。
彼のペニスは私の想像以上で、500人とSEXしたという話が何ら不思議でないくらい、見る者を圧倒した。
誤解を恐れずに言えば、まさに私にとって理想的な男性器だった。
仮に私に今恋人がいなくて、どんなペニスとSEXしたい?と聞かれたら、多分まさしくこれを想像する。
そういうペニスを、日本人の彼は持っている。そしてそれそのものを、私のpussyに挿入しようとあてがっていた。
拒否できると、思う?
そんな自問自答を頭の中で叫んで、ペニスを沈めてくる生々しい彼の行動を、無抵抗で受け入れていた。
「あぁっ♡ 挿入ってくるっ!」
彼の逞しい剛直は、容赦なく私の入り口をこじ開け、中へと侵入してきた。
あまりにも太い亀頭が中をこじ開け、深々と奥まで侵入してくる。
マイクのとはまるで違う太さでぴっちりと私の中を拡げて、一際大きなカリが簡単には抜かないと自己主張をする。
大きい。大きすぎる。
それになんて形なの? こんなにもガチガチに反り返って、おまんこの天井を引っ掻いてくるなんて。
(信じられない――)
マイクのペニスとは、何もかもが違う。
雄として圧倒的。
男性として規格外。
これがアジア人のペニス、日本人のペニスなんだわ。
「あぁっ!!」
やがて彼の、容赦なく逞しいピストンを始まる。ハンマーみたいな勢いで金玉が叩きつけられて、丸太みたいな逞しい竿が私の中を拡げる。そして何より、凶器みたいに張り出したカリが、自分でも知らない気持ちいいところを無慈悲に引っ掻いてくる。
「あぁっ!! なんなのこれっ!!」
抵抗なんて、できるわけない。
後ろから無遠慮におっぱいを揉まれても、彼の逞しい竿が全てを忘れさせる。
こんなモノで貫かれるなんて。アジア人の男の子に犯されるなんて。こんなSEXされたら、簡単に絶対に頭がおかしくなる。
「ああっ!! このペニス凄いっ♡♡」
もはや彼の凄さを隠す気にもならない。
マイクのより遥かに気持ちいいペニスに、私は無意識に胸やお尻を揺らすだけだった。
抵抗なんて、できない。
こんな圧倒的なペニスを挿れられて、抵抗できる女なんているわけない。
「あんっ! こんなの知らないっ! これがポルノ俳優のペニスなのっ!?」
私はポルノ俳優となんてしたことないけど、彼のペニスと腰使いは圧倒的だった。ペニスが逞しいのは言わずもがな。ただ逞しいだけでなく、嘲笑うように私の気持ちいいところだけを擦り上げてくる。まさに息をつく暇もなく、頭がおかしくなるほど気持ちいいという感覚だけが、私の全身を支配していた。
彼がポルノ俳優である事実を疑った自分がなんて浅はかだったのか。こうしてSEXが始まった後に気付いても無意味だったけど、素人の私がプロのSEXに太刀打ちできる道理がなかった。
「ああっ! あなたのセックス、何なのっ!? プロのセックスって、ここまで違うものなのっ!?」
縦横無尽な彼のピストンに、私はただ耐えるしかない。耐えると言っても、気を失わないだけでやっと。彼のペニスからもたらされる快楽はあまりに異次元で、まさに大人と子供ぐらいの技量の差があった。
こんな凄いSEX、勝てるわけがない。わけがわかんないくらい気持ちいい。
「ああっ! 私もう無理だわっ! こんなセックスでイかないわけないっ! 悪いけどあなたのペニスで思う存分イクから!」
開き直った私は、ポールに両手をついて彼のペニスに集中した。このペニスで思いっきりイキたい。そんな思いが彼に通じたのか、日本人はさらにSEXのギアを上げ、
「あんっ!! そんなっ! まだ上があるのっ!? ああっ――こんなの絶対無理っ!! こんな逞しいペニスで奥突かれたら、頭真っ白になるくらいイッちゃうわよっ!!」
叩きつけるようなピストンと、容赦なく奥を抉ってくるカリ首。その快楽地獄に、私はもうなす術がなく、
「あぁイクっ♡♡ ジャップのデカチンポでおまんこイッちゃうっ♡♡ I'M CUMMING!!”
普段は絶対に使わないスラングを叫んで、気を失いそうなほど激しい絶頂に襲われた。
絶頂なんて、そんな次元ですらない。意識なんて軽く飛ぶレベルの衝撃。彼の逞しいペニスにあらゆる性感帯を捉えられ、それを根こそぎ刮ぎ取られるような急転直下の快楽。あまりにも大きなペニスに串刺しにされ、女としての尊厳を全て奪われるような快感。もうペニスだけでいい。そう思わせるような説得力が、この日本人のペニスにはあった。
「あっ! まだ続くのっ!?」
しかしこの時点で、彼は射精すらしていなかった。当然のように続けられるSEXに、私は心と身体、全ての自由を奪われた。
「あんっ! 凄いっ♡ 日本人のペニス凄いっ♡」
マイクのでさえ経験したことのない、生のペニス。声なんて全て勝手に出る。あまりにも彼のペニスが、カリ首が気持ち良すぎて、私は彼におまんこを捧げるだけの家畜になった。
「ああっ!! 凄いっ♡♡ 日本人のセックス、世界で一番気持ちいいっ♡♡」
嘘でも何でもなく、本当に世界で一番気持ちいいSEXだと思った。白人の男とは全然違う。神様みたいな日本人のペニスと、神様みたいなテクニックを持ったSEX。
こんな凄すぎる腰使いで中を掻き回されたら、何も考えられなくなるに決まってるわ。
「ああっ♡ またイクっ!! 気持ち良すぎてイクの止まらないっ!!」
寸分の衰えもなく、彼のピストンは続く。
ありえないほど硬いカリが一番奥を引っ掻いて、私の制御をチンポひとつで奪っていく。もはやイクことを隠す気にもならない。相手はマイクじゃないのに、私は彼のペニスから離れられなかった。
「来てぇっ!! あなたのスペルマ、私の子宮に注ぎ込んでぇっ!!」
やがて「中で出す」と言った彼の言葉を、私は何一つ拒否せず受け入れた。
ここまで来たら、こんな凄いことされたら、中に出される以外、ありえない。
「ああっ!! 来てるっ♡♡♡」
その瞬間、先程以上の量が私の子宮に放出される。逞しすぎるペニスから、逞しすぎるザーメンが解き放たれて、おまんこの奥の小部屋をいっぱいに満たしていく。
逃げることなんかできない。
彼のフックみたいなチンポにがっちり固定されて、無防備に射精を受け入れるだけのタンクになる。
もちろん私は絶頂した。
あんた弾丸みたいな射精を子宮に叩きつけられて、絶頂しない女がいるわけがないから。
「ああっ……日本人のザーメン出てる……」
もう私の中のアジア人の認識を、根本から書き換えないといけない。
SEXにおいて、アジア人は神様みたいな存在。恋人は白人でも、SEXパートナーはアジア人。そんな選択肢すら存在してもいいような、不思議な気持ちになる。
「……物凄く、よかったわ。マイクには悪いけど、今までのセックスで断トツだった」
それは紛れもない本音だった。
名前も知らない彼とSEXしたことは自分でもどうかと思うけれど、彼のSEXが凄すぎることは、誰にも否定しようがない事実だから。
「よかったら、夜ご飯をご馳走させてくれないかしら? 近くに私のアパートがあるから、そこでひと休みしない?」
そして私の中に、彼とまだ離れたくないという気持ちが生まれていた。
あんなペニスであんなSEXをされたのだ。女なら無理もないことだと私は思った。
「ああっ♡♡ やっぱりあなた凄いっ♡♡」
アパートに戻ってからも、私は容赦なく彼に突き上げられていた。
ベッドの上でお互い裸になって、今度は私が上、彼が下になる。ロデオスタイルは、本来は女が主導権を握りはずなのに、彼との場合そんなことは絶対に起こらない。信じられないくらい逞しい日本人ペニスが私の奥を突き上げるたび、脳天から抜けるような喘ぎ声を、私は上げ続けた。
「エヴァっ、いいよっ!」
「私もいいっ!! 今までのSEXで一番気持ちいいっ!!」
乳首も丸見えのおっぱいを激しく揺らしながら、私はひたすら彼のペニスに集中する。
もう、彼のペニスのこと以外考えられない。
ごめんなさいマイク、彼とのSEXが終わったら、彼のことは忘れるから。だから今夜だけは、この世界一気持ちいいペニスに、おまんこを捧げる権利をちょうだい。
「愛してるよエヴァっ!」
「私も愛してるっ! あなたのペニスのこと、世界で一番愛してるわっ!! ああっ! またイクっ!!」
もはや、舌を絡めることにも、中出しされることにも何の躊躇いもない。
SEXをしている間、間違いなく私は彼のペニスを愛していたから。
彼のペニスのこと以外、考えられなくなっていたから。
それでもこれは、一夜限り。
YouTuberの企画に協力した、身体だけの関係。
そう自分に言い聞かせていたけれど、明け方彼に十五度目の中出しをされた後、正常位でキスし合いながら囁いた“I love you.”だけは、正直自分でも一夜限りだという自信を持てなかった。
そして、翌日、
「この金額が、昨夜のあなたに見合うとは思わないけど、これが今の私に出せる全額よ。実はこれ払うと明日からの生活費はなくなるんだけど、それは何とか友達を頼って工面するわ」
私は彼に、銀行口座のお金全額を差し出していた。
金額にして、$3,450。当面の生活費と、何かあったときのための貯蓄、その全てだ。
――彼が“良かったら”、その良さに応じてお金を払う。
そのルールを守るのなら、私は100万ドル払っても足りないくらいだった。
昨夜彼としたのは、一生に一度もないくらいの、異次元のSEX。
彼が20回くらい射精する間に、私は200回以上イッたと思う。
それだけ、過去に経験のないSEX。
あれに見合ったお金を求められるとしたら、有り金全部じゃ、とても足りない。
「本来なら、これの二十倍は出したいの。昨夜のあなたにはそれだけの価値があったから。でもそれだけの額を借りる当てなんてないから、この金額で許して欲しい。これで足りないなら、後日振り込みでもなんでもするわ。いつでもこの番号に連絡して」
足りないなら後日払う。
そんなことを口実にして、またいつか彼にSEXしてもらいたいという気持ちがまったくないと言えば嘘だった。
私にはマイクがいるから、今はマイクのことしか考えちゃいけないんだけど、昨夜の彼を思い出すたび、そう思わないことが逆に不自然だとすら思えてしまう。
彼のSEXは、まさしく神にも等しい。
その愛すらも超越する行為に、女ができることはただ受け入れることしかない。
いいえ、受け入れるんじゃなくて、待つんだ。
自分が彼に選ばれることを。
この日本人の青年に、彼のペニスに、自分自身を、自分自身のおまんこを選んでもらえることを。
「本当に凄い経験だったわ。日本人の男相手に、まさかあんなにイクなんて。少し恥ずかしいけど、昨夜の映像を見ればわかると思うわ。彼がどれだけ凄いか。日本人のセックスが、間違いなく世界で一番だってことが」
今さら隠しても仕方がないので、昨夜の感想を素直に告げる。
彼だけでなく、彼が首にぶら下げた小型カメラにも向かって、いかに昨夜の彼が凄かったか、身振り手振りを交えて説明する。
彼は裸になってもカメラをつけたままだったから、昨夜の私の姿は全部録画されてるだろうけど、今さらそれをあれこれ言うつもりはなかった。
むしろ生まれたままの姿で、天国のようなSEXに興じる自分自身の痴態を、改めて自分で見直したいとすら思うくらいだった。
「またマイアミで同じような企画やるなら、絶対にこの番号に連絡してね。彼が相手ならポルノ動画デビューしたって構わないわ。昨日の映像も、恥ずかしいけど彼のためなら自由に使っていいから」
彼とのSEXの動画なら、世界中に配信されてもいい。
それが私の素直な感想だった。他人にSEXを見られるのは恥ずかしいけど、それが世界一のSEXなら、公開するのが人類としての、女としての責務だと思った。
「愛してるわダイスケ。あなたのセックス、凄かった」
マイクからの着信をほんの少しだけ億劫に思いながら、私は彼に本心を告げる。
今後の人生で、彼に再会することがなかったとしても、間違いなく彼は、私にとって特別な男性だ。
それがわかってもらえるなら、名もなきYouTuberの企画に協力した甲斐もあったというもの。
まあわかってもらえなかったとしても、あんなSEXしてもらった時点で、私にとっては僥倖なんだけどね。
エピローグ「マイクとエヴァとの会話」
「そう言えば、例のバカなYouTuber今日は見かけねーな」
ダイスケと別れた後、マイクと街を歩いていると、ふと彼の話題になった。
――僕が“良かったら”、その良さに応じて旅の資金をください。
そんなバカげたプラカードをぶら下げていた彼のことを、マイクは心底見下している。べつにマイクだけじゃなく、普通のアメリカ人がそうだろうから、とりとめてそれを注意しようとは思わない。
でも私は心の中で「でも彼は本当に凄かったわよ」と、小さく反論してみせる。
「さすがに諦めて帰ったか。猿は猿らしく島国でじっとしてろっての」
その悪様な言い方は、さすがに私も少しむっとした。この国に人種による区別があるのはわかってる。でも流石に、猿という言い方は聞き捨てならない。
「ひょっとしたら、本当に相手が現れて動画が撮れたのかもよ?」
「は、アイツが? そんなことあるわけないだろ」
私の言葉の反撃を、マイクは一笑に付す。
彼があのプラカードに書かれた行為を達成できたとは微塵も考えていないらしい。
「わからないわよ? 実は彼が有名なポルノ俳優で、とんでもないテクニックを持ってるかもしれないでしょ?」
あくまで澄ました態度で、一般論を用いてマイクを嗜める。
実際に私が彼とSEXして、その“とんでもないテクニック”を身をもって体感したことは、もちろんマイクには内緒だ。
「あるわけないだろ。ジャップはみんな粗チンだ」
とりつく島のないマイクを見て、私はこれ以上彼を嗜めることを諦めた。基本的にはいい恋人なんだけど、人種問題に関してはリベラルじゃないのよね。
私はマイクの恋人だ。
その恋人を裏切る気持ちは毛頭ない。
昨夜はまあ、彼のペニスになす術なく蹂躙されたけど、だからといってマイクを捨てるとか、彼の目的地であるメイン州まで彼を追いかけるなんてことはしない。
でももし、今夜マイクとSEXしたら、私は彼とのSEXを思い出さずにいられるだろうか。
ううん、多分無理。
あの逞しすぎるペニスの形とか、信じられない硬さとか、腰使いの力強さとか、そういうのを思い出して、絶対にマイクと比べてしまうと思う。
これはもう、彼とSEXしたからには仕方のないこと。
だって彼はあまりにも逞しいから。
あまりにも私たち女のことを知り尽くしているから。
彼のSEXは、あまりにも異次元だから。
だから私は、彼との夜を思い出してしまうんだ。
願わくはもう一度彼と――なんて思わないわけではないけれど、それは夢物語。
でももし、万が一にでも彼から連絡が来るようなことがあったら、私は彼の誘いを断る自信がない。
ううん、本当は確信してる。
彼から連絡が来たら、たとえマイクとの予定があっても全部キャンセルして、彼との夜に身を任せるって。
――愛してるわダイスケ。
そう言った私の心に偽りはない。
彼自身の一部に、彼のSEXもまた含まれていると考えたとき、私は彼を、愛してると言わざるを得ない。
だって彼とSEXしたとき、今までの人生でダントツで幸せだったから。
生まれてきた意味を、彼とのSEXに感じることができたから。
だから私は、これからも叶わぬ恋を続けるのだろう。
マイクとこれからも付き合い続けて、たとえ結婚することになっても、マイクとのSEXを終えた夜に、彼とのSEXを思い出すことになるのだろう。彼だったら、あと六時間は続いてたって。
「信じられねーよな。世の中にはアジア人と付き合う女までいるんだぜ?」
多分、私の友達のケイトのことを言っているのだろう。彼女には半年前から、中国系の彼氏がいる。
「そう? 私は、日本人とのSEXも好きだけど」
「は?」
わざと雑踏に紛れるタイミングで、マイクに聞こえるか聞こえないか微妙な声で言ってみる。案の定マイクはきょとんとして、私が言うはずがないと思っている言葉に眉を顰めている。
「そんなことより、早く映画に行きましょ? あ、私しばらく全然お金ないから、今日のチケット代は奢ってね」
「え? あ、ああ……」
煙に巻かれたような表情のマイクの腕を取って、映画館に向けて歩き出す。多分マイクは聞き間違いだと思っている。彼は私の元カレが、全員白人だって知ってるから。でないと私が日本人とSEXしたみたいになってしまうから。
「でもエヴァ、貯金なかったか?」
「お金に困ってる友達がいて貸してあげたの。困ったときはお互い様でしょ?」
「まあ……そうだけど」
マイクは結構素直な人間なので、私が咄嗟についた嘘を信じてくれる。
もし私があの日本人YouTuberとSEXして、その評価として有り金全部差し出したなんて知れたら多分激昂するだろうけど、言わなければ花なのだ。
私とマイクの関係はこれからも続くし、私もそれでそれなりに幸せになれるだろう。
でもまあ、昨夜しこたま精液を子宮に注がれて、私のお腹が彼の赤ちゃんを宿していたら、さすがにマイクにはごめんなさいするしかないけどね。
それはきっと、神様だけが知る話。
昨夜の濃厚すぎるSEXのことを知るのは、私と彼と、神様と、
多分、YouTubeの視聴者たちになるのかしらね。
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