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読み物の記事 (3)

ぽけっとイズム 2023/10/22 18:00

オススメの「本番なし」作品紹介!!

 お疲れさまです!

 本日は、DLsiteさんの「公式ジャンルリクエストキャンペーン」が明日10月23日に受付終了となるのを前に、これまで私が推してきた「本番なし」ジャンルの作品(実際にタグが付けられるかは制作者さん次第ですが)の中から、オススメの数作品をご紹介してみたいと思っております!

 沢山の作品がありますが、今回は入門編となるような意識で選んでみました。作品の形式も、ゲームのみに限りません。

 それでは、いってみましょう!!

学園祭で全裸喫茶⁉(てんぷら工房)

 初っ端から、ゲームではない作品のご紹介となります。

 てんぷら工房さんの『学園祭で全裸喫茶⁉』は、ギャグマンガ風のてんやわんやな内容。素朴な絵柄も魅力の漫画作品です。

 全裸喫茶……?セックスシンボル科……?

 考えてはいけません。とにかく、学園祭という空間で露出してしまう女の子たちの描写を純粋(?)な心で楽しみましょう。

 てんぷら工房さんの作品では、『アイドルが全裸で映画撮影』なんかもオススメ。その他の作品も「本番なし」好きな方には刺さるものばかりだと思いますので、是非サークルページの方をご覧になってみてください!

QrinSwayシリーズ(あぶらそば日和)

 お次は、気軽に楽しめる短編RPG『QrinSway』シリーズです。

 シリーズを通じて、主人公のナズナちゃんがひたすら恥ずかしい目に遭う構成になっています。とにかく、本当に容赦なく恥ずかしいシチュエーションが連続します。

 第二作の「銭湯編」まではソフトな描写が多い印象ですが、第三作の「催○編」では、それはもう大変なことになってしまいます。再起不能になってもおかしくないレベル。

 戦闘もありますが、レベル上げ等の面倒な作業とは無縁のシンプルな仕様です。

クロネのきもち~星降る村の魔女見習い~(ビエログラフ)

 こちらは、今年発売の「本番なし」作品の中では恐らく最も高い評価を受けている『クロネのきもち~星降る村の魔女見習い~』。

 改めて取り上げるまでもないかな?と思ったのですが、本番なし入門編ということで、「これを最初の一本に!」という主旨で紹介させていただきます。

 主人公は、魔女見習いのクロネちゃん。

 ……可愛い。とにかく可愛いのだ。

 「セクハラシチュ全特化」という触れ込みになっていますが、それ以前のコンセプトからシナリオの内容まで、とにかくこだわりが凄い。無知から羞恥へと至る構成、それにマッチしたシチュエーション。

 変な話なのですが、この作品を「本番なし」で出していただいたことに私は本当に感謝しています。

 ゲームをクリアしたとき、あなたもクロネちゃんが大好きになっているはず!

 ……そして昨日大発表がありまして、クロネちゃんが登場する新作ゲームの制作が公表されました。「本番なし」の主旨からは外れるのですが、詳細はビエログラフさんのCi-enで是非是非チェックを。

魔拳師さら(くしもとハウス)

 こちらも、わざわざ紹介する必要はあるのか……?と悩むレベルの大定番。くしもとハウスさんの『魔拳師さら』です。

 ただやはり、「本番なし」ジャンルを語る上では外せない作品。

 2022年12月には「ver.2」へとアップデートを遂げており、イベント等の内容追加も行われています。

 もしかしたら、まだアップデート後の追加要素は遊んでいない……という方もいらっしゃるかもしれませんね。個人的には追加要素のほうに刺さるシチュエーションがありましたので、是非遊んでほしい……!

 ツクール製のゲームを遊び慣れている方なら、ストレス皆無で進めていけるゲーム性だと思います。そうでない方にも、遊び甲斐のある一本としてオススメ出来る名作です。

JK丸裸修学旅行の夜(日本ダンディ)

 こちらは漫画作品。

 羞恥・露出シチュ作品を多く描かれているサークル「日本ダンディ」さん。「本番なし」の作品も数多く発表されています。

 ……そして、個人的なお話になってしまいますが、私の「本番なし」、「羞恥・露出系」を好む性癖を形成したのは間違いなく日本ダンディさんの作品群。

 中でも、この『JK丸裸修学旅行の夜』は、人生でも最初に手に取ったエロ漫画だったんじゃないかな……。それもあって、数多くのオススメの中からこちらをピックアップさせていただきました。

 もう完全に自分の好みを吐き出す感じになってしまいますが、他に『露出テストプレイ』、『全裸徘徊AfterSchool』も特に好きな作品です。

 ……しかし、本当にこれらに限らない。「本番なし」が好きな人、「羞恥・露出」系が好きな人はマジで全員全部買え!!!!!ってくらいの勢いでオススメしたい(それらを好む人は多分ほとんどが知ってると思うけど……)。

露出であそぼう(sol-fa-soft)

※個人的な感覚上「ノーカン」なので失念してしまっていたのですが、妄想の中での本番描写がありました。その点のみご留意の上でご覧くださいm(__)m

 最後にご紹介するのは、sol-fa-softさんの『露出であそぼう』。

 初めての露出、そのドキドキ感を中心に据えたロリ系の作品になっています。sol-fa-softさんの数多い露出系作品の中でも、個人的に最も童心(語弊)に帰れた作品です。

 何というか、インターネットが普及しておらず、かと言って道端にエロ本が落ちているようなこともない……という時代・環境で少年・少女期を過ごした人であれば、きっとこんな感じの想像をしてドキドキしていたと思うんですよね。

 詫び寂びではないですけど、不思議なノスタルジーに浸れる名作だと思います。

 ……ちなみにこの作品、2005年発売だそうです。その当時、私は鉄道やウ〇トラマン、ム〇キングなんかに熱を上げていました……。

おしまい

 本日はここまでとなります。

 私自身が「羞恥・露出系」を標榜してゲーム制作を行っていることもあって、前戯の描写が好きで「本番なし」を求めている方々とは少し違った視点からの紹介になった気がします。

 本当はもっともっとオススメしたい作品があったのですが、「本番なし」で遊べるものの作品全体としては本番描写を含む……というケースが多かった印象です。

清き一票を!

 てな訳で、「公式ジャンルリクエストキャンペーン」に向けた選挙活動?アピール?もこれにて一段落ということになります。

 「本番なし」に一票を投じてくださる方も、他のこだわりをお持ちの方も、締め切りは等しく10月23日の23時59分となっております。くれぐれもお忘れなきよう!

 それでは、失礼いたしますm(__)m

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ぽけっとイズム 2023/10/07 20:00

「本番なし」の分類に関する一考察

 お疲れさまです\(^o^)/

 今回の記事では、『「本番なし」の分類に関する一考察』と題しまして、ジャンルとしての「本番なし」をちょっとだけ深堀りし、個人的な考えをまとめてみようと思います。

 私は以前の記事やX(Twitter)への投稿などで、ジャンルとしての「本番なし」について度々言及してきました。

 冒頭では、その文脈で「本番なし」の現状について述べています。興味の無い方、時間の無い方は、目次から本題の『「本番なし」の分類図』までスキップしてください。

「本番なし」の現状と一般的な理解度

 現時点の同人界隈において、「本番なし」は比較的マイナーなジャンルです。

 一般には「成人向け=本番あり」という観念すらあるように感じられ、「本番はない」という情報がそれ自体を好む人向けではなく、本番描写を当たり前に求める人への注意喚起として明示されているようなケースも見られます。

 そして、先日DLsiteで行われた公式ジャンルリクエストキャンペーンでは、様々な要素から「本番なし」が有力候補とされながら、「メ○ガキ」や「乳首責め」などに抑えられて落選の憂き目に遭ってしまいました。

 「本番なし」作品への需要が一定数ある一方で、どこかジャンルとして確立する決め手に欠け、一般的な存在には成り切れていない……というのが、率直な現状なのではないでしょうか。

 この「決め手に欠ける」という部分。私は、Xを見ているとたまに見掛ける、以下のような意見にもよく表れているのではないかと思っています。

「どこからどこまでが本番なしなの?」

「定義がよく分からない。」

 ……「本番なし」好きの皆さまなら、一度は目にしたことのあるのではないでしょうか。

 いずれにしろ、一般的にはこのように、『「本番なし」って何なの?』と、そこから疑問符を持たれてしまっている。即ち、「本番なし」という字面を読んだ人の解釈が一意に定まっていない。ここに大きな問題点があるのではないかと考える訳です。

「本番なし」を広めるために

 それならば、作り手側で「本番なし」とは何ぞやというのを押し出し、一般的な理解度の向上を図ろう!

 ……とはいかないのが、この問題の難しいところ。

 こちらは、昨日投稿された他サークルさんのポストなのですが……

https://twitter.com/kuyan_yanahashi/status/1710186287205073262?t=2lYKMkhoKV0tVsCOMXuWjg&s=19

https://twitter.com/kushi_mote/status/1710223028444098878?t=GUphKH8s1JgcrD-8GgsjOw&s=19

 このように、作り手側としても解釈やスタンスは十人十色なのです。

 しかし、これは「本番なし」というワードが具体性を持たない概念的なものである以上、どうしようもありません。

 「本番なし」とはこういうことだ!

 と、誰にも言い切ることが出来ない。

 個人的には、これが先述の公式ジャンル化企画で「本番なし」が落選した一因なのではないかとも思っています。



 そこで私は考えました。



 まずは作り手である我々が、「本番なし」にはどういう描写・表現が内包されるのか「本番なし」とはどういうのものなのか、その整理をするべきなのではないだろうか。

 もちろん、『これは「本番なし」、あれは「本番なし」ではない』……というように、特定の描写・表現・作品にラベルを付けていくというような主旨ではありません。

 あくまで傾向として、「本番なし」というジャンルはどのように分けられるのかを私個人の主観で分類し、皆さまにお示ししてみようと思います。

「本番なし」の分類図

 さて、ここからが本題です。

 繰り返しますが、これは私個人の主観による分類。これを見て、皆さまの「本番なし」観はどれに近いか、あるいはそもそも図とは違う分類が出来るのではないか……等々について、考える材料としていただければ幸いです。

 それではどうぞ。

 さて、いかがでしょうか?

 この図は昨晩3時間ほどを掛けて作成したものになっています。一体、こんな夜中に独りで何をやっているんだろうか……と自問自答しながら眠い目を擦りつつ作ったので、まずは褒めてください()

 ……冗談はさておき、分類の詳細についてご説明いたしましょう。

 前提として、今回の分類は成人男性向けの同人作品女性が主体の表現についてのものであることをご了承ください。

「本番」は「性行為」か「挿入行為」か

 まず、「本番なし」を「性行為なし」と「挿入行為なし」に大別しています。

 先述の『「本番なし」とは何なのか』という問いに答える上で、まず明確にしておきたいのが「本番」の定義です。この部分から、恐らく様々な意見があることでしょう。

 ある人は、いざ合体しようというまさにその瞬間を「本番」と言うかもしれません。しかし別のある人にとっては、服を脱いで肌を重ねあった瞬間が「本番」の始まりともなり得るでしょう。

 こういったことは人それぞれの価値観や感覚によって定義が異なるでしょうから、辞書を引いたり多数決をとったりしても意味はありません。

 ともかく、ここで「本番=性行為」と捉えるか、「本番=挿入行為」と捉えるかという2通りの考え方が生まれます。今回は、それぞれを以下のように考えてみました。

性行為
 :男女の営みとしての性行為、フェラ愛撫などを含む性的な行為全般

挿入行為
 :男性器を膣に挿入する行為

 どうでしょうか。今回の分類では、「挿入行為」のみが無い「挿入行為なし」と、男女間の性的な行為全般が無い「性行為なし」に分けている訳です。

 やはりこの時点で、「本番なし」好きの方の間でも、どちらを好むかという傾向が分かれたのではないでしょうか。例えば、前戯は好きだけど挿入描写はなくていい……という方は「挿入行為なし」、ペッティングの描写も要らない……という方は「性行為なし」の方に進んでいただければよいということになります。

 ここからは、図の左上から順に分類のご説明を進めていきます。自分の好みの部分だけ見たい、という方は適宜スキップしてくださいね。

百合はどうなんだ百合は

 さて、先程は性行為を「男女の営み」として定義した訳ですが、ここで一つの疑問が浮かびます。

 女の子同士はどうなんだ

 と。

 昨今のジェンダーが云々という動きとは関係なく、我が国には男同士女同士の性愛や性行為を許容する、挙句の果てには外から愛でるような文化がある訳です。これは同人界隈においても変わらない……というか、そういうのが集まるのが同人界隈ということになっています。

 ということで……

 「性行為なし」を、「百合の性行為あり」と「あらゆる性行為なし」の2つに分けています。

 男女の裸の交わりは挿入がなくてもあんま好きじゃないけど、百合百合してるのは大好きだぜ!!!!という方は前者、女の子同士でもちょっと違うよなぁ……という方は後者にお進みください。

 また、後者の「あらゆる性行為なし」に分類される作品については、そのままあらゆる挿入行為・ペッティングがない訳ですから、自ずと羞恥系・露出系の描写が増えるものと思われます。

 当サークルの作品を例に出すと、第3作の『ハプニングは突然にっ!』がこれに当たる、ということになるでしょう。主人公のユウカは、思わぬハプニングによってほぼ全裸で夜の住宅街を歩き回ることになるのですが、男女共に誰かと肌を重ねるようなシーンはありません。

女の子にちん〇んが無いと思うなよ

 お次は上記の「百合の性行為あり」について。女の子同士の性行為、と言っても色々な描写があります。

 そして、女の子にはちん〇んがない……とも限らないのです。

 図では「ぺ二バン等の挿入あり」としていますが、もちろんそれに限りません。ふたなりなら生のモノが生えている訳ですし、解釈によっては男の娘もこの分類に含めることが出来るかもしれません。生物学的にオスかメスか、なんて関係ねぇのがこの界隈です。

 「挿入なし」については読んで字の如く。女の子同士でも挿入はなしだよ、という純潔主義を貫きたい方向けの分類となります。

えっちは一人でも出来る

 左側の枝分かれはここでおしまい。

 しかし、分類上もう一つ、これの有無で作品の性質が変わるのではないかと思われる要素があります。

 そう、一人だって性行為は出来るではないか。

 これを独立させたのは、上で枝分かれさせた分類それぞれからオナニーの有無を分岐させると、単純に見た目が汚くなるからです。また、ディルドを用いるような挿入を伴うオナニーについては、後述のカテゴリーに含まれますのでここでは除外。

 しかし、やはりオナニーがあるかないかでは、特に露出系作品の性質が大きく変わってきます。

 例えば当サークルの第2作『はじめてのすっぽんぽんビーチ!!』は、日本人留学生の女の子がヌーディストビーチという異文化を文字通り全身で、肌で感じてエンジョイする!というコンセプトの作品。

 本編ではもちろん挿入描写も性的行為もなく、ただただ主人公のモモカとホストシスターのアリスすっぽんぽんでビーチを歩き回る、という内容なのですが……。

 例えばモモカが、生まれて初めて公の場で、男性の前で裸体を晒すことに興奮してしまって理性を失い、その場で人目も憚らずオナニーを始めてしまったら……どうでしょうか?

 いや、それもそれでアリなのは確かなんですけど、前述のコンセプトとはまるで違うテイストの作品になりますよね。

 ということで、やはりこのオナニーの有無は分類上必要だと考える、という訳でした。

女の子には挿入できる穴が2つある

 では、図の右側に行きましょう。

 ……まぁ、小見出しの通りですね。2つ穴があるじゃねぇかと。

 (アナルは形容詞なので「アヌス」とするのが正確なのですが、ここでは「アナル」を名詞的に使っています。ツッコミ禁止です。)

 一般的にはそうじゃないんですけど、この界隈では後ろの穴も「挿れる穴」と認識されてしまうバグが、通常と比較して多く発生してしまうようです。この分類は、それに対応するものとなります。

 ……と、おちゃらけたことを言ってみたのですが、実はこの部分にはジャンルとしての「本番なし」とその分類それぞれに通底する、ある要素を見出すことが出来ると思うのです。

処女性とその解釈について(余談)

 それが、処女性

 何を気持ちの悪いことを、と思われる向きもあるでしょうが、極めて真面目なお話をします。

 処女とは何か、と聞かれたとき、皆さんはどのように答えるでしょうか。……はい、気持ち悪いでしょうが、ちょっとだけ付き合ってください。処女とは何ですか?

 ……当たり前ですが、一般的に「処女」とは性交渉の経験が無い女性のことを指して用いられる言葉です。

 維新以降の我が国における処女性について振り返ってみると、身分制度の解体・再編やキリスト教的価値観の流入によって、明治中期頃には貞操観念の高まり婚前交渉への風当たりが強くなるような風潮が見られたようです。

 実際、手元にある明治後期の医学書(ゲーム制作の資料として買った)には「女は結婚初夜まで操を守るべきであり、恋愛はほどほどにするように」という旨が書いてありますし、明治から昭和初期頃の文学作品には、結婚と処女喪失を一体のものとする描写が多く見られます。

 現代に至ってはそういった価値観はすっかり薄れている訳ですが、どこか処女性に神秘的なものを見出す、感じるという感覚をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。NTR作品が馬鹿みたいに売れてる訳ですから、全くの的外れということもないでしょう。

 では、そんな身近(?)な「処女性」について、皆さんは明確に言語化、線引きをすることが出来るでしょうか?

 ……例えば、膣への挿入行為を経験したことは無いものの、アナルセックスは何回も経験あり、という女性に対して、あなたは「処女性」を感じるでしょうか。

 どちらの経験もないものの、特定の男性との間に日常的にペッティングをする関係がある女性に対しては?女性同士の性行為によって破瓜に至ったが、それ以外の性行為はもちろん男性に肌を晒したこともない女性に対しては?

 ……はて、この「処女性」の線引き、「本番なし」を分類する作業に似ていないでしょうか?

 即ち私は一つの仮説として、「本番なし」の描写を好む人、その趣向は各々の中にある「処女性」の解釈、その線引きによって類別出来る。そして、それは「本番なし」の分類を行う上でも極めて重要なファクターになると考える訳です。

 ……と、しょーもないことを回りくどく、小難しく書いてしまったのですが、要するにこの分類では「処女性」という概念を念頭に置いていますよ、ということが伝わればOKです。

挿入する物によって感じ方が変わる不思議

 っつーことで、話を戻して図の右下に行きましょう。

 「処女性」について考えるのであれば、ちん〇ん以外なら挿入してもいいのか?ということについて考えない訳にはいきません。

 生物のオスとしてならば、交配相手のメスが性器に何を突っ込んでいようとも、それが子孫を残す競争相手である別のオスのモノでなければ何でも構わないはずです。

 しかし人間、そうではないという意見を持つ個体もいます。破瓜という結果がある以上、男性器以外によって貫かれる描写も避けたい……という方もおられるはず。そんなあなたには、こちらの分類が役に立つはずです。

 ……あと、触手に犯される描写だったり、未経験なのにぶっといディルドを突っ込んじゃったりする描写もカバー出来ますね。はい。

被虐性の程度によって全然変わるよね

 そして、最後にこちら。

 分類図の中に組み込むのはちょっと難しいけれど、好みを大きく左右する要素として「被虐性」という概念を提示してみたいと思います。

 例えば、分類上同じ「性行為なし>あらゆる性行為なし」の露出描写でも、一人でこっそり露出するのと、望まず大勢の男の前で裸になるのとでは、心理的負荷や悲壮感が全く異なりますよね。その度合いによって好む好まないも変わってくるはずなので、欄外に表記させていただきました。

 「処女性」の解釈による線引きと、各々が好む「被虐性」の程度。この組み合わせによって、「本番なし」の分類図は完成となる訳です。

あなたはどれが好き?

 これで、分類のご説明は終了となります。あなたの「本番なし」観に合致する分類はありましたでしょうか?

 私のものとは異なる視点、分け方もあると思いますので、「こうじゃない?」というご意見があれば是非コメントください。分類図を辿って「自分はこれが好き」というのも大歓迎です。

 ちなみに私は……

 ペッティングはなし、もちろん挿入もなし、百合描写は場合によるかな。オナニーの有無はどっちでもいい。被虐性は低めが好きです。

おしまい

 本日はここまで。

 今回は基礎研究的な感覚半分、遊び感覚半分で分類をしてみた訳なのですが、いずれは「本番なし」に対する解像度が上がって、作り手が自信を持って「本番なし」の作品を出し、買い手側ももっと明確にニーズを打ち出せるようになって、「本番なし」ジャンルがどんどん盛り上がっていけばいいなぁ、と思っています。

 あと公式ジャンル化も今度こそ実現させたいよね。

 私も、作品の完成と頒布で貢献出来るように頑張ります。

 次回は『箱庭からミライへ』の進捗報告!それでは失礼します( `ー´)ノ

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ぽけっとイズム 2021/12/12 20:00

大学生の同人エロゲ制作体験記

はじめに

 皆さま、お疲れ様です。今回は、いつもとは少し毛色の違う記事になります。

 題して「大学生の同人エロゲ制作体験記」

 去る2020年7月25日に販売開始した『神隠しの廃校舎~少女たちの羞恥体験~』。この作品の制作にあたって、プログラミングや同人活動に関して全くの初心者だった私がどのように作業に取り組んだのか、その経緯や手順、苦労した点などについて書き連ねていきます。


↑私の処女作(左)と、現在制作中の作品(右)です。

 また、ただ私の体験談を並べていくだけでは面白くないと思いますので、その経験・反省を踏まえつつ、これから同人活動を始めてみたいという方向けの内容も盛り込んでいきたいと考えています。

 長くなってしまう上に、クリエイターとして大した実績もない私がこのような体験記を公開するのはおこがましいとの思いもありますが、お付き合いをいただけますと幸いです。

謝辞

 本編の前に、私がゲーム制作を始めるにあたって参考にした『おっさんが初めての同人エロゲー製作に挑んだ体験記』をご紹介させていただきます。

 著者のツノウサギさんTwitterCi-en)が最初の作品を制作した体験をまとめたもので、これが無ければ私は処女作を完成させることも、今まで活動を継続することもできなかったでしょう。

 ツノウサギさんの体験記をリスペクトした内容になっている本記事の作成にあたっても、紹介の許可と励ましのメッセージをいただきました。改めて、心より御礼を申し上げます。

01 エロゲ制作のきっかけと始動までの流れ

 この記事をご覧の皆さんの大半は、「既に同人活動をしている」か「これから同人活動をしてみたい」という方なのではないでしょうか。そして、皆さんそれぞれに同人活動へ興味を抱くきっかけがあったのではないかと思います。

 私の場合、それは大学生になって自分専用のPCを手に入れ、様々な同人・商業エロゲをプレイしたことでした。既に別名義でpixivを利用してイラストを投稿していたこともあり、「自分もゲームを作ってみたい!」という欲求に襲われてしまったのです。

 しかし、私にはノウハウがありませんでした。

 当時、同人活動に関する知識は皆無。コミケやアニメショップにも足を運んだことがなく、ネット上の情報から「どうやら『サークル』という単位で活動しているらしい」という程度の認識があるのみでした。ましてや、ゲーム制作に必要なツールに関する知識やプログラミングの技術があるはずもありません。何なら絵も下手です。

 じゃあ、まずは同人活動について色々と調べた上で、プログラムやイラストの勉強をするところから始めてみるか…。

 そんなことを思っていた時期が、私にもありました。

 結論から申し上げると、私が上記のような、ある意味「堅実」な思考でもってゲーム制作と向き合っていた期間、状況は全く前に進みませんでした。

 後述するゲーム制作ツールやお絵描きソフトをPCにインストールしたのが2020年の夏。それから半年間、私はそれらを不意に起動しては「うーん、よく分からん」とすぐに音を上げてシャットダウンすることを繰り返していたのです。

 そうなってしまった原因は明白。ノープランだったからです。

 「どんなゲームを作るのか、どんな絵を描きたいのか」というような見通しがなく、ただ「このツールにはどんな機能があるのか、どんなことができるのか」といった、技術的な部分にばかり気を取られていた気がします。これでは、意欲的かつ継続的に学ぶことなどできるはずもありません。

 かくして季節は進み、2021年の2月。この段階で私は一向に進まない「勉強」を放棄し、「とりあえず、下手でもいいからゲームを一本作ってみよう」と決心します。

02 作品の構想

 実際に制作を開始するにあたって、私がまず取り組んだのは作品のコンセプトを固めることでした。RPGにするのか、あるいはノベルゲーム風にするのか。成人向けのゲームですから、エロシーンをどんなテイストにするかも考えなくてはいけません。

 ここで私は「羞恥・露出」を中心に据え、ストーリーには日本の民俗・オカルト・都市伝説的な要素を盛り込んだ探索系のRPGを作ることを決めます。

 シチュエーションやストーリーのコンセプトについては完全に自分の趣味。探索系のRPGにしたのは、自力でオリジナリティのあるバトルシステムを構築する自信が無かったからです。

 そして同時に、この後何度も自分を助けることになる2つの方針を立てます。

 一つ目は妥協を辞さないこと

 二つ目はストーリーだけは徹底的に作り込むこと

 所詮、自分はズブの素人。創作活動における実績も無ければ、プログラムに関する知識も全くありません。そんな人間が、他のクリエイターさんが何年も掛けて習得した技術や経験を総動員させ、遂に作り上げた作品のクオリティを上回るものを生み出すことができるでしょうか?

 否。断じて否です。(外注する資金も無いしね)

 要は、自分の身の丈に合ったクオリティを目指そうということ。無理なものは無理。できなかったことは、次の作品で実現すればいいじゃないですか。背伸びした挙句、永遠に完成しない(界隈では「エターナる」といいます)より遥かにマシです。

 一方で、ストーリーについては絶対に手を抜かないことを決めました。何故なら、自力で改善し、よりクオリティの高いものを作り上げることが可能だから。もちろん、プロの方や経験豊かなシナリオライターには敵わないでしょう。しかし試行錯誤すれば、何とか平均レベル以上のものを作れるのではないだろうか。自分の国語力や思考力であれば、十分に可能なはず…!

 傲慢で浅はかな考えだったかもしれませんが、この図々しいマインドが結果的に私を作品の完成まで支えてくれることになります。

03 制作環境のご紹介

 さて、ここから本格的な作業に入っていく訳ですが、その前に私の制作環境についてご紹介します。主にこれからゲーム制作を始めようとしている方向けの内容になりますので、必要でない方は流し読みするか、次の章まで飛ばしてしまってください。

使用機器

 まずは、使用した機器(ハードウェア)について。マウスやイヤホン、ケーブルなど、重要でないものに関しては省いて羅列していきます。

・Surface Pro 7(Core-i5/8GB/256GB)

 Microsoft社製、2in1タイプのPCです。キーボードの着脱が可能で、ノートPCとして使える他、タブレットのような感覚でイラストを描くこともできます。

 大学進学に際して購入したものであり、ミドルレンジのモデルとなっています。特にペンタブを用意することなく絵を描けることが大きく、ゲーム制作を始めるにあたってハードルを下げてくれました。

・Surface Pen(EYU-00055)

 Microsoft社製のペン。本体とは別売り。これが結構な高価で、定価で買うと12,980円という代物。値は張りますが、Surface本体との相性に関しては(当然ですが)非常に良く、ストレスなく使うことができています。

・Asus 23インチ モニター(VZ239HR)

 Surfaceと接続し、デュアルディスプレイで作業するために購入したモニター。1万円台で売られており、スピーカーの質があまり良くないことに目を瞑れば十分使用に堪える製品です。

 特にノートPCでゲーム制作を始める場合、モニターは必ず用意するべきだと思います。作業効率が段違い。金銭的に余裕があるのであればもっと上等なものを購入するべきですが、安物でもしっかり働いてくれます。

・スマートフォン

 主に資料の収集やラフ画を描くために使用しました。ご紹介するまでもないかなと思いましたが、活躍する機会は多いので一応ご紹介。

使用ツール

 次に、ツール(ソフトウェア)について。ここからが本題で、とりわけどのゲーム制作ツールを使うかは大きな分かれ道となります。今回はあくまで私の選択について書き連ねていくことになりますが、個々の事情に合わせて慎重に選ぶことをオススメします。

・WOLF RPG エディター(ゲーム制作ツール、以下「ウディタ」)

 ウディタは、数あるゲーム制作ツールの一つ。他にはRPGツクールシリーズやSRPGStudioティラノスクリプトなどがあります。

 私の場合、選択肢はツクールウディタの2つでした。これらのツールは他と比べて使用者が圧倒的に多いため、ネット上で簡単に解説ページを見つけることができます。トライ&エラーを幾度となく繰り返すことになりますので、この点は極めて重要です。かつ、使用可能な素材が豊富であるのもツクールとウディタの長所でしょう。

 では、最終的にウディタを選んだのは何故か?

 ズバリ、無料だから

 ツクールは専用の素材が使用できる代わりに、有料版を購入する必要があります。初めの一歩として、これはハードルが高いんですよね。完成まで漕ぎ着けられるか全く分からない段階ですから。

 一方、ウディタは完全に無料です。さらに、ツクールでは機能を拡張するためにJavaScriptの知識が必要になるとの情報に触れ、プログラムができない自分に使いこなすのは難しいと判断。

 かくして、私はウディタと仲良くやっていくことと相成ります。

・MediBang Paint(ペイントソフト、以下「メディバン」)

 エロゲに限らず、大半のゲームにとってイラストは必須の要素です。イラストを描くためのソフトについても、ゲーム制作ツールと同様に多くの選択肢があります。メディバンの他には、PhotoshopCLIP STUDIO PAINT(以下「クリスタ」)、ibisPaint(以下「アイビス」)などが候補に挙がるでしょうか。

 私が最初の作品制作で使ったのは、上記の内メディバンアイビスです。アイビスについては後述するとして、メディバンを選択した大きな要因について先にご説明します。

 ズバリ、無料だから

 はい、つまりそういうことです。お金が無いのであれば、無料のソフトを使えばよいのです。ただ無料であるだけではなく、メディバンにはイラストを描く上で必要な機能が十分に備わっています。

 しかし私のPCとは相性が悪かったのか、スペックが足りていなかったのか、稀に動作が非常に重くなる時がありました。制作への支障は大きくありませんでしたが、現在制作中の第2作では有料ソフトのクリスタを使用しています。

・ibisPaint(ペイントソフト)

 アイビスもペイントソフトの一つ。そして無料。

 メディバンやクリスタと大きく異なるのは、タブレットやスマホでしか使用できない点です。そのため、大きいサイズのイベント用イラストなどを描く用途には適さないかもしれません。

 そこで、私はアイビスをラフを描くためのツールとして使ってみました。これが非常に扱いやすく、手に馴染んでくれたのです。また、外出先でも手軽に作業を進めることもできました。

AzPainter2(ペイントソフト)

 AzPainter2もペイントソフトですが、こちらに関しては上記2つとは異なり、専らドット絵の描画を目的に使用しました。

 RPGの制作において、ドット単位の作業は避けて通れません。何故なら、動かすキャラクターの画像(キャラチップ)やマップを構成する画像(マップチップ)を作成・編集する必要があるためです。

 他にもドット絵を描くことができるソフトはありますが、迷ったらこちらのAzPainter2を選択することをオススメします。

04 キャラクターの制作

 以上のような環境を整え、ようやく実際の作業が始まっていきます。まず私が着手したのは、キャラクターのデザイン設定を考える作業。

 こちらが、私が最初に描いた主人公・ハルカの設定資料(?)です。本当に大雑把なものですが、数日を掛けて完成した立ち絵(↓)と比較しても、大きな変更点は無いことが分かります。

 最初にハルカの立ち絵を完成させたことにより、作品に登場するもう一人のヒロイン・リンやストーリーの流れについての発想が膨らんできます。さらにリンの立ち絵ができたことで、エロシーンについての妄想も捗っていきました。

 この「何かを作った結果、どんどん次の発想が生まれてくる」という好循環により、制作初期の私は勢いに乗って作業を前に進めることができました。これはそれまでの半年間、全く進歩の無かった私にとって大きな変化です。

 しかし同時に私はこの段階で、早くも最初の「妥協」を行うことにします。

 それは、ハルカとリン以外に登場させようとしていたキャラクターを全て没にする、というもの。

 ハルカやリンの立ち絵を描きながら、私は物語の舞台を「廃校舎」にすることを決めていました。校舎に取り残された幽霊たち、オカルト的な力によって引き起こされる怪現象、ストーリーの裏で蠢く陰謀…。本来であれば、オリジナリティがあって魅力的なキャラクターをたくさん登場させたいところです。

 しかし、2人の立ち絵を完成させた私は、「これ、あと何人も描くのは無理だわ…」と思ってしまったのです。何故なら、この時点で既に1週間ほどが経過していたから。

 メインキャラクターである(あとエロシーンがある)ハルカとリンはともかくとして、登場する機会が少ない男性キャラなどを数日掛け、熱意をもって描くことができるでしょうか?

 私には自信がありませんでした。

 かくして、ハルカとリン以外のキャラクターは全て「火の玉」として登場させる圧倒的な手抜き仕様が実現したのです。

 しかしこの手抜きは後に、「ハルカが生徒や先生を火の玉と認識する理由は、彼らが人ならざる者だから。彼らに近い存在になってしまったリンには、火の玉ではなく人型の幽霊に見える」という設定によってカバーされることになります。

 この設定については、個人的に非常に気に入っています。生きた人間であるハルカの目に「火の玉」と映る以上、画面の前のプレイヤーにも「火の玉」に見えるのが当然の筋ですからね。上手いこと誤魔化したもんです。

 こんな感じで、妥協をしても何とかなります。何より、私たちは同人ゲームの駆け出し制作者。何の実績も無ければ、期待も全くされていません。もし制作に行き詰ってしまったら、開き直って、とりあえず先に進んでみるのも一つの策かもしれません。

05 素材をかき集める

 服装の差分を含めて立ち絵が完成したら、ついにそれをウディタに実装していく作業に入ります。

 それまでマトモにウディタの仕様を理解していなかった私が非常に苦労したことは言うまでもありませんが、その詳細についてはあまり重要ではないので今回は省かせていただきます。

 さて、ここで次の画像をご覧ください。四苦八苦の末、立ち絵を表示させることに成功したゲーム画面です(画面サイズは16:9の854x480を選択)。

 はい、どんな感想を抱かれるでしょうか。

 そうです。寂しいんです。

 真っ黒な空間を背景に、ただただ表示された立ち絵。ここまで持ってこれたというだけで自分を褒めたいような感覚にもなりましたが、流石にこれだけでテンションは上がりません。

 RPGとは、相応しいBGMが流れるマップを、キャラクターを自由に操作して探検するもの。この段階で、私のゲームには廃校舎のマップも表示されていなければ、怪しげなBGMも流れていないのです。

 という訳で、次に着手したのが素材集め

 ウディタにも素材が付属していますが、私が作ろうとしているゲームではそのほとんどが生かせそうにありません。全てを自作する訳にもいきませんから、先人たちがインターネット上に公開している素材に頼ることになります。

 ここで、私には2つの選択肢がありました。一つ目は、有料素材を購入して使うこと。二つ目は、無料素材を探して使うこと

 どちらを選択したかについては…もう言うまでも無いかと思います。だって無料だから。しかし無料素材を探すのは非常に大変です。多くの無料素材は、制作者さんが個人のホームページなどで公開しています。自分のイメージに合う素材を探し出し、規格や利用規約などを個別に確認した上で使用しなくてはいけません。

 結果的に、最初の素材集めには合わせて数日間を掛けたでしょうか。幸いなことに、イメージ通りのマップチップとBGMを見つけ出すことができました。


↑最初につくった校舎玄関のマップです。

 さて、無事にマップが表示され、BGMも流れるようになった私のゲーム。基本的な要素として足りないのはあと一つ。操作するキャラクターだけです。

 キャラチップに関しては、主人公が自作のキャラクターである以上、素材に頼る訳にはいきません。しかし完全にゼロからつくるのはハードルが高いので、無料素材のキャラチップをベースにしてみることにしました。

 その結果、完成したのがこちら。


↑左:ハルカ、右:リン

 初めてにしては、上手く2人の特徴をドットに落とし込めているのではないだろうか…?(上手くできている、なかなかのクオリティだ!と思い込むことによって、精神の安定を保つことができます。これ割りと大事です。)

 これを実装することで、RPGとしての最低限の要素が揃いました。あとはマップを増やしたり、ストーリーに沿ったイベントを追加していく工程を進めていくことになります。

06 エロシーンを描く

 そして、遂にやってきました。エロゲ制作・最大の難関。

 何しろ私は自分の画力に自信がありません。立ち絵やSDキャラならともかく、「一枚絵」と呼ばれるような背景付きのイラストを人並みに描くことなどできないでしょう。

 ここで発動するのが妥協の精神

 そう、私は初心者。深く考えずにできることを精一杯に頑張ればそれでいいのだ。酷評、手厳しいレビューは甘んじて受け入れようではないか。

 ではお見せしよう。最初に描いたラフを。

 …うーん。

 暗雲、前途多難、五里霧中。

 そう、私の画力はこの程度なのです。プログラミングができないことなど、この惨状に比べれば大した問題ではありません。

 しかし、ここまで来て諦める訳にはいかないのだ。

 1週間以上を掛けたでしょうか。私は何度も何度も描き直しました。睡眠の時間を削り、何とか気合いと根性で完成させたのがこちら。

 いかがでしょう。何とか、何とかギリギリ見れるレベルにはなったのではないでしょうか。この後、リンがスカートを捲られてしまうシーンが続きます。

 そして、まだまだ発動する妥協の精神。

 これはハルカが男子トイレで用を足すことを強要されるシーンですが、背景や火の玉は先程の画像と同じようなテクスチャになっています。ここだけの話、使い回した背景も…。

 そして言うまでもなく、一枚一枚のイラストを完成させるのに数日間を要しています。多大な労力と時間を投入し、時には妥協し自分に言い訳をしながら、私は最低限の枚数のエロシーン用イラストを用意することができたのです。

 妥協と気合いと根性。大事です。

07 発売に向けて…

 さて、ここまでにご紹介した作業は、実は同時並行的に進行していました。脚本などは用意せずに「作りながらストーリーを考える」という無謀な方針を採っていたため、そうならざるを得なかったのです。

 そして何とかストーリーの中盤あたりまで制作が進んだ2021年4月。私はいよいよ作品の販売について意識をし始めます。

 大学生である私にとって、何かを売るという経験は初めてのこと。買い手の側としてDLsiteを利用したことはあったとは言え、何をどうすれば自分の作品を販売することができるのか、全く把握していませんでした。

 制作の合間にインターネットで調べた結果、分かったことは概ね以下の通り。

・DLsiteの他に、FANZA同人やDiGiketといった販売サイトがある。
・それぞれのサイトでサークル登録をする必要がある。
・発売の前に審査があり、規制に引っ掛かった場合は修正が求められる。
・製品版が完成する前に、予告ページを公開することができる。

 私はひとまず、DLsiteに絞ってサークルの登録をしてみることにしました。

 遡ること約1ヶ月前の3月7日に立ち上げた個人サークル「ぽけっとイズム」。必要事項の記入、マイナンバーの提出などを経て、問題なく登録することができました。特に難しいことは無かったように思います。

 続いて、善は急げとばかりに予告ページ登録に着手。作品のタイトルや説明など、基本的な情報を入力して送信すれば完了です。


↑予約ページ用に作成したサムネイル画像

 この予告登録の申請をしたのが4月11日。そして何と、その日の内にページが公開されます。DLsiteさん、流石です。

 しかし、この時の私は非常に甘い見通しを持っていました。予告登録に際して設定した発売予定時期は、「2021年5月下旬」。

 これが、その後の自分を追い込んでいくことになります…。

09 発売延期、延期、そして完成へ

 先述の通り、私がゲーム制作の作業に本格的に取り組み始めたのが2021年の2月。予告登録をしたのがその2ヶ月後です。

 このペースでいけば、5月の末頃には完成させられるはず!!

 …もうお分かりでしょう。2月から4月頭までの期間は、大学生にとって華の春休み。どう考えても、大学の授業が始まってからも同じペースで制作することは不可能です。

 しかし、コロナ禍という世相が私の認識を狂わせました。前年から続くオンライン授業。学期が始まっても、十分に制作時間が確保できるものと考えていたのです。

 無論、そんなことはありませんでした。

 オンライン授業に慣れた教授たちが出す、昨年にも増して大量の課題。4月末から中途半端に対面授業が再開されることで、1コマだけに出席するため往復4時間を掛けて登校する毎日。制作に充てることができる時間は僅かでした。

 結果的に、私は2度も発売を延期することになります。

 その後3か月間、少しでも作業を進めるために睡眠時間を削り、学校とアルバイト以外の用事で外出することもありませんでした。コロナ時代とは言え、これはあまりにも不健康な生活です。

 これから制作を始める、あるいは制作を始めたばかりだという方は、販売開始までのスケジュールはかなり長めに見積もるべきです。根を詰めるにしても、健康を損なわない範囲で。


↑不甲斐無いタイトル…

 と、こんな感じで発売延期を繰り返し、7月の中旬になってようやく作品はある程度形になりました。


↑ゲームのタイトル画面

 これまでにご紹介した作業の他にも、回想モードなどの「エロゲっぽい」機能を搭載するなど、自分なりに努力をしたつもりです。一方、メニュー画面やメッセージウィンドウはデフォルトの設定を応用するだけに留める等(↓)、しっかり妥協もしています。

 ウディタには「基本システム」が搭載されており、これはその名の通り、メニューやウィンドウの描画、簡易的な戦闘などの基本的な挙動を実行するためのものです。

 多くの解説サイトにおいて、ゲーム制作初心者はこの基本システムを少しずつ組み替え、ウディタの仕様に慣れていくことが推奨されています。

 実際、大手のサークルさんでも初期の作品はウディタやツクールの標準的なシステムを踏襲している場合が多いように思います。私もその例に漏れず、上のようなオーソドックスなメニューとウィンドウを採用した訳です。


↑現在制作している第2作のメッセージウィンドウ。

 なお、第2作では基本システムをさらに応用し、処女作とは異なるタイプのウィンドウを使っています。今となっては「これくらい簡単に実装できる」という感覚を持てているのですが、最初の段階でこれを実装するのはどう足掻いても無理だったと思います。

 オリジナリティを追求するのも大事ですが、私は何よりも作品を「完成」させることを優先させました。

 そして2021年7月21日、遂に処女作『神隠しの廃校舎~少女たちの羞恥体験~』が完成します。

10 審査、そして販売開始!

 私は作品が完成したその日、DLsiteに本登録の申請をしました。

 予告申請の際とは異なり、本登録では商品紹介用の画像を何枚か用意しなくてはなりません。また、作品中で使われているエロイラストを審査用のファイルにまとめ、ゲームのデータとは別に提出する必要もあります。


 これらが用意した画像の一部。エロゲですから、ゲーム性の説明と同じかそれ以上にエロを前面に押し出すことを意識して作りました。…が、少々似たり寄ったりになってしまっていますね。もっと凝ったものを作ればよかったと今になって後悔しています。

 ともかく、ファイルの提出と必要事項の記入を終え、あとは審査の結果と発売日として指定した7月25日を待つだけとなりました。

審査と法律について

 ここで、DLsiteの審査関連法について触れておこうと思います。私は法律を専門に学んでいる訳ではありませんので、あまり信用せず参考程度にお考え下さい。

 まず大前提として、エロゲをはじめとした成人向けコンテンツを公開しようとする人は、刑法175条とその判例に目を通しておくべきでしょう。

 刑法175条には、「わいせつ物頒布等の罪」が規定されています。

(わいせつ物頒布等)
第百七十五条 わいせつな文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物を頒布し、又は公然と陳列した者は、二年以下の懲役若しくは二百五十万円以下の罰金若しくは科料に処し、又は懲役及び罰金を併科する。電気通信の送信によりわいせつな電磁的記録その他の記録を頒布した者も、同様とする。
2 有償で頒布する目的で、前項の物を所持し、又は同項の電磁的記録を保管した者も、同項と同様とする。
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=140AC0000000045)

 これを素直に読むと、「あれ、エロ漫画とかエロゲとかってダメじゃね?何ならAVとかも…」と思われるのではないでしょうか。だって「わいせつな…物を頒布し、又は公然と陳列」する行為が罰されることが明記されているんですから。

 しかし、実際にエロ漫画の作者やエロゲのクリエイターが検挙される例は、さほど多くないと言ってよいでしょう。何なら、DLsiteやFANZAは営利目的でそういったコンテンツを集め、陳列・頒布しています。

 何故そうなっているのか?それは、各サイトがそれぞれ倫理規定を設け、法に反さないよう自主規制を行っているからです。そして、クリエイターの作品をこの倫理規定と照らし合わせ、違反する表現を弾くのが各サイトにおける審査、ということになります。

 なお、刑法175条に定められるところの「わいせつ物」とは、「徒に性欲を興奮又は刺激せしめ、且つ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義に反するもの」であるとする判例が一般的になっています。(さらにWikipediaによると、概ね「性器が露骨に描写されているかどうか」が摘発の基準になっているとのことでした。)

 では、倫理規定は具体的にどのようなものになっているのでしょうか?DLsiteのコンプライアンスポリシーから「隠蔽処理(モザイク等)が必要な箇所の例」を見てみましょう。

隠蔽処理(モザイク等)が必要な箇所の例
・性器または性器を連想する部位(性器の範囲は陰茎陰のう、外陰部までとする)
・性器結合部位及び挿入部位(異物を含む)
・アヌス結合部位及び挿入部位(異物および排泄シーンを含む)
・性器を単線単色で表現する場合、詳細でない限り隠蔽処理を省略することができる
https://www.dlsite.com/home/mosaic)

 これをどう捉えるか、どこまでがセーフなのかということについては、各自の責任でご判断ください。(個人的には、最後の「単線単色で表現する場合…」という記述に相当甘えています。お世話になっている、とでも言うべきか…
 
 いずれにしても、審査を担当されるDLsiteの方の手元にはより具体的で明確なマニュアルがあるでしょうから、申請してダメだと言われたら素直にそれに従う…というくらいの気持ちでいいのではないかと思います。

審査結果が届き…

 そして実際に審査の結果が届いたのは、申請してから3日後の7月24日。すなわち、発売日の前日でした。ギリギリのタイミングになってしまい、担当者の方にはご迷惑をお掛けしたかもしれません。

 しかし、これで準備は全て整いました。

 このように「販売待ち」の表記を確認できます。DLsiteでは発売日の指定を行った場合、日付が変わった0時のタイミングで販売が開始されるようです。

 そして、遂に…!

発売!

 無事に販売開始されました。

 この時は、もう「安堵」の一言に尽きる感情でした。大学時代という人生の中でも特に価値があるであろう時間を半年間も掛けて作ったゲームが、遂に日の目を見たのです。

 売り上げに関しては「いっぱい売れたら嬉しいけど、初めての作品だから100本売れたら御の字」という心構えでした。そして、その目標は発売4日目で達成されることになります。評価も上々でしたので、本当に嬉しい限りです。

 この感覚は、ゲームを完成させた者にしか味わえません。

11 後日譚

 かくして、私は一つの区切りのタイミングを迎えます。

 この活動を今後も続けるのか?それとも辞めるのか?

 処女作の発売を見届けたタイミングで、そんなことを考える方もいるでしょう。しかし、私はそうではありませんでした。

「次はどんなゲームを作ろう?」

 私は、同人ゲーム制作という活動にすっかりハマってしまったようです。おそらく、十何年、何十年と取り組んでいくことになると思います。(表現の規制強化はやめてね)

 なお、その後、私はFANZA同人でも作品を発売します。しかしこちらに関しては予告ページの公開を忘れていたこともあってか、売り上げは芳しくありません。さらに発売から1週間ほどが経過した8月初旬、体験版を用意していなかったことにも気付きます。急いで作成し、2つの販売サイトに登録しました。

 …何というか、締まらない後日譚になってしまいました。この辺りは、怠惰で無計画な性格が遺憾無く発揮されています。

 ただ、そんな私にも一つ誇れることがあります。

 それは、バグの報告が一切無かったこと。処女作のためバグが多くなってしまうのは仕方ないと思い、専用の報告用メールアドレスまで用意して備えていました。しかし、どうやらゲームは狙い通りの挙動をしてくれたようです。

 こんな感じで反省点も非常に多い作品ではありましたが、最初の一作として見れば十分に実りの多いゲームになったと思っています。

売り上げの推移

 ところで、作品の売り上げ数は100本を超えた後も、ジワジワとですが伸びていきました。その推移について、軽くご紹介します。

 まずは、発売から1ヶ月間のデータ。

 当然ですが、初日が最も販売数が多く、その後はその勢いが落ち着いています。

 次に、発売から現在までの月別販売データ。

 日毎のグラフと同じような形になっており、11月にはほとんど売り上げがゼロになってしまっています。12月に入って持ち直しているのは、DLsiteのウィンターセールで半額になったから。

 セールを上手く活用・研究することによって、更なる売り上げアップを目指すことができるかもしれませんね。

12 これから制作を始める方へ

 以上で、「大学生の同人エロゲ制作体験記」の本編は終わりになります。
 
 ただ、思っていたより、冒頭で述べたような「経験・反省」を踏まえた内容を上手く盛り込むことができませんでした。

 せっかくですので、私が後になって「やっておけばよかった…」と感じたいくつかのこと、及び活動を始めるにあたっての注意点について触れたいと思います。

プロットを作る

 本編でも触れましたが、私はストーリーを行き当たりばったりで作っていました。これは今思うと本当に恐ろしいことで、私の真似をするとエターナる要因となる可能性が非常に非常に高いです。

 言うまでもありませんが、ストーリーには一貫性がなくてはいけません。如何にエロゲとは言え、とっ散らかったゲームをプレイしたいとは誰も思わないでしょう。

 プロット無しに制作を進めると、普通は絶対に矛盾が生まれます。思い付いたそばから実装していく訳ですから、後から修正したい部分があってもイベントや変数の管理の問題で手が届かないケースが出てきてしまうかもしれません。

 悪いことは言いませんから、絶対にプロットを作りましょう。

SNSを有効活用する

 これが一番言いたいことかもしれません。

 現在、私が運用しているTwitterのアカウント(@tomotomo_Japan)は、有難いことに900人を超える方にフォローしていただいています。

 このアカウントを作成したのは、本記事の投稿からちょうど1年前の2020年12月12日。ゲーム制作を始める約2ヶ月前ですね。しかし、当初このアカウントは上手く活用されていませんでした

 アカウントを作った理由は、ただ「何となく」。申し訳程度に、pixivに投稿するイラストの告知などを行っていました。フォローとフォロワーの数も、20を超えていなかったように記憶しています。

 では、ゲーム制作を始めてからは積極的な運用をし始めたのか?

 答えはNoです。何故なら、ゲームを発売してからでないと、発信をしても見向きしてもらえないと思ったから。

 もちろん最低限の投稿はしていましたが、自分と同じくゲーム作りをしている方を積極的にフォローしたり、話し掛けたりというような運用方法は意識的に避けていたように思います。

 でもこれ、今振り返ると本当に勿体無い!

 Twitterには、本当に素晴らしい作品を制作されている方がたくさんいます。何万本もの販売実績がある方、自分が生まれる前から同人ゲームを作っている方、本業の技術を応用して圧倒的なクオリティを誇っている方…。

 彼ら・彼女らから学ばずに、何がゲームクリエイターでしょうか。積極的にSNSを運用することで、界隈の空気を肌で感じることができるだけでなく、素晴らしい技術や発想を吸収することができるのです。

 もし自分が同人の世界に無知で技術的にも未熟だと思うなら、積極的に他のクリエイターの方々をフォローしてください。

 フォローした人のうち、何割かはフォローを返してくれるでしょう。嬉しいですね。もしそうでない人がいたとしても、いちいち確認してフォローを外すのは得策ではありません。そんな打算的なことをやっている暇があるなら、少しでも制作を前に進めましょう。

 モチベーションの維持にも役立ちます。効果的にSNSを運用しましょう!

二次創作のリスク

 同人の世界において非常に大きなウェイトを占めているのが、二次創作の作品群。要は、他人が権利を持つ有名キャラクターを題材にした漫画やゲームですね。

 そして、年齢制限のある作品にも二次創作のものが多く存在します。

 「それってどうなの?」と思われる方もいらっしゃるでしょうが、多くの場合、そういった作品群は権利者の「黙認」の下に成立し、生き残っています。

 私はこの「ファンとしての節度を守った活動であれば、ある程度は大目に見るよ」という空気が根強い日本の表現文化が、本当に大好きです。世界に誇れると思っています。今時、年齢制限の要素が無い二次創作それ自体すら禁止している有名作品など、数えるほどしか無いのではないでしょうか。何ならエロ漫画なんかも咎められることはほとんどありません。(日本では著作権侵害が親告罪だから…という現実的な要因もありますけどね。)

 「じゃあ最初の作品としては、二次創作が適しているのではないだろうか。年齢制限付きのものが作れて、ものによっては販売もできるのだから、たくさんの人の目に触れるであろう二次創作は良いこと尽くしじゃないか!」

 …もしそんな風に思っている方がいたら、すぐに安易な考えを改めてください。二次創作の作品を公開し、特に販売(頒布)する場合、道義的な問題が生じやすいことはもちろん、法的な係争に発展する可能性があることを十分に認識しなくてはいけません。

 何より、二次創作の作品は権利者の意向次第で、ある日突然、公開すらできなくなる可能性もあります。直近でも、新たにガイドラインが示されたり改訂されることで年齢制限付きの二次創作が明確に禁止されたり、特定のサイトで販売することができなくなるという事例がありました。

 こういう場合、二次創作の作り手に抗う術はありません。当然です。本来は他人のものであるはずのキャラクターを勝手に使っていたのですから。その作品にどれだけ心血を注いでいても、多大な時間と労力を投入していたとしても、権利者がダメと言えばダメなのです。

 ですから、もし最初の作品を一次創作にするか、二次創作にするかで迷っている方がいたら、私は年齢制限の有無に関わらず一次創作を選択することを強くオススメします

 それでも二次創作を選ぶのであれば、何があっても後悔しないという強い覚悟を持つ必要があるでしょう。

13 最後に

 これにて、本記事の内容は終わりとなります。ここまで読んでくださった皆さま、本当にありがとうございました。

 こんな形で偉そうに「体験記」を書いた私ですが、まだまだ駆け出しの身です。今後も初心を忘れず、向上心を失わず、ゲーム制作・創作活動を楽しんでいきたいと思っています。

 それでは、これからも私「ともとも」とサークル「ぽけっとイズム」を、何卒よろしくお願い申し上げます。

 2021年12月12日 ともとも

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    とっても有益な記事ありがとうございます...!

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