M.C.制作話(4回目)
始めましての方、読んでくださっている方、ありがとうございます。
M.C.制作話の4回目となります。
さくっと2、3回で終わらせるつもりでしたが、思ったよりも回数が増えそうです。
興味のないかたは申し訳ありません。
さっそく前回の続きから――と、いきたいところですが、ここで新作の宣伝を挟ませていただきます。
昨日の更新で触れました、ASMRの新作ですが、もう少しお待ちください。
こちらのことですね(露骨な宣伝)
それと、私――HAREが、シナリオでお手伝いをさせていただいております、別のASMR作品を作成中のサークル「オトヌキヤ」様が、Ci-enを始めたようです。
https://ci-en.dlsite.com/creator/7919/article
こちらも合わせて、よろしくお願いいたします。
さて、ここからは前回の続きといきましょう。
この状況で、ゲームを制作するのは無謀じゃないのかなぁ……?
と、やっと気付いた後、どうやって完成をさせるて行くべきなのかという話からですね。
ここで素直に諦めていれば、この後のこともなかったでしょう。
しかし、すでに撤退することを諦めて、前に進むことは決まっています。
そうなったら、次は「どうにか完成させる」しかありません。
とはいえ「完成」についても、いくつかの選択肢があります。
1.制作するゲームの規模を縮小する。
2.少しでも早く作れるゲームに切り替える。
3.制作する時に手を抜く。
あたりでしょうか。
では、1番のゲームの規模を縮小するからいきましょう。
制作することを決定した分量は、その当時に可能な最大規模であり、ゲームの体裁を維持する最低限でもありました。
つまり、削るということは無理な状態です。
ここで、CG3枚、50KBくらいのお試し版を作り、本編は次の機会に出そうぜ!
……みたいなことは思いつきませんでしたし、思いついてもやらなかったでしょう。
続いて、先に3の選択肢、手を抜くへ行きましょう。
そもそも、まともに作り方さえ良くわかってない状況で、規模の縮小以外で、手を抜くというのはどうやれば良かったのでしょうか?
ここまで読んできた方はお分かりだと思いますが、手を抜くにも知識や経験が必要です。
これはゲームに限らず、なんでもそうですね。
運転免許を取得したてで公道を初めて走る人と、10年ほど乗っている人の差、と言えばわかりやす……かえってわかりにくいかもしれません。
ということで、手を抜くは却下です……不可能ともいいます。
残った最後の選択肢である2番、早く作れるものにする。
これも3と同様に、ろくに制作方法も知らない人間が、早くってどうやるってんだよ? という感じですよね。
そもそも「早い」、「遅い」って、どういうことが? どういう部分が? と疑問が浮かぶと思いますが、この時、幸運にもゲームの制作全体を圧縮できそうな方法がありました。
ここで、3回目にも触れている「執筆速度」の話に戻ります。
そう――おくとぱす氏の存在です。
純愛? と首をひねっていたHAREと違い、氏にはこの時点ですでに「得意な分野」がありました。
氏が情熱を傾ける「催○術もの」であれば、企画・原案・プロット・実際のテキスト作業の160~180K程度など、ちょちょいのちょいです。
ならば、「催○術もの」にすれば、制作速度はあがるはず!
……はい、また根拠のない考えですね。
しかし、落とし所も明確でない「純愛物」を制作していくよりも良いだろうとということになりました。
ここで横道にそれますが、ライター(企画者)の作業を大まかに記載しますと。
・企画(どんなものをつくるか)
・プロット(どんな話にするか)
・指定(必要な素材:イベント絵、キャラの立ち絵、背景、BGM、SE(効果音)、などなど)の指定書の作成
・テキスト(文章)の執筆
人によっては、
・収録用台本作成
・収録立ち会い
・スクリプト(※注1)
なども追加されます。
閑話休題。
つまり、企画とプロット(話の流れ)、指定の半分と、テキストの半分を、おくとぱす氏に丸投げしてしまえば「間に合う」可能性が高くなりました。
ならば、これでいこうと「催○術物の小規模ゲーム」として、おくとぱす氏に作業に入ってもらいました。
ここで、メインのライターの変更です。おくとぱす氏を中心に、話を作ることになりました。
テキスト作業についても、二人で手分けすれば、想定量が160KBですので、一人あたり80KBずつになります。
これは、当時のHAREならば10日~2週間くらい。おくとぱす氏なら3~5日程度です。
……比較すると、執筆速度のおかしさが際立ちますが、純然たる事実です。揺るぎ無い現実です。
これでどうにか、コミケでの頒布に間に合うかもしれない。
そんな想いから、ほっと一息です。嘘です。まったく油断のできない状態は変わりません。
知識もなく、不慣れなdefineスタッフは、ここから色々と動きだす必要がありました。
まずは、ゲームを作るしても、どう作るかを調べることからです。
ゲームの本体ともなる、スクリプトエンジン(※注2)などは、HAREとおくとぱす氏のデビュー作「Stitch」で使っているものを使用させてもらえればいいかーなどと、のほほんと考えていました。
ここでさっそく、唯一に近いの業界人の知りあいであり、デビュー作のディレクション(※注3)をしていて、自分達よりも詳しいY氏に相談です。
先方に相談してもらい、快く使わせていただけるという話になりました――○○万円で。
今ならば、かなり良心的な値段というのはわかりますが、当時は相場も知りません。その上、第一回で書いてますが「お金がない」状態です。
残念ながら、予算の都合もあって、他の手法を探す必要がでてきました。
そうです。この段階で、企画プロットシナリオはどうにかなっても、プログラム側の観点からは「ゲームにする時の基本部分」が決まっていなかったわけですね。
さて、そこからどうやっていくのか。次回以降で触れたいと思います。
※注1 そのうち、ざっくり説明をすることになると思います。
※注2 パソコン上で、ゲームを動かす土台 くらいに考えていれば、問題ないと思います。
※注3 ゲーム制作で、もっとも作業が多く、割りに合わず、名前も出ないし、出ても見向きもされないのに、責任は重いという、「やりたがる人は能力が足りずにやらかすことが多いので、やりたがらない有能な人に押しつけるしかない」仕事です(※個人的な偏見と感想です。