スパイラルブレーン 2022/11/23 00:20

地獄から還ってきたぜベイベー(コラム/雑記)

ごきげんいかがでしょうか、暮古です。
最近ようやく冷ややっとしてきまして鍋がすこぶるデリシャスですね。

今回は特にこれといったイラストやお知らせ要素0のクダマキコラムなので、時間が惜しい方はブラウザバックナウでございます。

さてはて「なんだこの大仰で痛々しいタイトルは」ってとこなんですけども、端的に言えば手術&入院でしばらく留守にしておりました。

施したのは鼻腔内湾曲の矯正手術

一見すると美容整形のようにも思えますけど、これがひん曲がっているのが慢性鼻炎の元凶となっていたため、今回踏み切る形と相成りました。

三十路を越えたあたりから鼻の異変が気になり始め、年を追うごとに異臭や鼻詰まりの頻度が増していくのが最初のきっかけ。
そのたび耳鼻科検診に行く過程で鼻腔内湾曲についても一度説明があったのですが、「薬で収まるしどうせ鼻詰まりでしょ…」とスルーを決め込んでしまっていたのも今思えばよくなかった。

そんな中迎えたこの2022年は、「鼻炎との戦いに明け暮れた一年」と題しても過言ではない一年となってしまいました。

かつて「どうせ」程度だった鼻炎悪化による弊害は深刻の一途を極め、嗅覚異常・慢性的睡眠不足・思考力、集中力の低下・たまった膿によって引き起こされる頭痛、眼痛などなど…。

とにかくありとあらゆる手を尽くして日常を引っ掻き回してくれたわけです。
無論、身体の不調は精神にも多大な影響を及ぼし、その影響は製作にも少なからず及んでいきます。

そして今年の夏、ついに一大決心を固めて評判のいい耳鼻科へと直行。
先生に洗いざらい全てを話し、本格的な治療に専念すべく動き始めたのです。

そこから数ヶ月に渡る投薬治療、経過観察などを経て、二つの選択肢が先生から提示されました。
ひとつは前述のとおりの大手術。そしてもうひとつは、舌下免疫療法と呼ばれるアレルギー体質そのものを改善する投薬治療。
こちらの方が費用的にも身体への負担的にもグッと抑えられるのですが、如何せんかかる期間が最低三年~五年と、あまりに気が長すぎることがネックとなりこちらを断念。

紹介状を書いてもらったのちに近くの大病院へと移行、それからやっと先日の手術へと漕ぎ着けることができたのです。

ただ身体にメスを入れるもの全身麻酔を受けるのも生まれて初めてだったもので、もう前夜からビビリまくりの緊張しまくり。
さらに鼻以外は健康なもんで手術台まで徒歩で向かわなきゃならないのも、さながらガス室に歩を進める死刑囚といった趣でした。

術前ギリギリに覚えていたことといえば麻酔の効き始めが明確にわかったこと。
しかし「急に身体が重い」と感じてから数秒と経たず意識は吹っ飛び、おそらく自室まで搬送されるその道中でようやく目が覚めました。

ぼんやりする意識の中で意外と痛みらしい痛みがないことに驚いていましたが…実は本当の地獄はここからだった!というサスペンス展開。

(ここからは生々しい描写が続くので一応ご注意を)

まず第一に喉がメチャクチャに乾いていました。唇はカピカピに乾いてややひび割れ、一度口を閉じると開きにくくなるため常に半開きで余計に乾くという悪循環。
しかも看護師さんから「三時間経つまで絶対安静で居てくださいねー」という鬼の宣告を受けたため水分補給の道はここで一旦絶たれます。

そして第二に鼻の奥の奥にまでガーゼが突っ込まれてるため、鼻呼吸は一切できない状態。またこれが尋常じゃなくつらい!
前述の口呼吸に難ある状態でさらに鼻まで塞がれているので当然呼吸は乱れるのですが、動いても鎮まってもまったくラチが明かないままただ寝て過ごすしかない…。

かろうじて手元に置いておいたスマホで時間を確認すると、夜の7時すぎ。手術開始が11時すぎだったことを考えるとかなりの時間昏倒していたようです。
当然、欠片も眠くはありません。しかもスマホでヒマを潰そうにも片手で操作はしにくい上になんだか意識も朦朧として10秒と画面を見てられない。

そう、やはりただ天井を見て待つしかない。宣告された時間までただただ、ただただ。

…やがて三時間が経過し、ようやく上体を起こされてから看護師さんにひとこと。
みふほくらはい…(水をください)。」
その念願も叶って飲んだ水がこれまた超うまい!…そして、超もの足りない!!

えっナンデ!?コップ一杯一気に飲んだのに全然潤わないよ?!
なんならジョッキ満杯でも空けられそうなほど、喉の乾きがとにかく尋常じゃない。(たかだか数時間でこんなんなる…?)

そんなこんなで必死に水をすすり続け、なんとか気を落ち着かせてからようやく…自分の置かれた真なる状況を把握することとなりました。

・胸部…何かしらをモニタリングしてる電極
・左上腕…点滴を固定(鎮痛剤入り)
・左手掌中…鎮痛剤の追加投与ボタン(痛い時に押す)
・左人差し指…パルスオキシメーター
・首…パルスオキシメーターの計測器入り首掛けバッグ

…なんかすっごいゴチャゴチャくっついてる!?(特に左側)
人間の正常な行動動作を著しく損なうためだけにくっつけられたようなこれらの数々ですが、どうやら術後の経過を見るために必要不可欠だとのこと。

…ん?ってことは、これ付けたまんま一晩過ごせ…てコト!?

…人間、本気で狼狽すると自分が今享受できる平穏が何かまず必死に探り出すものなんですね。
そこから導かれた結論としては…とりあえず、水が飲めるようになっただけさっきより少しマシかな、と。

そう…さっき飽きるほど見続けた天井ですが、この寝返りひとつロクに打てない安眠不可な状況でさらなるアンコールが決定。
術後の傷んだ心と身体にさらに鞭打つような絶望的状況。看護師さん曰く「この手術受けたあとの患者さんはみんなキツそうにしてる」とのこと。(そりゃそーだ…)

さらに聞いたところではかなりキツイ鎮痛剤を使っているので、異常な倦怠感も副作用として現れるのだとか。
これは実際体感したので分かりましたが…異常なんてレベル越えてた気しますよ、マジで。
ちょっと目を開けただけでも意識が30秒もたないんだもの。そりゃスマホで暇つぶしなんてできないわけだ。

すなわちこの時点で出来上がったものは、限りなく息苦しい状態+容易に眠れない状況+起きてもいられない副作用+無駄に余りまくった時間…という、まことによく練られた○問の方程式。

…ここまで悪し様に書きなぐってはきましたが、病院の方々だってどうにかできるものならどうにかしてる代物だと重々承知しています。
でも、こればっかりは何をどう差し引きしてもダメなんでしょうね。最終的に患者のガッツに頼るしかないっていう。

そんな悟りも開きつつ、そこから鼻のガーゼが取れるまでほぼ二日間に渡り、ひたすら祈るように虚空を見つめ続けていました。
特に危険を感じたのは二日目の夜に突然襲ってきた、悪寒→発熱→滝のような発汗→脳内が痺れるような感覚。
おそらくこれも鎮痛剤の副作用なんでしょうが、いわゆる何かしらの解脱症状のようなものだったのかもしれません。

それにしても全て終えてこうして述懐してみると、具体的に何を考えて過ごしたのかすでにおぼろげになりつつありますね。
間違いなくここ十年内で一番ひどい目に遭ったと言えるので、脳がバイアスかけてショックを中和してるんだと思います。

いやでもほんと…しんどかった。ただただしんどかった。
そりゃガーゼ外したあとに病室戻ってからワケもなく大筋の涙がボロボロ流れるってもんです。

…ってなワケで思ったより長くなりすぎてしまいましたが、どうしても一人で抱えるだけでは辛かったので一気に吐き出させてもらいました。
重ね重ねになりますけど、先生方はほんとに懇意にしてくださいましたし、術後の経過も今のところ良好なので手術を受けたこと自体は後悔していません。

もしこれを最後まで読み切ったという奇特な方の中で、さらに今慢性鼻炎で悩んでいる方がいらっしゃるならば。
一も二もなく、いますぐ耳鼻科に相談に行ってください。
そして処方薬で症状が抑えられたのに満足せず、徹底的に治療することをオススメします。

自分のように先天的に症状が悪化しやすい体質の場合もあれば、アレルギー対策などを怠らなければ抑えられる場合まで千差万別のようですので。
その過程がとんでもなくつらいこともあったにしても、鼻の不調ひとつで人生振り回されるようになるよりよっぽどマシだと断言しておきます。

…さぁて、さんざ吐き出したんで作業に戻るとしますかね。
一応来月に新作また出す予定ですので、詳細は追ってのちのちにでも。

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