お世話になっております。3D&システム担当の二郎です。
今回は前記事から連なるAI関連シリーズとして、今ほうぼうで話題のAI「ChatGPT」を使って同人ゲーム開発をどう役立てているかというお話をしたいと思います。
さっそく本題に入りましょう。
本日の記事では、実際にサークルで活用しているプロンプトもご紹介したいと思います。ちょこちょこ改変を加えていけば、別のゲームでも役に立つのではないかと。
chatGPTについて
ChatGPTは、日本政府が積極的に活用していくという姿勢を示していることもあり、新聞やテレビなどでも報道されているので知らない方はあまりおられないと思います。
簡単に説明すると、ネット上に存在する世界中のテキストデータを学習した超強力なAIです。やっていることとしては学習したデータをもとにして、「ある単語の後にどのような単語が来る確率が高いかということを予測し続けて一つの文章を出力していく」というもののようです(僕はよわよわ独学エンジニアなので詳しくはわかりません)
ただ一つ言えることは、もし興味がある方がいたら、現在無料で使えるgpt3ではなく、月額2000円前後の課金をした後に使えるgpt4を使いましょうということです。本当に天と地ほどの差があり、今回の記事もgpt4利用を前提とした記事です。
ChatGPT(GPT4)をゲーム開発にどのように役立てているか(シナリオ班編)
ここからは私たちのサークルでの具体的な事例をもとに話していこうと思います。
私たちのゲームは、脱出ゲームです。脱出ゲームには大小さまざまなギミックがマップ内に存在し、プレイヤーはそれを解き明かしていきます。
そして、そのギミックでは現在の装備や立っているフラグに応じてギミックの反応が変わり、また多種多様な会話イベントが発生します。
脱出ゲームのシナリオに要求される機能を備えつつ、同時にキャラクターの魅力を伝える文章を考えるのは非常に楽しい作業です。
しかし、ゲーム制作はそのように楽しい作業ばかりではありません。多くの場合、ゲーム制作という世界は楽しいクリエイティブな作業はほんの上澄みであり、その地表の多くは辛く苦しく地味な割りに重要な作業に覆われています。
「こんなイベントやギミックを作りたい!」と思ってアイデアをメモしたあとに、実際のシステムの制約のなかにそのアイディアを落とし込む必要があります。これが苦しい。前作でも多くの必要なイベント分岐の見落としが実装段階で見つかり、地獄をみした。
そんな作業、人間がやらなくてよくない?
てか、それよりもっとこだわりたいところがたくさんあるネ?
というか僕は本当はキャライラストまで描きたいんだけど、その時間これで作れるかもネ?
ということでAIにやってもらいましょう!
今回二郎のほうで作成したchatGPT用のプロンプトでは、事前に用意したギミックについての7つの質問に対して回答することで、AIが場合分けを検討してくれるようにしています。現状のギミック制作の流れは以下のような感じになっています。
①ライターがイベントやギミックのアイディアのメモを作成する
②そのメモをもとに、chatGPTによる質問に回答。その回答をもとにAIが実装に必要なフラグの提案やイベントの分岐を整理する
③整理した内容を実装用のスプレッドシートに書き込める形にしてもらう
④コピペ
⑤足りない分岐や微妙なところを修正
以上が現在えぃぴぃホリデーでとっているフローです。
もちろんそのまま本編に活用するのは難しいですが、叩き台があるだけで負担感は段違いです。
ライター飛丸君に新しいワークフローを試してもらった当時のコメントによると
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①通常
仕事終わりに毎日1時間ずつアイディアを整理→3日ほどかけて整理が5割ほど完成(計3時間)
②AI利用
ギミックの仕様をまとめたメモをもとに、定型文を使って脳死でポチポチ→5分程度で8割埋まったものができる。
小さな欠けや矛盾点を補完してくれるし、そもそもこういった場合わけなどを考えるのがとても苦手なので助かる。
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ということで、非常に効率化できているようです。
私たちは脱出ゲームですが、他のジャンルのゲームにおいてもフラグによってイベントを管理したりなどはすると思うので結構役立つのではないでしょうか?
AIに表情差分指定などをしてもらおう。(試作中)
また、今検討段階なのが、ライターが入力したテキストをもとに、表情差分や演出などをAIに指定してもらうことです。
ChatGPTに感情回路を埋め込んだら、やべぇ感じになった
上の記事でも紹介されているように、chatGPTは適切なプロンプトを設定することで、疑似的に感情を持ったように会話をすることができます。これを応用することで、キャラクターの発言に応じた差分や演出を指定できるのでは?ということで試してみました。
私たちのゲームでは、通常の表情差分に加えて、感情モーション(ぴょんと跳ねたり、横に揺れたり)や感情エフェクト(ご機嫌やムカっというマーク)を指定できるようにしているのですが、会話一つ一つにそれらを設定していくととてつもない作業量になります。
また、表情差分についても主役級のヒロインキャラでは前作ではそれぞれ20種類もの差分を用意していてそれも大変です。
それらの指定のたたき台をAIにしてもらうと、こういった感じになります。
例として、前作のシナリオの一部の指定をしてもらいました。
文字数の関係上、地の文章を含められていないので複雑なニュアンスを含む発言では表層のニュアンスだけしか取れていませんが、大まかにはしっかり意味を取ってくれている感じです。
現状は、ブラウザ版のchatGPTを用いて、そこに突っ込む形にしているので若干の手間が発生しますが、将来的にはスプレッドシートにChatGPTを組み込んで、テキストを書くとそのまま差分が選ばれるみたいな形にやりたいなと思っています。
実はすでに簡単にスプレッドシートにAIを埋め込むプラグインはあって、これもいろいろ試してみている途中なのですが、まだいまいちうまくいっていません。
プロンプトの一部を公開!
これまでご紹介してきた、当サークルでのAI活用用のプロンプトを、無料会員の方に公開しようと思います!
うちのゲーム用にカスタマイズしていますが、他のゲーム用にも修正を加えたら活用できるんじゃないでしょうか。
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今後もAI活用については不定期で更新してこういったプロンプトや活用法などご紹介していこうかなと思います!
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