官能物語 2020/08/24 14:00

母の浮気/51

 聞き間違いかと、良太は思った。母は、久司の思い人が彼の母親だと言った。そんなことがあるのだろうか。自分の聞き間違いでなければ、母の思い違いだろうと思った良太だったが、

「ほら、正直に言わないとずっとこのまま出させてあげないわよ」
「ど、どうして分かったんですか……ぼくが、ママのことが好きだって」

 どうやら、母の言っていることは本当のようだった。 

「ふふっ、久司くんって、お母さんのことを、『ママ』って呼んでるんだ」
「あっ……」
「いいのよ、別に。呼び方は人それぞれだからね。どうして、久司くんがママのことが好きか分かったかっていうとね、そのくらいはね、見てれば分かるのよ」
「悪い子ね、久司くん。ママのことが好きなのに、おばさんとエッチするなんて」
「ご、ごめんなさい……でも、おばさん……」
「なあに?」
「ぼく、本当のことを言いましたから……」
「あ、そうね。じゃあ、出させてあげるわね……あ、でも、そうだ」
「な、なんですか?」
「もう一つだけ聞きたいことがあるんだけど」
「どんなことですか?」
「久司くんは、ママともエッチしたいと思っているの?」
「えっ! ……そ、それは……」
「それは?」
「……誰にも言わないでください」
「もちろんよ」
「……したいと思っています」

 良太は、驚きつつも、驚きすぎはしなかった。久司の母親も美人である。良太だってお願いできるものだったら、お願いしたいくらいだ。

「そうなんだ……あっ、そうだ!」

 母がそこで何かを思いついたような声を出した。

「せっかくだから、わたしのことを、ママだと思ってみたらいいんじゃないかな」
「ええっ!?」
「わたしのことをママって呼んでみて」
「ど、どうしてそんな……」
「いいじゃないの」

 何がいいのか分からない。さすが、我が母である、と良太は、その斜め上の発想力に、感心した。

「でも……」
「そうしないと、このまま出させてあげないわよ」

 それでは、話が違うだろ、と良太は心の中でツッコんだ。きっと久司も同時にツッコんでいたと思うが、口には出さずに、

「……分かりました」

 と素直さを見せた。

「久司くんのママは、久司くんのことを何て呼んでるの?」
「『ひーくん』って呼んでます」
「ふふ、可愛い。うちの子のことも、りょーくんって呼ぼうかな」

 勘弁してくれと良太は思った。そんな呼び方をされたら、悶絶死する自信がある。

「じゃあ、ひーくん。今から、おばさんは、ひーくんのママだからね。わたしのことはママって呼ぶのよ」
「は、はい」

 なんだかおかしなドラマが始まることになったが、それがために返って良太は、二人の掛けあいにいっそう興味を持って、聞き耳を立てた。

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