第144回　昨日の日照雨（そばえ）に芍薬笑う、明日もきっと天気雨

7月最後の記事です

前回は夕方の話をしましたが夏といえば夜を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか
祭りや肝試し等々夏の風物詩として枚挙に暇がありません
短夜ではありますが夜の行事は四季の中で一番多いかもしれないですね

そして夏の夜といえば幽霊や妖怪の目撃が最も多い時間（時期）でもあります

･･･ですが現代の妖怪や怪異は大変そうです
街灯によって夕闇を畏れる人は減るし、脅かそうにも映像技術で目の肥えた人も多そうですし
家電（無機物）が当然の様に喋る（音声ガイド）時代は付喪神に立つ瀬がなく
最近は“人間が一番怖い”というオチの怪談も多く物の怪も口惜しやと嘆いていることでしょう

ですが科学に、医学に、経験に、常識に否定され数千年の歳月を経ても未だ人は瞑々を畏れているのでアヤカシ達は待っているのかもしれないです

いつか人が畏れを思い出す時を
忘却された怨みを忘れぬままに

この恨みはらさでおくべきか、と

盈満の咎忘る逢魔時

7月になり日が長くなってきました
先月末に夏至があったそうなのでまだまだ昼の長い日が続きそうです

それに伴い夕方を強く感じる時期でもあります
夕方のイメージといっても生活区域やスタイルで様々だと思いますが私は何となく物悲しい雰囲気を覚えます

人気（ひとけ）の無い場所に住んでいるせいもあるかと思います
流石に現代社会では狐や狸の化けた人とすれ違うことはないとは思いますが
それでも夕暮れの道に人影をみたら眉に唾を付けて「申し申し」と声を掛けたくなるような場所ですので

迷信と呼ばれるものの中で“唾”はお手軽かつ強力な魔除けです
日本だけでなく他の国でも“唾”が魔除けとなる伝承が残っていたりします

皆様も魑魅魍魎によって非日常に巻き込まれた際は試してみては如何でしょうか？
先人が語り継ぎ今も慣用句として残る魔除けの手法なので試す価値はありそうです