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夜山の休憩所 2024/03/21 08:27

「鎧の半脱ぎ騎乗位」イラストの差分セット+おまけです(2024年3月21日)

カブトあり版の一覧の一部(ピクシブ、ニジエにアップ済み)

カブトなし版の一覧の一部(ピクシブ、ニジエに未アップ)

イラスト投稿 2024年3月21日 オリジナル 鎧の半脱ぎ騎乗位 カブトあり.zip (41.02MB)

ダウンロード

イラスト投稿 2024年3月21日 オリジナル 鎧の半脱ぎ騎乗位 カブトなし.zip (41.74MB)

ダウンロード

ロクに更新していないのに、
いつもご覧くださり、
どうもありがとうございます。

本日、ピクシブとニジエに投稿しました。
上のDLデータはその差分セットです。

データをDLしたら、
アイコンにカーソルを合わせて、
「右クリック」→「すべて展開」。
こうして新しくできた同名フォルダ内の画像を見られます。
DLしたZIPファイルから直接、見ることはできません。

この記事の冒頭の画像は、
DLデータに入っている画像の一覧の一部です。
カブトなし版はおまけです。
投稿サイトにアップしてません。

よろしければ。







・ピクシブ 
・ニジエ 

・PAWOO https://pawoo.net/@kimoriya
 イラストを描いているとき進捗をアップすることがあります。

■リクエストとスケブを始めました。
 対象はテキストと小説・イラストの2つです。※2024年3月現在



 

■これまでこんな作品を創りました。 ※2024年3月現在

「商業ノベル」
●キルタイムコミュニケーション(俗称 KTC) 様
 木森山水道 名義

2023年 ※すべて読み切りです。
・「敗北メス穴テイマーナナ 魔犬獣の躾け交尾」
・「未亡人女王ミルフ 熟れた胎は魔王の苗床になる運命」
・「淫紋悪堕ちマジカル・スズネ リベンジのメ○ガキわからせ」

その他の既刊はこちらです。


●フランス書院 様
 石川檸檬 名義

・「ヤリモク 大嫌いな上司の妻と排卵日セックス」
・「ギャル姉は妹から彼氏を寝取りたい」
・「ハツハメ 内定と引き換えに恋人の父に捧げられる晴れ着姿」
・「ハメクリ ビキニサンタ姿で夫の部下にハメられる人妻のメリークリスマス」

その他の既刊はこちらです。



「同人」 ノベル、CG集など色々創りました。
※「夜山の休憩所」名義。店名をクリックしてもらうと、既刊一覧へ飛びます。
※お店によって品揃え、セール時の割引率が異なる場合はあります。

●FANZA 様
●DL.site.com 様
●メロンブックスコム 様 
●デジケット・コム 様 


●amazon 様 
※すべてキンドル専売品です。
※基本的にはイラストは表紙だけのノベルです。
※木森山水道、石川檸檬、石川れもん 名義。
 作品の傾向に合わせて使い分けています。

・「マーメイドが溺れる夏」
・「ばつゲーム」
・「ハニトラ・ワイフ」
・「たばかりギャル」
・「バレンタイン・キッスのユクエ」
・「魔滅の巫女」
・「ギャル義母の成人式」

既刊一覧はこちらです。綺麗な一覧でなくてすみません。


■その他のアクセス
・X 
・ブログ

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夜山の休憩所 2022/12/16 06:04

「気の強い美妻 ゲス重役とのホワイトクリスマス」立ち読み版(2022年12月16日)

いつも応援ありがとうございます。
今月に専売が終了した作品を再販しました。
下に内容の一部を掲載しております。
よろしければご鑑賞ください。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「そろそろ、世のカップルらもベッドインする時間。わしらも加わろうじゃないか」
(ごめんなさい旦那さま……)

夫を守るため、〝性の六時間〟にゲス重役にカラダを許す人妻。
ミニスカサンタへの着替え強要を皮切りに、
豊満な双乳から弄ばれる。
もっとも守るべき場所にも猛々しく押し入られ、
さらに先の深奥すら灼熱の種汁に浸食されていく。

〝オンナの業〟に巧みにつけ込む百戦錬磨の快楽責めの前に、
強固な心のガードも弱体化の一途を辿る一方。
背徳のホワイトクリスマスのたけなわに行う、
気の強い美妻の選択とは……。


「製品には次のものを同梱しています」
 ・画像版(JPEG画像。おまけ4コマ含め100枚超え)
 ・PDF版(一般の小説と同じく右→左へ進む形式。しおり設定あり)

「体験版、立ち読み版掲載サイト」※お店の商品ページからはデータ版をDLできます。
 ・ピクシブ(「縦書き」で読めます。設定などは不要です)
  https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=18910711
 

「お取り扱い店様」
・DL.site.com 様 税抜き500円です。

・FANZA 様 税抜き400円です。



※この作品は他のお店の専売品として昨年リリースし、
 現在はお取り扱いが終了している同名作品に
 「おまけ4コマ」を追加した改訂版です。





     1
 
 雪がしんしんと降り積もるホワイトクリスマスとなったその日の夜、柊美奈(ひいらぎ みな)の姿は郊外のラブホテルにあった。
「いい加減教えてください。夫にかんする重要なお話というのは、なんなのですか、南野(みなみの)部長」
 結婚指輪が光る三十二歳は、キングサイズのベッドに腰掛ける五十一歳で会社の重役である富夫(とみお)を詰問する。
「クリスマスにも残業しなくてはならない夫が帰宅したら、精一杯のもてなしをして癒やしてあげたいのです。いつまでも家を離れられません」
 男女が性行為に耽るための室内の造りは豪奢で、時期に合わせてクリスマスリーフなどの飾り付けがされていた。もしも夫と訪れていたら気分は上がって、普段はあまりしない大胆なプレイもしてあげていたに違いない。
「では奥さん、落ち着いて聞いて下さい」
 スーツ姿のすだれ頭は、もったいぶった口をきく。
 夫の一大事をチラつかせ、部下の妻をこんな場所へ連れこむ性根が表れた脂ぎった顔は、薄笑いを浮かべている。人と話すというのに、目はカラダを這っていた。
 いくら嫌悪と軽蔑の視線を投げかけても、コートとロングスカートを大きく突き出す胸元とヒップを、目線で撫で回しつつ告げる。
「あなたの夫の進くんには、横領の責任をとってもらうことになりました」
「い、今、横領と仰ったのですか!」
 エアコンが効いて温かい部屋から一瞬で、雪が降り続ける外に放り出された心地になって、足下から崩れ落ちた。
「お気の毒ですが、奥さんの聞き間違いではありません」
 中年の重役は、ショックを受けた人妻に、サディスティックな笑みを浮かべている。口調も酷薄で、手を引いて慰めようという素振りもない。
「勘違いしないでいただきたい。進くんが違法行為を働いたのではありません」
「で、ですよね……はぁ……うちの人は、真面目で誠実な……夫としても人としても尊敬できる男性です。犯罪に手を染めるなどありえませんわ」
 胸をなで下ろすものの、腰が抜けてまだ立てない。
 ヒダの長い絨毯にへたりこんだまま、気になって仕方がないことを訊ねる。
「ならどうして、夫に横領の責任をとらせるなどと……」
「やったのは彼の部下でしてね。部下の不始末の責任は、本人だけでなく上司もとるべきでしょう」
「それは……」
「残念なことに被害額は莫大です。故に責任も重大。彼に弁償してもらうことはいたしませんが、ケジメとして辞めていただくことになりそうです」
「まさか! 夫はまだ二十八歳なんですよ? 上司といっても立場は係長の下のチーフ程度。なのに、そこまで重い処遇を受けるだなんておかしいですっ」
 怒りのあまり、すっくと立ち上がった。
 夫が仕事に傾けている熱意は、ずっと支えている妻は分かっている。
 生きがいと言っても過言ではないことを他人のミスで奪われたら、どこまで落ち込むか見当も付かない。立ち直れず、廃人のようになる可能性だってある。
 考えれば考えるほど、胸が締めつけられて寒気がした。
 近頃、残業が多く、クリスマスの今日ですら仕事をしているのは、この件と無関係ではないだろう。青い顔をしていても、心配をかけさせまいとカラ元気を出して接してくれている健気さも、改めて心に染みた。
「これは内定事項でしてね。ことがことだけに内々に済まされることですが、年明けにも、彼に伝わる手はずです」
「内定ということは、まだ覆る余地があるのではないですか? 南野さんが働きかけてくだされば、再考してもらえるはずです。どうかお願いしますっ」
 なりふり構わず絨毯に手を着き、額を擦りつける。
「フフフ……奥さんは、重役であるわしの影響力をよくご存じなのですね。なら、話は早い。ご自慢の旦那さんは確かに優秀。失うのは惜しいと思っています」
 夫にとって好ましい言葉に、妻の顔が上がる。
「しかし、会社の方針に逆らうとなると、相応のリスクがありますからな。それに見合う報酬が欲しいものです」
「も、もちろん……わたしに差し上げられるものでしたら……なんでもお渡ししますわ……ッ」
「では奥さん……今年のクリスマスは……旦那さんの代わりにわしと過ごしてもらえますかな? もちろん、熱愛夫婦としてねぇ」
 ゆっくり背後に回った重役はしゃがみこむなり、土下座のポーズで突き出されている、人妻のお尻を撫であげた。
「なっ……この不埒者!」
 瞬時に切れ長の目がつり上がり、弾かれたように立ち上がった。
 あっけにとられて目を剥く中年の手を取り、刹那で床に組み伏せる。
「いくら夫のことを持ち出されても、ラブホテルなんかにノコノコついてくるものですか。なにかあったときに切り抜けられる自信がなければねっ」
「あいたたた……ぼ、暴力はよせっ……こんなことをしても、夫のクビは覆らないぞッ」
「……この古狸っ」
 忌々しいが卑劣漢の言うとおりだ。
 悔しさの溜息を吐き、拘束を解いてゆっくり離れる。
「ふぅ……寿退社して家庭に入り何年も経つのに、気の強さと護身術は相変わらずか……いやぁ実にまいった」
「そっちこそ、ゲスな性根は治ってないのね。むしろ磨きがかかっているわ」
 汚らしい取引を持ちかける相手に丁寧語を使う気にはなれない。
 しかも相手は在職中も、権力を笠に着てセクハラ同然のことを何度もしかけてきた最低最悪の男なのだ。
「交渉は不成立ということでいいんだね? 夫の生きがいより妻としての貞操をとるとはご新造の鑑だよ」
 蓮っ葉な言葉づかいをしても、ゲス重役は咎めなかった。
 自分も取り繕うのをやめて言ってくる。
「認めたくないけれど……聞こえてくるあなたの影響力は本物。夫のことを取りはからってくれるというのも期待できるわ……だから……」
 身を焼かれる思いをしながら、しょう然と頭を下げる。
 不埒者とののしって組み伏せた男に、コートのカラダをくの字に曲げ、深々とお辞儀をする人妻の様子に、彼の口角が汚く上がった。
「では、わしらはこれから、一夜限りの夫婦だぞ」
 卑劣な重役は微塵も、良心の呵責に苛まれない。
 それどころか心底楽しげに、スーツの股間は盛り上がっていた。

     2

「こ、ここで着替えろと言うの? しかもこんな衣装に……ッ」
「きみの魅力を引き立てるのを第一に考え、このわしが用意したプレゼントだ。クリスマスという特別な日の夫婦の営みは、きっと充実するだろう」
 渡された包みを開けるなり食ってかかった美奈だが、ベッドに腰掛ける富夫は意地の悪い笑みを浮かべるだけで取り合わない。
 彼は既に服を脱ぎ散らかし、全裸になっていた。
 少しお腹が出ているものの、すだれ頭の汚らしい中年顔のわりに、大柄で筋肉質な身体は一〇歳は若々しい。足を開いて股間を見せつけ、屹立する逸物を見せびらかす趣味の悪さにはついて行けず、人妻はすぐに目を逸らした。
「さあ、早くしたまえ。そろそろ、世のカップルらもベッドインする時間。一年で最も、セックスが行われるという時間帯だ。わしらも加わろうじゃないか」
 下劣な重役の脂ぎった目が下品に光る。
(やるしかないようね……)
 夫を救うためには、言うことを聞く他ない。
 愛する男性以外に、着替えを見せることも、手ずから選んだという衣装を着てやることもしたくないが、避けられないのだ。
(ごめんなさい旦那さま……)
 深呼吸して覚悟を決め、渡された包みを一旦置いた。それからまずは、コートを脱ぎにかかる。
「おおっ、始めおった」
 夫と一緒に選んだお気に入りの身頃を開きながら細腕を抜き、背中と肩のラインに沿って厚い生地をすべらせる。
「うほほ、いかにも貞淑な人妻という感じの服装だな」
 最初の結婚記念日にプレゼントされた真珠のネックレスと、純白の縦セーターと、薄ピンクでヒダが多いロングスカート姿に、何度も頷く。
「身体のラインを見せる被服ではないのに……くぅっ、オッパイも尻も、一目でわかるほどせり出しているぞい」
 厚着でも隠せない、熟れたセックスアピールを目の当たりにして、中年の鼻息が荒らいでいる。
「他人の妻に脱衣させているのに、よく喜べるわ」
 ネックレスを外して大切に床へ置きつつ、睨みつける。
「だからこそ興奮するのが男心だ」
「男代表みたいに言わないで。わたしの旦那さまは違うんだからっ」
「わしのアプローチを何度も袖にしておきながら、あんな若造と結婚するのだからきみも物好きだ。お陰でこうしていられるのだがねぇ」
「フン……だ」
 下劣な中年の強烈な視線にさらされていると、厚着をしていても下着姿で放り出されたみたいな心細さを憶える。
 憎まれ口を叩いて紛らわそうとしても、性格が最悪でも重役まで昇りつめた百戦錬磨の舌でイヤなことを意識させられた。
 いつまでも誤魔化せないだろうし、口元を引き結んで両手を伸ばす。
 豊満なバストの下でクロスさせ、裾の端を掴むと、肌に沿って引き上げていく。
「おほっ……きたきた……待望のナマ肌が見えてきた」
 両手を握りしめて息巻く中年の前で、夫にしか見せてはいけない人妻の柔肌が露出していく。
「んっ……あんまり見ないでよね……調子が狂うわ……っう」
 緊張して脱衣がスムーズにいかない。
 胸元で引っかかってしまった。
 何度か深呼吸して自分を落ち着かせてから、えいっと力を強めて一気に上げる。
 セーターは瞬く間に脱げ、引きずられたブラジャーの胸元が大きく弾んだ。
「ほぉ……やはりオッパイは抜群に大きいな……強気な奥さんに似合う、セクシーなブラはよく似合ってるわい」
 セーターを手からも抜くために、少し前屈みになるや、胸元が小さく揺れた。
 三十二歳の人妻の双乳は、どちらも大人の顔よりも大きい。
 シミひとつなく血色のいい巨乳が纏う下着は、黒いレースのランジェリーで、バラ模様が乱舞している。
「女のバストは見世物じゃないわよっ……少しは遠慮したらどう?」
「ずっと見たかったものを我慢するなど馬鹿馬鹿しいからねぇ」
「娘くらい歳の離れた女のオッパイに夢中なんて、信じられないわ」
 性根の汚らわしさに我慢できずに睨みつつも、前傾してスカートのホックを外しにかかる。
 押さえがなくなったら両サイドに指を入れ、脚のラインを滑らせた。
「お、おほぉっ、とうとう下まで……!」
 片足ずつ上げてスカートを完全に脱いで現れたのは、ブラジャーと揃いのショーツだった。三角形のフロントはだいぶ面積が小さい。ヒモみたいに細いサイドは斜めに伸び、腰骨の辺りに引っかかっている。
「ここまで色っぽいとは……ッ」
 とうとう中年は身を乗り出す。
 セクシーなショーツが貼りつく陰部はふっくらと盛り上がり、縦長のおヘソの周りのお腹も、柔らかく引き締まっていた。それでいて、クビレはハチみたいに細く、巨乳に引けを取らない、ボリュームたっぷりのヒップの量感を強調する。
「このオマ×コに早くチ×ポを突っこみ、股間をぶつけまくって、具合を確かめたいものだわい」
「くっ……ほんっと穢らわしいッ……吐き気がするわッ」
 見ないようにしている汚らしい男根が、視界の端でしきりに跳ね回っている中、真っ赤なガーターストッキングを順番に外し、パンプスも脱いで、落としてきた衣類の側に置く。
 人妻はとうとう、夫以外の男の前で下着姿になってしまった。
「いい格好になったな奥さん。見れば見るほど、いいカラダしてるなァ」
 両手で胸を抱くポーズで険しい目を向けてくるのを、余裕の態度で見返し、改めて目で全身を舐める。
 バストは女の細腕やわきの下から悠々とはみ出し、ヒップもクビレから大きくせり出していた。それでいて、どこを見てもシミもキズもひとつもないのが申し分ない。
 何年も焦がれた、奇跡の塊みたいな女体を好きにできると思うと、いてもたってもいられなかった。
「すぐに押し倒したいところだが、まだ下着以外の服を脱いだだけ。わしが用意したコスチュームを着てもらおうか」
「わ、わかってるわよ……うぅ……こんなもの……どこで売っているの?」
 腰を折ってバストを垂らしつつ、包みの口に手を潜らせた。
 被服のひとつを取り出す。
 ひとつめはブラジャーだった。
 真っ赤な帯状の布地で、片側は純白のファーで縁取られている。
「ほんと悪趣味……この歳でチューブトップを着けることになるなんて……ん」
 大きく張り出したバストのトップが隠れる位置に持ってきて、ゆっくり巻き付ける。
「レースのブラは外さないのかね」
「コレを上から着けた後よ……んんっ……旦那さま専用のわたしのバストを、簡単に見せてやるものですかッ」
「無駄な抵抗をするものだ。でもいい。楽しみが増えた」
「っう……このブラ……サイズが合わないわ……少しキツイ……」
「大きめのを用意したというのに、小さい? 予想以上の巨乳なのかッ」
 豊胸ぶりを改めて知らされ、興奮は高まる。
 中年は固唾を呑んで着替え鑑賞に没頭した。
「くぅっ……こんなに着替えに時間をかけるのは初めてよ……えいっ」
 面長な美貌に汗をかいてようやく着けた後、最初から着用していたレースのブラを苦労して外す。
 すると、小さいチューブトップは、横倒しした釣り鐘みたいな巨乳の先端に食いこみ、段差のカゲが生じた。
「顔より大きいオッパイに、チューブトップが食いこむ様子も堪らんわい」
 上がった歓声に人妻がイヤそうに顔を背ける。
「むほほっ、これはすごい!」
 新しいコスチュームをとるために包みに向かって上体を倒したら、中年の鼻の下がまともにのびた。
 巨乳は重力に引かれ、紡錘形に変わっていた。
 釣り鐘を逆さにした形でありながら、はちきれんばかりに丸く膨らんで、抜群の量感と熟れた色気を醸し出している。
「しつこく見ないでよっ……こんな恥ずかしい姿は、旦那さまにも見せたことはないんだから……」
 言っても無駄だとは分かっているが、釘を刺さずにはいられなかった。
 しかし案の定、中年は一段と強い視線を双乳に浴びせてくる。
「いやだわ……なんだかヘンな気分になってきた……」
 視姦されているのを意識させられればさせられるほど、胸の奥が妖しくざわめく。いやらしい弱い痺れも起こって、落ち着かなかった。
「もう……最悪……」
 最低の男の評価なのは分かっているが、旦那さまに喜んでもらうために、手入れを欠かさず美しく保っているカラダを称えられて、無意識に反応してしまう。
「あんな奴を喜ばせるなんてうんざりよ……早く終わらせたいわね」
 摘まみ上げたスカートのサイドを持って、片足ずつ入れていく。
「んぅ……やだ……これも少し小さいわ……キツぃ……んんっ」
 ムッチリした太ももの半分辺りで引っかかったのを、汗をかきながら強引に上げて、熟れた水蜜桃の輪郭をズリ上がらせる。
「ほほぅ……スカートも合わないとは……尻も見た目以上に大きいらしい」
 中年の目が野卑に輝く。
 裾がファーで縁取られている、真っ赤なマイクロミニのタイトスカートを穿き、鈍く黒く光る革ベルトも締めた下半身からは、艶めかしくムチムチした太ももが伸びている。長く均整が取れている美脚なので、色っぽさはひとしおだ。
「どんな肉の感触か、早く確かめたいものだ」
 ひとりごちる中年を無視して、人妻は残りの衣装も身につける。
 包みから順番に、肘よりも長くて指のところが抜いてある網グローブと、揃いの網タイツ、それにサンタ帽子を取り出して、しかめっ面で装着していく。
「これでいい? ショーツはないけれど」
「ぜんぶわしのコーデにするのもいいが、ひとつでも、夫を喜ばせるためのものを身につけさせるのもいいからなァ」
「……ほんと悪趣味だわ。実直な旦那様が大ピンチに陥って、こんな奴が権力者としてのさばっているだなんて、世の中理不尽よ」
「ずっと狙っていたきみと、一夜でも夫婦気分を味わえるんだ。世の中は満更でもない。妻として、同じ気持ちを分かち合わせてあげよう」
「考えが共通するようになるなんて、ありえないわ」
 この期に及んでも反抗的な人妻だが、弱みを握られているのは変わらない。「両手を頭の後ろに組むんだ」という指示にも、イヤイヤにだが従う。
 意味を察し、嫌悪と屈辱で震える両手をのろのろ動かし、言われたポーズになると、中年の鼻の下が最高に下がった。
「おおおッ、想像以上に見事なカラダだ」
 サンタ帽子が決定的だが、平ゴムみたいに幅の狭いチューブトップと、太ももの間からお尻の膨らみが見えるほど丈の短いスカートは、サンタクロースをイメージした破廉恥衣装だ。
 アダルトな網の長手袋とタイツの組み合わせといい、カラダを守るという服の本来の役目よりも、男を喜ばせるために女体を淫らに彩るという、下劣な目的で生み出されたものとしかいいようがない。
「少し猫背になっているぞ。背筋を伸ばし、オッパイを突きだして、もっとよく見せるんだ」
 命令慣れした重役らしく、横柄にいやらしい指示を飛ばしてくる。
「こんな恥辱は初めてよ……ッ」
 目を合わせて睨みながらも、全身を震わせて言うとおりにする。
 ゆっくりしたにも関わらず、まだハリが強い双乳は三、四回小さく揺れた。
 結婚してから数年経っても、夫と熱愛している人妻は、彼の助命と引き替えにカラダを要求してくる鬼畜の言葉に沿い、ミニスカサンタコスチューム姿を見せている。
 柔らかく肉がついても体型にはメリハリがあり、乳房と双臀は抜群に脂が乗っている三十二歳の女体を、見下げ果てた男の欲望を満たすために使っているのだが、鑑賞物を演じるだけで終わるわけはない。
 見たくもない重役中年の股間からは、長大な勃起がそそり立っている。
 クリスマスの夜は、まだ始まったばかりなのだ。

     3

「むふふ……近くで見ると、一段と大きいじゃないか」
「ッ……人妻のバストをなんだと思っているのよ……っ」
 美奈が自分の用意したミニスカサンタコスチュームに身を包むと、夫の助命と引き替えに妻のように振る舞い、カラダを好きにさせろと要求してきた会社の重役の富夫は、ベッドから降りて正面に立った。
 彼女はモデルみたいに背が高いが、中年はさらに大柄だった。
「う……臭い身体を近づけないでちょうだいっ」
 やや腹は出ているが、すだれ頭が似合う下卑た顔の割りに、筋肉質な肉体からは、キツイ加齢臭が出ていた。
 意識して嗅がなくても鼻腔をくすぐられて、胸の奥が不快にざわつく。
「男の体臭は、皆こんなものだろう」
「旦那さまはいつも清潔感があるわ。男臭さもいい匂いよ。あなたと一緒にしないでちょうだい」
「むだ毛は念入りに処理しているよ。オンナの肌を味わうのに邪魔だからなァ」
「汚らしい動機じゃ台なしよっ」
 悪態をつく人妻だが、命令に逆らえないのは忘れていない。
 今も頭の後ろで手を組み、夫専用の豊満な乳房を卑劣中年に向かって突きだしている。
「こんな状況でも気の強いことだ。オッパイがますます美味そうに見えるわい」
 加齢臭漂う大きな手が両方とも動き、双乳に触れた。
「う……とうとう……」
 丸く膨らむ上乳に両方の手の五指が軽く密着した瞬間、不快な電気が湧いた。
 嫌悪感から自然に片眼が閉じて、口元が引き結ばれる。
「ほうほう、こいつは」
 中年の方は正反対に上機嫌だった。
 太くて硬くてゴツゴツしている両手の指を器用にバラバラに動かし、シミひとつない柔肌を撫でてくる。
「絹みたいにスベスベじゃないか。低めだが、伝わる温もりも手に心地いい」
 指の腹を使った、触れるか触れないかのタッチでデタラメにまさぐる。
 これだけでも、手指には痺れる性感が湧いた。
 もっと味わいたい欲求も起こり、撫で回すのがなんとも楽しい。
「んっ……見かけによらず……繊細な触り方じゃないの……」
「期待するといい。一夜夫となったわしは確実に旦那よりも上手い。たっぷりと、性の快楽で狂わせてやろう」
「あんたみたいな鬼畜に犯されてよがるなんて、ありえないわ……ん……調子に乗っても恥をかくだけよ……ぅん……」
「それはどうかな? ほれほれ」
「んん……うぅ……はああ……」
 ねちっこく触られているうちに、乳房の体温が上がってきた。
 湧き続ける痺れはむず痒さめいてくる。
 落ち着いていられなくなり、気付くと身体が揺れていた。
「おや、もう感じてきたのかな?」
「そんなわけないでしょ……ん……触られても気持ち悪いだけなんだからっ」
 反論するが、火照りも仄かな性感も高まるばかり。
 無視しようとしても、カラダは別に意志を持っているみたいに昂ぶっていく。
「上ばかりでは物足りないだろう。下もちゃんと可愛がってやるぞ」
 両手とも、先端に向かって上乳を滑った。
 そのままチューブトップも進んで、球技のボールみたいに丸く下ぶくれする下乳のラインをさすり始める。
「はぁぁっ……な……なにごと……っ」
 上乳を触られていたとき以上の快感電気が乳房を貫いた。
 小さく揺れていたカラダは弾かれたみたいに背伸びする。
「うっ……やだ……こんな……ッ」
 中年の手と密着しているというのに、下乳が気持ちよさそうに痙攣する。
 無理矢理手込めにされている女の反応ではない。
 恥ずかしくて頬が紅潮した。
 スッキリした両頬には、夫について話があると言われて外出したときにした化粧がまだ残っており、室内灯を反射して艶やかに光る。
「ほほぅ。上よりも下の方が好きと見える。もっと弄ってあげよう」
「ふ、ふん……勝手に勘違いしてればいいのよ……く、うぅっ」
 鬼畜を調子づかせないためにも、操を守るためにも、これ以上、恥ずかしい反応も声も上げられない。
 密かに歯を噛み縛り、あえぎ声をとどめにかかる。
「思い違いはそちらだろう。そろそろ、本格的にオッパイ肉の具合を教えてもらうよ。それがてら、可愛がってやるというのだ」
 まさぐるのをやめ、手からもはみ出すサイズの下乳の中心を、軽く摘まんだ。
「おお……年相応に柔らかいが、ハリも強いな。この反発力も心地いいぞ」
 位置を変えて感触をみるが、どこも遜色なかった。
 気の強い人妻の下乳は、いずれの場所も柔らかくて弾力があって気持ちいい。
 摘まむだけでは満足できなくなったら、はみ出すのも構わず鷲づかみにし、両手の五指を食い込ませた。
「うぐぅぅぅぅッ……あああ……はあぅぅぅッッ」
 迸った乳悦に、噛み縛った口元がほどけかけた。
 なんとか恥声をこらえたものの、外出の際に真っ赤な口紅を塗った厚い唇はヒクヒク痙攣している。
 自然に背中が反れた弾みで、チューブトップに引き締められている豊胸も二、三回波打った。
 ハリの強い乳房は粘っこい波紋を広げた後に、定位置に戻る。
「奥さんは、下の方が好きなんだね?」
 声を抑えられたとしても、カラダは露骨に反応してしまったのだ。
 気付かない方がおかしい。
 弱みを把握した中年は、優しく指を埋めこんでは、力を抜いて元の形に戻す揉みこみを繰り返す。
「何度やっても、手のひら全体が蕩けて気持ちいいわい。奥さんも、そうなんだろ? ん?」
 分かっているくせに訊ねてくる。
 話しかけている間も愛撫は精密で、一瞬も乱れない。
(ああっ……そんなに繰り返されたら……ぐぅぅぅッ)
 揉まれるリズムに合わせて乳悦が迸った。
 鋭くて尾を引く性感は、愛撫されればされるほど大きく濃密になる。
 カラダからは力が抜けて、双乳は震えっぱなしだった。
「おや、乳首が勃ってきた。こちらも可愛がって欲しそうにしてるじゃないか」
 下乳を執拗に揉みたてながら、熱く重たくなってきた頂を横目で見てくる。
「ああぅッ……ちょ、ちょっと……ッ」
 見れば、真っ赤な布地ごと太く屹立している。
 ブラジャーはコットン質だが、肌着よりも水着に近い厚みがあった。
 なのに、見間違えようがないほど長く幅広くそそり立っているのも、絶対に見られたくない最低男に見られているのも恥ずかし過ぎた。
 このうえ、触られるだなんて。
「はあ……はあ……ま、待ちなさい……っ」
 認めたくないが、性格はともかく女の扱い方は上手くて慣れていると言うほかない。
 少し触っただけで、嫌悪しかない女の乳首を勃起させたのだから、相当だ。
 そんなテクニシャンに、乳肌よりも敏感な場所に目を付けられたと思っただけで、背筋が寒くなった。
 十中八九、乱れてしまうに違いない。
 もしかしたら、オッパイだけでイカされることだってありえる。
「あああ……やめて……そこだけは……ああん」
 心臓がドキドキと早鐘を打つ。
 はしたなく早まる呼吸音が、耳の裏に聞こえてきた。
「大人しく、頭の後ろで手を組んでいるんだ」
 中年は低い声で釘を刺す。
(で……でも……ぉ)
 醜態をさらすのが目に見えているのだ。
 なりふり構わず中年の手をとってひねりあげ、妻の矜持を守るべきではないのか。護身術の腕前がさび付いていないのは、ついさっき確認したばかり。やる気になれば簡単だ。
 しかし、実行して愛撫が終了したらと思うと、今まさに、触れられようとしている乳首が切なく疼いた。
 脳裏には、上手にあやされてよがる自分の姿が浮かぶ。
(だ、だめよぉ……わたしは旦那さまの妻なのよ? こんな鬼畜のオモチャにされるのを望むなんて、いけないわ……)
 心が揺れ、心臓がメチャメチャに弾み、意識がときどき途切れる。
 何時間も惑乱していた気分だが、実際はほんの数秒だったのだろう。
 気がつくと、中年の汚く太い指が無防備な頂を挟んでいた。
「オッパイだけじゃなく乳首も相当ぶっとそうだねぇ」
 親指と人指し指で根元から摘まみ、優しく押しつぶしては力を抜いて元の形に戻すのを繰り返す。
「ぐぅぅぅ……んあああっ……はあああぁぁんんん」
 鋭くて濃密な快感電気に貫かれ、とうとう口元がほどけてしまう。
 あられもなく上がった嬌声は、敗北の証だというのに、自分で聞いても蜜みたいに甘く、耳たぶまで真っ赤になった。
「気が強くても、他のオンナのように乳首も好きなんだな」
 汚く相好が崩れたすだれ頭は、ここぞとばかりに責めたてる。
 感触を確かめるみたいに摘まむだけでなく、慈しみが感じるほど優しくよじりもする。
「オッパイもよかったが、先っぽの感触も素晴らしい。コットンの布地越しだが、グミみたいにプリプリしていて、摘まみ心地は最高だぞ」
 大きいブドウ粒みたいに太く長く充血した内部がざわめき、気持ちよさそうに脈動するのが伝わるのも心地よかった。
「乳首だけでは気の毒だ。オッパイも触って、もっと気持ちよくしてやろう」
 下乳をさすりつつ、伸ばした親指の先で乳首を転がす。
 別の手は横から乳房を鷲づかみにし、ブラジャーを隔てた上と下に指を食いこませた。そのまま肉釣り鐘の芯まで揺すぶってやる。
「はああ、いやぁっ……ンンン……そんなにされたら……はあぁンン」
 反抗的に尖っていた声がまるくしどけなく乱れている。
 口紅で真っ赤な唇は半開きから閉じなくなった。
 呼吸は乱れ、せわしなく吐く息は熱くて湿っぽい。
(ああぁ……このままだとほんとに……オッパイだけでイカされちゃうッ)
 信じられないが、オーガズムの気配は近づいている。
 乱暴されているのにオンナの至福に昇り詰める生き恥をかいてしまう瞬間が、刻一刻と近づいている。
 下劣な中年は愛撫を少しも間違えない。
 好き勝手に、あるいは乱暴に扱っている風に見えても、双乳は切なく張り詰めて、爆発の瞬間に向かって距離を詰めさせられている。
「い、いやっ……あああん……許して……ああンン」
 サンタ帽子ごと髪を打ち振る。
 愛する旦那さま以外の男に果てさせられるなど絶対にイヤなのに、カラダは心から離れて絶頂へひた走る。
 頭の後ろに組んだ手で、中年をねじりあげる気持ちも湧かないのは悲しかったが、胸の奥の妖しいざわめきと爛れた痺れに乗っているのは、妙に心地よかった。
「ああ……もう……い、イク……ああん……オッパイ、イクぅッ」
 観念したミニスカサンタ妻の声が、クリスマス仕様のラブホテルに艶めかしく響いた。

     4

「え……っ」
 このままでは確実に達すると思った瞬間、美奈の乳房から富夫の手が離れた。
 双乳は粘っこく弾み回った後、自然な位置に落ち着く。
「地声は女優みたいに低くて澄んでいるが、いよいよというときは、可愛く甘く啼くんだねぇ」
 中年にニタニタ笑われて、羞恥と屈辱で顔が熱くなった。
「夫の前でも、そうなのかい?」
「教える義理はないわっ」
 目を合わせていられなくて、顔を背ける。
 恥ずかしくて堪らなかった。
 仕方なくカラダを明け渡しているのに……あれだけ反抗的な態度をとっていたのに、痴態を目撃されるなんて。
 だが、カラダの反応は違った。
(うぅ……どうしてこんなに……疼くのよ……ぉ)
 絶頂をお預けされた双乳は、切なく腫れ上がっている。
 乳頭は特に酷かった。
 じっとしていられず、自然に胸元がくねってしまう。
 やたら熱くて、汗ばんで不快で、おまけに窮屈。チューブトップをすぐに脱ぎ捨てたい気分だ。
「少し触っただけでイキかけるとはねぇ」
 気がつくと、中年は背後に回っていた。
 五十一歳の割りには筋肉質だが小汚いカラダで密着してくる。
「いくらわしが上手くても、感じすぎだ。しかもきみは人一倍気が強いのに……であれば……ひょっとして、欲求不満だったのかね?」
 なめらかな背筋に自分の前半身を思い切り押しつけ、がら空きのわきの下から太い腕をとおし、双乳の下ぶくれに再び触れてくる。
「近頃の夫は残業漬け。寂しい思いをしていて当然か。どうだね、図星だろう」
「か、勝手なことを言わないでっ」
 首を少し巡らせ、横目で睨みつける。
 確かに、夫と過ごす時間は減ったが顔を合わせたら優しい言葉をかけてくれる。仕事中でも時間を見つけて、SNSで連絡もする。
 夫として妻を気遣ったり尊重したりする姿勢は健在なのだ。
「わたしたちは、心で通じあっているの。不満なんてないわっ」
「ほほぅ……その言い方からするとやはり、セックスはご無沙汰らしい」
「ッ……それが……なに……よっ」
 気丈に言い返すものの、声は震えてしまった。
 指摘は当たっている。肌身を重ねて愛しあう機会はもう、月単位でない。
 実を言うと、健康的な三十二歳のカラダは、ときどき性欲をもてあます。
 努力して美しく保っていても、メスとして見てもらう悦びからも遠ざかっているから、ゲス中年の賞賛にもはしたなく反応してしまう。
「安心するがいい。今夜のわしはきみの夫。不甲斐ない年下の旦那に代わり、たっぷり満たしてやろうじゃないか」
「い、いらないわっ……間に合ってるんだから……くぅぅぅッ」
 下乳を鷲づかみにした男臭い手が、瑞々しい双乳を捏ね始める。
 これまでとは違う荒々しい愛撫で、人妻の豊胸を揉みくちゃにする。
「あああっ……また下からだなんて……ふぐぅぅぅッ」
 今度こそ、恥声を抑えようと歯を噛みしめたが、半分洩れてしまった。
 今しがた、絶頂寸前まで昂ぶっていた乳房は敏感だ。
 汚らしい男の手でオモチャにされていても、悩ましい性感が湧く。
 巨乳は甘い痺れで満たされ、赤く染まりだす。
「背後から揉んでもやはり、抜群に大きいな。サイズはいくつだね? 着衣状態のを見てつけたわしの見当を軽々越えたからには、もう訊ねるしかない」
「わたしの旦那さまを気取るなら、んんぅ、下品なことを言わないで……あふ」
 恥知らずにも、汗をかき始めた乳肌を恨めしく思いつつ、反抗する。
「感じまくってるくせに生意気な。では、言う気にさせてやろう」
 片手で下へ目一杯引っ張り、反対の手で逆に天井に向かって思い切りすくい上げる。
「ふあああ……ああ……い、いやぁっ……はああアアアッ」
 淫らに鋭敏な双乳に、今まで以上の悦楽が湧いた。
 我慢しようとしたが顎から力が抜けて、明け透けなよがり声が響いてしまう。
(ああぁ……どうしてこんなに……感じちゃうのよ……ォ)
 女性のシンボルを互い違いに伸ばされるなど屈辱的だというのに、意志に反して乳悦が止まらない。
 引っ張られて伸ばされている間中、乳房の内部で濃密な性感が駆け巡っている。
「ぶっとく勃起した乳首も弄ってやろう。ほれほれ」
 持ち上げた方の手を強引にチューブトップの下にねじこみ、探り当てた頂の突起を摘まんでひねった。
「い、いま、そっちもされたら……ああッ、ひぃ、あひぃぃぃッ」
 双乳に起こっているのとは別次元の、鋭くて強烈な快感電気が迸った。
 頭の中が真っ白になり、耐える気持ちも吹き飛ばされ、明け透けな絶叫をしてしまう。
「おおッ、思いもしなかった凄まじい声が出たぞ。気が強くて澄ました顔をしている奥さんも、そんなケダモノじみたのを出すのか。夫は知ってるのかね?」
「ああん……知らないわ……あひぃぃンン……わたし自身、初めて聞いたんだからァ……あひぃンンン」
 性感が強すぎて、つい正直に答えてしまう。
 乳首を改めてねじられる度に、背筋が勢いよく反れる。
 勢いで巨乳も波打って、肌に浮いた汗が体臭と一緒に飛び散った。
「では、スリーサイズも教えてくれるね」
 手首のスナップを効かせ、他の指で掴んでいる乳房ごと、摘まんでねじった乳首を揺すぶる。ブラがわずかに外れ、乳輪がかすかに見えるまで床へ向かって肉果実を引っ張る手も揺らして、快感振動で責めたてる。
「はああ、それダメぇっ、あン、乳首もオッパイも、ああ、感じすぎちゃうっ」
「スリーサイズを言わないと、イクまで続けるぞ。一夜夫のわしにイカせてもらいたいのか?」
「い、イヤっ……言うわ、言うから、オッパイ、イカせないでぇ、はあはあ、旦那さまのために抱かれているのに、イッてしまったら顔向けできないわよぉ」
 柳眉がたわんだ顔でサンタ帽子ごと髪を振った後、潤んだ瞳で告白する。
「ああん、う、上から、ひゃ、一〇三、六十九ぅ、九十九よっ、ああンン」
「オッパイのカップも言うんだ」
「じぇ、じぇい、はああんっ、Jカップぅッ!」
 正直に答えると慰撫が緩んだ。
 頂や双乳を軽く引っ張る程度にし、性感を途切れさせないようにしながら、中年は満足げに頷く。
「大きいとは思っていたが、まさかそこまでとは……やたら重いわけだ」
 片方だけでも二キログラムを越えると言われるカップを、少し形がひしゃげる程度に揉んで、改めて感触を楽しむ。
「ああぁ……く、悔しいっ……白状しちゃうだなんて……んんんぅ」
 無念だが、またもや絶頂しそこねた双乳は苦しいほど疼いている。
 紅唇から出る声も甘みが増していた。繰り返す反駁も、他人が聞いたら甘噛みしているとしか思えないだろう。
「いやらしいオッパイどおり、性感にだらしがない奥さんだわい」
「なんですって……あぁん……馬鹿にしないでちょうだいっ……はぁんん」
 こらえきれない恥声混じり言い返したとき、下乳を引いていた手が離れた。
 荒い呼吸に合わせて小さく踊る縦長のおへその横をとおり、薄く柔らかく盛り上がる腹部を滑り、女体の中心に向かう。
「そ、そこはっ」
 察して手を伸ばしたが遅かった。
 中年の手は、スカートがずり下がって見えかかっているショーツのクロッチに触れてしまう。
「おお、この感触は……やっぱり、だらしがないじゃないか、ん?」
 手探りで厚く盛り上がる陰唇をかき分け、指先でワレメを上下に擦る。
「はあぁぁっ……ああ……いやっ……ああンン」
 鋭い性感が起こって腰が引けた。
「いやじゃないだろ、そらそら」
 反応したのに気をよくして、少し強めに擦過する。
 淫裂からは小さく水っぽい音が起こり始めた。
「ちょっと触っただけで、ずいぶんと感じてるじゃないか」
 今度はショーツの中に指を入れて、直接まさぐりにかかる。
「やめてっ……そこは、あん、旦那さまだけのものなのよ……はぁん」
 結婚指輪が光る手で、無遠慮に押し入る手の甲を掴む。
 性感で力が抜けているせいで、弱々しくすがりつくことしかできず、男は少しも止まらない。
「汚い取引でカラダを要求する男に触られても、気持ちいいくせに」
 二本の指の腹を使い、左右の陰唇を同時に擦り立てる。
 無骨な手に触れられる淫部はどんどん熱を帯びていた。
 しつこく愛撫していると、ほどなく粘っこい蜜が溢れだす。
「新しいスケベ汁が出てきたぞ。もっと漏らすといい」
 気持ちよさそうにヒクつく花弁を二本の指で広げ、露出した膣前庭を間の指でくすぐる。
「あああッッッ……そんなにされたら……ああンンン」
 背筋がしなり、中年の胸板にしなだれかかる。
 サンタ帽も大きく弾んで、肩にかかる艶やかな髪も揺れた。
 夫の目を楽しませたくて、常に一本一本サラサラにしている髪は汗で濡れ、淫靡に照り光り、発情したメスの体臭もくゆっている。
「奥さんのオマ×コ穴は素直だな。早く入れてとばかりに、ヒクついてるぞ」
 指先の感覚だけで探り当てた膣穴の周囲を、じっくりなぞりながら言う。
 触れるか触れないかのタッチで慰撫していると、面白いほど反応し、甘酸っぱい汁をこぼす。指の第二関節と第三関節の間と掠るクリトリスも、男顔負けの勃起を起こしていた。
「ああ……もうやめて……はああっ……あああンン」
 結婚指輪を嵌めた手で、いやらしく責めたてる手にすがりつつ、揺らぐ瞳で哀願する。
 イク寸前まで乳房を追いこんだ男は、陰部の扱いも手慣れている。
 大嫌いな男に弄ばれているというのに、カラダは着実に昂ぶり、切ないまでに疼いていた。
「やめてだって? ウソはいけないなァ」
 オンナの急所を責めたてていた手が離れ、目の前まで上がってきた。
「見るんだ、奥さん」
「うぅ……っ」
 眼前にもってこられた中年の手は、グッショリと濡れていた。
 広げられた五指からは、粘い体液が糸を引いて垂れている。
 恥ずかしい匂いも強く、目を伏せても鼻腔に押し入って止まらない。
「もっとシテの間違いだろ? なぁ?」
 少し膝を折る。
 下がったスカートの中に向かって、ずっと抱きたかった人妻の痴態でいきり立った怒張を突き出した。
「あああっ……硬いのが当たってるぅ……はぅンン」
 スカートの向こうまで切っ先が飛び出した怒張は、激しく反り返り、オトコが欲しくて堪らなくなっている淫部をグイグイ押してくる。
「硬いだけかね奥さん。ほら、よく感じるんだ」
 カラダを揺すり、汚らしくも極太の肉幹を執拗に擦りつけてくる。
「はあぁッ、あ、熱いわ、ああンン、それに、すごくぶっといのォっ」
 よじれたスカートの生地や、グショ濡れのショーツが間にあるのに、直に密着しているみたいだった。
 焼いた鉄の棒じみた存在感を味わわされて、心臓がメチャメチャに弾み、秘部は奥まで熱く疼き、新しい恥蜜が溢れてしまう。
「欲しいだろう? 味わいたいだろう? 気持ちよくなりたいよなァ」
 せわしなく息を継ぎ、甘ったるい声でふしだらな質問に答えるほど正体をなくしている人妻をさらに追いこむために、屈み直した。腰を引き、怒張をスカートの中に潜り込ませると、今度は切っ先を垂直に突き立てる。
「あああンン……許して……ああっ……はああンンン」
 夫に喜んでもらうために買った下着なのに、他の男の愛撫で濡れたショーツのクロッチが、硬く大きい穂先に貫かれている。
 ふっくらと肥厚した左右の淫唇を圧倒する分厚さであり、焼けるような熱感を帯びる牡肉塊だった。
「よく感じて心を決めるんだ。そら、そら、このチ×ポの値打ちを測れ」
 腰を揺すって煽り立ててくる。
 奥まで挿入するつもりはないようだが、怒張はリズミカルに食いこむ。クロッチを纏った切っ先は、敏感な浅瀬を擦りに擦った。
「あァン、そんなにされたら、はああ、わたし、あぁっ、わたしぃッ、あンン」
 股間全体が、どうしようもなく痺れていた。
 イケナイ、許されない、旦那さまに申し訳ないと思っても、抵抗する気力は濃厚な性感に溶けて失われている。
 意志に反してカラダは、貫いてくれる硬い怒張を熱望しているのだ。
「指じゃなく、わしのコイツで、夫婦らしく愛してもらいたいだろ? ん?」
 人妻のカラダも下劣中年のも、互いに求め合っている。
 ふたりの発情した息づかいは、ラブホテルに木霊していた。



ご鑑賞くださり、どうもありがとうございました。
続きは製品版でお楽しみください。



最後にCMです。

これまでこんな作品を創りました。 ※2022年12月現在

「商業」
●キルタイムコミュニケーション(俗称 KTC) 様
 木森山水道 名義

2022年
・「寝取られ滅魔忍カリン 妖魔のまぐわいに乱れて堕ちる」
 二次元ドリームマガジン119号 掲載

その他の既刊はこちらです。


●フランス書院 様
 石川檸檬 名義

2022年
・「ヤリモク 大嫌いな上司の妻と排卵日セックス」
・「ギャル姉は妹から彼氏を寝取りたい」
・「ハツハメ 内定と引き換えに恋人の父に捧げられる晴れ着姿」

その他の既刊はこちらです。


「同人」

●FANZA 様
「夜山の休憩所」名義 
 既刊一覧はこちらです。

●DL.site.com 様
「夜山の休憩所」名義
 既刊一覧
同人誌、同人ゲーム、同人ソフトのダウンロードショップ - DLsite

※「FANZA」様と「DL.site.com」様の登録作品はほぼ同じです。
 他の同人ショップにも作品を登録していますが、品揃えは少ないです。


●amazon 様 ※すべてキンドル作品です。
木森山水道、石川檸檬、石川れもん 名義
※作品の傾向に合わせて使い分けています。

2022年
・「マーメイドが溺れる夏」
・「ばつゲーム」
・「ハニトラ・ワイフ」
・「たばかりギャル」
・「バレンタイン・キッスのユクエ」
・「魔滅の巫女」
・「ギャル義母の成人式」

既刊一覧はこちらです。
https://amzn.to/3VvQhl3


お楽しみいただけましたら幸いです。

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夜山の休憩所 2022/10/23 09:08

なれそめのゴー淫ハロウィン!(立ち読み版)2022年10月23日

・販売中の書き下ろし小説のキリのいいところ(全体の約半分)までアップしました。
 フォローするだけの「無料プラン」でご覧いただけます。よろしければ。

・製品版では
 「ご町内のアイドルを夢中にさせる濃厚ラブラブなハロウィンックス」
 を収録した残り部分をお楽しみいただけます。

・販売サイトは「アマゾン」様の「キンドル」のみです。
 もちろん「読み放題」にも対応しています。
 是非どうぞ。
 https://amzn.to/3TPBRvv

・ペンネームは違いますが本作は私が創りました。
 表紙はEine様に描いていただきました。
 どうもありがとうございます。
  ピクシブ https://www.pixiv.net/users/4379557
  Pawoo https://pawoo.net/@ein_faust 
 なお本作のイラストは表紙だけです。

■販売サイトの作品ご紹介文■

ハロウィンは片思いの男の子と距離を縮める大チャンス!?
童顔巨乳の元気っ娘の悩殺コスチューム姿に彼は……!

(本作は文庫なら80ページほどの読み切り短編です)

フォロワー以上限定無料

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夜山の休憩所 2022/06/01 00:00

【再掲載】ハニトラ・ワイフ(書き下ろし小説アップしました)(2022年6月01日)


いつも応援ありがとうございます。

先月発売の同人作品を
100円の有料プランにてアップしました。

掲載内容は次のとおりです。
・製品のPDFデータ版(表紙、表紙差分、文章すべて収録)(右綴じ)(100M強)
・同上の軽量版。(左綴じ。しおりは最低限)(1M強)
・表紙(トリミングなし)
・表紙の帯なし差分(トリミングなし)

この記事は先月にも掲載しました。
今のところ有料プランにアップした内容は、
翌月にも掲載しています。

なお、この下の方にも文章を載せています。
途中までとなっていますが、
有料プランの方でDLできるPDFデータには、
全文が収録されています。
続きはそちらか製品版でおたのしみください。

よろしければご利用ください。



■作品につきまして■

●タイトル(英語名)※国内販売オンリーです。
「ハニトラ・ワイフ」(Her honey trap)

●種類 小説

●分量 短編(文庫換算で100ページ程度)

●ご紹介
 ハニトラ妻VS悪の中年重役

●傾向 
 書き下ろし。短編。人妻。
 ご奉仕プレイ。快楽責め。背徳。
 オッパイ。ソーププレイ。体面座位。正常位。
 中出し。
 浴室。夫婦の寝室。

●お値段 250円(税込み)

●販売店
https://amzn.to/3kFyxn9

●その他
 アマゾン様のキンドルでのみ発売中です。
 他のお店で販売する予定は今のところありません。
 Kindle Unlimited(読み放題)でもお読みいただけます。

●小説、表紙イラスト 石川檸檬(いしかわ れもん)
 (木森山水道、石川れもんの別名です)
 ・ツイッター https://twitter.com/kimoriya31


「最近の作品」

●木森山水道(きもりやま すいどう) 名義
・「純愛闘士ピュア・ストラグル 正義の力は不倫で輝く」
  表紙、挿絵:肉バキューム 先生
  出版社:キルタイムコミュニケーション 様
  公式サイト:http://ktcom.jp/books/2dn/dnd39
  主な販売サイト:https://amzn.to/3btu9D4

●石川檸檬(いしかわ れもん) 名義
・「ハツハメ 内定と引き替えに恋人の父に捧げる晴れ着姿」
 表紙:ロッコ 先生
 出版社:フランス書院 様
 公式サイト:https://www.france.jp/c/item/82960020900680000000.html
 主な販売サイト:https://amzn.to/3rqvj9M

・「ハメクリ ビキニサンタ姿で夫の部下にハメられる人妻のメリークリスマス」
 表紙:ズッキーニ 先生
 出版社:フランス書院 様
 公式サイト:https://www.france.jp/c/item/82960020900630000000.html
 主な販売サイト:https://amzn.to/3FpLQRo

・「ナツハメ 色白人妻が年下男たちに何度もイカされた話」
  表紙:ロッコ 先生
  出版社:フランス書院 様
  公式サイト:https://www.france.jp/c/item/82960020900350000000.html
  主な販売サイト:https://amzn.to/3CBOsKr
 ※同作の発売前に販売終了した同人作品を加筆修正したものです。

・「強○スワッピング 生贄になった人妻」
  表紙:アレグロ 先生
  出版社:フランス書院 様
  公式サイト:https://www.france.jp/c/item/82960020900330000000.html
  主な販売サイト:https://amzn.to/3w1MJM0
 ※同作の発売前に販売終了した同人作品を加筆修正したものです。

●同人作品(サークル:夜山の休憩所)
・「たばかりギャル」(アマゾンのキンドル限定。読み放題対応)
・「バレンタイン・キッスのユクエ」(アマゾンのキンドル限定。読み放題対応)
・「魔滅の巫女」(アマゾンのキンドル限定。読み放題対応)
・「ギャル義母」(アマゾンのキンドル限定。読み放題対応)
・「年越しネトラレ」(FANZA専売)
・「気の強い美妻 ゲス重役とのホワイトクリスマス」(アマゾンのキンドル限定。読み放題対応)
・「なれそめのゴー淫ハロウィン!」(アマゾンのキンドル限定。読み放題対応)ほか

※販売店へのリンクはアフィリエイトです。
 踏んで飛んでお買い物していただくと当方にささやかながら広告料が入ります。
 リンク先の品物以外をご購入いただいた場合も入ります。
 ご利用いただければありがたいです。




「ハニトラ・ワイフ」
※途中まで。続きは有料プランのデータか製品版でお楽しみください。


主な登場人物紹介

 一 百合枝(ニノマエ ユリエ) 夫のためにハニートラップする巨乳妻。27歳。
 金田 権一(カネダ ケンイチ) ハニトラを仕掛けられる悪の会社重役。53歳。

※製品版では各節へ「しおり機能」でジャンプできます。


     1

「お背中をお流しいたします」
 湯煙に包まれる檜風呂に、しっとりした美声が静かに響く。
 桶を持つ一百合枝が足を踏み入れると、ツヤのある生白い柔肌が波打った。
 被服の本来の目的を果たすというより、男の野卑な歓心を煽って喜ばせるための、極端に布地の少ない水着を纏う豊満な乳房と双臀は、恥じらいながらも大きく揺れている。
「お、奥さん……もとい、夫人……これはいったい」
 先客の金田権一は、身体ごと振り返って目をむいた。
 五十三歳の壮年の男は、洗い場の椅子に腰掛けている。
 胸元に石けんの泡がついているのは、身体を洗い始めたからだろう。
「お招きしておきながら急用で留守にしてしまった主人には、よくおもてなしするよう言われておりますから……」
「なるほどこれも…………雪解けを望む気持ちの表明というところか」
 金田の目に、野獣めいた気配が宿った。
「据え膳食わねばなんとやら、もとい、折角のお申し出を断るのも失礼だ。謹んでもてなされましょう」
 百合枝は二十七歳。
 金田にしてみれば、実の娘ほども年の離れている。
 人妻であることも分かっているというのに、脂ぎった目つきで全身をなめ回す。
(あぁ……こんなにすごい目で見られるのは初めてだわ……)
 百合枝は無意識に桶を持つ手を胸元に持ってきた。
 とはいえ、アラサーの乳房は片方ずつが男の顔なみに大きい。
 視線を遮れるのは、押しくらまんじゅうしながら盛り上がる谷間付近だけで、脇の下を優にはみ出す外乳は、依然として性欲の目にさらされている。
 心が怯みかけているのを自覚して、自分に強く言い聞かせる。
(しっかりするのよ百合枝……あの人のために、会社のために……役目を確実に果たさなくてはいけないわ)
 百合枝の夫は、上場企業に勤める四十一歳。
 会社の要職につく父親の仲立ちで結ばれた彼は、強い後ろ盾を得てから頭角を現し、今では取締役のひとりとなっている。
 社内で強い影響力を持つ営業職の部長である金田は、敵対派閥の首魁だ。
 百合枝が夫から聞かされた話では、表沙汰にできないようなやり口を続けており、野放しにしていれば遅かれ早かれ会社は危うくなるという。
(取締役夫人に手を出したとなれば、尻尾を出さない古狸も袋のネズミ……私のカラダで弱みを握る夫の作戦は、絶対に成功させてみせるわ)
 夫が不在なのは偶然ではなく、手を出しやすくさせるための計略のひとつ。
 浴室では、無数の隠しカメラが稼働中だ。
 それらしい動画が撮れさえすれば、あとは最新の技術を使って音声と映像を編集……夫がいうところのディープフェイクというもので、追い込める寸法である。
(ハニートラップなどという汚いことを仕掛けるのには良心が痛むけれど……取り柄のない私でも夫のために……正義のためになるのであれば……今回も)
 胸元にもってきた桶を持つ手は震えていたが、意識して細いくびれの辺りに戻した。
「夫人の……一取締のおもてなしは、謹んでお受けいたします」
 真面目くさった口調で応じる金田だが、目は相変わらず野卑にたわんでいる。
「さぁさ、もっと近くへ来てください。まずは、ご奉仕してくださるという夫人のルックスを、しっかり見せてもらいましょう」
「い、いえ……すぐにでもお背中を……」
「せわしないことをおっしゃらず。夜は始まったばかり。ゆっくりもてなしてくださいな」
 頑なになって気分を損ねるわけにはいかない。
 できるだけ心を緩ませ、ハメを外させることは、ハニートラップの成功に大きな影響を与える。
(早く済ませてしまいたいのに……)
 百合枝は渋々、不正も行い地位を築いている中年の前へ向かう。
 緊張でこわばる身体を、なにごともないように動かして、二、三メートル向かいのところに立った。
「ここでよろしいでしょうか」
「十分です。では、じっくり拝見しましょう。夫公認で伴侶のカラダを鑑賞できるなど、人生で一度あるかないかですからな」
 声を上げて笑う彼。
 でっぷり太って大柄な男に見合う大声量が、湯気に包まれる和装の浴室に木霊した。
(知らないと思ってよく言うわ……)
 夫によれば熟女にも若い娘にも欲情する色魔であり、人妻であろうと恋人がいる女性だろうと、せせらわらって毒牙にかける鬼畜らしい。
 教えられたときは、いくらなんでも誇張が過ぎると思ったが、実際にこうして、男と女として向かい合っていると、真実な気がしてくる。
 いくら夫の許しがあると聞いたとはいえ、商売女を値踏みするみたいな視線をすぐさま投げかけてくるだろうか?
「こうしてみると、女性にしては長身なのですな」
 五十三歳の中年は、浴室用の椅子に狭そうに座り、腰にフェイスタオルをかけながら、上司の二十七歳の妻のカラダを鑑賞する。
「誰が見ても淑女と思うに違いない、落ち着いた雰囲気の整った顔立ちがハマっていますぞ」
 ニヤニヤ笑う顔には〝お綺麗な重役夫人が、風俗嬢の真似事とはな〟と書いてある。
 直視するのは辛くて目を逸らすが、下劣な中年はますます機嫌よく品評する。
「上に行くほど逆三角にムッチリする長い足も見事ですが、モデルみたいに細いウエストの上下に実る、オッパイとケツも最高ですなぁ」
 まだ丁寧語を使っているが、下品な本性が現れてきた。
 まだアラサーながら、女盛りのアラフォーにも負けないくらいに熟れたセックスアピールに、特に熱い視線を送ってくる。
(ああ……いや……)
 まるで手かなにか、壮年の身体の一部で直に触られている気がしてならない。
 不快な錯覚に我慢できずに、思わず右へ左へ実をよじってしまう。
 乳暈の周りの狭い範囲にしか布がない水着の巨双乳も、バックはTバックの熟双丘も、歩くとき以上に揺れ弾む。
 波打つ柔肉からは、男にとってはフェロモンでしかない女の体臭が余計にこぼれ、周囲に漂い始めた。
「そんなにご覧にならないでください……」
 女の色香で油断させようという者としては言ってはならないことまで、口にしてしまう。
 いけないとは思うのだが、性欲の視線に肌をさらすのも、下品な感想を聞かされるのも、人妻として女として恥ずかしすぎて辛かった。
「おっと失礼。素晴らしい美貌を見せてくださる夫人を、困らせるつもりはありません」
 殊勝なことを言うものの、顔は相変わらずニヤけている。
 女を辱めて喜ぶタイプなのだ。
「お顔もスタイルも抜群ですが、日々のお手入れは大変でしょう。ねぇ」
「え……えぇ……」
「美容液の類いは当然として、やはり運動もされてるので?」
「夫が屋敷に設けてくださった設備などで少々……」
「おお、スポーツジム顔負けのトレーニングルームですな。噂で聞いておりますよ。取締役の男前の秘訣とか。旦那様がイケメンなら、奥様は美女というわけだ」
 感心してうなずく様子からは、下卑た気配がなりを潜めていた。
「そんな……」
 百合枝の頬が赤らんだ。
 愛する夫を褒められるのは嬉しいし、他人と交わらずに美容の増進に励む努力を認められるのは、たとえ標的によるものであっても胸が温かい。
(美しさを保つのは私の仕事だから当然と考える夫は言ってくれない優しい言葉が……この人の口からは出た……)
 心がかすかにざわめくのを百合枝は感じた。
 最後に覚えたときを思い出せないくらいに飢えていた甘い気持ちだが、浸っていいときではない。
 意識して気を取り直してしゃがみこみ、横に桶を置く。

     2

「そろそろ準備いたします……よろしいですか?」
 申し訳程度の面積しかない水着の乳房と、剥き身のゆで卵めいた桃尻を揺らして屈むなり、断りを入れる。
 すると鑑賞するのに満足したらしく「構いません」と笑みを浮かべた。
 そのままじっと見つめてくる。
 狙われているのは、少し身を乗り出している乳房だ。
 漂う蒸気の水滴をはじいて、今にも破裂しそうな水風船じみた豊胸に、愛撫じみた目線を注いでいる。
 女遊びの激しい男だけに、〝背中を流す〟という意味を正確に理解しているのだ。
 これから上司の妻が、ソーププレイをするのを見越し、肉体洗浄のために主に使われるであろう乳房への期待を膨らませているに違いない。
「あの……ラクになさって少々お待ちいただけますか?」
「もちろん、くつろがせてもらっておりますとも」
 遠回しに背中を向けて欲しいと言ったのに、愛想よく断られてしまった。
 ニコニコしているが、瞳は性欲のドス黒い炎で満ちている。
 人妻がカラダ……特に抜群に大きいオッパイに、持参したボディソープを塗りたくる様子も、じっくり楽しもうというのだ。
(これからもっと破廉恥なことをするとはいえ……準備するところまで見世物にしなくてはならないだなんて……)
 気分を悪くさせるわけにはいかないのに、胸中でため息がこぼれる。
 視線から逃れる気持ちで、ゲス中年から目をそらしつつ、ボディーソープのポンポを押す。
 添えた手にミルクの香りの粘液をたっぷり溜めたら、密かに深呼吸した。
「さぁ、お気になさらず存分に塗りつけてください」
 鼻息が荒らいできているのを隠しもせずに、実質的に命じてくる。
 応えたつもりはないものの、意を決して両手を持ち上げた。
 胸元の高さで手のひらを水平に合わせ、湛えられていた白い液状石けんをよくまぶす。
 これから塗りたくる巨乳は、動きに合わせてゆさゆさ揺れた。
「お目汚し失礼いたします……んっ……」
 目を背けたまま断って、両手で両方の下乳に触れた。
 そのままさする動きで塗りつける。
 夫でもない男性の前で、自分の乳房に粘液を付着させるのは恥ずかしすぎた。
 カラダが芯から熱くなるのは、お風呂が沸いた浴室にいるだけではない。
「んぅ……んふ……こんなことをご覧になっても……退屈ではありませんか?」
 いるだけで噴いてきた細かい汗と石けんが混じり、下乳全体がみるみる泡立っていく。
 淫らな姿を見られる羞恥は募る一方で、吐息まで湿っている。
「いやいや、眼福です。夫人の手料理にも、星付きホテルのディナーよりも癒やされましたが……泡で着飾っていく姿には、元気が湧いて止まりませんぞ」
 重役歴の長い百戦錬磨なら、暗に見るなと言ったのに気づかないわけはないのに、平気な顔でとぼける。
 それどころか、見ないで欲しいと言いにくくするように釘を刺してきた。
(何を言っても無駄ね……)
 諦めて事務的にこなすことだけに集中して、水着からはみ出す横乳と上乳も白い粘液を塗りこめ、泡だらけにしていく。
「わしの目は気にせず、水着の下にもソープをたっぷりまぶしてください」
「ぇ……」
 双乳には全体的に石けんはついている。
 そろそろ腹部に取りかかろうとしたときに提案され、人妻の動きが止まった。
「そ、ソープはもう胸に十分つけましたから……後はカラダにも塗って……」
「旦那様はご不在。この浴室には……いや、このお屋敷にはふたりきりなのです。なにを恥ずかしがることがありましょう。さぁ、さぁ」
「で、ですが……」
「……もしかして、わしに剥がせてもらえるのですかな?」
 下卑た笑顔を絶やさない中年の前身に、獰猛な気配が膨れ上がった。
「お客様の手を煩わせるおもてなしなど、ご、ございません……じ、自分でいたしますっ」
 本気でやりかねない空気に慌てて、下乳側の布地に指を引っかけた。
 ぎゅっと目をつむって、おもむろにたくしあげる。
 少し持ち上げただけで、布地が勝手に離れた。
 事前にすべりがよくなっていた乳肌を這い、泡と粘液を掃いて溜めつつ、鎖骨の手前まで上ってしまう。
「ああ……そんないきなり……」
 予想外のアクシデントに、両手の指が宙をかく。
 丸出しになった乳房を隠すのも忘れて、百合枝の目が白黒した。
「おおっ……これが夫人のナマオッパイ」
 中年はマイペースで凝視してくるが、黒ずんで分厚い唇は割れ、感嘆のため息がこぼれている。
「このサイズなのに、水着がなくなってもまるで垂れないとは……たゆまぬエクササイズの賜ですな」
 それぞれが自分の顔と同等以上に大きい巨乳が、わずかにそっぽを向き合いながら迫ってくる迫力に、流石の色魔の目は丸い。
「生得的な乳首と乳輪もお見事。並の乳についていたら大きすぎて野暮ったいところだが、夫人ほどの巨乳には、素晴らしく映えていますぞ」
 人工的に白い粘液と泡を纏う生白い豊胸の中心は、若い娘と比べても遜色ない鮮やかなピンク色だった。
 高級ブドウの粒みたいに大ぶりな先端が、ツンと斜め上を向いている様子に、瞬きを忘れて見入っている。
「あああ……そんなにご覧にならないで……恥ずかしいです……」
「大変立派なのですから、むしろ胸を張ってください。さぁさぁっ」
 強く言われて気圧されてしまう。
「こ、こう……ですか……」
 真っ白になりかけた頭の中に入ってきた言葉に合わせた。
 五指をつけて外側から回した両手の小指で鎖骨に触れるポーズをとる。
 身じろぎに合わせ、ピンク色の尖りの周辺は、水着の生地の形に残っている双乳がふるふる波打つ。
「そうですそうです……ふふ、貞淑そうな顔を赤らめて、夫専用の熟れた妻乳を強調するその姿は堪りません……素晴らしいもてなしですよ」
 湯気でけぶる中、しおらしく巨乳を見世物にする二十七歳の人妻に興奮した五十三歳は、おもむろに手を伸ばした。
「やはり、もてなされているだけでは心苦しい。お手伝いさせてもらいます」
 百合枝が中身を出して双乳に塗っていたソープのボトルを掴みあげると、焦った手つきでピストンする。
「あぁっ、やめてください……あン、ソープをかけないでぇっ」
 羞恥で火照った豊胸には、いつもひんやりしている石けんは冷たすぎた。
 いやらしい視線と言葉を浴びせられ続けるカラダとの温度差で、粘液の塊が飛んで粘る度に、妖しい情感が湧く。
「遠慮なさらずに、そら、そら」
「ああ、ほんとうによして、あンン、そんなにかけられたら……はああ」
 もてなす側としての言葉遣いを保てなくなるだけでなく、男の情欲を煽る甘い声まで出してしまう。
「わしを洗ってくださろうというのですから、それこそ泡だらけになるまでつけないといけませんぞ……とはいえ、そろそろ塗り伸ばす頃ですかな」
 中年はボトルを放り捨てた。
 両手の指が、準備体操と言わんばかりに屈伸する。
「じ、自分でできますっ」
 胸を手始めに、石けんがついていない後ろ半身までまさぐられそうな雰囲気に、急いで両手を使う。
「急がず慌てず。ゆっくりでいいですからね」
 穏やかに告げる中年だが、目は笑っていない。
「は、はい……んっ……んんっ」
「おお……夫人の巨乳が……あんなにひしゃげながらソープまみれ、泡まみれになっていく……眼福眼福」
 焦る気持ちがにじみ出るゆっくりした手つきに合わせて、裸の熟乳が変形し、乳白色のぬめりを帯びていく様子に、中年の相好が再び崩れた。
「乳首にもたっぷり、塗ってくださいね。そこもわしの身体を洗う道具になるんですから」
「もちろんです……んっ……くぅっ」
 先端は指の腹で挟んで揉むことでヌルつかせる。
「気持ちよかったら、声を出して構いませんよ。夫人は涼しげな美声の持ち主ですが、先ほどの甘い声も魅力的でした。もっと聞かせてくれますかな」
「年甲斐もなくはしたない声を出してしまい……お耳汚し失礼いたしました……あふっ」
 優しくこすっても、感度が増した突起には快楽の毒だった。
 鋭い性感に貫かれ、背筋がときどき軽く反れる。
(私はいったい……なにをしているの?)
 二十七歳の重役夫人だというのに、乳首オナニーまがいのことをして、しかも夫とは敵対関係にある五十三歳にじっくり見られて、それどころか煽られている。
(こんなにも醜態をさらすつもりはなかったのに……うぅ……すっかりペースを乱されているのに……ああ……乳首……感じちゃう……)
 芯から硬くなり、しかも火照りが増している。
(ダメよ百合枝……夫のために、正義のために悪い男を失脚させるために、恥を忍んでいるのを忘れてはダメ……少ない取り柄をいかせなかったら私には……)
 熟れたカラダをビクつかせながら決意を新たにし、感じやすいところ以外もソープを塗り伸ばしていく。
 百合枝のハニートラップは、まだ準備段階でしかないのだ。

     3

「では……参ります……」
「待ってました。よろしく頼みますよ、夫人」
 前半身にソープを塗りたくり、白い泡でいっぱいにした百合枝が背後から声をかけると、浴室用の椅子に足を開いて腰掛ける権一は、はしゃいだ声をあげた。
 他人の妻がカラダを使い、風俗嬢のように肉体を洗おうとしているのに、遠慮や恐縮の気持ちは気配もない。
(自分の娘ほども年の離れた人妻がしようとしているのに、なんてふてぶてしいのかしら……ケダモノにも劣る男だわ)
 まるで屋敷の主人、自分の夫みたいに振る舞う様子には嫌悪が募る。
 でっぷり太った肉体も、スポーツジムと同等以上の設備でカラダを磨いている女からしたら醜悪だった。
 可能ならば触れたくもないのだが、そういうわけにもいかない。
「んっ……んぅ……」
 見えないのをいいことに顔を背けつつ、檜造りの床に膝をつくカラダの胸元を寄せていく。
 見えなくすると言うよりも、中途半端に隠して男の目を楽しませる水着を鎖骨までたくし上げている双乳は、すぐに夫以外の背中に触れた。
「おおっ、きたきた」
 やや背中を反らし、意に反して太く屹立した乳首を避けて下乳で接した途端、嬉しそうな中年声が反響した。
「もっとグッといらしてください。恥ずかしがらずに」
「は、はい……んんぅ」
 イヤだから腰が引けがちなのを好意的に解釈して迫られなくても、やるしかない人妻は、決意を新たに体重をかけてしなだれかかった。
 自分の胸元と中年の背中の間で、スイカみたいに豊満な女の膨らみが潰れ、端が丸っこくせり上がる。
「くぅぅっ……この感触……堪らんッ」
 いい年をしても女遊びが激しい男は、喜びも露わに叫ぶ。
「大きくて形がいいのは見て分かっていましたが、感触も最高ですな。ミッシリ中身の詰まった柔肉の風船という感じだ」
 ふんぞり返る壮年の全身が小刻みに震える。
「こんなにもパツンパツンに熟れたオッパイを、わしは知りません」
「あ、ありがとうございます」
「自由にできる旦那様がうらやましい……夜はさぞ、激しいのでしょうなぁ」
「なにを……や、やめてください……」
「おっと失礼。わしなら毎晩……いや、秘書にしてでも常に側に置き、いつでもどこでも揉みまくりたいと思ったのでつい……おっと、これも失言でしたな」
 心身が汚らしい男でも、日頃から研鑽しているカラダに喜んでくれたり、素直に謝ってきたりする姿勢は悪くない。
「気をつけてくださればありがたいです……ん……んっ」
 少しでも気分がほぐれると、いくぶんやりやすかった。
 前に出した細い手で床に触れてバランスをとり、体重をだいぶ預ける格好をとりながら、カラダを伸び縮みさせる。
「許してくださり感謝します……おおぅ……うおおっ」
 豊かな乳房の柔らかさと弾力を、上から下へ、下から上へと存分に押しつけられ、擦りつけられる快感に中年の声が高くなる。
 人妻が纏うソープは、肉体の汚れを落とす機能があるが、性質はローションに近い特別製。肌と肌の摩擦はとびきり妖しい性感と化している。
「具合はどうですか? んぅ……んふぅ……」
 額に汗を浮かべながら、左右方向へも女の膨らみを滑らせる。
 中年の背中はやたら広くて苦心するが、一般的に敏感な脇腹も、乳肌でしっかり包み込むよう気を遣った。
 肉体を清めるよりも女体の感触を味わわせるのを意識して、ねちっこい泡踊りを堪能させる。
 浴室内には、ヌチャヌチャという卑猥に粘つく水音が木霊していた。
 奉仕される男の見えないところでは、Tバックが突き出ている。はみ出す白い双臀は、女体の動きに合わせて波打ち、細かい汗が浮いていた。
「申し分ありません……お、ぉうっ……最高のもてなしですよ……くあぉ」
 いい年した男はみっともないあえぎ声を上げている。
 上手くいってるのを実感して百合枝の胸は弾んだ。
 好意などない相手だが、夫に課された自分の役目を果たせているのは嬉しい。
「ただ……」
 喜んだのもつかの間、ご満悦なはずの中年が注文をつけてきた。
「乳首も使ってもらえますかな」
「そ……それは……」
「夫人のぶっとくてお硬いのは、微細な凹凸にも入り込む最高のブラシになるでしょう。わしの隅々まで洗ってやってくださいませんか」
「か、かしこまりました……」
 ゲストに希望されたら断れない。
(誤魔化していたのに……はしたなく勃起してしまってるところも使うことになるだなんて……)
 本当はイヤなのをおくびにも出さずに、一度おずおずカラダを離す。
 十センチほど距離を置いても、ずっと密着させていた双乳の下側と、男の太く浮き出る肩甲骨の内側周辺は、白い糸をいくつも引いている。
(ヌルヌルのソープで摩擦させたら……いやらしい反応をしてしまうかも……いいえ、いくらなんでも、こんな男の後ろでそこまでの醜態をさらすことは……)
 不安に思いつつも、正面からゆっくり抱きついていく。
「最初は乳首だけ、触れてくれますかな」
「は、はい……」
 もしかしたら、意識して触れないようにしていたのに気づいていたのかもしれない。
 釘を刺されてドキリとしつつ、言われたとおりにする。
 平らめにしこった女の双頭を、石けんまみれでも脂ぎって見える壮年の背中に触れさせた。
「この感じは間違いない……だいぶビンビンですなぁ。ソープを塗り込んでいたときも膨らんでいたようですが、わしを洗ってこんなになったのですかな」
「ご冗談はおやめください……ん……私はこのようなことをしていても……人妻なのですよ? いくらゲスト様にご奉仕していても……」
「失敬。では、無礼者の背中にそのまま、ご立派な妻巨乳を押し込んでください。サイズ負けしていない乳首を垂直に押しつけるのです」
「このような具合で……んふ……よろしいでしょうか……んんぅ」
 湧き直した嫌悪をこらえ、体重を込めてしなだれかかる。
「おおぅ……くおお……結構です……ああ……とてもお上手です」
 柔らかさよりも弾力が勝る双頭と、それと比べたら柔らかさの比率が高い双乳
の感触を同時に背中に浴びて、椅子に腰掛ける中年の総身がブルブル震えた。
 浴室内に反響するあえぎ声も、切羽詰まっている。
「あっ……ありがとう……あうぅっ……ございます……ふうぅっ」
 中年も快感だが、やってる百合枝も性感を覚えて声が震える。
(そんな……ああ……自分で思っていたよりずっと……あっあ……乳房も乳首も感度が上がっていて……ああぁ……いけないのに……感じてしまうぅ)
 望まぬ喜びの電流は突起から乳房へ巡る。
 女の熟れた膨らみを押しつけている間中、止まらない。
 自分で自分を追い込んでいると意識すると、なぜか背筋がいやにゾクゾクする。
(こんなことをするのは初めてではないのに……始めたばかりでここまで感じやすくなったことはないわ……どうして……)
 泡姫妻には困惑する暇もない。
 中年に「そのまま乳首を擦りつけながら、またお願いします」と催促されたら、望まれたとおりに奉仕するしかないのだ。
「んっ……ただいまご奉仕いたします……んんっ……くふぅ……うぅん」
 漏れる恥声を必死に押し殺しつつ、上下左右に上半身をくねらせる。
 ヌルヌルを強化しているだけでなく、揮発しにくくもしているソープは、まだたっぷり柔肌に残っていた。
 表面積が増えた分、今まで以上に甲高く、ヌチャヌチャという摩擦音が浴室を満たす。
「あぅん……お加減はいかがでしょう……んぅぅ」
 乳首ごと乳房をなすりつける、とっかかりのない摩擦感に、双乳が火照る。
 人妻が他の男との触れ合いで感じてはいけない情動は、膨らむ一方だ。
 それでいて質もグングン上がる。性感の波動は全身に広がり、軽い痺れを起こしている。
 面長に整った美貌まで艶やかに上気していた。
 厚ぼったい唇からは、こらえきれなかった甘い声が溢れ始めている。
「素晴らしいです……うおっ……うあ……乳首のコリコリした感じと、オッパイのムチムチした感じを背中いっぱいに同時に浴びるのは、まさに極楽……んッ」
(乳首が勃起してることを……そんなに強調しないでよ……)
 羞恥を煽られて、またカラダが熱くなった。
 白い泡と粘液は、ソーププレイの間に後ろ半身にもだいぶ飛び散っている。
 だが、陶器みたいに白い女体は、湯煙の中でほんのり桃色に色づいていた。
 中年の背中で常に別の形にひしゃげ続ける双乳は、さらに濃く赤面するとともに膨らんでおり、泡や薬液が途切れるところどころで青筋が浮いている。
(うぅ……頭がぼーっとしてきたわ……このまま言葉で嬲られたら、完全に主導権を握られてしまうかも……早く満足させなくちゃ……)
 床についていた両手を思い切って動かした。
 お腹が突き出た中年の前半身に巻き付ける。
 同時に自分の胸元を完全に体重をかけて男の背中へ預けた。
「ぬおッ……これは……ッ」
 驚く中年に両手を使って抱きつきながら、縦横無尽に双乳を擦りつけた。
 胸元もお腹もヌルヌルの細腕でまさぐると同時に、背中全体を摩擦する。
 これまで以上にカラダを揺すり立ててする泡踊りに、二十七歳の熟れた柔肌も揺れ弾む。どこにも触れていないヒップは、自分でも分かるくらいに躍動し、甘い香りの小さい泡と飛沫が背後の壁や横手の檜風呂まで飛んでいる。
「んふっ……くふぅ……いっぱい気持ちよく……キレイになってくださいね……んふぅぅ」
 口元が耳の側に来たら力一杯抱きついて、熱い吐息を吹きかけた。
 意識して出す甘い声も染みこませると、中年の肉体は面白いほどブルブル震える。
「あっ、あくぅぅ、これはすごいっ」
 中年はシンプルな賞賛の言葉を連呼する。
 いやらしい言葉責めをする余裕をなくし、ただただ熟れた人妻のカラダを存分に味わわされる性感に打ち震えていた。
「まったく大した技術をお持ちだ……旦那様にもしてあげてるのでしょうな」
 あえぎ声の合間に出た言葉に、人妻のカラダが静止した。
「主人は……私のこういうことは好みじゃないようで……」
「なんと……やり慣れてる様子ですからして、てっきり毎晩のようにしてあげていると思えば……もったいない。わしなら毎晩して欲しいくらいですぞ」
「や、やめてください……んっ……んふぅっ」
 舌を巻いてくれるだけでなく、本気でやって欲しそうな言い方に胸を突かれた気分になったが、気を取り直して再開する。
(辱めるようなことを言わなくなったと思えば……また、優しい言葉をかけてきて……この男は私には毒よ……)
 カラダだけでなく、心も甘く揺すぶられたのに見て見ぬ振りをする。
 相手は罠にはめるべき標的。
 打ち解けた気分にさせるのは都合がいいが、自分がそうされてはいけないのだ。
(幸い、私のテクに溺れかけているようだし……致命的におかしなことをされないうちに、早く済ませた方がいいわ)
 男に「失礼します」と断って、巻き付けていた両手ごと双乳を離す。
 すると、なんともいえない切なさに襲われた。
(え……なにこの寂しさは……)
 肥え太っていると蔑む肉体に触れていた両手と、乳房を中心とした前半身に、辛い寂寥感が襲ってきた。
(抱擁を解いたら相手の温もりとの触れ合いも解かれるけれど……あぁ……カラダが疼くほど酷いのは初めてよ)
 経験のない感覚に我慢できなくて、冷えた身体で湯船に飛び込む心地で、そそくさと前に回って膝をつく。
「今度は前を洗わせていただきますね……んふっ……んんぅぅ」
 返事を待たずに、やたら太い首に両手を回す。
 そのまま、恥ずかしいまでに勃起した乳頭から壮年の胸板に密着していく。
「お、おほっ……ここまでしてくださるとは……おおぅッ」
 背中以上に敏感な五十三歳の前半身に、二十七歳の人妻のそれがピッタリ重なるなり、今まで以上に下品なあえぎ声があがった。
「前もしっかり……んっ……んふぅっ……キレイにいたします……んふぅぅ」
 膝をつけたカラダを上下左右にうねらせ、凹凸の激しい肥満体をしっかり摩擦する。
 口元と耳の高さが近づいたときは、甘い声で「具合はどうですか、気持ちいいですか」と訊ね、熱い吐息を耳の奥まで吹き付けた。
「おおぅっ……おおほおお……さ、最高ですぞ……おおっ」
 弱みを見せたらまた言葉責めされるからと、今度は乳頭からのしかかっている。
 背中で感じた悦楽を前で味わうのは格別らしく、それを指摘する余裕もない。
 みっともなく荒ららぐ呼気を隠しもせずに、涎を垂らして顎を引いている。
「くおぉっ……料理上手で泡姫としても一流と言っていい、熟れた人妻のカラダが……わしにしがみついてのたくってる光景も眼福ですな……ふぅぅッ」
 昇天させるつもりで抱きしめ、擦りつけている女体は、背中からしていたときよりも大きく弾んでいた。
 なめらかな背中は常に上下左右にのたくり、突き出されたTバックのヒップも、これでもかというくらいに弾み回って波打つ。
 粘液を潤滑油にした肉体擦過音に混じって、尻タブ同士がぶつかる打擲音も響いている。
「あぁん……そんなにご覧にならないで……んっ……あふぅ」
 鼻先同士を付き合わせる格好をとり、甘えた声で呼びかけることで、恥ずかしいカラダの躍動場面を遮る。
 動きが小幅になった分、これまで以上に双乳を胸板に擦りつけていると、不満はでなかった。
 むしろ、脂ぎった目で積極的に見つめてくる。

     4

「ふふ……夫人……いや、奥さん」
 なんとなく、馴れ馴れしくなってきた。
「いい年をして、よその男にソーププレイをしているというのに、いやらしく蠢く自分のカラダを見られるのは、恥ずかしいですか」
「な、なにを……」
 即座に見破られて胸が弾むが、まだ序の口だった。
「前に変わると随分と積極的でしたが……背中から離れたときはそんなにも寂しかったのですね。またわしと肌身を重ねるのが気持ちよくて、調子がでましたか」
「そ……それは……っ」
 二の句が継げない。
 それらしいことを自分に言い聞かせても、再び触れた男の肉体は居心地がよかった。
 感じてはならない安心感混じりの快感があって、クセになりそうだ。
 僅かなりとも喜びの感情がなかったと言えば嘘になる。
「誤魔化してもダメです。証拠がありますからね」
「悪ふざけはよしてください……私は……」
「奥さんの顔です……すこぶる色っぽく蕩けている……嘘だと思うなら、そこの鏡へ顔を向けてはどうです」
「や、やめてください……」
 かぶりを振る所作も弱々しく、胸中でおののく。
(その鏡を……覗けるわけがないわ)
 隠しカメラが仕込まれている場所のひとつなのだ。
 もしも、自分が思っている以上の……それこそ、標的である卑劣漢の言うとおりの淫らすぎる顔をしていたら、ミイラ取りがミイラになった証拠を録画することになる。
 とはいえ、ゲストの言うことに逆らうなどありえない。
 途方に暮れていると助け船を出された。
「いいでしょう。ですが代わりに、こちらも洗ってもらえますかな」
「え……あっ……ひゃぁんっ」
 中年はクイクイ腰を突き上げ、水着に守られた女の秘孔を突いてきた。
 最初は肉土手に当たったものの、ほとんど間を置かずに繰り出された二回目は、性格に割れ目をとらえたではないか。
「ちょっと突いただけで、いい声を出してくれましたなぁ」
 ニヤニヤと人の悪い笑みを浮かべて嬲ってくる。
(ああっ……いつの間にか……アソコもすごく感じやすくなっていただなんて)
 壮年のオスのシンボルは硬く屹立していた。
 陰部を圧倒するまでに肥大しているのが、感触で分かる。
「どうやら奥さんも、洗いたそうですな」
 とぼけた風に言うのが憎らしい。
 目の前の二十七歳の女のシンボルの事情など見透かしていると顔に書いてある。
 悔しいが、男の肉竿を意識させられてから、無性に疼いてきた。
(奥が熱くて……あぁ……ふしだらにうねっている……まるで、触れているオスをすぐにでも食べたいと言っている風だわ……なんてことなの……)
 自分が思っていた以上に、己のカラダはこれまでのソーププレイで高ぶっていたのを、認めるしかない。
(私は人妻……商売女まがいのことをしていても、他の男をアソコで受け入れるわけにはいかないわ……でも……)
 眉根を寄せて懊悩する美人妻の顔を真正面から見る中年は、こんなことを言い出した。
「奥さんはわしをもてなすのが仕事でしょう。先に譲歩したゲストの頼みを断るのが、この家の流儀なのですかな?」
「うぅ……わ……分かりました……で、ですが……ひとつだけ……」
「なんでしょう」
「このことは……私と金田様だけの秘密にしてくださいませんか……? どうかよそ様には……特に夫には……」
「お安いご用です。お約束しましょう……では」
 言うやいなや、中年の太くてごつい手が機敏に動いた。
 お尻に触れると、手触りだけで水着のボトムスを探り当て、指を引っかけるなり膝近くまで下ろしてしまう。
「さあ奥さん。片足ずつあげてください。脱がせてあげます」
「あぁ……は……はい……んっ」
 逆らえない人妻は、これから大嫌いな肥満男とひとつになるのを知りながら、言われたとおりに足を上げた。合わせて自分も手を伸ばす。ズリ下げられた水着を金田から受け取り、震える手つきで完全に脱ぎ捨ててしまう。
「いい脱ぎっぷりでした。では、お互いにお待ちかねのことをいたしましょう。しっぽりとねぇ」
 伸ばした両手を使って我が物顔で、剥き身のヒップを撫でてくる。
 バストと比べて柔らかさが勝り、桃の輪郭を描く尻タブは、男の手つきに合わせてひしゃげ、フルフルと震えた。
「奥さん、力を抜いて。わしの誘導に身を委ねるのです」
「ん……承知いたしました……あふ……」
 もう、百合枝には、どちらがゲストかもてなす側かわからなかった。
 踏み込むつもりのなかった領域に足を突っ込んでいる実感に、心臓がメチャメチャに弾んでいる。
 だが、不思議と嫌悪は薄かった。
 それどころか、甘く妖しい情動が全身に広がり、手足が痺れている。
「この辺かな……」
 と、中年の手に力がこもった。
 軽く下に引かれるのに合わせ、百合枝も腰をゆっくり落とす。
「あっ……あんん……ああ……あ、当たってる……お、男の性器がぁ」
 すぐに、パンパンに膨らむ熱い尖りがめりこんできた。
 女体に阻まれてぜんぜん見えないというのに、金田は己の分身で正確に、秘孔を重ねたのだ。
「う、うそ……ああ……どうして一回で当てられるのよぉ」
「なに、ただの年の功ですよ……しかし、奥さん……素のしゃべり方になっていますよ?」
「あっ……す、すみません……失礼いたしました」
「とんでもない。率直な反応をいただけて嬉しいくらいです。なんなら、他人行儀な丁寧口調はやめてもらって結構です。わしに対しても権一と呼んでください」
「お戯れを……私たちは慣れ親しんだ関係ではないじゃありませんか……んっ」
「それは残念。だが、気が変わったらいつでもどうぞ……ふぅンっ」
 壮年は、今度はかなり強くヒップを下に押し込んできた。
 オスの腕力でねじ伏せにかかったみたいな所作に、女の細腰は自然に下がる。
 当たり前に、結合も深まった。
 陰唇を浅く割っていた、三角形のオス肉塊は、外と内の肉ビラを内側に巻き込みながら、粘膜の奥に入っていく。
「ひあああっっっ……そんな……信じられない……ません……こ、こんなに……大きいだなんてぇ」
 とっさに丁寧語で言い直すものの、声の裏返りようはごまかせなかった。
 敏感な入り口が、目一杯広がっているのが見なくても伝わってくる。
 挿入が深まるのと引き換えにラブジュースが押し出された。
 いやらしい気分になっている証の体液が、夫以外の男の肉竿を伝っているのも恥ずかしすぎるのに、匂ってくるレモン臭がやたら濃いのにも泣きたくなった。
「お褒めにあずかり光栄です。奥さんのマン汁も、すこぶるいい匂いですよ」
「ああ、か、嗅がないでください……んああっ」
「申し訳ない。意識しなくても鼻孔に入ってきましてな」
「い、言わないでくださいよぉ……んぐぅっ」
 大きくなり続ける膨満感に、思わず悲鳴を上げた。
「む、無理です、金田様のペニスは、私のには合いません、くふぅ、さ、裂けてしまいますぅ」
「またまた。旦那様のを、ココでお出迎えしてらっしゃるのでしょう? 毎晩とはいかないそうですが」
「主人のはこんなに大きくありません、あぅああ、ああ、許してくださいぃ」
 粘膜を引き裂かれそうな痛みと危機感に、涙声で訴える。
 中年はミリ単位で百合枝の尻を押し込んでいたが、顔をじっと見た後にやめた。
「どうやら本当にお辛いと見える。まだカリも収まってないのですがね……わかりました。時間をおいて馴染ませましょう」
 二十七歳の妻尻の高さはそのままに片手を離す。
 己の極太は抜かないまま、その手を前に持ってきた。
「あぁ……なにを……」
「チ×ポ洗いを中断する代わりに、オッパイで手を洗わせてもらいますよ」
 膝をついて直立している今、百合枝の胸元は金田の顔のすぐ側だった。
 指の一本一本がだいぶ太い手のひらが、無防備に突き出る巨乳の片方を下から軽く掴む。
「あっ……こんなときに……んぅぅっ」
 すくい上げては元の位置に戻すのを繰り返してくる。
 感度が増している熟れ乳には、それだけで性感が湧いた。
 痺れる快感に恥声が出て、乳房もはしたなく震えてしまう。
「こんなに大きくて感触もいいのに、おまけに敏感とは。こんなにいやらしい妻乳は初めてですよ」
 持ち上げては下ろすのを繰り返しつつ、ゆっくりだがリズミカルに指を食い込ませる。
 肉スイカと呼んでも名前負けしない豊胸は、男の指の浮き沈みに合わせて奔放にひしゃげた。
 指が食い込むときには緊張の、力が抜かれて乳肉が自然な形に戻るときには弛緩の乳悦が起こる。人妻のカラダは悩ましくうねり、触られていない方の乳房はタプンタプンと音を立てて揺れた。
 まだだいぶ付着している石けんの泡が飛び、甘い香りも拡散するが、一緒に漂う発情した女の生々しい匂いはだいぶ濃い。
「いやらしいだなんて……あッ……今、口に含んではダメです、ああぁぁっ」
 自由に揺れていた方の乳房のピンク色の先端を、黒ずんだ男の唇が包み込む。
 首を伸ばす不安定な体勢だというのに、金田はイヤに器用だった。
 口に含んだブドウ粒大でプリプリした突起を、丁寧になめ回す。
「ううっ……あああ……そんなに優しく……ああ、舐めないでください……ンン」
 特に敏感な部分だというのに、痛みを一瞬も味わわせない。
 常に鋭くも甘い乳悦を体験させられ、意識がぶつ切れになってしまう。
「ああん……いや、です……夫以外の男性に、こんな気持ちにされるのはぁ」
 胸を揉みたてられるのも、乳首を舐められるのも、身を委ねてしまいたいくらいの快楽だった。
 しかし、許されない。
 自分は人妻であり、相手は罠にはめて排除すべき悪にして、夫の敵なのだ。
「奥さんのカラダは、満更でもなさそうですがねぇ……ちゅぱ、ちゅぱっ」
 自分のツバと舌の感触を丁寧になすりつけ、染みこませる舐め方をするだけでなく、赤子のように吸いもする。
 強く弱く緩急をつけ、絶対に慣れさせない。
 のべつまくなく、頭が白く染まってぼーっとしている。
 お陰でもう、なにがなんだか分からなかった。
 全身が痺れておぼつかない。
 けれど、責め立てられる双乳と、極太を押し込まれている秘部の感覚だけは鮮明だった。
「ああ……あぁっ……あ……れ……は、入って……きてる……?」
 ようやく気がついた。
 巨乳に夢中に見えた中年は、挿入もしっかり進めていたのだ。
 乳悦のあまり踊ってくねるヒップを片手で誘導し、浮き沈みさせていた。
 そうして徐々に、結合を深めている。

     5

「えぇ、お邪魔してますよ、奥さん。オッパイでお楽しみのお陰で、あなたのオマ×コはわしのチ×ポにどんどん馴染んでいますぞ」
 急がず焦らず、ちょっとずつ確実に奥へ入り込んでいる。
「早く口いっぱいにわしを頬張りたいと言わんばかりに、涎を垂らしてまぁ」
 小刻みの疑似ピストンのリズムに合わせて、卑猥な水音が生まれている。
 挿入し始めたときよりも高く、匂うレモン臭もキツくなっていた。
「うっ……うっ……い、いやらしい言い方をなさらないでっ……んふぅぅぅ」
 抗議するが蜜壺は確かに、信じられないレベルで反応してしまっている。
 細かいヒダのひとつひとつが、少しずつせり出し始めていた。
 ラブジュースの分泌量も甚だしいが、粘膜の赤熱ぶりにも驚かされる。
 なにより、極太を埋められるのはあんなに痛くて辛かったのに、苦しみはもうほとんどない。全身を冒す悦楽の痺れすら小さく生じているだなんて。
「こんなことって……あの人との初夜も……それから暫くも……気持ちいいと思うことはなかったのに……」
「ほほぅ、それは大変でしたな。辛かったでしょうなぁ」
 金田はいつもの小馬鹿にした笑みでなく、心底同情する顔をしてきた。
「し、知ったようなことをおっしゃらないでっ」
 立場からつい声を荒らげたが、中年の態度は揺るがない。
 泣く子供をなだめるみたいにヒップをさすり、いいこいいこする仕草で片乳をこねてくる。
「夫のために、自分を賄賂にするのも本意ではないのでしょう? いろいろな人間を見てきたわしには分かりますぞ」
「や……やめてください……ああ……お願いよぉ……」
「だが、心からしているものでなくても、奥さんのおもてなしは堪能させてもらいました。実に素晴らしかった」
 金田の眼差しも言い方も真摯だった。
 演技や冗談やからかいでしているとは、とても思えない。
(いくら優しく接してもらっているからって……ほとんど今日が初対面で……とても好みの性格でも体型でもなくて……夫の敵の悪人にこんな気持ちを……)
 目を合わせていると、打ち解けた気分になってくる。
「もしも心からしたとき……どれほどの極楽なのでしょうねぇ……おおっ……届きましたぞ」
 いつの間にか、百合枝の顔は金田と見つめ合える高さまできていた。
 しっかり目と目を合わせてきた中年の頬が緩む。
「わしのチ×ポの先と奥さんのオマ×コの天井が、ピッタリ重なっているのが分かりますかな?」
 ゆっくり太った腰を揺らす。
 途端に、濃密な悦楽が百合枝のお腹の底から湧いた。
「あうあ、ああ、とどいてます、ああぁ」
 声はまともに震えている。
 しかも、自分が聞いたことのないレベルに甘くうわずっていた。
 意識して出しているのではない。勝手にそうなるのだ。
「い、いけませんよぉ、あぁぁ、あの人もペニスで感じたことがない場所なのですよ、ああ、なのに、金田さんが知ってしまうなんてぇ」
「旦那様も触れられないオマ×コの奥も使って、わしのチ×ポを洗ってくだされ……オンナの部分を全部使ったおもてなしも、喜んでお受けします」
 悦楽でわななくヒップの律動を利用しにかかる。
 挿入したときと同じく、浮いたお尻を一定のリズムで己の股間に押し込んでは、力を抜いてまた浮かせるのだ。
 自分は振らず、百合枝にだけ上下に腰を振らせる形で、性器同士を擦らせる。
「奥さんの破廉恥な汁とヒダ肉で、チ×ポを洗ってもらえるのは最高ですぞ」
 己の胸板の前で、ブラブラゆさゆさ揺れ弾む巨乳を下目使いで見つつ、政敵の妻の媚肉の具合を楽しんでいる。
「二十七歳とは思えない、フレッシュにプリプリしている。それでいて、熟女のこなれた感触を内包していて。一度味わったら夢に出そうですなぁ」
 今度は見つめ合って話しかける。
 その間も妻尻は完璧に掌握していた。
 さりげなく撫で回すことでヒップの上下動を加速させている。
 ところどころに纏う泡よりも白い双臀は、黒ずんで分厚い手の平に這われる間、波打ちながら弾んでいた。
「しかも、日頃のエクササイズの賜でしょう。締まりも素晴らしい。メイクだけでなく肉体美も追究するオンナの具合はひと味違うが、奥さんは別格ですぞ」
 鼻息荒く褒めちぎりつつ、両手を使って密かに抱き寄せる。
 身じろぎすることでも調整しつつ、逃げようとしても力が入らずに抜け出しにくいポーズへ持っていく。
 今やふたりは体面座位で密着していた。
 胸元同士は軽くふれあう程度だが、運動を欠かさない人妻のムッチリと熟した太ももは、中年の太い腰を完全に挟みこんでしまっている。
「ああん……おっしゃらないで、金田さぁん……こんなときに言われたら……私……私ぃ」
 百合枝はなすがままだった。
 罠にはめて追い落とすべき悪の男に、夫も触れたことのない場所を我が物顔でノックされているというのに、全身に力が入らない。完全に痺れきっている。
 心も同じだ。
 夫との情事では未経験の悦楽を味わわされながら、甘い言葉を連発されているうちに、親しげに名前を呼ぶまで蕩けてしまっている。
(ごめんなさいあなた……私、この男には……権一さんにはとても敵わないわ……)
 妻としての使命感も薄れていた。
 醜いと軽蔑していた体型は、頼もしいとしか思えない。
 自然にカラダが動いた。
 夫にもしたことがないのに、子供に退行して甘える心地で、自分からひしと抱きつく。両手は首に回して力一杯抱き寄せ、腰を挟んでいた太ももは食い込むまで締め上げる。
「ぅんんっ、金田さん、私、私もぅ」
「わしのチ×ポでイキたいんだな、百合枝」
 下の名前で呼ばれても気にならなかった。
(ああん、夫がいる人妻なのに、はあぁぁ、他の男と本格的にセックスしてしまっているのに、ううぅんん、どうしてこんなに気持ちがいいのぉ)
 むしろ胸が温かくなり、カラダはさらに熱い。
「はい、金田さんのチ×ポで、思い切りイカせてくださいぃ」
 言葉遣いを合わせるまでに媚を売る。
 眉目は悩ましくたわみ、瞳は劣情と愛欲で潤むというより濁っていた。
「百合枝の淑やかにキレイな声でチ×ポと言われると堪らんわい。旦那様と睦み合うときも、卑語を使うのかい?」
「いいえ、んぅっ、自分から言うのは初めてです、はああぁ、それに、夫との夜の営みは……睦み合うというものではありませんし……」
「なら、夫には言わないが、わしが大好きな下品な言葉をどんどん使うといい。余計なことはぜんぶ忘れて、このときの快楽に溺れるんだ」
 金田はラストスパートをかける。
 向き合う人妻の腰も、ほどなくうねりだした。
「溺れます、ああ、金田さんの立派なチ×ポで、私、ダメになります、ああン」
 とうとう、自分から豊満な乳房を胸板に押しつけ、体重をかけて前半身からよりかかりながら、お尻を振りたくってしまう。
「おほっ、こいつは凄い杭打ちピストンだわい……そうか、百合枝は奥で一番気持ちよくなりたいんだな? 生まれながらに奥が感じやすいとはいやらしい」
 エクササイズでは下半身もしっかり鍛えこまれている。
 全身の柔肉が波打つくらい激しい腰振りを、情事でしたことは一度もないが、中年に抱きつきながらするピストンには淀みがない。
 水音混じりのリズミカルな打擲音が、ふたりだけの浴室に木霊す。
「はあ、金田さんの肉体、ああっ、頼りがいがありすぎます、はああンン」
 でっぷり太った身体は、胸とお尻が抜群に大きくて重い人妻のカラダを危なげなく支えている。その頼もしさにも胸の奥がときめいた。
「ここまで来たらキスしようじゃないか。キスハメでふたりで気持ちよくなろう、な、百合枝」
「き、キスは……流石に……」
 残っていた人妻としての矜持が反応した。
 接吻は結婚式の時、祝福してくれた友人知人や親族の前でした神聖なもの。
 事情が絡み合った結果、オンナのシンボルを明け渡してしまったが、ここまで許すのには抵抗がある。
 まだしていず、拒んで避ける余地があるだけに、いけないという気持ちは小さくない。
「こんなに色っぽい唇を見せびらかしておきながら、それはないぞ」
「で、でもっ」
「わしとのまぐわいで、こんなに艶やかに腫れ上がり、メスの色香を漂わせている」
 少しずつ遠ざかっていた後頭部を掴み、力ずくで引き寄せた。
「ココでももてなしてもらおうじゃないか……ぶちゅっ」
 壮年の黒ずんで分厚い唇が、アラサーの人妻の艶やかなものと正面から密着する。
「んんっ、んぅぅっ……ああ、ダメって言ったのに……ンぅううう」
 汚らしい男の舌は、すぐにピンク色の口内へ押し入った。
 悦楽で力の抜けた百合枝には、ここまでされたらなすすべがない。
 嬉しそうにのたくる男舌に、桃色の妻舌は舐め回される。
(ああ……強引に唇を奪われて……夫にもされたことのない……ディープなキスを一方的にされているのに……あああ……気持ちいいぃ

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夜山の休憩所 2022/05/05 16:40

ハニトラ・ワイフ(書き下ろし小説アップしました)(2022年5月05日)


いつも応援ありがとうございます。

100円の有料プランにて、
本日発売された同人作品をアップしました。

掲載内容は次のとおりです。
・製品のPDFデータ版(表紙、表紙差分、文章すべて収録)(右綴じ)(100M強)
・同上の軽量版。(左綴じ。しおりは最低限)(1M強)
・表紙(トリミングなし)
・表紙の帯なし差分(トリミングなし)

この記事は来月にも掲載します。
今のところ有料プランにアップした内容は、
翌月にも掲載しています。

なお、この下の方にも文章を載せています。
途中までとなっていますが、
有料プランの方でDLできるPDFデータには、
全文が収録されています。
続きはそちらか製品版でおたのしみください。

よろしければご利用ください。



■作品につきまして■

●タイトル(英語名)※国内販売オンリーです。
「ハニトラ・ワイフ」(Her honey trap)

●種類 小説

●分量 短編(文庫換算で100ページ程度)

●ご紹介
 ハニトラ妻VS悪の中年重役

●傾向 
 書き下ろし。短編。人妻。
 ご奉仕プレイ。快楽責め。背徳。
 オッパイ。ソーププレイ。体面座位。正常位。
 中出し。
 浴室。夫婦の寝室。

●お値段 250円(税込み)

●販売店
https://amzn.to/3kFyxn9

●その他
 アマゾン様のキンドルでのみ発売中です。
 他のお店で販売する予定は今のところありません。
 Kindle Unlimited(読み放題)でもお読みいただけます。

●小説、表紙イラスト 石川檸檬(いしかわ れもん)
 (木森山水道、石川れもんの別名です)
 ・ツイッター https://twitter.com/kimoriya31


「最近の作品」

●木森山水道(きもりやま すいどう) 名義
・「純愛闘士ピュア・ストラグル 正義の力は不倫で輝く」
  表紙、挿絵:肉バキューム 先生
  出版社:キルタイムコミュニケーション 様
  公式サイト:http://ktcom.jp/books/2dn/dnd39
  主な販売サイト:https://amzn.to/3btu9D4

●石川檸檬(いしかわ れもん) 名義
・「ハツハメ 内定と引き替えに恋人の父に捧げる晴れ着姿」
 表紙:ロッコ 先生
 出版社:フランス書院 様
 公式サイト:https://www.france.jp/c/item/82960020900680000000.html
 主な販売サイト:https://amzn.to/3rqvj9M

・「ハメクリ ビキニサンタ姿で夫の部下にハメられる人妻のメリークリスマス」
 表紙:ズッキーニ 先生
 出版社:フランス書院 様
 公式サイト:https://www.france.jp/c/item/82960020900630000000.html
 主な販売サイト:https://amzn.to/3FpLQRo

・「ナツハメ 色白人妻が年下男たちに何度もイカされた話」
  表紙:ロッコ 先生
  出版社:フランス書院 様
  公式サイト:https://www.france.jp/c/item/82960020900350000000.html
  主な販売サイト:https://amzn.to/3CBOsKr
 ※同作の発売前に販売終了した同人作品を加筆修正したものです。

・「強○スワッピング 生贄になった人妻」
  表紙:アレグロ 先生
  出版社:フランス書院 様
  公式サイト:https://www.france.jp/c/item/82960020900330000000.html
  主な販売サイト:https://amzn.to/3w1MJM0
 ※同作の発売前に販売終了した同人作品を加筆修正したものです。

●同人作品(サークル:夜山の休憩所)
・「たばかりギャル」(アマゾンのキンドル限定。読み放題対応)
・「バレンタイン・キッスのユクエ」(アマゾンのキンドル限定。読み放題対応)
・「魔滅の巫女」(アマゾンのキンドル限定。読み放題対応)
・「ギャル義母」(アマゾンのキンドル限定。読み放題対応)
・「年越しネトラレ」(FANZA専売)
・「気の強い美妻 ゲス重役とのホワイトクリスマス」(アマゾンのキンドル限定。読み放題対応)
・「なれそめのゴー淫ハロウィン!」(アマゾンのキンドル限定。読み放題対応)ほか

※販売店へのリンクはアフィリエイトです。
 踏んで飛んでお買い物していただくと当方にささやかながら広告料が入ります。
 リンク先の品物以外をご購入いただいた場合も入ります。
 ご利用いただければありがたいです。




「ハニトラ・ワイフ」
※途中まで。続きは有料プランのデータか製品版でお楽しみください。


主な登場人物紹介

 一 百合枝(ニノマエ ユリエ) 夫のためにハニートラップする巨乳妻。27歳。
 金田 権一(カネダ ケンイチ) ハニトラを仕掛けられる悪の会社重役。53歳。

※製品版では各節へ「しおり機能」でジャンプできます。


     1

「お背中をお流しいたします」
 湯煙に包まれる檜風呂に、しっとりした美声が静かに響く。
 桶を持つ一百合枝が足を踏み入れると、ツヤのある生白い柔肌が波打った。
 被服の本来の目的を果たすというより、男の野卑な歓心を煽って喜ばせるための、極端に布地の少ない水着を纏う豊満な乳房と双臀は、恥じらいながらも大きく揺れている。
「お、奥さん……もとい、夫人……これはいったい」
 先客の金田権一は、身体ごと振り返って目をむいた。
 五十三歳の壮年の男は、洗い場の椅子に腰掛けている。
 胸元に石けんの泡がついているのは、身体を洗い始めたからだろう。
「お招きしておきながら急用で留守にしてしまった主人には、よくおもてなしするよう言われておりますから……」
「なるほどこれも…………雪解けを望む気持ちの表明というところか」
 金田の目に、野獣めいた気配が宿った。
「据え膳食わねばなんとやら、もとい、折角のお申し出を断るのも失礼だ。謹んでもてなされましょう」
 百合枝は二十七歳。
 金田にしてみれば、実の娘ほども年の離れている。
 人妻であることも分かっているというのに、脂ぎった目つきで全身をなめ回す。
(あぁ……こんなにすごい目で見られるのは初めてだわ……)
 百合枝は無意識に桶を持つ手を胸元に持ってきた。
 とはいえ、アラサーの乳房は片方ずつが男の顔なみに大きい。
 視線を遮れるのは、押しくらまんじゅうしながら盛り上がる谷間付近だけで、脇の下を優にはみ出す外乳は、依然として性欲の目にさらされている。
 心が怯みかけているのを自覚して、自分に強く言い聞かせる。
(しっかりするのよ百合枝……あの人のために、会社のために……役目を確実に果たさなくてはいけないわ)
 百合枝の夫は、上場企業に勤める四十一歳。
 会社の要職につく父親の仲立ちで結ばれた彼は、強い後ろ盾を得てから頭角を現し、今では取締役のひとりとなっている。
 社内で強い影響力を持つ営業職の部長である金田は、敵対派閥の首魁だ。
 百合枝が夫から聞かされた話では、表沙汰にできないようなやり口を続けており、野放しにしていれば遅かれ早かれ会社は危うくなるという。
(取締役夫人に手を出したとなれば、尻尾を出さない古狸も袋のネズミ……私のカラダで弱みを握る夫の作戦は、絶対に成功させてみせるわ)
 夫が不在なのは偶然ではなく、手を出しやすくさせるための計略のひとつ。
 浴室では、無数の隠しカメラが稼働中だ。
 それらしい動画が撮れさえすれば、あとは最新の技術を使って音声と映像を編集……夫がいうところのディープフェイクというもので、追い込める寸法である。
(ハニートラップなどという汚いことを仕掛けるのには良心が痛むけれど……取り柄のない私でも夫のために……正義のためになるのであれば……今回も)
 胸元にもってきた桶を持つ手は震えていたが、意識して細いくびれの辺りに戻した。
「夫人の……一取締のおもてなしは、謹んでお受けいたします」
 真面目くさった口調で応じる金田だが、目は相変わらず野卑にたわんでいる。
「さぁさ、もっと近くへ来てください。まずは、ご奉仕してくださるという夫人のルックスを、しっかり見せてもらいましょう」
「い、いえ……すぐにでもお背中を……」
「せわしないことをおっしゃらず。夜は始まったばかり。ゆっくりもてなしてくださいな」
 頑なになって気分を損ねるわけにはいかない。
 できるだけ心を緩ませ、ハメを外させることは、ハニートラップの成功に大きな影響を与える。
(早く済ませてしまいたいのに……)
 百合枝は渋々、不正も行い地位を築いている中年の前へ向かう。
 緊張でこわばる身体を、なにごともないように動かして、二、三メートル向かいのところに立った。
「ここでよろしいでしょうか」
「十分です。では、じっくり拝見しましょう。夫公認で伴侶のカラダを鑑賞できるなど、人生で一度あるかないかですからな」
 声を上げて笑う彼。
 でっぷり太って大柄な男に見合う大声量が、湯気に包まれる和装の浴室に木霊した。
(知らないと思ってよく言うわ……)
 夫によれば熟女にも若い娘にも欲情する色魔であり、人妻であろうと恋人がいる女性だろうと、せせらわらって毒牙にかける鬼畜らしい。
 教えられたときは、いくらなんでも誇張が過ぎると思ったが、実際にこうして、男と女として向かい合っていると、真実な気がしてくる。
 いくら夫の許しがあると聞いたとはいえ、商売女を値踏みするみたいな視線をすぐさま投げかけてくるだろうか?
「こうしてみると、女性にしては長身なのですな」
 五十三歳の中年は、浴室用の椅子に狭そうに座り、腰にフェイスタオルをかけながら、上司の二十七歳の妻のカラダを鑑賞する。
「誰が見ても淑女と思うに違いない、落ち着いた雰囲気の整った顔立ちがハマっていますぞ」
 ニヤニヤ笑う顔には〝お綺麗な重役夫人が、風俗嬢の真似事とはな〟と書いてある。
 直視するのは辛くて目を逸らすが、下劣な中年はますます機嫌よく品評する。
「上に行くほど逆三角にムッチリする長い足も見事ですが、モデルみたいに細いウエストの上下に実る、オッパイとケツも最高ですなぁ」
 まだ丁寧語を使っているが、下品な本性が現れてきた。
 まだアラサーながら、女盛りのアラフォーにも負けないくらいに熟れたセックスアピールに、特に熱い視線を送ってくる。
(ああ……いや……)
 まるで手かなにか、壮年の身体の一部で直に触られている気がしてならない。
 不快な錯覚に我慢できずに、思わず右へ左へ実をよじってしまう。
 乳暈の周りの狭い範囲にしか布がない水着の巨双乳も、バックはTバックの熟双丘も、歩くとき以上に揺れ弾む。
 波打つ柔肉からは、男にとってはフェロモンでしかない女の体臭が余計にこぼれ、周囲に漂い始めた。
「そんなにご覧にならないでください……」
 女の色香で油断させようという者としては言ってはならないことまで、口にしてしまう。
 いけないとは思うのだが、性欲の視線に肌をさらすのも、下品な感想を聞かされるのも、人妻として女として恥ずかしすぎて辛かった。
「おっと失礼。素晴らしい美貌を見せてくださる夫人を、困らせるつもりはありません」
 殊勝なことを言うものの、顔は相変わらずニヤけている。
 女を辱めて喜ぶタイプなのだ。
「お顔もスタイルも抜群ですが、日々のお手入れは大変でしょう。ねぇ」
「え……えぇ……」
「美容液の類いは当然として、やはり運動もされてるので?」
「夫が屋敷に設けてくださった設備などで少々……」
「おお、スポーツジム顔負けのトレーニングルームですな。噂で聞いておりますよ。取締役の男前の秘訣とか。旦那様がイケメンなら、奥様は美女というわけだ」
 感心してうなずく様子からは、下卑た気配がなりを潜めていた。
「そんな……」
 百合枝の頬が赤らんだ。
 愛する夫を褒められるのは嬉しいし、他人と交わらずに美容の増進に励む努力を認められるのは、たとえ標的によるものであっても胸が温かい。
(美しさを保つのは私の仕事だから当然と考える夫は言ってくれない優しい言葉が……この人の口からは出た……)
 心がかすかにざわめくのを百合枝は感じた。
 最後に覚えたときを思い出せないくらいに飢えていた甘い気持ちだが、浸っていいときではない。
 意識して気を取り直してしゃがみこみ、横に桶を置く。

     2

「そろそろ準備いたします……よろしいですか?」
 申し訳程度の面積しかない水着の乳房と、剥き身のゆで卵めいた桃尻を揺らして屈むなり、断りを入れる。
 すると鑑賞するのに満足したらしく「構いません」と笑みを浮かべた。
 そのままじっと見つめてくる。
 狙われているのは、少し身を乗り出している乳房だ。
 漂う蒸気の水滴をはじいて、今にも破裂しそうな水風船じみた豊胸に、愛撫じみた目線を注いでいる。
 女遊びの激しい男だけに、〝背中を流す〟という意味を正確に理解しているのだ。
 これから上司の妻が、ソーププレイをするのを見越し、肉体洗浄のために主に使われるであろう乳房への期待を膨らませているに違いない。
「あの……ラクになさって少々お待ちいただけますか?」
「もちろん、くつろがせてもらっておりますとも」
 遠回しに背中を向けて欲しいと言ったのに、愛想よく断られてしまった。
 ニコニコしているが、瞳は性欲のドス黒い炎で満ちている。
 人妻がカラダ……特に抜群に大きいオッパイに、持参したボディソープを塗りたくる様子も、じっくり楽しもうというのだ。
(これからもっと破廉恥なことをするとはいえ……準備するところまで見世物にしなくてはならないだなんて……)
 気分を悪くさせるわけにはいかないのに、胸中でため息がこぼれる。
 視線から逃れる気持ちで、ゲス中年から目をそらしつつ、ボディーソープのポンポを押す。
 添えた手にミルクの香りの粘液をたっぷり溜めたら、密かに深呼吸した。
「さぁ、お気になさらず存分に塗りつけてください」
 鼻息が荒らいできているのを隠しもせずに、実質的に命じてくる。
 応えたつもりはないものの、意を決して両手を持ち上げた。
 胸元の高さで手のひらを水平に合わせ、湛えられていた白い液状石けんをよくまぶす。
 これから塗りたくる巨乳は、動きに合わせてゆさゆさ揺れた。
「お目汚し失礼いたします……んっ……」
 目を背けたまま断って、両手で両方の下乳に触れた。
 そのままさする動きで塗りつける。
 夫でもない男性の前で、自分の乳房に粘液を付着させるのは恥ずかしすぎた。
 カラダが芯から熱くなるのは、お風呂が沸いた浴室にいるだけではない。
「んぅ……んふ……こんなことをご覧になっても……退屈ではありませんか?」
 いるだけで噴いてきた細かい汗と石けんが混じり、下乳全体がみるみる泡立っていく。
 淫らな姿を見られる羞恥は募る一方で、吐息まで湿っている。
「いやいや、眼福です。夫人の手料理にも、星付きホテルのディナーよりも癒やされましたが……泡で着飾っていく姿には、元気が湧いて止まりませんぞ」
 重役歴の長い百戦錬磨なら、暗に見るなと言ったのに気づかないわけはないのに、平気な顔でとぼける。
 それどころか、見ないで欲しいと言いにくくするように釘を刺してきた。
(何を言っても無駄ね……)
 諦めて事務的にこなすことだけに集中して、水着からはみ出す横乳と上乳も白い粘液を塗りこめ、泡だらけにしていく。
「わしの目は気にせず、水着の下にもソープをたっぷりまぶしてください」
「ぇ……」
 双乳には全体的に石けんはついている。
 そろそろ腹部に取りかかろうとしたときに提案され、人妻の動きが止まった。
「そ、ソープはもう胸に十分つけましたから……後はカラダにも塗って……」
「旦那様はご不在。この浴室には……いや、このお屋敷にはふたりきりなのです。なにを恥ずかしがることがありましょう。さぁ、さぁ」
「で、ですが……」
「……もしかして、わしに剥がせてもらえるのですかな?」
 下卑た笑顔を絶やさない中年の前身に、獰猛な気配が膨れ上がった。
「お客様の手を煩わせるおもてなしなど、ご、ございません……じ、自分でいたしますっ」
 本気でやりかねない空気に慌てて、下乳側の布地に指を引っかけた。
 ぎゅっと目をつむって、おもむろにたくしあげる。
 少し持ち上げただけで、布地が勝手に離れた。
 事前にすべりがよくなっていた乳肌を這い、泡と粘液を掃いて溜めつつ、鎖骨の手前まで上ってしまう。
「ああ……そんないきなり……」
 予想外のアクシデントに、両手の指が宙をかく。
 丸出しになった乳房を隠すのも忘れて、百合枝の目が白黒した。
「おおっ……これが夫人のナマオッパイ」
 中年はマイペースで凝視してくるが、黒ずんで分厚い唇は割れ、感嘆のため息がこぼれている。
「このサイズなのに、水着がなくなってもまるで垂れないとは……たゆまぬエクササイズの賜ですな」
 それぞれが自分の顔と同等以上に大きい巨乳が、わずかにそっぽを向き合いながら迫ってくる迫力に、流石の色魔の目は丸い。
「生得的な乳首と乳輪もお見事。並の乳についていたら大きすぎて野暮ったいところだが、夫人ほどの巨乳には、素晴らしく映えていますぞ」
 人工的に白い粘液と泡を纏う生白い豊胸の中心は、若い娘と比べても遜色ない鮮やかなピンク色だった。
 高級ブドウの粒みたいに大ぶりな先端が、ツンと斜め上を向いている様子に、瞬きを忘れて見入っている。
「あああ……そんなにご覧にならないで……恥ずかしいです……」
「大変立派なのですから、むしろ胸を張ってください。さぁさぁっ」
 強く言われて気圧されてしまう。
「こ、こう……ですか……」
 真っ白になりかけた頭の中に入ってきた言葉に合わせた。
 五指をつけて外側から回した両手の小指で鎖骨に触れるポーズをとる。
 身じろぎに合わせ、ピンク色の尖りの周辺は、水着の生地の形に残っている双乳がふるふる波打つ。
「そうですそうです……ふふ、貞淑そうな顔を赤らめて、夫専用の熟れた妻乳を強調するその姿は堪りません……素晴らしいもてなしですよ」
 湯気でけぶる中、しおらしく巨乳を見世物にする二十七歳の人妻に興奮した五十三歳は、おもむろに手を伸ばした。
「やはり、もてなされているだけでは心苦しい。お手伝いさせてもらいます」
 百合枝が中身を出して双乳に塗っていたソープのボトルを掴みあげると、焦った手つきでピストンする。
「あぁっ、やめてください……あン、ソープをかけないでぇっ」
 羞恥で火照った豊胸には、いつもひんやりしている石けんは冷たすぎた。
 いやらしい視線と言葉を浴びせられ続けるカラダとの温度差で、粘液の塊が飛んで粘る度に、妖しい情感が湧く。
「遠慮なさらずに、そら、そら」
「ああ、ほんとうによして、あンン、そんなにかけられたら……はああ」
 もてなす側としての言葉遣いを保てなくなるだけでなく、男の情欲を煽る甘い声まで出してしまう。
「わしを洗ってくださろうというのですから、それこそ泡だらけになるまでつけないといけませんぞ……とはいえ、そろそろ塗り伸ばす頃ですかな」
 中年はボトルを放り捨てた。
 両手の指が、準備体操と言わんばかりに屈伸する。
「じ、自分でできますっ」
 胸を手始めに、石けんがついていない後ろ半身までまさぐられそうな雰囲気に、急いで両手を使う。
「急がず慌てず。ゆっくりでいいですからね」
 穏やかに告げる中年だが、目は笑っていない。
「は、はい……んっ……んんっ」
「おお……夫人の巨乳が……あんなにひしゃげながらソープまみれ、泡まみれになっていく……眼福眼福」
 焦る気持ちがにじみ出るゆっくりした手つきに合わせて、裸の熟乳が変形し、乳白色のぬめりを帯びていく様子に、中年の相好が再び崩れた。
「乳首にもたっぷり、塗ってくださいね。そこもわしの身体を洗う道具になるんですから」
「もちろんです……んっ……くぅっ」
 先端は指の腹で挟んで揉むことでヌルつかせる。
「気持ちよかったら、声を出して構いませんよ。夫人は涼しげな美声の持ち主ですが、先ほどの甘い声も魅力的でした。もっと聞かせてくれますかな」
「年甲斐もなくはしたない声を出してしまい……お耳汚し失礼いたしました……あふっ」
 優しくこすっても、感度が増した突起には快楽の毒だった。
 鋭い性感に貫かれ、背筋がときどき軽く反れる。
(私はいったい……なにをしているの?)
 二十七歳の重役夫人だというのに、乳首オナニーまがいのことをして、しかも夫とは敵対関係にある五十三歳にじっくり見られて、それどころか煽られている。
(こんなにも醜態をさらすつもりはなかったのに……うぅ……すっかりペースを乱されているのに……ああ……乳首……感じちゃう……)
 芯から硬くなり、しかも火照りが増している。
(ダメよ百合枝……夫のために、正義のために悪い男を失脚させるために、恥を忍んでいるのを忘れてはダメ……少ない取り柄をいかせなかったら私には……)
 熟れたカラダをビクつかせながら決意を新たにし、感じやすいところ以外もソープを塗り伸ばしていく。
 百合枝のハニートラップは、まだ準備段階でしかないのだ。

     3

「では……参ります……」
「待ってました。よろしく頼みますよ、夫人」
 前半身にソープを塗りたくり、白い泡でいっぱいにした百合枝が背後から声をかけると、浴室用の椅子に足を開いて腰掛ける権一は、はしゃいだ声をあげた。
 他人の妻がカラダを使い、風俗嬢のように肉体を洗おうとしているのに、遠慮や恐縮の気持ちは気配もない。
(自分の娘ほども年の離れた人妻がしようとしているのに、なんてふてぶてしいのかしら……ケダモノにも劣る男だわ)
 まるで屋敷の主人、自分の夫みたいに振る舞う様子には嫌悪が募る。
 でっぷり太った肉体も、スポーツジムと同等以上の設備でカラダを磨いている女からしたら醜悪だった。
 可能ならば触れたくもないのだが、そういうわけにもいかない。
「んっ……んぅ……」
 見えないのをいいことに顔を背けつつ、檜造りの床に膝をつくカラダの胸元を寄せていく。
 見えなくすると言うよりも、中途半端に隠して男の目を楽しませる水着を鎖骨までたくし上げている双乳は、すぐに夫以外の背中に触れた。
「おおっ、きたきた」
 やや背中を反らし、意に反して太く屹立した乳首を避けて下乳で接した途端、嬉しそうな中年声が反響した。
「もっとグッといらしてください。恥ずかしがらずに」
「は、はい……んんぅ」
 イヤだから腰が引けがちなのを好意的に解釈して迫られなくても、やるしかない人妻は、決意を新たに体重をかけてしなだれかかった。
 自分の胸元と中年の背中の間で、スイカみたいに豊満な女の膨らみが潰れ、端が丸っこくせり上がる。
「くぅぅっ……この感触……堪らんッ」
 いい年をしても女遊びが激しい男は、喜びも露わに叫ぶ。
「大きくて形がいいのは見て分かっていましたが、感触も最高ですな。ミッシリ中身の詰まった柔肉の風船という感じだ」
 ふんぞり返る壮年の全身が小刻みに震える。
「こんなにもパツンパツンに熟れたオッパイを、わしは知りません」
「あ、ありがとうございます」
「自由にできる旦那様がうらやましい……夜はさぞ、激しいのでしょうなぁ」
「なにを……や、やめてください……」
「おっと失礼。わしなら毎晩……いや、秘書にしてでも常に側に置き、いつでもどこでも揉みまくりたいと思ったのでつい……おっと、これも失言でしたな」
 心身が汚らしい男でも、日頃から研鑽しているカラダに喜んでくれたり、素直に謝ってきたりする姿勢は悪くない。
「気をつけてくださればありがたいです……ん……んっ」
 少しでも気分がほぐれると、いくぶんやりやすかった。
 前に出した細い手で床に触れてバランスをとり、体重をだいぶ預ける格好をとりながら、カラダを伸び縮みさせる。
「許してくださり感謝します……おおぅ……うおおっ」
 豊かな乳房の柔らかさと弾力を、上から下へ、下から上へと存分に押しつけられ、擦りつけられる快感に中年の声が高くなる。
 人妻が纏うソープは、肉体の汚れを落とす機能があるが、性質はローションに近い特別製。肌と肌の摩擦はとびきり妖しい性感と化している。
「具合はどうですか? んぅ……んふぅ……」
 額に汗を浮かべながら、左右方向へも女の膨らみを滑らせる。
 中年の背中はやたら広くて苦心するが、一般的に敏感な脇腹も、乳肌でしっかり包み込むよう気を遣った。
 肉体を清めるよりも女体の感触を味わわせるのを意識して、ねちっこい泡踊りを堪能させる。
 浴室内には、ヌチャヌチャという卑猥に粘つく水音が木霊していた。
 奉仕される男の見えないところでは、Tバックが突き出ている。はみ出す白い双臀は、女体の動きに合わせて波打ち、細かい汗が浮いていた。
「申し分ありません……お、ぉうっ……最高のもてなしですよ……くあぉ」
 いい年した男はみっともないあえぎ声を上げている。
 上手くいってるのを実感して百合枝の胸は弾んだ。
 好意などない相手だが、夫に課された自分の役目を果たせているのは嬉しい。
「ただ……」
 喜んだのもつかの間、ご満悦なはずの中年が注文をつけてきた。
「乳首も使ってもらえますかな」
「そ……それは……」
「夫人のぶっとくてお硬いのは、微細な凹凸にも入り込む最高のブラシになるでしょう。わしの隅々まで洗ってやってくださいませんか」
「か、かしこまりました……」
 ゲストに希望されたら断れない。
(誤魔化していたのに……はしたなく勃起してしまってるところも使うことになるだなんて……)
 本当はイヤなのをおくびにも出さずに、一度おずおずカラダを離す。
 十センチほど距離を置いても、ずっと密着させていた双乳の下側と、男の太く浮き出る肩甲骨の内側周辺は、白い糸をいくつも引いている。
(ヌルヌルのソープで摩擦させたら……いやらしい反応をしてしまうかも……いいえ、いくらなんでも、こんな男の後ろでそこまでの醜態をさらすことは……)
 不安に思いつつも、正面からゆっくり抱きついていく。
「最初は乳首だけ、触れてくれますかな」
「は、はい……」
 もしかしたら、意識して触れないようにしていたのに気づいていたのかもしれない。
 釘を刺されてドキリとしつつ、言われたとおりにする。
 平らめにしこった女の双頭を、石けんまみれでも脂ぎって見える壮年の背中に触れさせた。
「この感じは間違いない……だいぶビンビンですなぁ。ソープを塗り込んでいたときも膨らんでいたようですが、わしを洗ってこんなになったのですかな」
「ご冗談はおやめください……ん……私はこのようなことをしていても……人妻なのですよ? いくらゲスト様にご奉仕していても……」
「失敬。では、無礼者の背中にそのまま、ご立派な妻巨乳を押し込んでください。サイズ負けしていない乳首を垂直に押しつけるのです」
「このような具合で……んふ……よろしいでしょうか……んんぅ」
 湧き直した嫌悪をこらえ、体重を込めてしなだれかかる。
「おおぅ……くおお……結構です……ああ……とてもお上手です」
 柔らかさよりも弾力が勝る双頭と、それと比べたら柔らかさの比率が高い双乳
の感触を同時に背中に浴びて、椅子に腰掛ける中年の総身がブルブル震えた。
 浴室内に反響するあえぎ声も、切羽詰まっている。
「あっ……ありがとう……あうぅっ……ございます……ふうぅっ」
 中年も快感だが、やってる百合枝も性感を覚えて声が震える。
(そんな……ああ……自分で思っていたよりずっと……あっあ……乳房も乳首も感度が上がっていて……ああぁ……いけないのに……感じてしまうぅ)
 望まぬ喜びの電流は突起から乳房へ巡る。
 女の熟れた膨らみを押しつけている間中、止まらない。
 自分で自分を追い込んでいると意識すると、なぜか背筋がいやにゾクゾクする。
(こんなことをするのは初めてではないのに……始めたばかりでここまで感じやすくなったことはないわ……どうして……)
 泡姫妻には困惑する暇もない。
 中年に「そのまま乳首を擦りつけながら、またお願いします」と催促されたら、望まれたとおりに奉仕するしかないのだ。
「んっ……ただいまご奉仕いたします……んんっ……くふぅ……うぅん」
 漏れる恥声を必死に押し殺しつつ、上下左右に上半身をくねらせる。
 ヌルヌルを強化しているだけでなく、揮発しにくくもしているソープは、まだたっぷり柔肌に残っていた。
 表面積が増えた分、今まで以上に甲高く、ヌチャヌチャという摩擦音が浴室を満たす。
「あぅん……お加減はいかがでしょう……んぅぅ」
 乳首ごと乳房をなすりつける、とっかかりのない摩擦感に、双乳が火照る。
 人妻が他の男との触れ合いで感じてはいけない情動は、膨らむ一方だ。
 それでいて質もグングン上がる。性感の波動は全身に広がり、軽い痺れを起こしている。
 面長に整った美貌まで艶やかに上気していた。
 厚ぼったい唇からは、こらえきれなかった甘い声が溢れ始めている。
「素晴らしいです……うおっ……うあ……乳首のコリコリした感じと、オッパイのムチムチした感じを背中いっぱいに同時に浴びるのは、まさに極楽……んッ」
(乳首が勃起してることを……そんなに強調しないでよ……)
 羞恥を煽られて、またカラダが熱くなった。
 白い泡と粘液は、ソーププレイの間に後ろ半身にもだいぶ飛び散っている。
 だが、陶器みたいに白い女体は、湯煙の中でほんのり桃色に色づいていた。
 中年の背中で常に別の形にひしゃげ続ける双乳は、さらに濃く赤面するとともに膨らんでおり、泡や薬液が途切れるところどころで青筋が浮いている。
(うぅ……頭がぼーっとしてきたわ……このまま言葉で嬲られたら、完全に主導権を握られてしまうかも……早く満足させなくちゃ……)
 床についていた両手を思い切って動かした。
 お腹が突き出た中年の前半身に巻き付ける。
 同時に自分の胸元を完全に体重をかけて男の背中へ預けた。
「ぬおッ……これは……ッ」
 驚く中年に両手を使って抱きつきながら、縦横無尽に双乳を擦りつけた。
 胸元もお腹もヌルヌルの細腕でまさぐると同時に、背中全体を摩擦する。
 これまで以上にカラダを揺すり立ててする泡踊りに、二十七歳の熟れた柔肌も揺れ弾む。どこにも触れていないヒップは、自分でも分かるくらいに躍動し、甘い香りの小さい泡と飛沫が背後の壁や横手の檜風呂まで飛んでいる。
「んふっ……くふぅ……いっぱい気持ちよく……キレイになってくださいね……んふぅぅ」
 口元が耳の側に来たら力一杯抱きついて、熱い吐息を吹きかけた。
 意識して出す甘い声も染みこませると、中年の肉体は面白いほどブルブル震える。
「あっ、あくぅぅ、これはすごいっ」
 中年はシンプルな賞賛の言葉を連呼する。
 いやらしい言葉責めをする余裕をなくし、ただただ熟れた人妻のカラダを存分に味わわされる性感に打ち震えていた。
「まったく大した技術をお持ちだ……旦那様にもしてあげてるのでしょうな」
 あえぎ声の合間に出た言葉に、人妻のカラダが静止した。
「主人は……私のこういうことは好みじゃないようで……」
「なんと……やり慣れてる様子ですからして、てっきり毎晩のようにしてあげていると思えば……もったいない。わしなら毎晩して欲しいくらいですぞ」
「や、やめてください……んっ……んふぅっ」
 舌を巻いてくれるだけでなく、本気でやって欲しそうな言い方に胸を突かれた気分になったが、気を取り直して再開する。
(辱めるようなことを言わなくなったと思えば……また、優しい言葉をかけてきて……この男は私には毒よ……)
 カラダだけでなく、心も甘く揺すぶられたのに見て見ぬ振りをする。
 相手は罠にはめるべき標的。
 打ち解けた気分にさせるのは都合がいいが、自分がそうされてはいけないのだ。
(幸い、私のテクに溺れかけているようだし……致命的におかしなことをされないうちに、早く済ませた方がいいわ)
 男に「失礼します」と断って、巻き付けていた両手ごと双乳を離す。
 すると、なんともいえない切なさに襲われた。
(え……なにこの寂しさは……)
 肥え太っていると蔑む肉体に触れていた両手と、乳房を中心とした前半身に、辛い寂寥感が襲ってきた。
(抱擁を解いたら相手の温もりとの触れ合いも解かれるけれど……あぁ……カラダが疼くほど酷いのは初めてよ)
 経験のない感覚に我慢できなくて、冷えた身体で湯船に飛び込む心地で、そそくさと前に回って膝をつく。
「今度は前を洗わせていただきますね……んふっ……んんぅぅ」
 返事を待たずに、やたら太い首に両手を回す。
 そのまま、恥ずかしいまでに勃起した乳頭から壮年の胸板に密着していく。
「お、おほっ……ここまでしてくださるとは……おおぅッ」
 背中以上に敏感な五十三歳の前半身に、二十七歳の人妻のそれがピッタリ重なるなり、今まで以上に下品なあえぎ声があがった。
「前もしっかり……んっ……んふぅっ……キレイにいたします……んふぅぅ」
 膝をつけたカラダを上下左右にうねらせ、凹凸の激しい肥満体をしっかり摩擦する。
 口元と耳の高さが近づいたときは、甘い声で「具合はどうですか、気持ちいいですか」と訊ね、熱い吐息を耳の奥まで吹き付けた。
「おおぅっ……おおほおお……さ、最高ですぞ……おおっ」
 弱みを見せたらまた言葉責めされるからと、今度は乳頭からのしかかっている。
 背中で感じた悦楽を前で味わうのは格別らしく、それを指摘する余裕もない。
 みっともなく荒ららぐ呼気を隠しもせずに、涎を垂らして顎を引いている。
「くおぉっ……料理上手で泡姫としても一流と言っていい、熟れた人妻のカラダが……わしにしがみついてのたくってる光景も眼福ですな……ふぅぅッ」
 昇天させるつもりで抱きしめ、擦りつけている女体は、背中からしていたときよりも大きく弾んでいた。
 なめらかな背中は常に上下左右にのたくり、突き出されたTバックのヒップも、これでもかというくらいに弾み回って波打つ。
 粘液を潤滑油にした肉体擦過音に混じって、尻タブ同士がぶつかる打擲音も響いている。
「あぁん……そんなにご覧にならないで……んっ……あふぅ」
 鼻先同士を付き合わせる格好をとり、甘えた声で呼びかけることで、恥ずかしいカラダの躍動場面を遮る。
 動きが小幅になった分、これまで以上に双乳を胸板に擦りつけていると、不満はでなかった。
 むしろ、脂ぎった目で積極的に見つめてくる。

     4

「ふふ……夫人……いや、奥さん」
 なんとなく、馴れ馴れしくなってきた。
「いい年をして、よその男にソーププレイをしているというのに、いやらしく蠢く自分のカラダを見られるのは、恥ずかしいですか」
「な、なにを……」
 即座に見破られて胸が弾むが、まだ序の口だった。
「前に変わると随分と積極的でしたが……背中から離れたときはそんなにも寂しかったのですね。またわしと肌身を重ねるのが気持ちよくて、調子がでましたか」
「そ……それは……っ」
 二の句が継げない。
 それらしいことを自分に言い聞かせても、再び触れた男の肉体は居心地がよかった。
 感じてはならない安心感混じりの快感があって、クセになりそうだ。
 僅かなりとも喜びの感情がなかったと言えば嘘になる。
「誤魔化してもダメです。証拠がありますからね」
「悪ふざけはよしてください……私は……」
「奥さんの顔です……すこぶる色っぽく蕩けている……嘘だと思うなら、そこの鏡へ顔を向けてはどうです」
「や、やめてください……」
 かぶりを振る所作も弱々しく、胸中でおののく。
(その鏡を……覗けるわけがないわ)
 隠しカメラが仕込まれている場所のひとつなのだ。
 もしも、自分が思っている以上の……それこそ、標的である卑劣漢の言うとおりの淫らすぎる顔をしていたら、ミイラ取りがミイラになった証拠を録画することになる。
 とはいえ、ゲストの言うことに逆らうなどありえない。
 途方に暮れていると助け船を出された。
「いいでしょう。ですが代わりに、こちらも洗ってもらえますかな」
「え……あっ……ひゃぁんっ」
 中年はクイクイ腰を突き上げ、水着に守られた女の秘孔を突いてきた。
 最初は肉土手に当たったものの、ほとんど間を置かずに繰り出された二回目は、性格に割れ目をとらえたではないか。
「ちょっと突いただけで、いい声を出してくれましたなぁ」
 ニヤニヤと人の悪い笑みを浮かべて嬲ってくる。
(ああっ……いつの間にか……アソコもすごく感じやすくなっていただなんて)
 壮年のオスのシンボルは硬く屹立していた。
 陰部を圧倒するまでに肥大しているのが、感触で分かる。
「どうやら奥さんも、洗いたそうですな」
 とぼけた風に言うのが憎らしい。
 目の前の二十七歳の女のシンボルの事情など見透かしていると顔に書いてある。
 悔しいが、男の肉竿を意識させられてから、無性に疼いてきた。
(奥が熱くて……あぁ……ふしだらにうねっている……まるで、触れているオスをすぐにでも食べたいと言っている風だわ……なんてことなの……)
 自分が思っていた以上に、己のカラダはこれまでのソーププレイで高ぶっていたのを、認めるしかない。
(私は人妻……商売女まがいのことをしていても、他の男をアソコで受け入れるわけにはいかないわ……でも……)
 眉根を寄せて懊悩する美人妻の顔を真正面から見る中年は、こんなことを言い出した。
「奥さんはわしをもてなすのが仕事でしょう。先に譲歩したゲストの頼みを断るのが、この家の流儀なのですかな?」
「うぅ……わ……分かりました……で、ですが……ひとつだけ……」
「なんでしょう」
「このことは……私と金田様だけの秘密にしてくださいませんか……? どうかよそ様には……特に夫には……」
「お安いご用です。お約束しましょう……では」
 言うやいなや、中年の太くてごつい手が機敏に動いた。
 お尻に触れると、手触りだけで水着のボトムスを探り当て、指を引っかけるなり膝近くまで下ろしてしまう。
「さあ奥さん。片足ずつあげてください。脱がせてあげます」
「あぁ……は……はい……んっ」
 逆らえない人妻は、これから大嫌いな肥満男とひとつになるのを知りながら、言われたとおりに足を上げた。合わせて自分も手を伸ばす。ズリ下げられた水着を金田から受け取り、震える手つきで完全に脱ぎ捨ててしまう。
「いい脱ぎっぷりでした。では、お互いにお待ちかねのことをいたしましょう。しっぽりとねぇ」
 伸ばした両手を使って我が物顔で、剥き身のヒップを撫でてくる。
 バストと比べて柔らかさが勝り、桃の輪郭を描く尻タブは、男の手つきに合わせてひしゃげ、フルフルと震えた。
「奥さん、力を抜いて。わしの誘導に身を委ねるのです」
「ん……承知いたしました……あふ……」
 もう、百合枝には、どちらがゲストかもてなす側かわからなかった。
 踏み込むつもりのなかった領域に足を突っ込んでいる実感に、心臓がメチャメチャに弾んでいる。
 だが、不思議と嫌悪は薄かった。
 それどころか、甘く妖しい情動が全身に広がり、手足が痺れている。
「この辺かな……」
 と、中年の手に力がこもった。
 軽く下に引かれるのに合わせ、百合枝も腰をゆっくり落とす。
「あっ……あんん……ああ……あ、当たってる……お、男の性器がぁ」
 すぐに、パンパンに膨らむ熱い尖りがめりこんできた。
 女体に阻まれてぜんぜん見えないというのに、金田は己の分身で正確に、秘孔を重ねたのだ。
「う、うそ……ああ……どうして一回で当てられるのよぉ」
「なに、ただの年の功ですよ……しかし、奥さん……素のしゃべり方になっていますよ?」
「あっ……す、すみません……失礼いたしました」
「とんでもない。率直な反応をいただけて嬉しいくらいです。なんなら、他人行儀な丁寧口調はやめてもらって結構です。わしに対しても権一と呼んでください」
「お戯れを……私たちは慣れ親しんだ関係ではないじゃありませんか……んっ」
「それは残念。だが、気が変わったらいつでもどうぞ……ふぅンっ」
 壮年は、今度はかなり強くヒップを下に押し込んできた。
 オスの腕力でねじ伏せにかかったみたいな所作に、女の細腰は自然に下がる。
 当たり前に、結合も深まった。
 陰唇を浅く割っていた、三角形のオス肉塊は、外と内の肉ビラを内側に巻き込みながら、粘膜の奥に入っていく。
「ひあああっっっ……そんな……信じられない……ません……こ、こんなに……大きいだなんてぇ」
 とっさに丁寧語で言い直すものの、声の裏返りようはごまかせなかった。
 敏感な入り口が、目一杯広がっているのが見なくても伝わってくる。
 挿入が深まるのと引き換えにラブジュースが押し出された。
 いやらしい気分になっている証の体液が、夫以外の男の肉竿を伝っているのも恥ずかしすぎるのに、匂ってくるレモン臭がやたら濃いのにも泣きたくなった。
「お褒めにあずかり光栄です。奥さんのマン汁も、すこぶるいい匂いですよ」
「ああ、か、嗅がないでください……んああっ」
「申し訳ない。意識しなくても鼻孔に入ってきましてな」
「い、言わないでくださいよぉ……んぐぅっ」
 大きくなり続ける膨満感に、思わず悲鳴を上げた。
「む、無理です、金田様のペニスは、私のには合いません、くふぅ、さ、裂けてしまいますぅ」
「またまた。旦那様のを、ココでお出迎えしてらっしゃるのでしょう? 毎晩とはいかないそうですが」
「主人のはこんなに大きくありません、あぅああ、ああ、許してくださいぃ」
 粘膜を引き裂かれそうな痛みと危機感に、涙声で訴える。
 中年はミリ単位で百合枝の尻を押し込んでいたが、顔をじっと見た後にやめた。
「どうやら本当にお辛いと見える。まだカリも収まってないのですがね……わかりました。時間をおいて馴染ませましょう」
 二十七歳の妻尻の高さはそのままに片手を離す。
 己の極太は抜かないまま、その手を前に持ってきた。
「あぁ……なにを……」
「チ×ポ洗いを中断する代わりに、オッパイで手を洗わせてもらいますよ」
 膝をついて直立している今、百合枝の胸元は金田の顔のすぐ側だった。
 指の一本一本がだいぶ太い手のひらが、無防備に突き出る巨乳の片方を下から軽く掴む。
「あっ……こんなときに……んぅぅっ」
 すくい上げては元の位置に戻すのを繰り返してくる。
 感度が増している熟れ乳には、それだけで性感が湧いた。
 痺れる快感に恥声が出て、乳房もはしたなく震えてしまう。
「こんなに大きくて感触もいいのに、おまけに敏感とは。こんなにいやらしい妻乳は初めてですよ」
 持ち上げては下ろすのを繰り返しつつ、ゆっくりだがリズミカルに指を食い込ませる。
 肉スイカと呼んでも名前負けしない豊胸は、男の指の浮き沈みに合わせて奔放にひしゃげた。
 指が食い込むときには緊張の、力が抜かれて乳肉が自然な形に戻るときには弛緩の乳悦が起こる。人妻のカラダは悩ましくうねり、触られていない方の乳房はタプンタプンと音を立てて揺れた。
 まだだいぶ付着している石けんの泡が飛び、甘い香りも拡散するが、一緒に漂う発情した女の生々しい匂いはだいぶ濃い。
「いやらしいだなんて……あッ……今、口に含んではダメです、ああぁぁっ」
 自由に揺れていた方の乳房のピンク色の先端を、黒ずんだ男の唇が包み込む。
 首を伸ばす不安定な体勢だというのに、金田はイヤに器用だった。
 口に含んだブドウ粒大でプリプリした突起を、丁寧になめ回す。
「ううっ……あああ……そんなに優しく……ああ、舐めないでください……ンン」
 特に敏感な部分だというのに、痛みを一瞬も味わわせない。
 常に鋭くも甘い乳悦を体験させられ、意識がぶつ切れになってしまう。
「ああん……いや、です……夫以外の男性に、こんな気持ちにされるのはぁ」
 胸を揉みたてられるのも、乳首を舐められるのも、身を委ねてしまいたいくらいの快楽だった。
 しかし、許されない。
 自分は人妻であり、相手は罠にはめて排除すべき悪にして、夫の敵なのだ。
「奥さんのカラダは、満更でもなさそうですがねぇ……ちゅぱ、ちゅぱっ」
 自分のツバと舌の感触を丁寧になすりつけ、染みこませる舐め方をするだけでなく、赤子のように吸いもする。
 強く弱く緩急をつけ、絶対に慣れさせない。
 のべつまくなく、頭が白く染まってぼーっとしている。
 お陰でもう、なにがなんだか分からなかった。
 全身が痺れておぼつかない。
 けれど、責め立てられる双乳と、極太を押し込まれている秘部の感覚だけは鮮明だった。
「ああ……あぁっ……あ……れ……は、入って……きてる……?」
 ようやく気がついた。
 巨乳に夢中に見えた中年は、挿入もしっかり進めていたのだ。
 乳悦のあまり踊ってくねるヒップを片手で誘導し、浮き沈みさせていた。
 そうして徐々に、結合を深めている。

     5

「えぇ、お邪魔してますよ、奥さん。オッパイでお楽しみのお陰で、あなたのオマ×コはわしのチ×ポにどんどん馴染んでいますぞ」
 急がず焦らず、ちょっとずつ確実に奥へ入り込んでいる。
「早く口いっぱいにわしを頬張りたいと言わんばかりに、涎を垂らしてまぁ」
 小刻みの疑似ピストンのリズムに合わせて、卑猥な水音が生まれている。
 挿入し始めたときよりも高く、匂うレモン臭もキツくなっていた。
「うっ……うっ……い、いやらしい言い方をなさらないでっ……んふぅぅぅ」
 抗議するが蜜壺は確かに、信じられないレベルで反応してしまっている。
 細かいヒダのひとつひとつが、少しずつせり出し始めていた。
 ラブジュースの分泌量も甚だしいが、粘膜の赤熱ぶりにも驚かされる。
 なにより、極太を埋められるのはあんなに痛くて辛かったのに、苦しみはもうほとんどない。全身を冒す悦楽の痺れすら小さく生じているだなんて。
「こんなことって……あの人との初夜も……それから暫くも……気持ちいいと思うことはなかったのに……」
「ほほぅ、それは大変でしたな。辛かったでしょうなぁ」
 金田はいつもの小馬鹿にした笑みでなく、心底同情する顔をしてきた。
「し、知ったようなことをおっしゃらないでっ」
 立場からつい声を荒らげたが、中年の態度は揺るがない。
 泣く子供をなだめるみたいにヒップをさすり、いいこいいこする仕草で片乳をこねてくる。
「夫のために、自分を賄賂にするのも本意ではないのでしょう? いろいろな人間を見てきたわしには分かりますぞ」
「や……やめてください……ああ……お願いよぉ……」
「だが、心からしているものでなくても、奥さんのおもてなしは堪能させてもらいました。実に素晴らしかった」
 金田の眼差しも言い方も真摯だった。
 演技や冗談やからかいでしているとは、とても思えない。
(いくら優しく接してもらっているからって……ほとんど今日が初対面で……とても好みの性格でも体型でもなくて……夫の敵の悪人にこんな気持ちを……)
 目を合わせていると、打ち解けた気分になってくる。
「もしも心からしたとき……どれほどの極楽なのでしょうねぇ……おおっ……届きましたぞ」
 いつの間にか、百合枝の顔は金田と見つめ合える高さまできていた。
 しっかり目と目を合わせてきた中年の頬が緩む。
「わしのチ×ポの先と奥さんのオマ×コの天井が、ピッタリ重なっているのが分かりますかな?」
 ゆっくり太った腰を揺らす。
 途端に、濃密な悦楽が百合枝のお腹の底から湧いた。
「あうあ、ああ、とどいてます、ああぁ」
 声はまともに震えている。
 しかも、自分が聞いたことのないレベルに甘くうわずっていた。
 意識して出しているのではない。勝手にそうなるのだ。
「い、いけませんよぉ、あぁぁ、あの人もペニスで感じたことがない場所なのですよ、ああ、なのに、金田さんが知ってしまうなんてぇ」
「旦那様も触れられないオマ×コの奥も使って、わしのチ×ポを洗ってくだされ……オンナの部分を全部使ったおもてなしも、喜んでお受けします」
 悦楽でわななくヒップの律動を利用しにかかる。
 挿入したときと同じく、浮いたお尻を一定のリズムで己の股間に押し込んでは、力を抜いてまた浮かせるのだ。
 自分は振らず、百合枝にだけ上下に腰を振らせる形で、性器同士を擦らせる。
「奥さんの破廉恥な汁とヒダ肉で、チ×ポを洗ってもらえるのは最高ですぞ」
 己の胸板の前で、ブラブラゆさゆさ揺れ弾む巨乳を下目使いで見つつ、政敵の妻の媚肉の具合を楽しんでいる。
「二十七歳とは思えない、フレッシュにプリプリしている。それでいて、熟女のこなれた感触を内包していて。一度味わったら夢に出そうですなぁ」
 今度は見つめ合って話しかける。
 その間も妻尻は完璧に掌握していた。
 さりげなく撫で回すことでヒップの上下動を加速させている。
 ところどころに纏う泡よりも白い双臀は、黒ずんで分厚い手の平に這われる間、波打ちながら弾んでいた。
「しかも、日頃のエクササイズの賜でしょう。締まりも素晴らしい。メイクだけでなく肉体美も追究するオンナの具合はひと味違うが、奥さんは別格ですぞ」
 鼻息荒く褒めちぎりつつ、両手を使って密かに抱き寄せる。
 身じろぎすることでも調整しつつ、逃げようとしても力が入らずに抜け出しにくいポーズへ持っていく。
 今やふたりは体面座位で密着していた。
 胸元同士は軽くふれあう程度だが、運動を欠かさない人妻のムッチリと熟した太ももは、中年の太い腰を完全に挟みこんでしまっている。
「ああん……おっしゃらないで、金田さぁん……こんなときに言われたら……私……私ぃ」
 百合枝はなすがままだった。
 罠にはめて追い落とすべき悪の男に、夫も触れたことのない場所を我が物顔でノックされているというのに、全身に力が入らない。完全に痺れきっている。
 心も同じだ。
 夫との情事では未経験の悦楽を味わわされながら、甘い言葉を連発されているうちに、親しげに名前を呼ぶまで蕩けてしまっている。
(ごめんなさいあなた……私、この男には……権一さんにはとても敵わないわ……)
 妻としての使命感も薄れていた。
 醜いと軽蔑していた体型は、頼もしいとしか思えない。
 自然にカラダが動いた。
 夫にもしたことがないのに、子供に退行して甘える心地で、自分からひしと抱きつく。両手は首に回して力一杯抱き寄せ、腰を挟んでいた太ももは食い込むまで締め上げる。
「ぅんんっ、金田さん、私、私もぅ」
「わしのチ×ポでイキたいんだな、百合枝」
 下の名前で呼ばれても気にならなかった。
(ああん、夫がいる人妻なのに、はあぁぁ、他の男と本格的にセックスしてしまっているのに、ううぅんん、どうしてこんなに気持ちがいいのぉ)
 むしろ胸が温かくなり、カラダはさらに熱い。
「はい、金田さんのチ×ポで、思い切りイカせてくださいぃ」
 言葉遣いを合わせるまでに媚を売る。
 眉目は悩ましくたわみ、瞳は劣情と愛欲で潤むというより濁っていた。
「百合枝の淑やかにキレイな声でチ×ポと言われると堪らんわい。旦那様と睦み合うときも、卑語を使うのかい?」
「いいえ、んぅっ、自分から言うのは初めてです、はああぁ、それに、夫との夜の営みは……睦み合うというものではありませんし……」
「なら、夫には言わないが、わしが大好きな下品な言葉をどんどん使うといい。余計なことはぜんぶ忘れて、このときの快楽に溺れるんだ」
 金田はラストスパートをかける。
 向き合う人妻の腰も、ほどなくうねりだした。
「溺れます、ああ、金田さんの立派なチ×ポで、私、ダメになります、ああン」
 とうとう、自分から豊満な乳房を胸板に押しつけ、体重をかけて前半身からよりかかりながら、お尻を振りたくってしまう。
「おほっ、こいつは凄い杭打ちピストンだわい……そうか、百合枝は奥で一番気持ちよくなりたいんだな? 生まれながらに奥が感じやすいとはいやらしい」
 エクササイズでは下半身もしっかり鍛えこまれている。
 全身の柔肉が波打つくらい激しい腰振りを、情事でしたことは一度もないが、中年に抱きつきながらするピストンには淀みがない。
 水音混じりのリズミカルな打擲音が、ふたりだけの浴室に木霊す。
「はあ、金田さんの肉体、ああっ、頼りがいがありすぎます、はああンン」
 でっぷり太った身体は、胸とお尻が抜群に大きくて重い人妻のカラダを危なげなく支えている。その頼もしさにも胸の奥がときめいた。
「ここまで来たらキスしようじゃないか。キスハメでふたりで気持ちよくなろう、な、百合枝」
「き、キスは……流石に……」
 残っていた人妻としての矜持が反応した。
 接吻は結婚式の時、祝福してくれた友人知人や親族の前でした神聖なもの。
 事情が絡み合った結果、オンナのシンボルを明け渡してしまったが、ここまで許すのには抵抗がある。
 まだしていず、拒んで避ける余地があるだけに、いけないという気持ちは小さくない。
「こんなに色っぽい唇を見せびらかしておきながら、それはないぞ」
「で、でもっ」
「わしとのまぐわいで、こんなに艶やかに腫れ上がり、メスの色香を漂わせている」
 少しずつ遠ざかっていた後頭部を掴み、力ずくで引き寄せた。
「ココでももてなしてもらおうじゃないか……ぶちゅっ」
 壮年の黒ずんで分厚い唇が、アラサーの人妻の艶やかなものと正面から密着する。
「んんっ、んぅぅっ……ああ、ダメって言ったのに……ンぅううう」
 汚らしい男の舌は、すぐにピンク色の口内へ押し入った。
 悦楽で力の抜けた百合枝には、ここまでされたらなすすべがない。
 嬉しそうにのたくる男舌に、桃色の妻舌は舐め回される。
(ああ……強引に唇を奪われて……夫にもされたことのない……ディープなキスを一方的にされているのに……あああ……気持ちいいぃ

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