ヒロイン工学研究所 2023/07/13 21:02

AI編集者との対話

AIに編集者になってもらう

一人で創作する者の弱味、それは制作中の作品について相互にフィードバックしながら制作をサポートしてくれる編集者がいないことです。
作品を制作中の作者はちょっとした質問や対案提示などがあるだけでそれをきっかけとして作品についての理解を深めたり良いアイデアを生み出したりすることができます。この場合、質問や対案は必ずしも才気ある鋭いものである必要はありません。
重要なのはむしろそれが自分以外の外部から与えられる刺激であること。素朴で基本的な質問であっても、あらためて外から促されて答えを考えることによって新たな発見があり、またそれまで雑然としていた思考が整理されて、やるべきことがはっきりしてきます。

そこでAIの出番です。
私はずっと以前から対話型AIが進歩すれば、AIに編集者の役割を担わせることが出来るんじゃないかと考えていましたが、この半年の間にその環境は驚異的なスピードで整ってきました。現在私はChatGPTを活用することで実際に「AI編集者」というものがどのような形で可能なのかを日々模索し続けています。

AI編集者に求める機能としては主に次の三つが考えられます。

1.作品理解や新しいアイデアにつながる対話
2.スケジュールや工程の管理
3.マーケティング関連の助言

私の同人活動は今のところ厳格な締め切りを設定せずにやっているので、重要なのは1と3です。特に新しい作品の企画段階では1と3はセットにして考えることになります。
なお、ヒロイン工学研究所はヒロピンに関する研究を目的の一つとしており、作品の公開は研究成果の発表であると同時に作品を通じてのアンケートデータの収集という意義をもっています。普通の編集者でこういう問題に対応している人はあまりいないと思うのですが、有益なフィードバックを得るための読者との関係性作りという点ではこの問題もマーケティングと大差はないので、これも3のカテゴリーに含めて考えます。

ChatGPTに編集者役になってもらう

実際にAIに編集者になってもらう方法としては「ChatGPTに具体的に指示をして編集者役になってもらう」というやり方でいきます。
今回はちょうど「敗姫処分 No.3 add'l」の企画をしているところだったので、ChatGPTにAI編集者として新作についての質問をしてもらうことにしました。

具体的な手順としては以下のようなプロンプトでChatGPTに質問リストを複数案提出してもらい、それを私が取捨選択してまとめなおしました。

【プロンプト】
あなたはマーケティングの知識も豊富な優秀な編集者です。あなたが担当する漫画家が次回作の構想を具体化し、それによってマーケティング戦略も具体化できるようにするためにいくつかの質問を作成して下さい。

新作企画に関するAI編集者からの質問リスト


【AI編集者】
次回作のストーリーについて教えてください。物語の概要や舞台設定、主人公の特徴など、基本的な要素について教えていただけますか?

物語の流れやプロットについて、詳しく教えていただけますか?主要なエピソードや展開、クライマックスについて具体的なイメージをお伺いできますか?

キャラクターやストーリーの魅力を最大限に引き出すために、特定の演出やクリフハンガー、驚きの要素などを考えていますか?読者を引き込むための具体的なアイデアを教えていただけますか?

今回の作品で伝えたいメッセージやテーマはありますか?読者にどのような感情や考えを抱かせたいですか?またそのためにどのような工夫をしますか?

次回作の雰囲気やトーンについて教えてください。作品の世界観や表現方法について、具体的なイメージをお伺いできますか?

前作との関連性はありますか?前作と関連がある場合、今作はどのような点で独自性があるといえますか?

作品全体のスタイルやアートディレクションについて、どのようなイメージがありますか?色彩、線の使い方、パッケージのレイアウトなど、具体的な要素について教えてください。

ターゲット読者層を具体的に定めてください。この作品はどのような人々に向けて描かれていますか?年齢層や性別、興味関心などを考慮に入れて教えてください。

競合作品や同じジャンルの漫画と比べた際の差別化ポイントは何ですか?他の作品との違いや魅力を教えていただけますか?

読者に作品を広めるためのマーケティングアプローチについて考えていますか?

ファンエンゲージメントのためのアイデアはありますか?読者とのコミュニケーションや関係構築を促進する方法について教えていただけますか?


…以上が質問リストです。
内容は基本的なものですが、なかなかしっかりした質問です。前作との関係と今作の独自性を問題にするところなどは盲点でした。この編集者、雰囲気的にはなかなか有能そうなので期待がもてますが、見掛け倒しの可能性は大いにあるので、まだまだ真価はわかりません。今後、より突っ込んだ問題に対応できるかどうか検証していきたいと思います。
なお、この質問への回答はこれから考えていくつもりですが、機会があれば同人制作の進捗報告の記事で紹介したいと思います。

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