カラー漫画とモノクロ漫画は別物
前回の記事でも書きましたが、以前「是非カラー漫画で春麗の敗姫処分を描いて下さい」というファンレターを頂いたことがあり、そこで今回の制作はまず「カラー漫画の制作は可能か?」という問題の検討から入りました。
ただ、私は以前から
「カラー漫画とモノクロ漫画はまったくの別物である」
と認識しており、安易にカラー漫画に手を出すべきではないと考えていました。
カラー漫画とモノクロ漫画の違いについては、こちらの記事にわかりやすく解説されているので、ここでは詳しく書きませんが、要は「人間の視線が色に引き付けられることや色に意味を感じてしまうことを考慮に入れると、カラー漫画とモノクロ漫画はまったく別物として設計しなくてはならない」ということです。
これは映画の世界でも同じであって、モノクロ映画で培われた技術や理論は色が付いた途端に根本から考え直す必要があったので、一部の映画監督たちはカラー映像を採用するときに非常に苦労したらしいです。かなりおこがましいですが、私の悩みもこれと似ています。
別に「カラー漫画なんて表現形式としてダメだ」と思っているわけではありません。
問題はカラー漫画にモノクロ漫画ほどの歴史がないこと、そのせいでモノクロ漫画ほど技術や理論が確立していないこと、そして結果的にモノクロ漫画に色を塗っただけの「なんちゃってカラー漫画」が多いことです。
試しに作ってみた
カラー漫画とモノクロ漫画がまったくの別物なので、モノクロ漫画として設計された作品に単に色を付けるだけだと、モノクロの良さもカラーの良さも十分には発揮できていない中途半端な作品になることが多いです。
ちなみにこれは「敗姫処分No.2」のサンプル用の1ページを試しにカラー化してみたものです。
そんなに悪くはないですが、モノクロ漫画を事後的にカラーにした作品にありがちな不自然さが少しありますね。
仮に新作をカラー漫画として描き始めても、現時点ではカラー漫画用の設計のやり方がわからないので、結局はモノクロ漫画と同じようにして作ったものに色を塗ることになり、最終的にはこういう感じの作風になってしまう気がします。
困ったときに頼れる資料がない
カラー漫画としての良さを遺憾なく発揮したような作品がモノクロ漫画の名作に比べるとまだまだ圧倒的に少ないという事実は、私のような漫画制作の経験が浅くて色々な参考資料を見ないと何も描けないような人間にとっては致命的です。
いざカラー漫画制作を始めて、途中で「こういうシーンはどうすればいいのだろう?」という壁にぶち当たったときに参考になるものがまったく手に入らなくてそこで止まってしまうという事態が何度も起きる可能性が考えられます。また、ほとんどのシーンで仕上がりイメージがあやふやなまま作業を進めることになるので、結局上手くいかなくてやり直しになるリスクは常にあります。
こうした事情を考慮した結果、まだまだ同人でのカラー漫画制作は時期尚早という結論に至りました。
カラー漫画の可能性について
「カラー漫画とモノクロ漫画は別物」と割り切った上で、カラー漫画にはこの形式でしか表現できない魅力と可能性がきっとあるはずだとは思っています。
自分はもともと漫画よりもイラストや絵本の表現形式の方が馴染みがあり、また今までに見た魅力的なカラー漫画は漫画的な魅力と言うよりもイラスト的もしくは絵本的な魅力のものが多かったので、もしかすると自分の表現したいものと合致したカラー漫画の形式をこの先発見できるかもしれません。
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