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あいミスの記事 (4)

遠蛮亭 2023/10/25 22:11

23-10-25.「くろてん」本格的に動き出しました!

こんばんわです!

今日もひたすら作業に明け暮れました! 「くろてん」本格始動、来秋リリース予定です! 広輪さまとも相談してこの予定を発表しても大丈夫、という結論に達しましたのでようやく、堂々と宣言できます! こうなると3rdの予定だった「廃神綺譚」と4th予定の「くろてん」の順番がまた入れ替わってくるわけですが。


それで、今日やったことは顔グラの作成とか、AIに呪文打ち込んで背景作成とか、シナリオ進行のご相談だとかなんですが、あまり目に見えた進捗はありません。音楽ファイルの整理とかも大事なことなんですがゲーム制作そのものはシナリオの端緒についたところです。まあ、「くろてんリライト」から大きく逸脱はしませんが、新規シリオなのでやっぱり少しは変わります。そのあたりでこちら。

上がヘスティア皇帝オスマン、下はエッダの亡命貴族インガエウ。ゲーム冒頭で各国の群雄がおのおの雌伏してたり牙を研いだりしてたりするシーンを入れたかったので、この二人にご登場願いました。二人とも小説版3幕からのキャラだし初描きなので「誰!?」みたいな感じな上、たぶん冒頭で思わせぶりに登場したあげく本編に登場することはほぼゼロという詐欺みたいなキャラなのですが。ついでにいうと男キャラなのでそもそも「知らねーよ!」な感じでもあり。

というわけで野郎二人のあとの口直しにあいミスのプリシラ。1年ぶりくらいであいミス起動したらプリシラお誕生日イベントだったので、ぱぱっと手早く描きました。手早く描いたのであちこち手抜き。

それでは、本日は以上です! ここから「くろてん」のペースを上げて広輪さまの新規立ち絵やイベントCGも逐次紹介していきますので、よろしくお願いいたします! 戦闘は現在のところ通称戦闘の予定ですが、タクティカルコンバットを久しぶりに使いたくもあり……またアンケート取るかなぁ……。イラストの方はまず28日に辰馬くん立ち絵が完成とのことです!

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遠蛮亭 2023/08/02 12:15

23-08-02.お絵かき(くろてん_神楽坂瑞穂、あいミス_アナスチガル)

こんにちわです!

まずこちら、瑞穂さん。神御衣の色が青→赤ときて紫になりました。やっぱりおちちが大きいとボディバランスがとれなくなります……、精進あるのみ。

こっちはあいミスのアナスチガルママ。時間的には瑞穂さんより先にこっちを描いたんですが、どちらかというとこっちの方が上手く描けた気が。あんまりおちちにこだわらず描いたからでしょうか。

今日はお絵描きばかりで「お狐様」の進捗がありませんでした。ひとまず必要なイラストはほぼそろって、あとはシステム面を完成させるのみです。それでひとつ考えてるのですが、出産イベントはナシにするかなぁと。初音の性格的に自分の胎を錬金炉にするという考え方を容認しない気がします。圧倒的に強い敵(30レベルが初音のレベル上限で、それだと絶対勝てないレベルの敵)がいてそれに勝つための措置、として出産を考えてたんですが、30レベルで十分勝てる相手にしておけば必要ないかなと。今作「お狐様」のエロはギリギリr-15で収まる範囲にしておこうかと思うわけでした。

それでは、相変わらず頭痛腹痛その他もろもろに苛まれていますが、今日も生きていられました。本日もここまで閲読いただきありがとうございます、それでは!

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遠蛮亭 2023/07/01 07:22

23-07-01.くろてん再掲2幕3章10話+お絵かき(あいミス_アリン)

おはようございます!

【黒き翼の大天使.日輪宮の齋姫】
DLsite
https://www.dlsite.com/maniax/work/=/product_id/RJ01064650.html

FANZA
https://www.dmm.co.jp/dc/doujin/-/detail/=/cid=d_277954/

よろしくお願いします!
……というかFANZAさんでの確認の時も「難易度が高く確認が非常に困難」と言われましたし、戦闘スキップ入れたほうが良いのかもしれませんね。シナリオを楽しんでほしいのにシナリオを進められないでは本末転倒、もしかして購入してくださった方の中にグッドエンドをみれた方がいないかもしれないとなるといけません。

あいミスのアリン。頭身が高すぎ、というか頭小さすぎておかしな感じに。あと2周りくらい頭を大きく描いてればちょうどよかったんですが。

昨日は賃貸契約の話とちょろっとだけ「聖鍵」のシナリオ、その後上のアリンのイラストで終わったので、進捗はありません。とりあえず今日は「日輪宮」の修正をやるつもりです。

それでは今日もくろてん再掲、よろしくお願いいたします!

………………
黒き翼の大天使.2幕3章10話.姉の憂い

 あのあと、数日かけて魔物たちと、魔族を討伐し……瀬名には強○的にひっこんでいただきまず概ねは殺さずに済ませ……仲間たちと分けてもなお、ちょっとした一財産になるお金を得た辰馬。

 けどなぁ……これ、家の維持費やらなんやらでほとんど飛ぶんよ……。

 まだ16歳にして、そんなことを考えさせられるのも結婚などさせられたからで、別にゆかにたいして恨み節はないもののこの婚儀を考えついた宰相・本田馨紘《ほんだ・きよつな》は憎い。いろいろと言いたいことはあるし会おうと思えばもと宰補の蓮純《はすみ》経由で会えないこともない……というかあの宰相、たまに正月とか新羅家に来て、牛雄に頭下げて帰って行く……のだが、ああいうタイプの人間になにいっても無駄なので黙る。ホントいろいろ口に出してぶちまけたいが。

 などと考えながら、辰馬は本屋にいた。書店にせよ古書肆にせよ、本屋の独特な空気感が好きだ。紙の臭いに絶頂感を感じるとか言ったら変態かと笑われるが、あながち大げさなことでもない。なぜか知らんが書店に入るとトイレに行きたくなると言うヘンな癖が発動するのだけは如何なものかと思うが。

 まあ、あんまし高い本は買えんか……つーかこの店、いつも思うけどこの配置はよ。

 まじめでお堅い歴史書コーナーのすぐ裏手に、きわどい……というか有り体に言ってエロ本コーナーがあるのである。ここ一年で写真の精度も上がり、世の中大富豪家ならカラーテレビすらある時代。エーリカ・リスティ・ヴェスローディアの水着グラビアも、去年なら白黒に彩色師が着色したどこか嘘くさいものもだったが、今ではもうカラーの陰影バッチリである。普段からエーリカの裸なんぞ見慣れている辰馬だが、やはりそれでもこんな場で知人の媚びた水着姿なんぞ見るといたたまれなくなる。

 兵学関係だと歴史書の一番端だから、ホント困る、この配置……。

 はたから今の辰馬を見るとやけに熱心な顔でエロ本コーナーを物色している銀髪美貌の貧乳少女、という風情であり、見た目に面白い絵面ではあるが本人的に笑ってられる状況ではない。本当に心の底から困る。

 店員に言わんとな、配置変えろって。

 やや憤然とそう考えて、辰馬は開き直って本を手に取る。もちろん、エーリカ表紙のグラビア誌ではなく、「兵論考《へいろんこう》」という本。瑞穗から「本やさんにあれば読んでおいた方がいいです」と勧められたヤツだ。過去の兵法についての考察と、それぞれの詳細な戦例が戦図つきで載っている。過去において戦図というのは超特秘事項で、こんな書店に並ぶ書籍に収載されることはありえなかったのだが。現在、アルティミシアの大国9王家が覇を競い、アカツキも北は桃華帝国、西にラース・イラの二正面作戦を強いられているとは言えやはり言論と表現の自由が守られる程度に、かつてより平和にはなっているらしい。

 うし、これ買っていくか!

 軍学校の入校試験は10月、あと3ヶ月ちょっとあるとはいえ、余裕あるスケジュールとはなかなか、いえない。辰馬の場合新羅邸の少女たちに求められて逆レ○プされて時間を空費してしまうこともありだから、その辺も考えて時間を作っておく必要がある。

 ま、なんだな。アンチョコ使うみたいでちょっと、アレだが……

 書店から出るなり包装紙から取り出して、大判サイズの「兵論考」を開く。本の内容はおもに「東方」と「西方」に別れ、東方での有名どころというか兵法鼻祖《ひょうほうびそ》は馮媛《ふう・えん》という人物。最初彼女が仕えた王は惨めに敗北するのだが、馮媛は捲土重来《けんどちょうらい》を期して主君に臥薪嘗胆を薦め、そして敵王に美姫と財宝を贈り油断させ、その美姫を間諜として常に王の身辺の情報を採り、そして敵王の油断に乗じて挙兵、敵の王都まで7戦7勝し、8戦目で敵国を滅ぼした。しかしその後、安楽に溺れてかつての苦労を忘れた王に疎まれ死を賜るのだが、その死に際、この国が滅ぶさまが見たいから我が目をくりぬき京師の門前に懸けよ、と口にする。そして実際、馮媛死後の愚王は圧政に耐えかねた民衆の反乱と、北からの異民族に板挟みにされ、今一度敵の足を舐めて生き延びようとするが、結局許されず首を刎ねられた。まあそういう、悲劇性もあって人気が高いし、「馮媛兵法」という書があってこれがだいたい、現在まで続く兵法のもとになっている。

辰馬の祖先、伽耶聖《かや・ひじり》についてもやはり載っていた。アカツキ最大の名将とはいえ割かれているページ数はそう多くはない。アカツキ内戦……この言葉は今後、ヒノミヤ事変を意味することにもなるのでいろいろ面倒だが、東西戦争のときのことで……における局地的活躍はともかく、結局主君を勝たせることが出来なかったために評価で劣るらしい。あと知略のみならず武芸に秀でていたのも事実だが、まさか実際、900何人を一人で殺したというのも嘘だろう。あれは西方の有名な騎士王の伝説に仮託しているらしい。

 西方にもウェルスの祖帝シーザリオンの盟友で将軍のコルブロス、当然というかクーベルシュルトの祖で女神凌○の蛮王ゴリアテ、草原の覇者アミール・ナーディル・ティメルラン、剣奴から王となりラース・イラを大陸最強に導いた剣王アータルなど開国4皇(コルブロスは王ではなく、その右腕だが)と言われる男たちはやはり名将・名軍師であり、ほかにもウェルス皇帝11代ウィティゲス・ヘラクリオスや、ティメルランの軍に3度、挫敗を味あわせたクルクシェートラのチャン・ドゥン・トゥエの名も名高い。近々の人間としてつい先日、辰馬が手合わせした戚凌雲の師父・呂燦やレンナートの師匠マウリッツもまた、高名な軍事家、軍事理論家として名声を確立している。

 西方でもっとも凄まじいのはフス・ウィクリフという男で、彼はもともとウェルス……東辺の、現在ではラース・イラ領の地方であるが……神学者であったのだが、教会の堕落に失望し絶望し、そこから敢然と立ち上がった。そこから彼は当時まだラース・イラと並び立つ大陸の覇者であった神国ウェルスを相手に、互角以上の戦いを敢行する。竜騎兵連隊……軽甲銃騎兵隊という意味ではなく、「神域」に住まう本物の竜《ドラゴン》に騎乗するウェルスの最精鋭部隊ですら、彼の前に手も足も出なかった。そのとき彼が使った新兵器をピーシャチャラ《笛》といい、いわゆる現在のマスケットのモデル。そして彼がしばしば使った戦法こそが、ヒノミヤ事変でヒノミヤ突騎隊相手に神楽坂瑞穗が駆使して見せた戦術、すなわちワゴンブルク。彼はそれまで物資輸送の道具でしかなかった荷車を可動要塞として駆使し、そして敵の突撃を止めるや足下には縄や古着を撒いて足を絡め取り、そしてピーシャチャラの斉射で仕留めた。さらにバルーンを使った空挺爆撃戦術も使い、空に逃げた竜すらこれで仕留めてしまう。そしてほぼ神国ウェルスおよび神教会に対して完全勝利を決定したのだが、和平の場に誘い出されて暗殺される。このときフスは自分の運命をすべて分かっていたが、すでに自分の歴史的役割は終えたと、従容と笑って和平会場に向かったとされる。なんにせよ世界名将10傑の確実に首座を射止めていい人物なのだが、実のところ名声がそこまで高くないのは神教会に弓引いた反逆者ゆえか。しかしまあ、彼の戦い方に敬意を表しその戦術を継承する、瑞穗のような少女もいたりするわけだ。

ここまで読んできて思うのは、軍事において魔術を同時に駆使することが非常に少ないと言うこと。まあ大規模魔術自体非常に困難だし、消耗も激しいのでそれも理由のひとつなのだろうが、これまでの時代の戦争において「純粋に兵略を競い合う場に、魔術などと言うものを持ち込むのは無粋」という考え方が根付いていたからにほかならない。しかしこれからの時代は総力戦が主になる予感。各国大規模魔術の使い手を動員して、戦場に火の玉や氷の刃が飛び交うことも珍しくはなくなるだろう。それはつまり旧時代におけるナポレオン戦争以降、第一、第二次大戦と大量虐殺兵器が量産されていったのと似たような流れであり、辰馬の心を暗澹とさせる。

 兵法ならそれだけで勝負しよーぜ、まったく……。

 そうごちて適当に、ファストフード店に入ってポテトとオレンジジュースだけ頼む。あの炭酸の黒いのは辰馬的にどうしても苦手だ。シンタあたりは大喜びでぐいぐい飲んでゲップしていたりするが。

「あら、辰馬」
「……たぁ、くん……」

 先客がいた。それも姉二人。実姉クズノハと、育ての姉雫。まあ辰馬にとってクズノハはどーでもいいわけで、なにやら沈んでいる雫が気になる。「どーしたよ?」とりあえず相席しつつ問いかけるが、雫は暗い顔で頭《かぶり》を振るばかりだった。非常に、らしくない。

「あたし、やっぱたぁくんに邪魔かなー……」
「は? なに言ってんだばかたれ。そんなわけ絶対ねーだろーが」
「でも、美咲ちゃんがいればあたしいらないよね? お料理も洗濯もお裁縫も、ぜーんぶ出来るし。あたしの取り柄だった戦闘力だってまけないくらい美咲ちゃんにはあるし、しかも一応聖女さまだし、大公家の侍従長でお国の宰相のお気に入りだし……もうねー、役立たずのあたしは身を引いて瀬名くんとでも結婚しちゃおうかなーって……」
「……ハァ、ばかたれ」
「……なんだよう、こっちはまじめに話してるの! ばかたればかたれせからしか!」

 実に珍しいことに、雫まで南方方言で言い返した。ちなみに「せからしか」は「やかましい」で、意訳すると「バカバカ言いやがって、うっせーんじゃ!」というほどの意味だが、雫が方言を使うのは実に珍しい。それくらい、心理的余裕がないということでもあるだろうが。

「あのさー、もしあのガキにしず姉盗られたら、おれは自殺するぞ?」
「へ?」
「なんか、今までしず姉がそんな自信なさげにしてるとこ見たことなかったから気づかんかったけど。なんか勘違いしてるよな。……しず姉がおれを好きなんじゃなくて、おれがしず姉を好きなの。わかったか? 二度言わせんなよ? だから、おれから離れるとか、自分が邪魔とか、そーいうこと言うな。諒解?」
「う……うん……うん! やはは、まさかたぁくんからそんなふーに……」
「あんまり思い返すな。今のはこの場だけの……」
「ダメダメ。何度だって思い出してにやにやするもーん♪」
「調子、戻ったみたいね。先輩」
「うん! そりゃもう、たぁくんにあれだけ言われたら! クズノハさんもありがとー!」
「まあ、それはいいんだけどね。……さて、次はわたしの悩みか……」
「ん?」

 一泊、軽く間を置いて。本当に何でもないことのように。

「実のところ、魔王って必要あると思う?」

 魔王にもっとも近きもの、魔皇女クズノハはそう言った。

………………

以上でした、それでは!

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遠蛮亭 2023/05/11 19:07

23-05-11.くろてんリライト再掲2章5話+お絵かき(あいミス_フリッカ)

こんばんわです!

まず、お絵描き1枚。

あいミスのフリッカ。描いてるうちはだいぶうまく描けてる気になってましたが、完成するといまひとつ。服は結構問題なしなんですけどね、表情、とくに目が生きてないのが……。まあ、以前のようにこの絵は気にくわん、と歯噛みするようなことはないのです、なので最低限描けてるとは思いますが、やっぱり少し物足りない。

ちにみにこのフリッカのウサ耳で思い出しましたが、昔ウチでミニうさぎ飼ってました。これがミニといいながら普通の兎の数倍大きくなるわけですよ。しかも性格凶暴で餌の時にしょっちゅう顔面蹴られました。1匹しか飼えなかったのでウサギの性欲をもてあましてたのかもしれないです、懐かしい。

以上で終わりだと物足りないので、くろてんリライト再掲。今話もよろしくお願いいたします!

くろてんリライト.2章5話

一夜明けて。

蒼月館男子寮・秋風庵の辰馬の部屋。

「さて。こっからここがおれらの拠点になるわけだが」
 ぼや―と言う辰馬。緊張感はあまりない。

「必要なことは何でしょうね。とりあえず募兵と出陣は必須事項だとして……」
 大輔が首をひねる。これからやることは一冒険者としての行動ではなく、大勢の仲間に責任を持つことになる軍団戦。辰馬に緊張感が欠けるとはいえ、その舎弟たちの表情はさすがに硬い。これまで「人を率いる」なんて経験、ロクになかったのだから当然だが。

「内政、っつーか学園経営の一部かな、そのへんも任された。購買とか学食のメニュー案とか出して、それで実際利益が上がったら一部を軍資金にしていいんだと」
 ぺらりとメモをめくって、辰馬は相変わらずぽやーんと。この緊張感のなさが伝播して、仲間たちの過分な緊張をうまい具合にほぐす効果になる。計算でやっていたらとんでもないが、あいにく天然である。

「あ、ならオレメニュー案出します。とにかく辛いやつ!」
「いやがらせか~?」
 挙手するシンタに、辰馬は半眼ジト目でぼそっと言う。シンタも気づいたようで、すこし気まずげに笑った。

「いや、そーいうつもりはないンすけど。……辰馬サン、辛いのダメっスもんねー……」
「ガキ舌だってゆーんだろーが。おれにいわせりゃ辛いのばっか喜んで食ってるお前らの舌がバカなんだよ」
「いや、でも辛いの受けますよ?」
「まーなー。そこらへんはわかってるんだが。んじゃあなんか具体的にメニュー考えといてくれ」
「了解っス!」

「つまり、商業活動とそれに応じた報酬の受け取りが認められる、と、そういうことでゴザルな?」
 出水がデブ肉を揺らして言って、眼鏡をくいっと。

「うんまあ、おおむねそのとーり」
「では拙者の出版物の稿料、今後は受取先をここにしておくでゴザル。多少の軍資金の足しにはなるでゴザろう」
 出水秀規のもうひとつの顔、「ちんちんかもかも丸」名義での官能小説家活動。業界で威張れるほどに売れているわけではないが、辰馬たち学生にしてみればその印税による稼ぎは大金だ。それを出水は擲つという。

「え……いーんかな?」
「構わんでゴザろう? 問題あったらその時謝ればいいでゴザル」
「そんなもんか? ……んじゃ、内政はそんな感じで収益上げるとして。あとは訓練も必要だな。昨日ので実感した」
 実感した、というのは味方の男子の弱さだ。アルティミシア大陸は女神の加護する大地、しぜん恩寵は女子に篤く男子に薄い……というのはわかりきっていたとはいえ、その落差がここまで大きいとは思わなかった。そのあたり、辰馬は魔王と聖女のデモノハーフで女子に劣ることがなかったし、シンタ達三バカも神力・魔力を持たない霊力・人理魔術使いとしてはかなり腕が立つから、失念していたといっていい。昨日の一戦、陣形とか作戦とか、そういうものに相手が慣れていたならああも簡単にはいかなかった。

「ですね。鍛錬なしの雑兵ではこの先、役に立ちません。ましてや神力持ちの女子を相手にするわけですから……」
「模擬戦の感触だと……、女子一人に男子五人でようやく互角、ってとこなんだよなぁ……」
「はれ、そんな差ありました? オレ、案外簡単に勝てたと思ったんスけど」
「そりゃ、指揮官の能力に差があったからな。林崎や塚原が相手ならおれは勝ってるけど。学生会長やら、向こうの李詠春やらに比べるとさすがに厳しい」
 シンタの問いに、正直に自分の実力とその限界を告げる辰馬。学生会長・北嶺院文はアカツキ三大公家の令嬢だが、その門地格式にかかわらず実力で士官学校に大佐待遇で入学を内定している才媛だ。昨日辰馬が見せた戦術くらい簡単に対策するだろうし、それと張り合えている明芳館のトップ、李詠春もそれと同等の才覚実力を持っていると考えるべきだろう。

「では、その辺5対1から3対1くらいにはなるよう、レベル上げますか」
「だな。つーても普通に冒険者としてのレベル上げじゃいかん。軍指揮官と兵員としての技量と熟練を上げんと」
「んな都合のいい訓練所あります? まさか国軍の演習に参加とかできないっスよね?」
「シンタ惜しい。国軍の出してる討伐クエストを受ける。今までは無視してたけど、ギルドにはそーいう仕事もあんだよ。傭兵用の」
「傭兵用のクエストですか……普通のクエストより何度厳しめですね。そのぶん、報酬も多くはありますが」
「ま、無理はせん範囲でな。あとは……まあ、実際やってくのが一番か。つーかやってみねぇとなんもわからん」
「そうですね。じゃあ、ひとまずこのくらいで?」

 そこでガチャリとドアが開き。

「ここが新羅の部屋? 案外こざっぱりしてるのね」
「し、失礼します新羅先輩……はわぁ、男の人の部屋……」
 と、入ってきたのは林崎夕姫、塚原繭の二人。今日は冒険用の武装ではなく、普段通りの蒼月館学生服姿である。ふたりとも男の部屋が珍しいのかきょろきょろするので、辰馬としてはなんだか背中がむず痒い。

「おのぼりさんか。つーかあんまりジロジロ見んなよ、なんか恥ずかしーわ」
「なによ、見られて困るもんでもあるの? エロ本とか?」
「エロ本ねぇ……そーいうのも見たくはあるが、買うなってしず姉のお達しでな。『ムラっと来たら雫おねーちゃんに全部ぶつけんさい!』ってことで……」
「はあ……牢城先生もモノ好きよね、こいつのどこがそんなにいいわけ?」
「知るか、おれに聞くな」
「いえ、新羅先輩はかっこいいですよ? 林崎センパイだって……」
「繭!? アンタなに言ってんの!?」
「??」
「ぎゃー! こっち見んな! アタシはおねーさま一筋なの。新羅なんか歯牙にもかけてないのよ!」
「はいはい。くすす……」
「??? ……まあ、林崎が同性愛者なのは知ってるが」
 林崎夕姫と北嶺院文がそういう関係だということは、蒼月館の学生ならだれでも知っているレベルの話だ。どちらが受けでどちらが攻めかとか、そういうことは知らないが。そもそも女性主権で男子は汚らわしいとされるこの世界、女性同士の同性愛は珍しくもない。

「……そーよ。なにか文句ある?」
「いや、ウチにもすぐひとのケツ触ろうとしてくる赤ザルいるから、まあなんとなくはわかる」
「ちょっと! 上杉とアタシを一緒にしないでくれる!?」
「いや、大して変わらんだろ」
「うわ‥‥‥こーいうこというからこいつ嫌い」
「んで、なにしに来た?」
「あ、すみません失礼しました……、本日をもって正式に、新羅先輩の指揮統帥下に入ることになりました塚原繭と」
「林崎夕姫よ。いちいち自己紹介も必要ないでしょーけど」
「センパイ? 相手は上官なんですから、ちゃーんと頭下げて」
 ふてぶてしく昂然と胸をそらす夕姫の頭を繭がつかんで、強引に頭を下げさせる。武家の娘で体格的にも腕力的にも優れる夕姫の力に抗しきれず、ギギギと頭を下げさせられる夕姫。

「了解。これからいろいろやってもらうから、よろしく」
「はい♡」
「ま、アンタが成功してるうちは、いうこと聞いてあげるわよ」
 こうして、林崎夕姫と塚原繭が、辰馬の指揮下に入った。

 さらにしばらく駄弁っていると、再びドアがガチャリと開く。

「たぁく~ん、たぁくんたぁくんたぁくんたぁくん、会いたかったよぉ~っ!」
「うぎゃああ!? いきなり抱き着くなやアホ姉!! なんの用だアンタ!?」
「むー、たぁくん冷たい。あたしのいないところでキレイどころ二人も侍らしちゃって……。まあ、あたしは理解のあるやさしー奥さんなので許してあげちゃうけど」
「いーから、本題」
「はーい。えっとね、みずほちゃん、週末退院だって。うれしかろー?」
「週末? また、えらく早い……やっぱ齋姫ってことで、女神の加護的なもんがあるのかね……? そんじゃ、退院のときは手伝いするとして。しず姉、訓練教官頼めるか?」
「んー? 学園抗争? 教師の立場としては学生の喧嘩に手を貸すのはなぁ~……。てゆーか、たぁくんがアレに参加するとか意外だったよ? 普段たあくん、あーいうのには我関せずじゃん?」
「……まあなー、ちょっとあってな」
 絶望の悲鳴を上げながら駆け寄ってきた男子、背後から神撃を叩きつけられ、踏みつけにされた少年の姿が頭を離れない。そのうえで明芳館・李詠春の「男子は羽虫」発言。ことここに至っては我関せずというわけにもいかなかった。

「積極的に学園抗争に加担、はできないけど。まあ偶然にうちの学校の子がよその子と喧嘩してて? そこに出くわしたらしかたなく、雫おねーちゃんも手を貸すことになる、かな」
「あんがと、それで十分。あとは……エーリカか」

……
…………
………………
 エーリカ・リスティ・ヴェスローディアはスタジオにいた。瞬くフラッシュライト。赤い水着と前をはだけたヨットパーカーという健康的に煽情的な姿のエーリカが、シャッターが切られるたび表情とポーズを目まぐるしく変える。

「その表情いいよぉ~、そのまま、そのまま!」
「エーリカちゃんもう少し足、寛げてみよーか?」
「はーい♪」

 と、水着姿でニッコリ笑う同級生をぼけーっと待ちながら、「なんだろーな、あれ……」辰馬はぼんやり呟いた。なんというか、辰馬の知るエーリカとここにいるエーリカの落差が激しい。あいつあんな素直な顔するキャラ違うやろ! と思うわけだが、まあ職場とプライベートの顔が違うなんて珍しくもないのである。

 辰馬はスタジオのスタッフとは顔見知り……というかエーリカにグラドルの仕事を紹介したのがシンタで、その時に随伴したので顔を覚えられている。その節は何度もしつこくアイドルにならないか、と尋ねられたものだが、さすがに何度も重ねて断ったからにはこれ以上しつこくするスタッフもいない。

 だからスタジオに足を運んでも門前払いとはならず、「撮影終わるまで見ていくかい?」となったわけだが。

「シンタとか、エーリカの身体がエロいエロいってよくゆってたが……まあ確かにエロいか。ふだんジャージだとわからんが」

「はれ? たつま?」
 撮影中のエーリカの注意が、こちらに向いた。余所行きの表情が剥がれて、普段の強気で自信家なエーリカが現れる。辰馬はあちゃーと頭を抱えて撮影妨害になったことを悔やんだが、むしろスタッフは大喜びでエーリカの素の表情を撮りまくった。

「ちょ、やめ、やめて! この表情違うから!」
 意図しない表情を隠そうとするエーリカと、その困り顔に群がるスタッフたち。なんか襲ってるような絵面に、辰馬はそっと目を背ける。

「あ゛-、えらい目に遭ったわ……で、なにしに来たの、たつま?」
「んー、今後学園抗争に参加することになってな。エーリカの力を借りたい」
「ふーん。色気のない話ねぇ」
「おれに色気とか求められても困るわ。んで、ご協力願えますか?」
「いーけど、なんか見返りがほしーところよね。国語と歴史の家庭教師、あたしが望んだ時にいつでも、っていうのは?」
「OK、それでいい。まあ完全にいつでもってわけにはいかんかもしれんが」

 こうして。新羅辰馬は順調に、陣営の地盤を固めていく。
数日間は学生会の一員として、学食のメニュー出しから購買の管理、放課後の治安維持活動と集団戦訓練。そして週末、いよいよ神楽坂瑞穂が退院する。

………………

以上でした、それでは!

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