shasu/らーすとちゅか 2023/09/03 12:00

お持ちの券の番号が呼ばれたら総合窓口まで

#792
冒険者を目指す女の子が色々勘違いしちゃうお話
~第4話~

エネ「おー……流石大きい街のギルドは違うね…」


冒険者ギルド集会場…
街の役場して機能を果たしているこの建物は、冒険者以外にもあらゆる手続きを行うための窓口や、幾つかの公共施設が中に併設されていた。
昼近い時間帯だったためか中には沢山の冒険者や、それに対応するギルド職員が忙しそうに対応していた。
一番混み合っていたのはクエスト課で、依頼を受けたり、報告の為に来た冒険者達やそれを依頼する町人達で室内は埋まっている。
エネはその奥にある総合窓口で、先ずは冒険者登録を行うために順番を待っていた。

エネ「さっき職員さんに案内してもらったら、なんか番号の書かれた紙を渡されてここで待ってるようにって言われたけど…
いつまで掛かるんだろ…?もう30分以上経ってるし…そろそろかな~…?」

こちらの窓口を利用する大体の人物は冒険者登録前だったり、研修中の者しか居ないので似たような世代の子を何人か見かけた。


エネ「ここに居る子達もこれから冒険者として生きていこうとしているんだよね…言わばライバルか…」

そう心の中で周りのライバル候補を想像していた…
そんな事を考えていると彼女を呼ぶアナウンスが聞こえてきた。

アナウンス「……の方…27番でお待ちの方…!3番窓口までお越しください!」

エネ「あ…私だ…はいはい今行きます!」


幾つか並んだカウンターテーブルの、「3番」と書かれた場所の前に腰掛ける。
正面に座っていたギルド職員は淡々と、冒険者になるための手引きについての説明を始めた。

ギルド職員「えっと…冒険者登録との事で…。登録の際にはこちらの用紙に必要事項を記入してもらいます。」

エネ「はいはい…え~っと…名前…住所に…得意武器…特技……身長…体じゅ…え…?
これ全部書かなきゃいけないの…?」

記入用紙には、基本的な個人情報などや冒険に必要なスキルや習得魔法の有無の他に、体格や装備(インナー類含む)のサイズの記入欄が存在していたのだった。

ギルド職員「ああ…体のサイズはですね…新人冒険者さんに当ギルドから最初にいろいろと装備などを支給する制度が有りまして…
そのデータで体格などこちらで確認できますと、その際適切なものを提供できますので…
それは後で行う身体測定の際に正確な数値が判りますので、そこは未記入で大丈夫ですよ。
こちらに記入した情報と合わせてギルドカードに入力される形になります。後であなたのギルドカードをお渡し致しますので大事に扱ってくださいね。身分証明書としてご使用できますので。」

エネ「あ…そうなの?良かった…でも、スリーサイズとか…結構個人情報書くのね…結構嫌がる人とかも居るんじゃないの?」

ギルド職員「それは安心してください。ギルドカードに登録されるデータは基本非公開情報なので他の人、それこそ私ども職員も普段は見る事が出来ないようになっておりますので、これから行う検査もこの後個室で一人ずつ計測しますので。」

エネ「あ…非公開なら…大丈夫かしらね…(実家に黙って出たから探されると面倒なのよね…あ…名前も…これでいいわね…)
カキカキ…

彼女にとっては年齢やスリーサイズよりも見られたくない項目があったらしい。
書ける部分だけサッサと書きこむ…その間にも冒険者に登録した時の規定や流れなどを説明していたが、これからの冒険者生活に夢を膨らます彼女の耳には殆ど入っていなかった様だ。
書き終わると、職員に用紙を渡した。

エネ「はい、これで…いいかしら?」

ギルド職員「ありがとうございます、それではこちらのプレートの上にその用紙を置いてください

書き終わったら魔素スキャナーに取り込んで、暗号化されたデータ情報としてギルドカードに入力される。
カード自体にも特殊な魔法が組み込まれているので必要時以外は粒子化して所持が出来るので、盗難や紛失の心配も無い。
冒険者達にとってはとても便利な身分証として役に立っている。

ギルド職員「それでは、残りの…能力値測定の為の身体検査を行いますので、こちら…真っ直ぐ言って右手の扉の先の個室でお待ちください。測定スタッフがすぐに参りますので。」

そう言うと直ぐに、スタッフは忙しそうに次の人の対応の為に席を外していた。

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