ブレックファースト 2022/08/07 23:59

インボイス制度の説明会に参加しました

はじめに

住んでいる区の税務署で「インボイス制度の説明会」があり、参加してきました。
そこで得た内容や今後やるべきことなどを、備忘録も兼ねてここに記載しておきます。

なお、この記事に18禁な内容はありません。

国税局が公開している情報など

概要やオンライン動画などは国税局のホームページにもあり、ざっくり以下の通り。

インボイス制度パンフレット

説明会の開催日時

説明会の動画、資料(ページの下の方)

私が受けた説明会も「導入編」にあたるところで、
説明に使った資料も↑の3つ目のリンクの「導入編」の通りでした。

今まで売上が1000万円以下なので、「課税事業者」でない人(= 税務署に消費税を納付したことがない「免税」の人)は、この「導入編」の資料を読みすすめる or 動画視聴が良いと思います。

その資料+インボイス制度の概要ページにある縦長のリーフレットを説明会ではいくつか説明し、全部で70分ほどでした。

ポイント・重要そうなところ

以下、導入編の資料をもとに。青字箇所は私の主観です。
下記のページ数はPDFのページ数です。(右下の数字でなく)
 
 
3ページ目


ポイント② →「売手が」買手のためにインボイスを交付
ポイント③→「買手は」インボイスを保存する必要がある。
「インボイス」とは、制度に則った情報が記入された請求書等。
 
 
5ページ目

課税事業者となった場合に納付する消費税額は、(売上の消費税分)ー(仕入の消費税分)。
ゲーム作成などのソフトウェア業の場合、自社内の人件費はそもそも消費税分は払っていないですし、この(仕入の消費税分)にはならないため、仕入の消費税分は結構少なくなりがちです。
(一方で外注した場合には、その外注費も消費税込みで計算するし、
(仕入の消費税分)に計上できるのですが)
あと、いまさらですが一応、今まで消費税を納付しなくて良いのは
「利益が1000万円以下」ではなくて「売上が1000万円以下」の場合です。
 
DLSiteなどを通して売上している場合には、卸またはロイヤリティ的な扱いで、
卸価格(=自分に入ってくる売上)の合計で売上を計算して良いですが、
経費がいくらかかって赤字であろうが関係なく、売上高で判定です。

 
 
8ページ目

自社がインボイスを発行しないと、
それを仕入れた側(=自分にとっての売上先)は、
仕入の消費税分を計上できず、余計に消費税を払うことになってしまう。
つまり「売上先に迷惑がかかってしまう」。
施行後しばらくは経過措置があるが(別ページ参照)、全額分は計上できないため、迷惑がかかることに変わりはない。
最悪、今後、取引先の対象から外される可能性もある。

 
 
10ページ目
※ 2024/02/16 追記
この記事執筆時よりも後に「2割特例」ができました。
今までであれば「免税」で良かった大体の人は、これを利用すると、
売上の80%をみなし仕入額としてできる制度です。
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shohi/kaisei/202304/01.htm
売上額のみから計算できるし、税額をおさえられそうですので、
条件に該当するならこれが良いですね。
その場合、これ以降↓にまとめた「簡易課税制度」はとりあえずすぐには
利用する必要なく、その記述は無視して構いません。


とりあえず「課税事業者」になった上で、インボイスの発行や仕入額の計算が
手間だったり、システム上すぐに対応できない等の場合には、
「簡易課税制度」を利用することができる。
ソフトウェア業の場合は、表の「第五種」に相当し、みなし仕入額は売上の50%に。

「簡易課税制度」の利用には、次の11ページ目にあるように条件あり。
①「消費税簡易課税制度選択届出書」を出す必要がある。
② 税抜分の売上高が5000万円以下

実際のところ、最近の会計ソフトならすぐにインボイス対応できるだろうけど、「う〜ん、全部の売上先にインボイスを発行するのは大変だなぁ〜、消費税分の仕入額の計算も大変だなぁ〜」ということにして「簡易課税制度」を利用していいかも?
自社の会計業務の負担軽減が趣旨の制度ですから。
簡易課税制度を選択していない売上先(→売上額が大きい会社は選択できないので)には、どちらにしろインボイスは出さないといけないが。

 
 
14ページ目


今までの「課税事業者」になる手続きである「消費税課税事業者選択届出書」を出してしまうと、自社の期(会計期間)の初めの分から課税事業者となってしまう。
それではなく、今回のインボイスの制度の施行日(令和5年10月1日〜)から制度に乗っかる場合には、「適格請求書発行事業者の登録申請書」を出す必要がある。
令和5年3月31日までに。あと半年ちょいです!

なお、制度施行後にも最初は「免税」で頑張ろうとしたけど、
やっぱり取引に色々不都合が出てきたので、
制度に乗っかってインボイス発行事業者になりたい場合には、
前述の「適格〜登録申請書」を出すと、すぐに期の途中からでもすぐなれる的なことが、別資料に書いてあったりします。

10ページ目にあるように「簡易課税制度」を適用する場合は、会計期末(令和5年12月31日)までに①「消費税簡易課税制度選択届出書」も出す必要がある。
しかし、これは早く出しすぎても良くないようだ。
(出して登録された時点から簡易課税制度が適用、つまり、課税事業者の扱いになってしまうから)
実質、まず「適格請求書発行事業者の登録申請書」を令和5年3月31日までに出した上で、次に「消費税簡易課税制度選択届出書」を令和5年10月1日〜12月31日の期間に出すということに。

 
 
戻って13ページ目


インボイスを出すには、決まった形式で請求書を出す。
必要な情報が不足なく記載されていれば良い。
右上の「登録番号」は、個人事業主なら税務署から通知された番号、
法人の場合なら、T + 法人番号。
 
 
15ページ目

制度に乗っかってインボイス発行事業者になるには、e-Taxが便利。
e-TaxのWEB版が、わかりやすくて便利そう。
 
 
12ページ目(画像略)
16ページ目

まとめ。
制度に乗っかるかどうかは、売上先と相談・確認などして決めましょう。
「登録は任意です」
...っていうけど、これって同調圧力的に制度に乗っからざるを得ないような...ゲフンゲフン。
DLSiteやFANZAなどは、今のところこちらから請求書を発行しなくても、
勝手にお金が振り込まれてきますが、今後はちょっとどうなるかわかりません。
例えば、
「請求書の形式をあなたの代わりに作っておきましたので、内容が合っているか確認してください。期日までに返信が無ければ合っているとみなし、もし調整があれば翌月に回します」
といった形式になる可能性はあります。
少なくともインボイスの「登録番号」を、新たに渡すことになり、もしそれをしない場合は卸価格が下がってしまうとかのペナルティもあり得るのではないかと。
また、他にも収入がある場合、例えば請負業務やソフトウェアのロイヤリティなどで、
そちらには今まで請求書を出している場合には、そういった売上先すべてを見て今後「インボイスが欲しい」と言われないかのリスクを天秤にかけ、決定が必要そうです。

 
 
17ページ目

インボイス発行事業者になるなら「IT導入補助金」があるよ!
「デジタル化基盤導入枠」が新たに増えました。
制度乗り換えに付随して、会計ソフト購入やPC購入などあるならってところでしょうか。

詳しく説明してるけどアンタ何者よ?

私の前職は会計ソフトの会社で販売管理ソフトの開発をしていて、
4〜5年前の退職間近にまさにこのインボイス発行のために、
請求書に「登録番号」や「税率ごとの課税対象額(税抜金額)や消費税額」などを出力できる機能追加実装を行っていました。

インボイスの制度は、その頃からずっと「やるやる」言いながら、
何度か延期されて今に至るのですが、今回説明会を行ったことで、
いよいよ延期されることなく、実施される可能性が高いと言えます。
コロナなどで使った分の税収をアップさせる必要もありますからね。

そんなわけで、会計ソフト側は「インボイス対応」などと謳って、
すでに出力できるようになっているものも、きっと多いと思います。

もちろん、私は税務署の回し者ではないですし、
政治や税に関して正直いろいろ思うことも多いです。

しかし、物事について「こうあるべき(あるいはこうだったらいいなぁ)」という話と、「現状はこうである」という話とは、常に分けて考えるべきで、
自分がAIになったつもりで粛々と最適解を実行するまでです。

...ゲーム作成については、全然、最適解を実行してないですけどね。
 
 
ともあれ、皆さんの参考になれば幸いです。

もし質問などがあればコメントに記入していただいて構いませんが、
「私はコレコレこういう事情なのですが、どうしたらいいですか?」
という各個人向けな指南については、「税理士法」という国家資格を守る法律があって、税理士の資格が無い私には答えられないので、ご了承ください。

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