『雪月花』ヒロイン紹介 セツキ
宋雪姫(ソウセツキ)
門下生の少女、リュウセイにとっては姉弟子にあたる。
気の強い性格で事あるごとにリュウセイに食って掛かっている。
長年門派で修行をしてきた身であり、最近現れてリンメイに気に入られているリュウセイのことを快く思っていない。
しかしリュウセイの実力が本物であることも理解していて、嫉妬と葛藤に苦しんでいる。
リンメイには尊敬の念を抱いているが、いつまでも子ども扱いされることに困っている。
ここまでは以前ご紹介しましたね。
例によってバックボーンに触れて行こうと思います。
彼女は地方の権力者の家に生まれた女子の一人です。
権力者の娘は政治的な目的を持った婚姻に使われるのが一般的です。
しかしセツキは女子としては気が強く、お転婆な少女でした。
将来を不安視した両親は彼女を千峰派に預けました。
そこで修行をさせて、男性には敵わないと分からせるつもりでした。
しかしセツキは才覚を発揮し、男子に勝るとも劣らない活躍をします。
本人の希望と千峰派の勧めもあり、セツキは千峰派に留まり武術を修めることになりました。
当初は反対していた両親ですが武侠小説の世界では武侠の地位はそこそこ高いので、繋がりを持つのは悪くない話です。
今は千峰派へ嫁に行かせたと考えセツキの活躍に期待しているようです。
セツキの人物像ですが、これまで文面では気が強い、勝気であるということは描写してきたと思います。
分かりやすい表現をするなら、彼女はツンデレ型のヒロインと言えるでしょう。
ではそれ以外の面ではどうなのかというと、生真面目で正義感が強いです。
ツンデレだからと言って四六時中誰かに突っかかっているわけではなく、むしろ気さくで付き合いやすい人物です。
何かと年少の門下生の世話を焼いたり、進んで雑務を手伝っていることでしょう。
その分不真面目な者やズルをする者には厳しい態度を取ることがあるようです。
主人公であるリュウセイへの感情は複雑を極めています。
リンメイの一番弟子という肩書きは既にリュウセイのものとなっています。
その事に反感や劣等感を覚えながらも、生真面目な彼女は彼の実力が本物であることから、彼を認めるべきではないかと葛藤しています。
ついでに言えば、リュウセイはいい奴なのです。
実力を鼻にかけて偉そうな態度を取ることはしませんし、優しくて親切です。
同年代の男子と比べてずっと落ち着いていて、その年代によくあるバカな事をしません。
加えて男性では初めて自分と同等かそれ以上の実力者が現れたのです。
異性として意識してしまっても不思議はありません。
しかしリュウセイへの好意を素直に表すことは出来ません。
悩んだ結果、彼女は1つの考えに至ります。
自分がリュウセイに惚れたことがバレる前に、リュウセイを虜にしてしまえばいいと。
真面目さ故の不器用さを持つ彼女がどのような手段に出たのか、それは本編でお見せしたいと思います。