team-h 2023/04/10 01:46

土屋涼介の分かりやすいヤキモチ

※”何があっても守ってあげる”のその後のお話です。以前、その後のお話はしないといったのですが、やはり涼介が嫉妬するのはアナタの元カレだけだったので……🙇🙇

※大和が登場するので、大丈夫、な方のみお読みください。
シチュエーション感は無いです。恐らく壁目線になるかと思います。
壁目線中の読み心地は悪いかもしれません。

※大和の彼女は良妻賢母。

※涼介は良くない気持ちを飲み込んでしまうので、この様な形なりました……🙇なんでも来い!という方のみお進み下さい。

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涼介のプロポーズを受けてから少しを経たある日。



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今日、あなたと涼介は温泉デートに来ています。
(高級な旅館なのですが、アナタの会社の提携施設でもあり、実はお得に泊まることが出来ました。)

到着した旅館のエントランスには外へ続くテラスデッキがあり、そこにはどこまでも続くような青空とそれを満喫できるような寝椅子が数台置かれていました。



















今まで何度も星空デートへと連れて行ってもらったアナタの脳内には
(きっと夜には素敵な星空が広がっているんだろうな)と楽しい想像が広がります。





















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そしてしばらく――。

お部屋で寛いだ後に大浴場へと向かった二人。

大浴場の階。
エレベーターのドアが開いた時、
涼介は「しまった!浴衣の帯を忘れた!」
と言ってお部屋に急いで戻って行きました。

先に入ってて!とは言われたものの、
タイミングが合わずにすれ違っても困るので
アナタは涼介が戻るのを待つことにしました。

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大浴場前の待ち合わせ用ソファにゆっくりと腰掛けるアナタ。

反対側には、髪をゆるくまとめ上げた浴衣の女性が静かに座っていました。

彼女の手には冷えたフルーツ牛乳が2本。

上気した頬は、お風呂上りからなのでしょうが、
アナタの目には、彼氏を待っている”少し照れた女の子”の様に見えたのでした。

その人との穏やかで静かな時間を過ごすアナタ。

しばらくすると、エレベーターがチン!と音を立てて止まりました。

(涼介!)と思うアナタですが、出てきたのは老齢の男性でした。

男湯の暖簾をくぐっていくおじいさんを見送るアナタと女性。

女性の方は、アナタよりも長く、男湯の暖簾を見つめています。

エレベーターに向き直るアナタ。
そのエレベーターは、急いで下の階に降りているようです。

大浴場は展望露天風呂があるので最上階に鎮座しています。
そして、アナタと涼介のお部屋は6階です。

6階で一度止まり、最上階へと上がってくるエレベーター。

(今度こそは……!)再びチン!と音を立て開くエレベーター。

しかし、開く扉を見守るアナタの目にはとんでもない光景が――!

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「いや~!びっくりだよ!こんなところでまた会うなんて!」
「ホントですね」

楽しそうに笑い合いながら出てくる男性二人。

うち一人は紛れもなくアナタの婚約者である土屋涼介、なのですが……
その隣には……。


「あれ?真幸?もう帰ってたの?」

そういって立ち上がる反対側の女性。
彼女は、涼介と楽しそうに笑う”大和真幸”の側へ駆け寄っていきました。

二度目のびっくりに言葉も出ないアナタに涼介が近づきます。

「ごめんごめん!帯取りに行ってたら、知り合いに会っちゃって~」と、彼はのんきに後ろ髪を掻いています。







「あの人、知り合い……なの?!」と驚くアナタ。
「そう……、だけど?」

と、きょとんとしながらも、何かを察する涼介。
同じようなきょとん顔の女性も、”げっ”とあからさまに嫌そうにする大和の隣で
アナタの顔を見つめて来ます。

思いもしなかった鉢合わせに固まるアナタ。
しかし、大和真幸は一枚上手でした。

不可思議な空気が流れたこの場を「同じ会社なんです!」の一言であっという間に片付けた大和真幸。

まさかの鉢合わせの元カレの一言に
何とか、その場をしのぐことが出来たアナタなのでした。



























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夕食を終え、涼介が、もう少しだけ、と誘って来たのは、足湯に浸かりながら、スイーツやカクテルが楽しめるお洒落なバーでした。
もちろん、ノンアルコールカクテルも豊富です。

バーに入ったアナタは、聴こえてきた声に絶句します。











「そんな……、私、ずっと待ってたんだよ。先に帰っちゃうなんて」
「のんきにフルーツ牛乳なんて買ってる方が悪いんだろ!っていうか、俺、嫌いだし!アレ飲むと気持ち悪くなるんだよね~」














見えてきたのは、ニヤつきながら彼女に嫌みを言う大和と、
とても悲しそうな彼女さんの姿。









無言になってしまった彼女に、
さすがの大和も、
見ていただけのバーテンダーさんも、バツ悪そうに固まってしまいました。










同じく店の入り口で唖然と固まるアナタと涼介。
しかし、涼介はアナタに何やら合図を送ってきます。

(何とかしてあげよう)と、目線で伝えてくる涼介。


正直に言うと、全力で首を振りたいアナタでしたが、微笑みながら手を握ってくる涼介に
アナタの胸も”誰かに分けてあげないと”
と、溢れ出してしまうくらいに幸せでいっぱいになってしまうのでした。







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バーテンダーさんの喜び伝わる”いらっしゃいませ!!(助かった!)”の後――。

カウンターに横並びに座る二組のカップル。
大和と涼介は隣り合い、とても楽しそうにお話しています。

アナタが頼んだスイーツは、
作るのに時間がかかるそうなのですが、それも気にしなくて良さそうでした。

時に彼女さんに意地悪をする大和ですが、ニヤつきながら嫌みを言った後、彼女の顔に穴を開けてしまう程に反応を確認しているのが、今のアナタにはハッキリと分かりました。

ただ、その不可解な行動の”理由”が理解できないアナタ。
そんなアナタを涼介は笑って見つめています。

「すっごい皺寄ってるよ」と、アナタの眉間を撫でる涼介は珍しくほろ酔い気味です。
人前にも関わらずに顔を近づけて笑う涼介に、アナタは彼の顔を直視できません。

羽織を着た浴衣姿も様になっていて、何度見ても、どこから見ても
アナタの彼氏は、単純にとてもカッコ良くて、いつまでたっても”大好きな人”のままなのでした。

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しばらく4人で笑いあった後、
お酒が入った大和は、涼介にずっと秘密にしていたことを打ち明けました。

それは、かつて”アナタと大和が付き合っていた”という、過去。

恐らく大和は、彼女の反応が見たくて言った言葉だと思うのですが、
その言葉を聞いたとたん、グラスを傾ける涼介の手が止まってしまいました。

言葉を聞いた彼女さんも、先ほどまでの笑顔のまま表情が固まってしまいました。

グラスを置いた涼介は黙ったままです。

とっさに涼介を見るアナタですが、涼介はアナタを見返してはくれませんでした。

心配したアナタ。
昔の話で、とグラスを持つ涼介の手を握ろうと手を伸ばしますが、
涼介はその手をスッと引いてしまいました。

初めての経験にどうしていいか分からないアナタ。

口元は微笑んだままの涼介ですが、その目は全く笑っていませんでした。

気づかない大和が独壇場を続けますが、涼介は黙って立ち上がりました。
「どうしたんですか?」という大和に、涼介は「ごめん。酔っぱらっちゃって」とだけ答えます。

休みたいので先に部屋に戻る、といった涼介。
彼はアナタに「ゆっくりスイーツを食べてからおいで」と優しく言って去っていきました。
しかし、彼のその青い瞳はアナタを捉えてはいません。

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しばらくして、豪華なパフェに対面したアナタ。
しかし、手を付ける気が起こりませんでした。

「ごめんなさい。これ、二人で食べてください!」

そう言って、店を後にしたアナタ。
残された大和とその彼女にも
スイーツを楽しむ話題は何一つありませんでした。












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身重の体にも関わらず、小走りで部屋まで急ぐアナタ。

部屋の前につき、ドアノブを回しますが、鍵がかかっている様です。

スペアのカギで扉を開けるアナタ。

部屋に入り、暗い部屋に明かりをつけて、
涼介の姿を探し回りますが、その姿は一向に見当たりません。

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もしかしたら、と大浴場へと向かったアナタ。

待合のソファに座り、アナタは一人、男湯の暖簾を見つめて涼介の姿を待ち続けます。

ですが、
夜も更けた時間帯には、涼介どころか、誰一人、通りかかる人もいませんでした。

一人、静かな時間を過ごすアナタは少しだけ涙ぐんでしまいます。

そんなアナタの目の前でエレベーターがチン!と言いました。

出てきたのは、大和真幸――。の彼女さん。

アナタの姿を見つけて、彼女も驚いている様でした。
バツ悪そうにするアナタ。

しかし、彼女はアナタに優しく微笑みました。

彼女の両手には、空になった牛乳瓶が二つ。

気まずそうにするアナタに対し、彼女は「これを返しに来たんです」と微笑みました。

自動販売機の横にある、返却棚に牛乳瓶を入れる彼女さん。

戻し終えると、彼女はアナタの隣に座ってきます。

ご主人はお部屋ですか?
と聞く彼女に対し、アナタは「それが……」とワケを話しました。
そして最後に「すみません」と付け加えるアナタ。
それは恐らく”大和の元カノでごめんなさい”という意味だと思います。

元カレの今カノに対し、こんな気持ちを抱けたヒロインちゃんは
きっと涼介に



幸せを抱えきれないぐらいに与えられているからなのだと思います。





ただ、その言葉を聞いた大和の彼女はキョトンとしています。
「あの……」と、彼女の機嫌を伺うアナタに大和の彼女さんは、



「それは私に言う事ではないですね」と微笑みました。



その言葉の意味を察したアナタ。





アナタは、気が付けばソファから立ち上がっていました。























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そして、何かにつられる様に

旅館の廊下を駆け出すアナタ。



















































思い出すのは、嬉しそうにアナタの手を引く涼介の姿。
スラっと整った出で立ちには似合わない程のガサガサとした手。
その手に乗せられているのは、アナタの指先です。





































その思いでの日には、いつも満点の星空が輝いているのでした。












































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静かになった温泉旅館。
そのエントランスには、
外へ続くテラスデッキがあり、
そこにはどこまでも続くような星空と
それを満喫できるような寝椅子が数台置かれていました。
























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夜はまだ肌寒い季節です。
テラスデッキに出たアナタは満点の星空に包まれました。

しかし、アナタが心を振るわせられたのは、星空ではありませんでした。






































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寝椅子に転がり、星空をじっと見つめている土屋涼介――。
































その彼の影に、小さく膨らんだお腹の女の子の影が近づいていきました。
































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アナタに気が付いた涼介。
寝転がっていた彼は、アナタに気が付いて、ハッと身を起こしました。

「駄目じゃないか!そんな薄着で!」

酔いも醒め、冷静になった涼介は、浴衣のままのアナタに、急いで自分が着ていた羽織を被せます。


いつまでも変わらない優しさに、
































降り注ぐ彼の愛情が、
心から溢れ出してしまったアナタはなぜが涙が溢れて止まりませんでした。























そして彼に――

黙っていてごめんなさい。と何度も謝罪します。




































あなたよりも前に付き合っていた人がいてごめんなさい。
あなた以外に好きな人がいたことがごめんなさい。
大好きな人を傷つけてごめんなさい。
私を大事にしてくれる人を傷つけてごめんなさい。





































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目の前に








子供の様にむせび泣くアナタの姿に涼介は戸惑ってしまいます。

彼女にこんな顔をさせてしまった自分が、
どこまでも不甲斐なく、大人げなかった、と。
謝りたいのは自分の方で……、と感じる涼介。

どうしていいのか分からない彼でしたが、
ただ一つだけ分かっているのは























































「人間って、抱き締めてもらうと、落ち着くんだって」























































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ただ一言。
それだけを言って、アナタを抱き締める土屋涼介。






















































その力強さに少しだけ苦しさを感じるアナタなのですが。





















































_____________それはそれで心地がいいと感じるアナタなのでした。
























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言葉もなく抱き合う二人。



きっと月に帰ってしまったかぐや姫も
微笑ましい二人の行方を、かつての地球に思いを
馳せながら
笑顔で眺めている事でしょう。















































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(翌朝の朝食の時間はさすがに別々に取った大和と涼介カップル。
大和カップルの方はまた揉め事を起こしている様で、それを唖然と眺めるアナタと涼介なのでした)



※こんなトコロで終わってごめんね
































なのでした🙇

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