RPGは複雑に見えて意外とゲームシステムそのものはシンプルだという話

どちらの方がよりシンプルか

 みなさんは、将棋と同人RPGならどちらの方がシンプルだと思いますか? たいていの人はいくら同人作品と言えどもさすがにRPGの方が将棋よりは複雑なゲーム性があるのではないかと考えるかもしれません。しかし、僕は、商業RPGならいざ知らず、RPGツクールを利用して素人の作者がひとりでがんばって手作りするような同人RPGのゲーム性は、残念ながら戦略性やかけ引きという意味で「将棋」には負けてしまう場合がほとんどだと思います。

「将棋」から学ぶゲームの本質的な面白さとは

 みなさんは将棋というゲームを遊んだことがあるでしょうか。言わずと知れた超有名なボードゲームなので、実際の将棋駒と将棋盤を持っていない人でもスマホの将棋アプリくらいは遊んだことがあるかもしれません。

 僕は、将棋というのは知れば知るほど奥が深いゲームで、ものすごく頭を使うなあと思っています。言ってしまえば「自分の駒をなるべく効率よく動かして相手の駒を奪っていくだけのゲーム」で一見シンプルなように見えるのですが、一口に「駒を動かす」と言ってもその戦法は様々で、どんな戦法を選んで戦うかというところに一人一人のプレイヤーの個性や性格を見出すことができます。

 将棋にはゲームの本質的な面白さ、つまり「ローリスクローリターンな戦い方をするか、ハイリスクハイリターンな戦い方をするか、プレイヤーが選択できる戦略性」がふんだんに詰まっています。まず、持ち駒ひとつとってもすぐに使う人もいれば、使わないでずっと取っておく人もいます。また、盤上にある駒を動かす場合でも、敵の駒を取らずに王将の周辺をひたすら自駒で囲って持久戦に徹しようとする人がいる一方で、居玉のまま大駒をどんどん積極的に動かす急戦を好む人もいます。また、囲い一つとっても矢倉囲いや美濃囲い、舟囲いなど多種多様な囲い方があり、またそれぞれの囲いに強みや弱みなどがあり、これも調べてみると非常に奥が深いです。自駒と敵駒を交換することが可能な局面で、交換するかしないかでも、指し手の個性が出ます。

 エッチで可愛い女の子が出てくるわけではなく、派手でケレン味のあるストーリーがあるわけでもなく、派手で見栄えのいいグラフィックがついているわけでもなく、ただひたすら盤上の駒を動かすだけの一見地味そうなゲームなのにこんなに奥が深くて面白いのは、神ゲーであると言わざるを得ません。全てのゲーム製作者がお手本にすべきゲームではないでしょうか。

その一方で同人RPGは……

 グラフィックや音楽、サウンドエフェクト、ストーリー、キャラクターなどゲームシステムと直接関係がない部分は同人RPGの方が派手で優れているかもしれませんが、同人RPGの多く(特に僕のような初心者が製作したもの)はゲーム内容そのものは非常にシンプルです。育成して強くなった味方パーティーを使って敵を狩り、その敵がドロップする武器やアイテムを使ってもっと味方パーティーを育成するという過程の繰り返しであり、将棋ほど複雑な頭脳戦はありません。そのような観点で言うとやはり、同人RPGはゲーム性の部分では将棋に負けている気がしてなりません。将棋と同等とまではいかなくても、せめてなるべく少しでもその領域に近づけるように頑張りたいところですね(汗)

 「持ち駒」という将棋特有の概念をRPGの世界へ輸入することは困難を極めますが、死亡して敵のネクロマンサーに意のままに操られるゾンビのキャラクターを一つの「奪われた持ち駒」だと強引に解釈すれば不可能ではないかもしれません。例えば、優秀な敵キャラクターを一人暗殺して意のままに操れるゾンビとして味方陣営に引き入れるか否かの選択肢が表示されるが、「敵を暗殺して死体をゾンビ化させる」を選択してしまうと身内を奪われて激昂した敵陣営が奇襲してきて味方陣営のキャラクターがひとり死亡してしまう、というイベントシナリオを導入すれば、将棋の角交換(ハイリスクハイリターン)に近い雰囲気を表現することができるかもしれません。

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