鶯命丹 2024/02/19 20:00

DomSubもの 元奴○ショタDom×ガチムチおっさんSub【全文8000文字】

【試し読み】


続き物③

 前回上げたDomSubユニバースもの
 元奴○のショタDom攻め×武人おっさんSub受け
 今回もエロなし・続き物
 DomSubの名称を変えてたりするので、そういうややこしくて厨二っぽいのが苦手な方はご注意ください。
 
 【あらすじ】
 保護された元奴○のマリ(Domのショタ)に「自分を雇ってくれ」と交渉されるアノンデア(Subのおっさん)。
 おっさん初めてのドムサブプレイを味わう回。

 
 

 
 ――――――――――――――――――――――――――――――――――

  血の性(サガ)、性質、特性……
 そんな風に言われる病のような症状がある。
 主人の血としもべの血を持つ者は、互いに惹きあう。両者は互いが必要で、番えない者はその性(サガ)に苦しめられるという。
 この世界に生きる種族であるなら、どんな種族にも発現する可能性のある不思議な性質だった。
 発現に規則性は見当たらず、人だろうが巨人だろうが獣人だろうが発現する者はするし、しない者は死ぬまでしない。
 おおよそ思春期と言われる頃に発現する者が多いが、もっと早く出る者も、逆に遅く出る者もいる。
 遺伝的要因も今のところ無い。親がそうでも、子は違う場合もあれば、何代かに渡って特性が発現する家系もあるらしい。
 認知はされているが何しろ数が少なく、研究が進まない。
 それが更に世間の視線を冷たくさせていた。
 主人の血の気質を持つ者は、野蛮な危険人物として扱われることが多い。
 主人の血はしもべを屈服させ支配することを是とし、それが満たされないと心身が病んでいく。
 主人の血の気質を上手く緩和できず攻撃的になり暴力事件を○す者が多いと思われている。その世間の偏見や不理解が、主人の血の特性を持つ者を孤立させ、犯罪率を上げてしまう悪循環に陥りやすい。
 しもべの血の気質を持つ者は、身近な人物に蔑まれることになる場合が多い。
 しもべの血は、主人に尽くすことで満たされる。気質の出方によってはかなり暴力的な扱いを好む者や、激しい独占欲を露わにする者もいて、主人を見つけられずに病んだしもべの者は、その気質を近しい友人や恋人に向けてしまいがちになる。その結果大切な人間を傷つけ、失ってしまい、孤独が更にしもべの血を持つ者を追い詰めてしまう。
 絶対数の少ない気質を持つ者同士が巡り合うこと自体が難しく、しもべの血の者は、友人や恋人に執着して犯罪沙汰になるのが現状だった。
 罪を○す者が居れば偏見が強まる。
 実数としては血の性質に縛られない者の犯罪行為の方が圧倒的に多いはずだが、大衆の印象を変えるのは難しい。
 
 
 アノンデアは、しもべの血の気質を持っていた。
 発現は思春期の頃。
 医師に診断された時にはあまり実感が湧かなかった。
 対処療法として胸の内に迫る焦燥感と苛立ちを抑える作用のある薬草を煎じた物を飲むことになった。
 薬師と呼ばれる老婆に診断されて出されたやたらと苦い薬は、確かにアノンデアの心に平穏をもたらしてくれた。
 しかし一時しのぎにしか過ぎない。アノンデアは血が目覚めてからずっと満たされない乾きにじりじりと炙られるような苦しみに苛まれていた。
 アノンデアの心身が悲鳴を上げ、堪えきれない乾きに追い立てられた時には、口の硬い娼館で買った娼婦に犬のように扱ってくれと頼んだこともある。
 乾いた土に数滴水が落ちた程度の潤いが得られ、それだけでもアノンデアは衝動が満たされ歓喜に震えた。
 
 地位のある者の定めとして、アノンデアには決められた結婚相手がいた。
 上手く伝えられれば、妻となった彼女に主人の真似事を頼むことが出来たかもしれないが、結局それも叶わなずに終わってしまった。
 アノンデアは戦士としては勇猛だったが、ひとりの男としては臆病であり、政略として結ばれた結婚相手には、ついぞ己の特殊な性(サガ)を告白できなかった。
 ただでさえアノンデアの姿形に怯えていた新妻に、世間に偏見を持たれる性質を打ち明けるのは酷だと思った。
 それでも長く連れ添っていれば白状する機会もあったかもしれないが、妻は嫁いで一年後身ごもるが、産後の肥立ちが悪く、数ヶ月で亡くなってしまった。
 屋敷の使用人や、乳母のおかげで産まれた息子は今やいっぱしの若者に育ったが、アノンデアは後添えを持つこともなく、独り身のままこの地をより良くする事業に没頭していた。



 硬い口調で訥々と語るアノンデアは、マリから視線を逸らし、きつく拳を握りしめていた。傷の残る険しい顔をきつく噛み締め、様相は恐ろしい鬼神と大差ない。
 マリは、恐ろしく強張ったアノンデアを見てますます笑みを深くすると、色形の良い唇を開いて鈴のような声で言った。
「まぁまぁそんなガチガチになるなって。ほら“こっちへおいで”」
 マリの言葉に、アノンデアの身体がビクッと揺れた。
 思考が真っ白になり、固まっていた身体中の筋肉がゆるく滑らかに動く。アノンデアは無心で歩き出していた。
 マリの目の前に立ってようやく、自分が自分の足で歩き、ここまで来た事に気づく。
 意識を取り戻し、目を見開いたアノンデアに向けてマリの命令は続く。
「“ここに座って”」
 告げられた言葉と指差された床。それに従って、アノンデアの膝は流れるように床に着く。
 マリの座る椅子の足元に跪く自分の動きにアノンデアは言葉も出ないほど驚き、目を白黒させている。
「“こっちを見ろ”」
 下された命令は、抵抗する必要など感じさせないほど自然にアノンデアの脳を心地よく揺らす。
 顔を上げ、目線の会った少年の顔は満足そうに美しい黒い瞳を細め、笑っている。
 その顔を見た瞬間、アノンデアの胸は強烈な感動と喜びに支配された。
「あ……ま、て……」
 掠れた声で静止を願うアノンデア。
 戦場で勇ましく戦う姿を知る部下が見たら目をむいて卒倒するかもしれないほど、弱々しい声であった。
 ――逃げたい……今、逃げなければ……
 怯え、警告を鳴らす理性とは裏腹に、膝は床に着いたまま、視線すら逸らせず震える唇を噛みしめ、アノンデアはじっとマリを見つめ続ける。
 そんなアノンデアの顎を両手ですくうように触れ、短く刈り揃えた髭をさわさわと撫でる、細いマリの手のひら。
 にんまりと蠱惑的に細められた瞳でアノンデアを見下ろし、マリは言った。
「ほら、この眼。ご主人様を見る従順な犬の目。俺の大好きな目だ“いい子だなぁ、アノンデア”」
 アノンデアの脳が、ぐらぐらと揺れた。脊椎が、ぞくぞくと歓喜で震える。
「あ、ぅ……」
 アノンデアの心の内は甘い感動に支配され、喜びに嗚咽が漏れる。視界が潤んだと自覚したとき、マリの手がアノンデアの頬を撫でた。ひや、濡れた感触に自分が涙を流していることに気づく。
「泣くなって! 首長様」
 マリは破顔している。
 その笑顔は、アノンデアの心身を恍惚で支配する。
 なんてことのない。ただ、とある事件で間接的に救う事になっただけの、被害者のひとりだ。
 アノンデアとの面識は他の被害者と同じく、ほぼない。
 今までの人生に関わりなど無かった他人。
 それなのに、目の前の少年が笑っているとアノンデアの胸には言いしれぬ多幸感が込み上げる。
 ――なんだ、この感覚は……この、激しい感情は、なんだ?
 強烈な歓喜に痺れた脳で自問して気づいた。
 ――ああ、そうか……これが、戯れるということか。ずっと飢えていた血の欲求が満たされた喜びだ……
 アノンデアは思わずマリの膝に顔を埋めて目を閉じた。
 まるで母の膝に甘える幼子のように、マリの細く若い膝に、アノンデアは自身の顔を擦り付ける。
「う、ぅ゛……ふっ、ぅ……」
 情けない嗚咽で、喉が震えていた。
「持つモン同士で遊ぶのは、すげえイイよなぁ」
 マリは歌うような声音で自分の膝に伏せたアノンデアの後ろ髪を梳いた。
 その柔らかい手つきは強過ぎる喜びの波に翻弄されるアノンデアを更に惑わせ、蕩かせる。
「……ずっと飢えていた……こんな、満たされた心地は初めてだ……」
 ぽつぽつと語るアノンデアの言葉を、マリは上体を寄せ、うん、うん、と鷹揚に頷いている。
「だよな。俺もだよ……これがずっと満たされてたら嬉しいだろ?」
 マリの言葉に、アノンデアはこくりと頷いた。


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