鶯命丹 2022/08/29 00:22

村人A、魔王の心臓を手に入れる1

pixivの企画に応募しようと思って書き始めた話。だけど出せるかどうかわからない。

9/30までの限定公開です

攻め・村のみなしごロア
受け・魔族の長ケルエス

あらすじ
貧しい村のみなしごロアはある夜突然魔物に襲われたところを魔族の次期族長ケルエスに助けられる。
命が助かったのもつかの間、今度はケルエスに性的に襲われて「なぜ?」と問うロアにケルエスが告げたのは「お前が俺の心臓だからだ」と意味不明な答えを告げられる。
ロアの心臓に宿る精力を回収するためにしなくてはならない中出しセックス。
ロアは無事、中出しセックスをし終えて、人間の世界に戻ることができるのか?

あらすじふざけてんのか?って自分でも半嗤いなんですけど良かったら読んでいってください。






  みなしごのロアはひとり、家族の残した小さな家で暮らしていた。
 朝早くから起きて村で一番大きな牧場を手伝って賃金を貰い、昼には家家を回っておかみさんたちの昼飯の支度を手伝って小遣いをもらう。それから村の子供らの面倒を見ながら老婆の糸紡ぎを手伝ったり老爺の藁編みを手伝ってパンや布を貰って生活の糧にした。
 忙しく立ち働いている間は考える暇もないが、あと寝るだけの夕食の時間には、どうしても考えてしまう。
「父さん、母さん、兄ちゃんたち……今日も無事に一日を終えたよ……一緒に晩御飯を食べれたら良かったのに」
 ロアの家族は、流行り病でロアを残してみんな死んだ。
 呟いた言葉は、誰にも聞かれることなくしんとした家に吸い込まれていった。
 
  
 夕食を済ませて早めに寝床に入る。
 暗い部屋で目を閉じると外の音が聞こえてきた。
 がたがたと戸を揺らす風の音。ざわざわとこすれる木の葉。狼のような高く響く遠吠え。
「そういえば……最近近くの森に魔物が出るって村長が言ってたな……怖いなぁ」
 夜の闇に眼を光らせる魔物を想像し、ロアはぶるりと身震いをした。
 気味悪さに毛布にくるまりもぞもぞと姿勢を変えたロアの耳に、再び遠吠えが聞こえる。
「……なんだかさっきより近くなってる?」
 闇夜に響く不気味な遠吠えがどんどんと近づいてくるような気がする。
「気のせい……気のせいだよね? 大丈夫大丈夫……寝ちゃえば聞こえないよ」
 自身に言い聞かせ、毛布を頭からかぶりぎゅっと目を瞑る。必死で睡魔を待つが、目を閉じたことでより一層、徐々に鮮明に聞こえる遠吠えを感じてしまう。
「やっぱり、近づいてきてる……どうしよう」
 とにかく何か対抗できる武器は無いかとベッドから立ち上がったその時――
 ガタンッ!
 盛大な音を立てて窓が開かれ、部屋の中に飛び込んできたのは大型の狼に似た魔物だった。
「ひっ!」
 ロアは息をのみ、身体を緊張でこわばらせる。
 狼に似た魔物ははっはっと荒く生臭い息を吐き、鋭く大きな牙を舐めながら、じりじりと円を描くようにロアとの距離を縮めようとにじり寄ってくる。
「っ、ふ……」
 恐ろしさにかみしめた歯の間から息が漏れる。
 ロアは魔物の禍々しい真っ赤な目から視線を逸らさぬよう、静かに後ずさる。
 しかし
「あっ!」
 何かに足を取られ、ロアは尻もちをついてしまった。血走った眼をした魔物がその好機を逃すはずもなく、一瞬ののちに身体を縮め、ばねの様に飛びかかってきた。
 床に着いたロアの手に触れた感触は、柔らかい毛布だった。
 さっき、遠吠えが怖くてベッド立ち上がった時に、ベッドから落ちたんだ……
 死の恐怖とは別に、そんなことをぼんやりと思いながら、ロアは痛みと衝撃への恐怖にギュッと目を瞑った。
 ドッゴォォッ
 轟音が家を揺らす。突如嵐が部屋に入ってきたかのような突風が、ロアの身体を圧迫する。巨大な衝撃に翻弄されてロアの身体はバランスを崩し、ごろりと床に突っ伏した。
「なっ、なに? 家が、揺れた!?」
 自分が噛まれた衝撃かと思ったが、身体は特に痛みも傷もなかった。
 驚いて目を開け周囲を見渡すロアの目の前に、月明かりに照らされた巨大な岩がさっきまでこの場を支配していた魔物を踏みつけ、そびえ立っていた。
「岩?! 岩が、振ってきた? っていうか月?! 月が、見える……屋根は?!」
 パニックになったロアが叫ぶと目の前の黒い大岩がのっそりと動いた。
「え、ひと?」
 突風と轟音と共に現れたのは巨大な岩……とみまごう程の大男だった。
 屋根に空いた大穴から差し込む月明かりに照らされたその四肢は、剛毛の毛皮に覆われていても分かる程に逞しい。黒い毛皮がつやつやと月明かりをはじきなまめましく光っている。
 逞しい肉体のほとんどが毛皮に覆われているが、顔や腹の一部に褐色の皮膚がのぞいている。
 毛皮と同じ黒い髪の間から太くうねり曲がる角が生えている。尖った角の先が月明かりを鈍く反射していた。
 まるで夜空のような黒い姿にロアは呆けたように口を開けて、巌のような巨体を見上げていた。
 その岩のような大男は、体格の割に素早い動作で歩きロアに近づいてくる。
 カツカツとなる床、足元に視線を移すとまるで巨大な猛禽の鉤爪みたいな巨大な爪が床を叩く音だった。
 立ち塞がった男はロアをじっと見下ろして、肉厚の唇をにんまりと歪め、巨大な牙を剝き出しにして笑った。「間違いないお前が余の心臓だ」と呟くと、ロアに覆い被さり唇を奪った。
「んっ! ンンッ! ううっゃ、あめっ」
 ロアが腕を伸ばし、必死に抵抗するも手指に触れた毛皮越しの分厚い筋肉は壁の様にびくともしない。
 大きな手がロアの手首をやわく握ると、太い親指がすりすりとロアの手のひらを撫でた。
 ロアが思わずその親指をギュッと握りしめると、合わせた男の唇から、ふっと笑うような吐息が漏れた。
「なんで……あなたは?」
 ロアはパニックになった頭で、震える唇でそれだけ呟くと、間近にある男の瞳をじっと見た。
 不穏な空の色のような暗い灰色の瞳が細められ、男はゆっくりと唇を開いた。
「お前をずっと探してた」
 深い灰色がじっとロアを見つめ返す。そしてゆっくりと迫り、再び唇が合わさった。
「ダメっこんなことしたらっ」
 男はロアの唇を吸い、ぺろりと舌で舐めると首筋に顔を埋めてすぅと息を吸った。男の短く生えた顎髭がちくちくとロアの首筋に触れくすぐったさを助長する。
「くっ、くすぐったっあんっ」
 流れる呼吸が首筋を擽り、ロアは肩をすくめる。
 しかし男は気にした様子もなく、すんすんと犬の様にロアの匂いを確かめている。
「ふぁっ! んっくふっふふっ……あっ! やだっそんなところ、触ったらだめっ」
 くすぐったさに気を取られていたロアの身体の、まだ誰にも見せたことのない若い陰茎を、男の大きな手が撫でる。明らかに性感を感じさせる、ねっとりとした動きに、ロアの腰がビクッと跳ねた。


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