鶯命丹 2022/09/21 00:41

【改訂版】村人A、魔王の心臓を手に入れる 後編

こちらは支援者様先行公開作品となってます。

村人A、魔王の心臓を手に入れるの後編

後編は改訂版もなにも、できてなかったんですけどね!

10月にはpixivのコンテストに一般公開で出す予定です。





 
  次の日の朝、ロアは自身の朝勃ちちんぽに頬ずりしてるケルエスの重みで目が覚めた。
「ちょっ! ちょっとぉ! ダメですっこんな明るいうちからっ!」
 朝から赤面し、急いでベッドを抜け出すロアにケルエスが不満げに唇を尖らせた。
「もったいないだろ? せっかくの朝勃ちだぞ? 魔力が溜まってるんだから勃つんだぞ? そう時間はかからん。小僧の童貞ちんぽなど秒で片付く」
 ぶつぶつと文句を言うケルエスにロアは真っ赤な顔で叫ぶ。
「もう童貞じゃないです! 秒は言い過ぎひどい! もっと保つもん……昨日はちゃんと保ったもん……」
 涙目になりながら床に落ちたパジャマを纏い、頬を膨らませるロアがケルエスを睨む。
 そんなロアの視線を面白がって、ケルエスは髭の生えた顎を摩りながらにやにやと笑った。
「確かに。昨日は随分楽しめたなぁ」
 ケルエスの好色な笑みに、昨夜の情事を思い出したロアは、耳やら首やらをゆでたように赤くして俯いてしまった。
 そこに、コンコンッとドアを叩く音がする。
「お早うございます」
 返事をする前にドアが開かれ、パウルが入室して来た。
「おや、今日は逃げられてしまったんですね」
 平坦な口調で言うパウルにケルエスがいかつい肩をすくめた。
「明るいうちはダメらしい。折角溜まった魔力がもったいないよな」
「よ、夜にすれば、いいでしょう? もう朝で明るくて恥ずかしいじゃないですか!」
 赤面して言い返すロアの言葉にパウルはしみじみ頷いた。
 「そうですね。今日は長のところへ行きますから、楽しみは夜に取っておくのがいいでしょう。お二人とも早く支度をしてください」

 
 朝食を済ませると、屋敷の玄関から外へと出るように促されたロアは、そこで巨大なドラゴンの姿を見て息をのんだ。
「ド、ラゴン……?! ドラゴンで移動するんですか!」
「そうです。グルオウグ族は巨大ですからね。馬に引かせると普通より多く必要になるのでもっぱら馬よりも力の強いドラゴンですね」
「なんだ、小僧。ドラゴンを見るのは初めてか?」
 驚愕するロアをからかうように目を細めてケルエスが見下ろす。
「はい! 初めてこんな近くからドラゴンを見ました! すごい……大きい」
 素直に頷き、感嘆するロア。
「ふふん、それならドラゴンに触らせてやってもいいぞ。さあ、来い」
 ロアの反応に得意になったケルエスが、おもちゃを自慢する子どものように無邪気にロアの手を取った。
「え、え、ちょっとっ心の準備が……」
 手を引かれるままにドラゴンの足元まで来れば、更に迫力が増す。
「おいっ腰が引けてるぞ情けない奴め! 1号! こいつはロアだ。余の心臓だからな、喰うなよ」
 ビビるロアの手を逃がさないように握ったまま、ケルエスはドラゴンの首元をパンパンと叩くと、ドラゴンは甘えるように鼻っ面をケルエスの胸に擦り付けた。
 馬の甘える仕草と似通ったものを感じたロアは、恐怖心を少し和らげ、ふたりの交流を見上げていた。
「触ってみるか?」
 にやりと口角を上げたケルエスに、ロアは恐る恐る頷く。
 そっと手を伸ばすと、それに気づいたドラゴンは鼻っ面をケルエスから離してすっとロアの手に鼻を近づけた。
 猫のようにロアの指先の匂いを嗅いでいる。
 スンッスンッと吸う鼻息と、流れる空気は猫とは比べ物にならなかったが。
 やがて気が済んだのかスンスンと匂いを嗅ぐ音が止んだ。それを見計らってロアは手を更に近づけて、ドラゴンの鼻っ面を撫でた。
「あっ! 凄い、うろこ……ゴツゴツしてる」
 初めて触れたドラゴンの鼻先はゴツゴツしたロアの手ほどの大きさのうろこに覆われていた。うろこの下に脈打つ柔らかい肉の感触を感じてロアは顔を綻ばせた。
「すごい! ドラゴンてこんな感じなんだ……うわ!」
 ドラゴンは、さっきケルエスにしていたように、ロアの胸に擦り寄って来た。しかし、体格の違うロアではドラゴンの甘えてる仕草もタックルのように強力だ。
 擦り寄られる衝撃でよろけたロアの背を、ケルエスの大きな手が支えた。
「はっはっは! 貧弱だな小僧」
 大口を開けて笑うケルエスに、ロアはむくれて地団駄を踏む。
「貧弱じゃないです! ドラゴンが大きいからちょっとよろけただけです!」
「どうだかなぁ〜。余が支えてやらねばそのままぺたんと尻餅を着いていたのではないか? んん?」
 にやにやとからかうケルエスの顔を、ロアは悔しそうに見上げ、そしてそのあと直ぐに吹き出した。
「たしかにそうかも! 尻餅だけじゃなくてころころ転がってたかもしれない。あー、びっくりしたぁ」
 笑うロアに、ドラゴンの鼻っ面が再び押しつけられる。しかし今度はぐっと足を踏ん張り、背をケルエスが支え、なんとか無事に鼻っ面を受け止めた。
「ドラゴンてこんな風に甘えるんですね。馬みたいで可愛い」
 頭上から首にかけて生える背びれを優しく撫でてやると、ぐるぐるぐるぐると低く喉が震えている。
 ドラゴンの顔を見下ろすと、うっとりと心地良さそうに瞼を閉じている。
「今度は猫みたい」
 笑いを含んだ声で呟くロアに「角の根本を掻いてやると喜ぶぞ」とケルエスは自身の太い指先で、ドラゴンの頭上にある二本の角の片方をカリカリと掻いて見せた。
 するとドラゴンはそちらに頭を傾けて、ケルエスの指に擦り寄るように押し付けていく。
 もっともっととねだる姿に胸をときめかせ、ロアは早速ケルエスを真似た。
 反対の角の根本をカリカリと掻いてやる。
 ぐるぐるぐるぐる
 低い震動音を鳴らしてドラゴンが今度はロアの方へ頭を傾けすり寄ってきた。
「うわわ! 可愛い〜……可愛いですっドラゴン!」
 ねだられるままに角の根本を掻いてやりながら、ロアはキラキラとした目でケルエスを見上げる
「そうだろう! 余のドラゴンだからな」
 その目に満足したケルエスは得意げに深く頷いた。
「ほらほらお二方! そろそろ行きますよ」
 さっさと車内に乗り込んだパウルが急かす。
「はぁい」
「わかった」
 二人の声は重なってパウルへと応じた。

 
 一度車内から降りて、ドアを開けてくれるパウルに促され、車内に入ると広い思ってたよりずっと広い室内だった。
 進行方向に向く席へ腰掛けると、そのとなりにケルエスが座る。最後に乗り込んだパウルは向かいに座って「今から現在のグルオウグ族の長、タウ様のところへ行きます。ようやく見つかった心臓ですからね。タウ様も心配されてましたよ」と告げた。
 パウルの言葉にケルエスはふぅと呆れたように息を吐く。
「あのジジイは心配症だからな」
「ケルエス様が楽観的過ぎるんですよ」
 二人の会話に交互に首をめぐらせているとガタンッと車内が揺れ、その後滑らかに車が動き出した。
「うわ!」
 動いている車窓を覗いていると突然身体に上から圧力がかかる。
 背もたれにぎゅっと押し付けられる感覚にロアは目を白黒させた。
「うわ! すごい! 飛んでる?!」
 車窓を見ると、既に地面が遥か下に。目を見開くロアの眼前を数羽の鳥がさっと横切った。
「鳥だ! 見ましたか?! 今鳥がさーって!」
 興奮したロアが車内に視線を戻すと、二人は愉快そうに目を細めロアを見ていた。
「あ……うぅ、すみませんはしゃいで……」
 ふと冷静になって考えれば、普段から乗っている二人には何も珍しい光景ではないだろうに、ひとり子どものようにはしゃいで、ロアはもう一度椅子に座り直し顔を俯かせた。
「気にしなくても良いんですよ。ケルエス様なんて初めて乗った際にははしゃぎ過ぎて車がぐわんぐわん揺れましてね。落下した御者にこっぴどく叱られたんですよ。ねぇ」
 同意を得るようにパウルはケルエスを見たが、ケルエスは心外そうに口を尖らせている。
「ちょっと動いただけだったのに、ものすごい勢いで怒るからなぁあいつは」
 パウルが微笑みながらとりなしてくれたが、聞かされたエピソードが物騒すぎる。
「ええっ御者の人は無事だったんですか?」
「龍車の御者は大抵有翼で飛べる者が多いですから。今も元気でやってますよ。ねぇ」
 パウルは、背後の御者との連絡窓をコツコツと叩くと、同じようにコツコツと、ノック音が返ってきた。
「あ、今日の御者さんが、その時の……」
 空飛ぶ車から落下した御者が無事と知り、ロアはホッと胸を撫で下ろした。
 
 車窓に流れる景色を楽しんでいるうちに、車がゆっくりと下降し始めたのを体感し、ロアは車内を振り返る。
「着いたんですか?」
「ええ。着きました」
 パウルがゆっくりと頷く。
 その言葉を聞いて、ロアはもぞもぞと胸や腰をさする。着慣れない上質な布で作った服は、今更ながらロアを落ち着かない気持ちにさせる。
 そわそわと動くロアを横目で見て、ケルエスがからかうように小突く。
「そう緊張するな! せっかくの衣装が台無しだぞ」
「ううっ……緊張しますよ……長って偉いヒトですよね? そんなヒトに会うなんて」
 小突かれて傾げたロアはそれでも着ている服を落ち着かなげに撫でまわしている。小動物のようにもぞもぞソワソワと動くロアを見下ろして、ケルエスがふむと呟く。
「たしかに……服が窮屈だな」
 ケルエスも普段身に付けない、装飾過多な服装をしている。それを引っ張ってもぞつくケルエスにパウルが鋭く言い放つ。
「ちょっと! 脱がないでくださいよ」
「脱がん。終わるまでは」
 ケルエスが、不貞腐れたように背もたれに背を預けた瞬間、ガタンッと小さな衝撃が下から起こり、続いてガタガタッと車輪が地面を走る振動が来る。
「着きましたね。くれぐれも脱がないでくださいよ」
「わかったわかった。早く終わらせてこんな窮屈な服はとっとと脱ぐぞ。なあ小僧」
「僕、そういう意味で落ち着かなかったわけでは」
 同意を求められたロアは微苦笑を浮かべた。


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