投稿記事

Dom/Subユニバースの記事 (4)

鶯命丹 2024/04/26 21:00

元奴○ショタDom×武人おっさんSub【全文12200文字】

【試し読み】 

 続き物

 元奴○ショタDom×武人おっさんSub【全文12200文字】

 前回上げたDomSubユニバースもの
 元奴○のショタDom攻め×武人おっさんSub受け
 DomSubの名称を変えてたりするので、そういうややこしくて厨二っぽいのが苦手な方はご注意ください。
 
 【あらすじ】
 元奴○で身寄りのない少年マリ(Domのショタ)は、貴族のアノンデア(Subのおっさん)に養子として引き取られることになる。
 前回少ししかUPしてなかったものの続きです。
 元奴○少年は養子に、武人のおっさんは養父になりました。
 義理でも近sin相kanがあるのでご注意ください
 
【あるもの】
 ショタ攻め・エロ・尻舐め・攻めによる手コキ・首輪をあげる・受けのストリップ・連続絶頂
 

――――――――――――――――――――――――
 
 夢の中から呼び起こされて目を開けると、窓の向こうはすっかり夕暮れの色になり始めていた。
 よく寝てましたね。と微笑むオーサ。
 マリは、うん……と寝ぼけた声で返事をしながら枕に顔を擦りつける。
「お父様ももう帰られてますよ」
「お父様って……首長様のことですか?」
 枕に頭をつけたままオーサへ問うと、彼女はころころと笑って「そうですよ。首長様だなんて呼ばないで、お父様と呼んで差し上げましょうね」と優しく諭す。
 ――親子と言っても俺らは利害が一致して一緒にいるだけだけどな。まぁ表面上はお父様で間違いないか。
 マリはひとり納得して、枕から顔を上げるとオーサへ微笑み、頷いた。

 
 夕食にもたくさんの料理がテーブルに並び、マリはそれを少年らしい勢いで料理を平らげた。
 アノンデアも、使用人も、それを目を細めて眺めている。
 穏やかな食事風景だった。

 
 マリが食事に満足し食後の茶を飲んでいると、既に食事を済ませていたアノンデアが席を立つ。
「私は執務室へ戻る」
 アノンデアは使用人の長であろう年かさの男に告げ、食堂の扉へと歩いていく。
「待って!」
 マリはテーブルを立ち、アノンデアの元へ速足で寄っていく。
 マリの動きをじっと見つめるアノンデアの金の瞳には、疑問がありありと浮かんでいた。
 マリは大柄な養父を見上げ、にっ、笑うと自身の服のポケットに手を入れて、握りしめた拳を差し出した。
「これ、渡そうと思って」
 それは、色とりどりの紐を組み上げて作った飾り紐であった。
「これ、俺が編んだやつです。故郷の村で作ってた飾り紐で、作物が育たない冬に編むんだけど……俺、これ得意だから、お父様になる首長様にあげたくて」
 差し出したマリの手元を覗き込んだアノンデアはそっと、飾り紐を摘まみ、まじまじと見つめる。そして、目元を僅かにほころばせて「ああ、ありがとう」と低く呟いた。
 唸るような声音だが、弛む表情で喜んでいるのがわかる。
 マリは再び手を出すとアノンデアの手から飾り紐をそっと取り上げて弧を描く赤い唇を開いた。
「じゃあ……“座って”お父様。俺がつけてあげます」
 マリの言葉に、目を見開いたアノンデアは崩れるように床に膝を着く。
 辛うじて、床に尻もちをつくようなだらしない座り方はせずに済んでいたが、アノンデアは驚きに目を白黒させてマリを見ていた。
 巨漢のアノンデアは、跪いてもまだマリより高い。
 マリは背伸びをして腕を伸ばし、アノンデアの太い首元へ飾り紐をかけると、するすると手早く飾り紐を結った。
「うん。よし、できた」
 太く逞しいアノンデアの首に、丁寧に編まれた飾り紐を結ぶとマリは笑った。
 給仕のために隅に控える使用人たちには、養父と養子の心温まる交流に見えているだろう。
 しかし笑みの形に細めたマリの瞳を正面から見つめているアノンデアにだけ、少年の瞳の奥に光る嗜虐性を見た。
 そしてマリもまた、人前で"戯れる”羞恥と、主人に首輪をかけてもらう快感に戸惑い、密かに身悶えているアノンデアを正面から見つめている。
 アノンデアはきつく奥歯を噛み締めて、とろりと蕩けただらしない顔にならぬように努めているようだった。
 自分のしもべに首輪をつける喜悦に、マリの心臓が早鐘を打つ。腹の奥から燃えるような熱が全身に駆け巡り、ぞわぞわと肌が粟立つ。
 きっとこの抗い難い甘い悦びを、目の前の男も得ているのだと思うと、マリは腹を抱えて笑い転げたい気分になった。
 身の内から滲み出る悦びにマリの表情が綻ぶと、アノンデアに結んだ飾り紐が動いた。間近に覗き込む金の一つ目は揺れている。噛み締めた唇がわなわなと震え、熱い息が漏れた瞬間、アノンデアは素早く立ち上がった。
「マリを部屋に案内してやってくれ。私は仕事に戻る」
 アノンデアの声が小さく聞こえたのは、顔の距離が離れたからだけではないだろう。
 さっさと食堂を出て行った男の足取りに妙なところはない、ように見える。
 食堂を出て行く広い背中を見送りながら、マリは頬を弛ませていた。
 
 
 夕食後、アノンデアは執務室で書類を睨み付けていた。
 書かれる文字を目で追うも、内容が頭に入ってこない。
「……ふぅ……」
 息を吐き、椅子の背もたれに身体を預けたとき、首元にかすかな圧迫感を得てアノンデアは首すじに手を当てる。
 そこには先ほどマリに贈られた飾り紐が付いていた。
 指先に触れる滑らかな組紐の感触は、アノンデアの背すじにぞわりと甘い痺れを走らせる。
 
 飾り紐と首の隙間に指を入れた瞬間、コツコツと扉を叩く音が響く。
「誰だ」
「俺です、マリです」
 返ってきた声に、アノンデアの肩がわずかに跳ねる。
 無意識に、ごくりと唾を飲み込むと「入れ」とだけ応じた。
 重厚な扉を開き、入室してきた華奢な身体。
 その姿を視界にとらえた瞬間、アノンデアの顔にカッと熱が昇る。
 思わず机の上に視線を落として書類を睨むアノンデアの耳に残る、ゆっくりと絨毯を踏み締める軽い足音。
 耳と気配に神経が集中してしまうのに、視線をマリへ向ける事はできなかった。
 

 
「ここがお父様のお仕事部屋ですか?」
 問いかけるマリ。視線の先には書類に向かうアノンデアがいた。
 マリの方を見向きもしないその態度は、不機嫌で無愛想な武人そのものであり、アノンデアの部下であれば恐れ縮み上がっただろう。
 しかし、マリはそんな顰めっ面のアノンデアに構うことなく無遠慮に近づき、ひょい、と彼の使う大きな机に乗り上がって腰掛けた。
「……そんなところに座るな」
 机に座ってにんまりと笑うマリに、アノンデアは口の端をぐっと下げて不機嫌な顔をする。
 だが、マリは執務室の机に座ったまま。更には机の上に完全に乗り上がって、膝で這ってアノンデアへ近づいていく。
「……おい」
 野太い声で静かに叱るアノンデアだが、マリはそれに構わず、アノンデアの目の前に来ると、再び机に腰掛ける。
 机からぶらりと投げ出されたマリの足はアノンデアの腿の上に、踏みつけるように置いた。
 鍛え上げ肥大化した筋肉の厚みと、むっちりとついた脂肪の軟さを楽しむために、マリは靴底をぐにぐにと動かす。
「……マリ、降りなさい」
 アノンデアの言葉には、先程まであった鋭さも厳しさもない。マリの視線を間近にして、眉間に険しい皺を刻んでいながらも、居心地が悪そうに瞳を彷徨わせている。
 義眼だけが、正面のマリを見つめていた。
 マリはアノンデアの注意を無視して、彼の太い首に巻き付く飾り紐に指を当てて「これ、嬉しい?」と問いかけた。
 問われたアノンデアはためらいがちに「嬉しい……だが、ああいうのはもう、止めてほしい」と懇願する。
「ああいうのって?」
「あ、あの時は、周りに人が、たくさんいて……そういう、人の前で“戯れる”のは、良くない……だから、今後はそういう事は、しないで欲しい」
「ええ? 人前でやるのが楽しいんじゃねぇの? 興奮しなかった?」
「それは……」
 アノンデアは苦虫を噛み潰したような渋面で、訥々と語っていたが、マリの新たな問いにかすかに肩を跳ね上げた。
 言いづらそうに唇を噛み、大きな手でしきりに顔を撫でている。
「“言って”アノンデアは興奮した?」
 命じるマリの言葉は、アノンデアにとって卑しい内心を暴露させる残酷なものだった。
 唇の端を上げ、意地悪く笑むマリの顔は美しい。
 美しい笑顔で、涼やかな声で、残酷な命令で、マリはアノンデアを支配した。
「こ、興奮した……主人が……マリが私の為に首輪をかけてくれて……嬉しかった……心臓が痛いほど速くなって、喜びに……叫び出したい気持ちだった」
 アノンデアは、耳まで真っ赤に染めて、心の内を告白する。
 屈強な顎を食い締め、金の目にうっすらと涙を浮かべているアノンデアの姿は、マリの笑みを一層深くする。
「そっか……俺も。俺のしもべに首輪をかけたのすっげぇ興奮したよ」
 マリが微笑むとアノンデアは嬉しそうに口元をわずかに綻ばせた。
 マリは赤く染まった猪首にかかる首輪に、細い人差し指をかけて軽く引く。
「ね。“キスして”」
 黒い瞳が、じっとアノンデアを見つめ、そしてつぅと視線を下げた。
 アノンデアは、主人の命令にこくりと深く頷くと、自身の太腿を踏み付けているマリの脚にそっと触れ、恭しく持つと、身体をかがめて少年の靴へ口付けをした。
「ふ……はぁ……マリ」
 アノンデアはうっとりと、熱い息を漏らしながらマリの靴の爪先へ額を摩り寄せている。
 マリはそんなアノンデアをにやにやと見ながら、自由な方の脚を伸ばして、彼の股間を踏みつけた。
「あ゛っ、ぐ……ぁ、マリ゛ッ……」
「はは、なんだよ。もうガッチガチじゃねえか」
 鼻で笑いつつ、マリは固く勃起したアノンデアの陰茎をぐにぐにと踏みつける。
「う、あ゛っ……マリ……はぁ、あ……ふ、ぅぅ」
「はははっ! ねぇアノンデア、このバキバキのやつ、"見せてよ”」
 マリの命令に、アノンデアはおとなしく椅子から立ち上がり、震える指でもたもたとズボンを下ろす。
 下着から解放された勃起肉は太く逞しく天を衝いている。
 アノンデアの裸の下半身。両の太腿は筋肉に覆われて太く、筋肉の溝も深い。屈強な下半身の中心にある勃起する巨根を見て、マリは下品な口笛を吹いた。
「すっげぇ巨根。こんなでっかいの初めて見たわ」
「は、ぅっ! ん……う、ふぅ……」
 足先でぺちぺちと陰茎を叩かれ、陰嚢を突かれる。
 からかわれるアノンデアは、真っ赤な顔でじっと辱めに耐えていた。
「”全部脱いで”」
 マリの言葉にアノンデアは唇を噛む。潤んだ目でマリをちらちらと見ながら、おずおず、もたもた、と服を脱いでいく。
 男らしい容姿とは裏腹に、生娘のように恥じらうアノンデアの姿はマリを大いに満足させた。
 躊躇いがちに脱いでいく仕草は、マリを楽しませるだけであるのに、アノンデアはそれに気づかない。
 震える指で衣服をすべて脱ぎ去り、裸になったアノンデアは羞恥に顰めた顔を真っ赤に染めて、執務室の机の前に立ちつくしている。
 武骨な髪は衣服を脱いだ事でわずかに乱れ、裸の肌には無数の傷がある。傷のいくつかは紅潮しており艶めかしい。
 山のような肩に力こぶの盛り上がる腕、巨大に隆起する胸、丸太のような屈強な太もも。
 その肉体は、何よりも雄々しく、猛々しい。
「すっげ……神殿の武神像みたいだ」
 マリはうっとりと呟き、目の前の裸体に手を伸ばして、傷の多い男の肌をつぅ、と撫でた。
「んっ、ぅ……」
 アノンデアは、マリの手にびくっびくっと身体を痙攣のように震わせている。
 主人の手に翻弄されるしもべは、恨みがましくマリを睨む。しかしその瞳は甘く蕩けており、恐ろしさなどみじんもない。
「顔、真っ赤。ほら“おいで”」
 呼ばれた瞬間、アノンデアは屈強な身体をびくっと跳ねさせ、よろよろと頼りない足取りで、机に座るマリの足元に跪いた。
 マリの細い指先が、自身が贈った飾り紐越しにアノンデアの首筋をぐるりとなぞると、盛り上がった喉仏が上下する。
「ははは、うっとりした顔してる。“いい子”……首輪嬉しい?」
「……うれしい……」
 アノンデアの唇から、熱い息が漏れる。
「そっか、そっか。喜んでくれて俺も嬉しいよ」
 マリの手がアノンデアの顎をぐりぐりと撫でまわしながら彼の傷付いた瞼に、頬に、唇に口付ける。
「え、あっ……マリ、ふ、ぅ……マリ、待てっ! う、ゔっ」
 アノンデアの男らしい肉厚の唇を食み、舐める。
 マリの手のひらは、アノンデアの屈強な顎を優しく撫でたまま。
「ん、ふっ……う、んっ♡」
 きゅっと唇を引き結んでいるアノンデアだが、顎を撫でられ、唇を啄まれると頑強に鍛えられたはずの腰からよろよろと力が抜けた。 
「ほら、アノンデア“口開けて”。あー、は?」
 唇を親指で撫でられ、アノンデアは震えながら薄く口を開ける。
「は、あ……」
 命令に従順に開かれた唇を食み、吸って、口内に舌を挿し入れる。
「んっ♡んぅ♡あ゛、あ゛っ♡マリ、んっ♡」
 柔い粘膜を舌先で撫でるとアノンデアの身体が跳ねた。それが愉快でマリは更に舌を奥へと伸ばし、アノンデアの舌をつつく。
 ぬちゅ♡、くちゅ♡
 甘く淫らな音を立て、舌が絡まる。
「ふ、ぁ゛ッ♡あ、はぁ♡あ♡うぅ♡」
 ぢゅる゛♡と、アノンデアの分厚い舌を啜ると、男の大きな手が、マリの手首を掴む。
「あ゛♡マリ……♡はぁ♡は♡うぅ♡」
 力は籠ってない。震える弱々しい力で、ほっそりとしたマリの手首を掴んだまま動かない。


全文は支援者様限定

【 可愛い攻ガチムチ受BL小説が読めるプラン 】プラン以上限定 支援額:500円

2024/07/31までプランに加入すると、この限定特典に加え、今月の限定特典も閲覧できます 有料プラン退会後、
閲覧できなくなる特典が
あります

バックナンバー購入で閲覧したい方はこちら
バックナンバーとは??

月額:500円

この記事が良かったらチップを贈って支援しましょう!

チップを贈るにはユーザー登録が必要です。チップについてはこちら

鶯命丹 2024/03/27 01:14

 ショタ貴族Dom×獣人おっさん奴○Sub【全文22000文字】

【試し読み】 全文は支援者様限定




 ショタ貴族Dom×獣人おっさん奴○Sub【全文22000文字】
 
【あらすじ】
 DomSubユニバースもの
 DomSubユニバースものですが、理解には独自解釈が含まれます。正しいDomSubユニバースものではない可能性が高いので、そのあたりが気になる方は閲覧をお控えください。
 ファンタジー世界 

 思春期ごろにDomになった貴族のお坊ちゃまが「Subのパートナー探しに行こ」ってお父様に連れられて奴○市場に来て、奴○のミノタウロス系獣人おっさんSubを買ってパートナーにする話。クレーム?制度※すみません名前違うかも(パートナーのいないSubへの複数Domのパートナー立候補システム・DomがSubの中に体液を残すとパートナー成立的なシステム)を採用してます。
 受けのガチムチ獣人おっさんが暴力や性被害を受けていることをにおわせる描写があります。
 獣人はパーンとかケンタウロス系の半人半獣的な見た目をイメージしております。(バイソン系毛むくじゃら牛獣人)
 ガチムチおっさんをかわいいと思う人間が書いたショタDomによる、おっさんSubかわいいかわいいよしよしプレイエロ小説です。
 
【登場人物】
 攻め・Dom ラオ・ククーム・アルバトフ  ショタのお貴族様・上品で穏やか・生き物好き
 受け・Sub  ティミー          牛系獣人の奴○・巨体のガチムチおっさん・毛むくじゃら・人間の言葉苦手・人間怖い
 
 
【あるモノ】
 ショタ攻め×ガチムチおっさん受け、ハート喘ぎ、濁点喘ぎ、DomSubユニバースもの【コマンド的なプレイ、攻めの受け以外へのグレア的な表現、クレーム制度(受けを奪い合い、体内に体液を残す的な)】攻めのリード、甘々、イチャイチャ、体毛、

【ないモノ】
 英語とかできないので英単語のコマンドは無い。(GoodboyとかComeとか)日本語対応のみ。
 
 以前上げたDomSubユニバースもののプロトタイプ。
 こっちが先に考えてた設定だったけどあまりに書きづらくて変えた方が先に出来上がったから上げたのに、今度はそっちが書けなくてこっちをちまちま進めてたらこっちが書きあがってたので上げます。
 

 
 
 ――――――――――――――――――――――――
 
 「最近……なんだか体調が悪いんだ」
 ラオは色白の顔を、病的に白くしてぐったりとソファーに身体を横たえる。
「大丈夫ですか? 医者を呼びましょう」
 専属のメイドが顔を曇らせ急いで部下に指示をすると、アルバトフ家は次期当主のために急いで医者を手配した。

 とある国のとある場所、とあるところにある、なかなかやんごとなき身分の家、アルバトフ家の長子ラオ・ククーム・アルバトフが体調不良を訴えた。
「ここ数日、なんだか身体が常に重だるくて気持ちが悪いの。今日は特に、頭痛や眩暈が酷くて……ちょっと起きてられそうにないんだ」
 そう医者に告げるラオの、普段ならキメの整ったバラ色の頬は血の気がなく、可愛らしい丸い目の下には、くっきりと黒いクマが出来ていた。
 医者はラオの身体をくまなく診察し、試験管の中にラオの口内から取った細胞を付けてくるくると回すと、色が変わるのを見届けて重い溜息を吐いた。
「ラオ様。診断結果が出ました。どうやら御身はDom性であるとの結果が出ております。体調不良はそのせいでしょう」
「Dom性? それって、支配する者と言われているDom性のこと? 僕がまさか……」
「そうです。支配する者、Domの特性があると出ております。支配する者はそれが満たされないと今のラオ様のような体調不良を引き起こします。その代わりSubとのプレイを行えば、すぐに回復するでしょう」
「本当ですか? そんなバカな……こんな酷い症状、プレイしたところで良くなるとは思えない……」
 ラオは眉を下げ不信感を露わにする。
 それに対して言葉を返したのは医者ではなく、背後に控えていたラオの専属のメイドだった。
「ラオ様。モノは試しです。この屋敷に勤めている使用人の中に支配される者、Sub性の者がおりましたのでどうぞお試しください」
 メイドがそう言って背後に視線を流すと、ひとりのメイドが歩み出てきた。
「……はぁ……よろしく」
 身体を起こすのも億劫な様子で、ラオはソファーから身体を起こすとSubと紹介されたメイドへと向き直った。

 
 そうして医師の指導と、メイドの協力を得てプレイをすると、ラオを苦しめていたさまざまな身体の不調が、嘘のように消えていった。
「本当だった……確かに、さっきまで止まなかった頭痛と眩暈がすっかりなくなった」
 ラオの表情は明るい。
 先ほどまで土気色とまで言えそうなほど酷い顔色だったのが、すっかり血色が戻っている。
 クマが酷く、落ち窪んで見えた目さえ本来のきらめきを取り戻していた。
「これがDom性とSub性の特性でございます。ラオ様には今後早くにSubのパートナーを作って頂くのが得策ですな」
「パートナーですか?」
「DomとSubの性を持った者は互いに支配するものとされるものでプレイをしないと体調に異常を来します。それを防ぐ薬もあるのですが、薬の効きが悪い体質の方もおりますし、抑制するだけで特性を無くすわけではないので根本的な解決にはなりません」
「不調を断つにはSubのパートナーを作り、定期的にプレイをしないといけない。ということですね」
 ラオの言葉に医者は大きく頷いた。
「この国ではDomの特性は貴族の方々に、Subの特性を持つ者は奴○などの身分に多いという傾向があります。近いうちに奴○商をお呼びになると良いでしょう」
 医者はそう言うと、幾日か分の抑制剤を処方して帰って行った。

 
 Dom/Sub性は思春期頃に現れると言われている第二の性だ。ラオは思春期というには少し早い年頃ではあるが、そこまで不自然ではない。
 DomかSubの性質を持った者は他の人間にはない不思議な体質を手に入れることになる。
 Dom性とSub性は、それぞれ支配したりされたりすることで心身の平穏を保てるようになる。
 それをしないと、個人差はあるが、体調不良や神経衰弱など不都合が出てくるのだ。
「はぁ……面倒な事になったなぁ……」
 ラオはため息を吐く。
 Domに目覚めたその日から、それはラオの日常に強く働きかけてきた。
 少しプレイをしない時間が続くとそれはもう驚くほど体調が悪くなって仕方ない。
 はじめのうちは屋敷の中で働く使用人を呼び止め、少しプレイをしてもらっていたが、一度プレイをするとラオが満足するまで時間もかかるし、彼らは日常の業務がある。
「坊ちゃんのお言い付けに逆らうつもりは毛頭ないがこうも使用人を骨抜きにするのは困る」と家政婦から苦情が来たことを受け、家長であるラオの父は決断した。
「ラオ専用のSubを探しに行こうか」
 父が穏やかな笑顔で声をかけてきた時、ラオはズキズキと痛むこめかみを押さえながら、クッションから顔を上げた。
「僕専用のSub……パートナーですか?……いつ?」
 父の方を見て少し眉根を寄せると、彼はにっこりと満面の笑みで「今からだよ!」と宣った。
 

 
  晩餐会の形で開催された奴○市を取り仕切っているのはその地方の豪商だった。
 豪商は、財力を持って貴族社会へと入り込んだ成金である。
 財を得た成金が、己の財力を誇示するために建てた豪奢な屋敷は、日が沈みかけた橙色と夜の藍色が混じった空を背景にしてなお豪華絢爛さを主張しており、屋敷の正面に立ったラオは一瞬息を呑んだ。
 案内された会場はとても室内とは思えない広さであった。
 本当に市場のように広間のそこかしこで奴○商人たちの取り繕った上品な呼び込みが聞こえてくる。
「すごいですね……」
「そうだろう! ここならラオも気に入るSubが手に入るはずさ。さぁ好きに見ておいで」
 父親はラオを送り出し、自分は豪華なソファーに優雅に腰掛けた。
「わかりました。少し見てきます」
 ラオは護衛を兼ねた使用人をひとり連れて、市場の中を散策する事にした。

「お父様ったら強引なんだから……」
 ひとりになったラオは、眉根を寄せて大きなため息を吐く。
 ラオの暮らす国では、奴○という制度を認めているが、ラオはその制度を嫌っていた。
 鎖に繋がれ檻に閉じ込められた獣、人間、獣人、魔族……彼らを見るだけで心が痛む。
 ――本当はこんなところでパートナーを探すなんて、したくないんだけど……
 ラオがしかめた顔で市場を見渡していたその時、少し先からワッ! と歓声が上がった。
「なんだろう?」
 盛り上がる人だかりに近寄ってみると大柄の獣人が膝をついて振り下ろされる鞭に耐えてるところだった。
 ――ミノタウロス族……かな? 可哀想に……ヒトよりも大きな身体をあんなに丸めて……
 ラオは渋面で耐える奴○の姿を見つめる。うずくまる姿は赤土でできたの大岩のようだった。
 奴○商人らしい男は、にこにこと胡散臭い笑顔を貼り付けて「コレは魔法耐性も強いので多少の魔法でしたらモノともしません」と言っている。
 その言葉に鞭を振るっていた金の髪の酷薄そうな男は、釣り上がった目を意地悪く細めて「本当だろうな奴○商」とわざとらしく疑わしそうな声を上げた
「本当ですとも! 是非お試しください」
 揉手で答える奴○商人の言葉を待っていただろう男は、片手をうずくまる獣人に向けて差し出す。そこに恐ろしいほどの火柱が上がった。
 獣人は大きな火に飲まれるも呻き声ひとつ上げず、じっとうずくまったままだった。ぷすぷすと毛の焦げた痕と、皮膚が少し赤黒くなっただけでぴくりともしない。
 ラオをはじめ、動向を見守ってたギャラリーが悲鳴とも歓声ともつかない声を上げる。
「おお! 奴○商、貴様の言ったことは本当のようだ」
 金髪の男が満足そうに口の端を上げて笑っている。
「いやぁ見事な火柱だ! ネレリー様の魔法に耐えられてホッと致しましたよぉ」
 奴○商人は苦笑を浮かべ男に媚びていた。
 二人のやり取りを聞いているのか不明だが、うずくまる獣人は少し赤黒く焦げた背を小さく上下させていた。
「それではこちらお買い上げでよろしいでしょうか? 誓約の儀はお部屋を用意してあります……」
「それには及ばないさ。ここでしよう」
 部屋へ案内するために使用人を呼ぼうと手を上げる奴○商を遮る男。その言葉に周囲がどよめいた。
 下世話な笑い声を上げて囃し立てるギャラリーに、ラオはゾッと怖気に肌を粟立たせる。
 誓約の儀はDomがSubの所有権を主張する儀式だ。
 有り体に言えば性行為を行い、Domの精液をSubの体内に残せば成立する。それを「ここで」と言うことは、あのうずくまり暴力に耐える巨躯の獣人はこの後、大衆の面前で犯され、嘲笑されるのだと想像に難くない。
 それを理解した時には、既にラオはギャラリーの輪から一歩進み出て奴○商の前に立っていた。
「僕もこの子を貰い受けたいのですが」
 そう言ってなるべく優雅に見えるように微笑む。
「小僧! 貴様、この私がネレリー家と知って邪魔する気か?」
 金髪の男がしかめっ面でラオを睨む。
 ラオはそれを無視して、手にしていたステッキを胸の高さまであげて指先でいじくり、ためつすがめつ眺めて見せた。
 男が不愉快そうに眉根を更に寄せ、ラオを怒鳴りつけようと大きく息を吸った瞬間、奴○商がラオの方は向き直り、より一層腰を折って応えた。
「ええ、ええ、まだ決まってませんよ坊ちゃま!」
 理に聡い商人は気づいたらしい。
 ラオのステッキに刻まれた紋章は家の位を表すものだ。この国で、己の家柄がそれなりの地位である事を理解しているラオはそれを商人たちに見えるようにわざとらしく持ち上げて示す。
 思惑通り、理解してくれた奴○商へにこりと微笑みかけるとラオはカツンとステッキを下ろした。
「おい! 牛よ! 顔を上げろっ。お前のような哀れなSubが選択する自由を与えて頂いたぞ! どちらのご主人様にするんだ」
 奴○商は慌ててぴかぴかの靴のつま先でうずくまる獣人の頭をノックするように踏みつけた。
 獣人はのっそりと愚鈍な仕草で顔を上げる。その顔の多くは長くモッサリとした前髪に覆われて見えないが、頑丈そうな輪郭とへの字口、髭と傷の多い顎に年齢を感じさせた。
 獣人の視線はわからない。
 モサモサと髪の毛の多い頭がかすかに、ラオとネレリー家の男を見比べるように動いているようだった。
 獣人の男がゆっくりと身体を起こす。大岩が動いたように錯覚するほど巨体が四つん這いで這ってラオの足先に額ついた。
「お前はそちらのご主人様を選ぶと言うのだな?! お客様大変申し訳ございません。この奴○はこちらの坊ちゃまのものになりましてございます。もしよろしければ他の奴○もご用意出来ますが……」
 奴○商が深々と頭を下げると酷薄そうな金髪の男は顔を真っ赤にして叫ぶ
「ふざけるな! 俺が最初に目をつけたんだぞ!」
「しかし、契約する前ならばどんなDomでもSubへの所有権を主張できますし……」
「所有権……そうだ! こんなガキに誓約の儀が行えるものか! そうだよなぁ……おい商人! 飼い主を決めるのはまだ早いだろう。こいつがきちんと自分のものに名を刻るかわからんのだ。夢精するのとは訳が違うぞ? 小僧」
 下品な物言いに眉をひそめるラオだが、男を無視して奴○商を見た。
「誓約の儀をする場所を用意してくれる?」
「はい! かしこまりました」
 奴○商が腰を折り、使用人を呼んだ。
 金髪の男が「隠れてするのか! 臆病者めっ」と異議を唱えていた。
 ラオは静かな怒りを湛えた瞳で男を睨み「僕は悪趣味ではございませんので」と冷たく吐き捨てる。
「ひっ」
 息を呑む金髪の男。
 ラオのその視線に、言葉に、強い覇気が滲む。
 金髪の男は、ラオのグレアに当てられて言葉を発することなくドサッと尻もちをついた。情けなくも膝が震えて喉から引き攣れた呼吸を繰り返している。
 哀れに震える金髪の男を睨むラオに、背後に着いていた使用人が優雅に腰を折り耳打ちした。
 ラオは使用人に頷くと、額づいたままの獣人の肩にそっと手を置き囁いた。
「立てる? 移動するけど、着いて来れるかな?」
 獣人は顔を上げたが、じっとして動かない。
 どうしたのかと首を傾げていると奴○商が「早く立て! 坊ちゃまがお待ちだぞ!」と首輪に繋がる鎖を思いっきり引いた。
 獣人の巨体では少し首を伸ばしたような仕草になっただけだが、ぐぅと小さく呻く声を聞いてラオは奴○商を睨み付ける。
「乱暴はやめてくださいっ」
「ひぃ! も、申し訳ございませんっ! しかしこやつめはヒトの言葉が不自由でございまして……坊ちゃまめのお情けもほとんどよく理解できない愚鈍な奴○です。言葉が通じないので身体に覚えさせるしかないのでございますよ。この通り頑丈なだけが取り柄ですから、手荒に扱っても死にやしませんよ」
 奴○商は早口で捲し立てたがラオは鋭い視線のまま、鎖を渡すように手を出す。
 大袈裟に腰を折って獣人の首輪に繋がる鎖を渡す奴○商。
「坊ちゃま。こいつはモンスターです。くれぐれも早々にキツイ命令を下して自由を奪うのを忘れちゃいけません」
 ラオは奴○商を一瞥すると鎖を受け取り、もう一度獣人に声をかける。
「立てる? 行こう」
 獣人に手を差し伸べるが、彼はそれを取る事なくのっそりとした動きで立ち上がった。
 ラオはホッと息を吐くと獣人の手を取り歩き出す。
「行こうか」
 小山のように大きな身体を見上げて、微笑みかけるも獣人の男は何も言わず……それどころか何処を見ているかもわからない有様だったが、彼の大きな蹄は確実にラオに付き従っている。
 ラオはそれを感じ取ってひとり頷くと案内する使用人を追った。

 
 案内された部屋は、良い香りのする蝋燭をいくつか灯しただけの仄暗い部屋であった。
「大丈夫? 入れる? 匂いが嫌なら蝋燭を交換してもらおうか?」
 獣人はヒトよりも五感が鋭い場合が多い。
 蝋燭から香る匂いが不快ならば変えようというラオの提案は獣人の男が首を横に振ることによって却下された。
「大丈夫なら良いんだけど……そしたらお風呂に入ろうか。綺麗にしてあげるよ、おいで」
 ラオが備え付けのバスルームから獣人の男を呼ぶ。ドアの前に立ったままでいた彼はのっそりとバスルームへ入ってきた。
 その姿を見てラオは満面の笑みで獣人を褒めた。
「良い子だね。ちゃんと僕のところに来れた。えらいえらい」
 ラオの言葉に獣人の耳がぴく、ぴく、忙しなく跳ねる。良い反応のような気がして、ラオはにこにこと獣人を見つめた。
「こっちこっち。ここに座ってごらん」
 手招きすると獣人の男はのっそりとラオに近付き、指し示されたバスタブの中にみっちりと入り込んだ。
「あ、思ったよりバスタブが小さいな……上手に座れたね、大丈夫? 窮屈じゃない?」
 ラオの問いかけに男はこくりと頷く。
「そう? 我慢してくれてありがとう。直ぐ終わらせようね。こう見えて僕は上手なんだよ」
 ラオはジャケットを脱ぎシャツをまくるとシャワーからお湯を出して温度を確かめる。
「じゃあお湯をかけるからね」と蹄の足にそっと湯をかけた。
 手ずから湯を当ててやると最初こそ肩をいからせ緊張していが、すぐに力が抜けていくのがわかった。ラオは表情を柔らかくして獣人に声をかける。
「撫でても良いかな?」
 問いかけると、男は小さく頷く。
「ありがとう。優しく撫でるから、嫌だったら教えてね」
 ラオは手を伸ばしひづめからゆっくりと屈強な足を撫でていく。シャワーの湯を馴染ませるように毛皮をわしゃわしゃと揉み込む。
 蹄の先に触れた時にはガチガチに緊張していた足が、ゆっくりとほぐれていくのを感じてラオは微笑んだ。
「触らせてくれてありがとう。どこか気持ち悪いところとか無いかな?」と問いかける。
「ナイ、です」
 男は首を振り、低く静かに応えた。
 それは男との初めての会話だった。
 ラオは思わず喜色満面に笑む。
「はじめて声聞けた。嬉しい」
 ラオはにっと笑うと、獣人の男の唇の端が細かく震え、そして少しだけ、くっと口角が上がった。
 きっと笑ってくれたのだろうと思うと、愛おしさがこみ上げてラオの手は自然に彼の頬に伸びていた。
 今は下がってしまった口の端を親指でそっと撫でる。
「今、笑ってた? かわいい笑顔見れて嬉しいな。ありがとう」
 頬を撫で、顎をかりかりと指先で掻く。最初はビクッと怯えたように首をすくませていたが、徐々に余分な力が抜けていき、控えめにラオの手の方へ顔を寄せてくれた。

 
 そうしてラオがシャワーを当てて置いてあったソープで身体を摩ってやる間、獣人の男はおとなしくしていた。緊張で強張っているところもあったが「大丈夫? 辞めようか?」と手を引くと首を横に振る。
「へいき……続けて、くださイ」
 辿々しい言葉遣いで、低く訥々と言う。
 ただ、ラオの手が陰部に近づくにつれ身体の強張りが強くなる一方であったため、ラオはそっと手を引いて笑いかける。
「自分で出来るかな?」
 ラオの問いかけに、獣人の男は頷きシャワーヘッドとソープを受け取った。
 無事に身体を洗い終えたのを見届けてラオは「良い子だね」と褒め、再びシャワーヘッドを受け取る。
「頭も、洗って良いかな?」
 頷いて頭を下げる男に、なるべくそっとシャワーを頭にかけていく。
 ボサボサと広がっていた髪がひと回り小さくなった男の頭に、ラオは思わず微笑んだ。
「大丈夫? 顔に水がかかるの平気かな?」
 束になって顔に張り付く髪の毛をかき分け、顔を覗き込むとようやく獣人の男の顔が見えた。
 彫りの深い、男らしい顔立ちをしている。凛々しい眉も長くたっぷりとしたまつ毛も髪と同じ赤茶色をしていた。
 じっと見つめていると、瞼がぱちぱちと瞬きをする。深い緑色の瞳が見え隠れしていた。
「瞳が……まるで森のような緑色で、とても綺麗だね」
 ラオは獣人の男の長い前髪を横に流しつつ褒める。
 獣人の男は、かすかに目を見開き、ただラオをじっと見ていた。
 濃い緑色の瞳は美しいが、人を拒絶するような深く鬱蒼とした森の奥と同じ、暗い色を湛えている。彼のこれまでの生き様が垣間見えたようで、ラオの胸は小さく痛む。
 湧き上がった哀れみの気持ちを振り払うように明るく告げた。
「さて、これで綺麗になったね。そしたらお湯を溜めて温まろうか」
 男の身体を、洗い終えたのでバスタブに栓をしてお湯を溜める。
「お湯が溜まったら僕も一緒に浸かってもいい?」
 ラオは男の逞しい肩や毛皮に覆われた太い腕に湯をかけてやりながら聞いた。男はこくと頷く。
「いいの? ありがとう、楽しみだな」
 ラオは男の濡れた髪を撫でる。前のように怯えた様子はなかった。

 
「そろそろ良いかな」
 ラオは服を脱ぎ、シャワーを浴びてバスタブの中に身体を沈めるとじんわりと熱い湯が身体を包み込む。心地よい浮遊感に大きく息を吐いた。
「はぁ〜……気持ちいいねぇ……ねぇ、そっちに行ってもいい?」
 向かい合う男に語りかけると男は頷いた。ラオは静かに水面を揺らすと男の足の間に座り、分厚い胸板に頭を預けた。
 ビクッと硬くなる身体を背中に感じたラオは、湯の中で
硬く握りしめたままの男の拳を包み込むように柔く握った。
 実際には、獣人の男の手とラオの手の大きさが違い過ぎて拳に手を添えただけだったが。
 それでも、男の怯えを少しでも払拭してあげられれば、と思ったラオの意思が通じたのか、男は握った拳をゆっくりと広げて手のひらを向けた。そしてラオの手を弱い力で握り締めた。
 初めて見せた、男からラオへの接触。
 ラオは嬉しさを顔いっぱいに滲ませて頭を巡らせ男を見上げると、彼はひくつく口の端を小さく上げてぎこちない笑顔を見せてくれた。


  風呂上がり。
 浴室に備え付けられたタオルで、あらかた水気を拭ったラオと獣人の男はベッドへと移動する。
「今更だけど僕はラオって言うんだ。好きに呼んでいいよ……あなたの名前も教えてくれる?」
 ベッドのすぐ下の床に座する男の背後、ラオがベッドのふちに立ち、ふかふかのタオルで彼の髪を丁寧に拭きながら問いかけると、男はぽつりと呟いた。
「名前、なイ。オ好きにどうぞ」
 男の答えにラオは眉をしかめる。
 ――女奴○が子どもを産むと必然的にその子も奴○として生きる事になるみたいだし、このひとも奴○として生まれて名前がないのかな……それとも奴○になってから、元々の名前は捨ててしまったのかも知れない……
 ラオは一瞬の逡巡ののちに口を開く。
「そうか……うーん……じゃあ、ティミーと呼ぶのはどうかな? あなたが嫌じゃなければだけど……」
 男は少し間を置いてから頷く。
 ラオは赤茶の髪を拭いていたタオルを隅に置くとティミーの隣へ座り込む。そして、膝に置かれた拳に手を重ねた。岩のような拳が一瞬ぎゅっと硬く握られ、徐々に力が抜けていくのが伝わってきた。
 ラオは弛んだ手のひらに、自身の手を差し入れて握る。大きさの違う手のひらは握りきれず、結局小さな子どものように彼の人差し指を握るだけになってしまった。
 しかし、ティミーは震える指先を折ってラオの手を包むように握り返してくれた。
 暖かく大きな手のひらにラオは頬を弛ませ、そして深い緑の目を見て告げた。
「ティミー。あのね……今から僕たちがパートナーになるための誓約の儀として、君の中に僕の精液を残さないとダメになってしまったの……いきなりで、本当に申し訳ないんだけど、君の身体に触れても良いかな?」
「ハイ」
 無機質な返答に眉を下げるラオ。その返答は良いという同意より、諦めの返答だった。
 ――しかし、こうして大人しく返答を返してくれるだけでも良しとしよう。
 ラオはすぐさま微笑みを浮かべて頷くと、更に話を続けた。
「協力してくれてありがとう。それじゃあ、セーフワードを決めようか。何がいい?」
「……特には……ご主人様のお好きにドウゾ」
 ティミーは少しの間を置いて訥々と言った。無気力で投げやりな暗い声で、自分のすべてを投げ渡す言葉に、彼のこれまでの人生が滲む。
 ラオの胸が痛み、思わず眉根を寄せて歯を食いしばった。
 ラオは周囲を見渡して、何か簡単なキーワードになる物を探すと、あかあかと燃える蝋燭が目に入った。
「……えっと、どうしようかな……そしたら、あかり……あか、赤にしようか。ティミーが嫌だと思ったら赤って言って。そしたら僕はそれをやめてティミーにごめんねってして抱きしめるよ。どうかな? 赤って言ってごらん?」
 ティミーの顔を覗き込むように小首を傾げて問う。
「……赤」
「そう! ちゃんと言えたね。偉い! ……どう? 言いづらいとかはない? 違う言葉にする?」
 躊躇うように、だがしっかりとセーフワードを口に出来たティミーをラオは破顔して褒めた。握りあった手をよしよしと撫でると胸にじんわりと温かいぬくもりが広がる。プレイ特有の充足感がラオの顔をますます綻ばせる。
 ティミーの表情は長く多い前髪に隠れて見えないが首を横に振り「違うの、ナイ……です」と応えた。
「じゃあ、ティミーが嫌だったら遠慮なく赤って言うんだよ。言っても怒ったりしないからね。次は、ティミーが触られたら嫌なところとか、嫌いなプレイとか、教えてほしいんだけど……」
「ナイ……ご主人様の好きなように……」
 予想していた言葉だった。奴○として反抗することはもちろん、意見を言うことも許されない状況にいたのだろう。
 ティミーの巌のような身体に残る無数の傷が目に入り、ラオはさっと視線を彷徨わせた。
「そっかぁ……じゃあ、僕がティミーにすることで、嫌だなって思うことしてたら、すぐ教えて? 僕はすぐそれをやめて謝るから」
 ラオの言葉に、ティミーはこくりと頷いた。
「じゃあ始めようか。ティミー、おいで」
 ラオは立ち上がるとベッドへと上がり、ティミーへ手を差し出した。
 ティミーはラオの言葉に素直に従って、小さな少年の手を取り、のっそりとベッドへ上がった。
 豪奢なベッドは、ティミーの巨体がのぼっても軽い軋みひとつ上げない。
「いい子だねティミー」
 きちんとラオのそばに来たティミーの髪を撫で付けるように褒めた。彼を褒めることで、ラオの胸にも甘い多幸感が広がっていく。
 前髪の隙間から、震える口角がゆっくりと上がっていくのが見える。
 ティミーも同じものを感じているのだと確信すると、ラオはますます嬉しくなった。
「ティミー、顔を見てもいい?」
「ハイ」
 無機質でたどたどしい、低い返答を受けて「ありがと」と呟くと、そっとベッドの上で膝立ちになりティミーの顔へ手を伸ばす。
 頑丈そうな顎に触れるとヒゲがわさわさと手のひらに触れる。
 頬は弾力もなく、こけているように感じラオは両手でティミーの頬を包み込んだ。
 まだ少し冷たい前髪をそっと分けて顔を見ると伏せた目がうろうろと彷徨っている。
 不安げな瞳が哀れだった。
 ラオは震える瞼にそっと口付けて、親指でゆるゆると目元を撫でた。
 口付けにティミーの肩が跳ね、顔が強張る。
「嫌だった?」
 ラオが深い緑の瞳を覗き込む。ティミーは少し視線を揺らした後、首をゆるく左右に振った。
「へ、ヘイキ……です……」
「ほんと? 良かった……ねぇ、じゃあキスしても良いかな?」
 ラオの言葉に、ティミーはこくりと頷いた。
 その返答を待って、ラオはそっとティミーの唇へ口付ける。
「んっ……うっ」
 震える唇から低く漏れる声は、驚きと不安を含んでいた。
「ティミー、大丈夫? 嫌じゃない?」
 ラオは慰める気持ちを乗せてついばむように何度も何度も口付ける。
 顎を撫で、太い首筋をさするラオの手を、ティミーの手が柔く握った。
「イ、イヤ……じゃ、ない。へいき」
 そう答えるティミーの瞳は潤んではいるが、しっかりとラオを見つめている。そこに嫌悪の色は見えない。
「そっか、ありがとう。ティミーが受け止めてくれて嬉しい」
 感謝と親愛の気持ちを込めて、更に口付けを続ける。
「口をあけて? あ~って、できる?」
 唇を触れ合わせたまま告げると、ティミーはゆっくりと口を開けた。
 薄く開いたその隙間に舌先を差し込み、ぺろりと舐める。
「んっ! あっう……」
「お口開けるの上手にできたね。よしよし、良い子」
 褒めるラオの言葉にティミーの身体がびくっと跳ねた。
 その反応は、今までの怯えきったものと違うように思えたラオは、少し唇を離してティミーの表情を見つめる。
 ティミーの緑の瞳はうっとりと蕩け、ゆるく開いた唇からは熱のこもった吐息が溢れていた。
「ティミー、キスは好き? 嫌い? 教えてくれる?」
 ラオはティミーの両頬を優しく包むと唇を親指で撫でてみる。熱く湿った吐息が、親指にかかった。
「あ……う……いつもは、いやだ……でも、ご、主人様のは好き、です」
「本当? 嬉しいな。もっとしてもいい?」
 ラオが問うと、ティミーはウロウロと視線を彷徨わせた後、こくりと頷く。
 先ほどより緊張が和らいでいるティミーの顎に、首筋に、柔く唇で触れていくラオ。
「う、ぅ……ん……」
 低く、ティミーの喉が蠢く。出っ張った喉仏がティミーの動揺を露わにしているように見えて可愛らしく、ラオは上下する彼の喉仏に何度も吸い付いて甘く噛む。
「ぐぅ♡」
 ティミーの喉から低く甘い呻きが漏れた。その声はぞくりとラオの身体の奥から熱情が湧き上がらせ、口の端をにんまりと喜びに上げさせた。
「ティミー、そのまま横になって」
 ラオの指示に素直に従いベッドへ横たわるティミー。
「よしよし、いい子だね」
 横たわるティミーの髪を撫で、額に口付けをすると、ティミーの身体に乗り上げ再び口を吸う。
「ふ、ぅ……ん♡うぅ……ふ、ぁ♡」
 ちゅっ、ちゅっ、と何度も分厚い唇を啄むとティミーの口がゆるく開く。舌先がちろりと口内から覗いているのに気づいてラオの顔が綻んだ。
「可愛い舌♡プレゼントしてくれるの? 嬉しい、ありがと♡」
 ラオは唇を吸い舌を差し入れてティミーの舌に絡める。
「んふっ♡ふ、ぅ……♡んんっ」
「はぁ♡ティミー……♡柔らかい舌♡とっても美味しいよ♡」
 柔らかく絡まる舌にふたりに口から吐息がこぼれる。
 Subから差し出される贈り物にラオの胸はときめき、深い充足感に包まれた。
 ラオの手がティミーの分厚い身体を撫でる。
 盛り上がった胸筋を覆う胸毛をさわさわと指で梳きながら舌を絡め続ける。
「あっ♡」
 胸毛を梳いているラオの指に、ツンと尖った乳首が当たるとティミーの身体が跳ねた。
「乳首勃ってる♡かわいい♡もうひとつの乳首はどこ? 教えて?」
 ラオが見つけた乳首を、指先でやわく摘みながら問いかけるとティミーは震える指で胸毛を掻き分け、もう一方の乳首を曝け出した。
 いじらしい姿に思わずため息が漏れるラオ。
「はぁ……♡可愛い……♡ティミー、教えてくれてありがとう♡かわいい乳首にキスしても良い?」
「は、ハイ……ご主人様のお好きに……」
 相変わらずのすべてを投げ出す言葉だが、今は掠れた低い声に甘さが滲んでいる。分厚い胸が差し出されるようにかすかに反らされている。
「ありがとティミー♡お礼にいっぱいキスするね♡」
 胸毛をかき分け、差し出された乳首を唇で優しく啄み、ねろりと舌で舐るラオ。
「んぅっ♡……う、ぁ♡」
 ティミーは艶めかしく息を弾ませて、かすかに身をよじっている。
 少し前まではきつく噛み締めて緊張していた顎から力が抜け、ゆるく唇が開いていた。快楽に蕩けたティミーの様子に、ラオはホッと安堵して尖った乳頭を吸う。
「ん゛ぅっ♡うぅ♡ゔぅ゛♡」
 乳首への愛撫ですっかり蕩けたティミーは太い腕でラオの身体を抱き締める。
 逞しい腕に抱き締められて、ぴったりと身体が合わさると毛皮に覆われた下腹部の内側から盛り上がる巨根がラオの内腿に当たる。
「あ♡ティミーも興奮してる? 嬉しい♡」
 ごりごりと固く熱い肉の感触に、ラオは好色な吐息を吐き、自身の下半身を擦り付けた。
「ひっ……う」
「ティミー、大丈夫? やめる?」
 ラオの行動に、ティミーの巨躯がビクッと跳ねた。
 それは性感の悦びからの反応ではなく、恐怖や不安というような緊張の類だと感じ取ったラオは素早く身体を起こしてティミーを見下ろした。
「ダ、イ……大丈夫です」
 その言葉は、歯の根を食い縛った隙間から出てきている。
 先ほどまでうっとりと弛んでいた唇は噛み締められて、内腿に当たっていた巨根は再び存在が分からないほどに縮こまっているようだった。
「ティミー、大丈夫。我慢しなくていいんだよ。ね、起きて。ちょっとここ、座って」
 ティミーの恐れに気づいたラオは彼の巨躯から身体を離すと太い腕を持ってベッドの上に座るように促す。
 ティミーは不安げに揺れている瞳に疑問を浮かべながらゆっくりと身体を起こした。
「あぐらをかいていいよ」
「……す、みまセン……オレ……あの……ごめんナサイ……」
 起き上がったティミーは、太い首で項垂れ、小さな声で謝罪を繰り返している。
「ああ……ティミー。そんなに謝らないで。大丈夫、大丈夫だよ。僕は怒ってないからね。ね、ティミーはキス、好き?」
 ベッドの上で、小さく見えるほど背を丸め肩を落として座るティミーの顔を撫で、髪を優しく掻き分けて俯く顔を覗き込むラオ。
 怯え俯いたままのティミーは上目遣いでちらりとラオを見ると小さく頷く。
「あ……は、ハイ。ご主人様のは、好きデス」 
 ティミーのたどたどしい言葉に、ラオはにこりと微笑むとその頬に口付ける。
「教えてくれてありがとう。それならティミーの好きなことだけしようね」
 ちゅっちゅぅっ、と可愛らしいリップ音を立ててティミーに口付ける。
「んっ、ぅぅ♡……あっ♡ふぅ♡」
 唇を吸い、舌でつつくとティミーは熱く息を吐き、口を開く。
 招かれた唇に舌を差し入れると、舌先が触れる。
 くちゅ、と濡れた音を立てて舌が絡まるとティミーの肩が跳ねた。
「ティミー……乳首を触ってもいい? ティミーの可愛い乳首、よしよししたいなぁ♡」
 吐息を混ぜるように唇を触れさせながら問いかけると、ティミーは「ハイ」と甘ったるく頷いた。
 吐息ごと食むように唇を吸い、舌を絡めながら指を伸ばす。
 ふっさりとした胸毛の隙間からツンと勃ち上がった乳首を摘まみ、くりくりとつねる。
「あ♡う、ぅ♡いい、デス♡ど、どうぞ♡さわって♡」
「ほんと? じゃあもう片方もくにくにしても良い?」
 ティミーはラオの口付けを受け入れ、舌を絡めながらこくこくと頷いた。
 口付けを繰り返し、乳首をくりくりと刺激されてティミーの巨体が卑猥にくねった。
「ん゛ん゛ッ♡あ゛ッ♡……はぁッ♡」
「かわいいティミー♡雄っぱい気持ちいい? 舌をちゅぽ、ちゅぽ吸うのは嫌じゃない? 教えて?」
「んッ♡ん゛ぅ゛♡や、じゃない♡ご主人様、の゛♡手も舌も♡ん、ぉ゛♡す、きぃ♡」
 白状するティミーの下腹には、毛皮の防護を無視して勃起する巨根があった。
「またおちんちんおっきくなってきたね? 良かった♡ティミー、自分で触れる? 僕におちんちん扱いてるとこ見せて?」
「う……は、ハイ♡」
 逆らえない命令に、ティミーは身体をぶるりと震わせ、毛皮の奥から勃起した巨根を大きな手でつかむと、ゆるゆると扱く。
「あ゛♡う♡……ふぅ♡……ん゛っ♡」
 自分で陰茎を扱かせながら、ラオはティミーの首にすがりつく。震える喉仏に甘く噛み付き、首の筋を舌で登って、びく♡びく♡と忙しなく動く耳を喰む。
「んんっ♡うっ♡ぐ、ぅぅ♡あ゛っ♡」
「ティミーのおちんちんかっこいい♡筋が浮いてて太くて、すっごいおっきいね♡僕も触っても良い?」
 ティミーの耳に舌を這わせながら吐息混じりに囁くと、赤い毛並みに覆われた耳がぴくっ♡ぴくっ♡と蠢き、太い首が艶めかしく反る。
「はっ♡あ゛あ゛♡い゛、イイ♡イイですっ♡さわって♡ご、主人様にさわってほし♡い゛ッ♡ん゛ぅ゛♡」
「ありがとう♡ああ、ティミー♡おちんちんからいっぱいとろとろのお汁が出てきてるよ♡ティミーはおちんちん扱くの上手だね♡えらい♡えらい♡」
 ラオの細い指先が、透明な汁をこぼす広がった鈴口を擦り、ぺちぺちと叩く。
 とろとろとした汁はラオの指先と、ティミーの鈴口を細い糸のように繋いでいる。
「ほら、見て? ティミーのお汁とろとろぬるぬるでえっちだよ♡こんなにぬるぬるだと、ナカに指が入っちゃうね♡」
「ん゛ッ♡うぅっ♡あ゛っ♡あ゛ッ♡あ゛ん゛ッ♡ぐ……ぅ♡」
 ラオの指示に、ティミーは素直に視線を下げ、自身の鈴口が細く小ぶりな指先にもてあそばれているのを見た。
 つぽ、ちゅぽ、と鈴口の中をラオの指の先が擦り、浅く出入りしている。
「あ゛ぁ゛ぁ゛♡あ゛ッ♡あ゛ッ♡い゛♡ひぃ゛ッ♡い゛ん゛ッ♡うぅ♡」
「いたい? 気持ちいい? どうかなティミー教えて?」
「い゛ッ♡イ゛イ゛ッ♡ン゛ぅッ♡ぐッ♡イ゛イ゛♡イ゛イ゛ですッあっ♡あ゛ッ♡♡あぁッ♡でる♡でる゛ッ♡でる゛ぅ゛ッ♡♡」
「気持ちいいのならよかった♡イッていいよ♡ティミーのイクとこ見せて?」
 にっこりと微笑むラオはティミーの耳に熱い息を吹きかけ、顔中に口付けをする。
 ちゅぽ、ちゅぽ、と鈴口を擦る指先を速め、ティミーの射精を手伝うラオ。
「ひっ♡い゛ぃ゛ン゛♡イクッ♡イ、ぎゅっ♡ふぃ゛ッ……イ゛キまじゅッ♡うあ゛ッ♡あ゛ッ♡ぅ゛ぐッ♡ゔ、ゔくゔッ♡」
 ティミーの大きな手のひらがきつく自身の巨根を握りしめた瞬間、びゅく♡、びゅくっ♡と精液が吹き出す。
 たっぷりと吐き出された精液が、ティミー自身の毛皮に覆われた下腹部や、腹筋のみぞへかかった。

【 可愛い攻ガチムチ受BL小説が読めるプラン 】プラン以上限定 支援額:500円

このバックナンバーを購入すると、このプランの2024/03に投稿された限定特典を閲覧できます。 バックナンバーとは?

この記事が良かったらチップを贈って支援しましょう!

チップを贈るにはユーザー登録が必要です。チップについてはこちら

鶯命丹 2024/03/18 18:00

DomSubユニバースもの④ 元奴○少年×武人おっさん 

【 可愛い攻ガチムチ受BL小説が読めるプラン 】プラン以上限定 支援額:500円

すみません今回めちゃくちゃ短いので、今週中にもうちょっと足します 足したら無料公開分も作ります(24.3/18)

プランに加入すると、この限定特典に加え、今月の限定特典も閲覧できます 有料プラン退会後、
閲覧できなくなる特典が
あります

バックナンバー購入で閲覧したい方はこちら
バックナンバーとは?

月額:500円

この記事が良かったらチップを贈って支援しましょう!

チップを贈るにはユーザー登録が必要です。チップについてはこちら

鶯命丹 2024/02/19 20:00

DomSubもの 元奴○ショタDom×ガチムチおっさんSub【全文8000文字】

【試し読み】


続き物③

 前回上げたDomSubユニバースもの
 元奴○のショタDom攻め×武人おっさんSub受け
 今回もエロなし・続き物
 DomSubの名称を変えてたりするので、そういうややこしくて厨二っぽいのが苦手な方はご注意ください。
 
 【あらすじ】
 保護された元奴○のマリ(Domのショタ)に「自分を雇ってくれ」と交渉されるアノンデア(Subのおっさん)。
 おっさん初めてのドムサブプレイを味わう回。

 
 

 
 ――――――――――――――――――――――――――――――――――

  血の性(サガ)、性質、特性……
 そんな風に言われる病のような症状がある。
 主人の血としもべの血を持つ者は、互いに惹きあう。両者は互いが必要で、番えない者はその性(サガ)に苦しめられるという。
 この世界に生きる種族であるなら、どんな種族にも発現する可能性のある不思議な性質だった。
 発現に規則性は見当たらず、人だろうが巨人だろうが獣人だろうが発現する者はするし、しない者は死ぬまでしない。
 おおよそ思春期と言われる頃に発現する者が多いが、もっと早く出る者も、逆に遅く出る者もいる。
 遺伝的要因も今のところ無い。親がそうでも、子は違う場合もあれば、何代かに渡って特性が発現する家系もあるらしい。
 認知はされているが何しろ数が少なく、研究が進まない。
 それが更に世間の視線を冷たくさせていた。
 主人の血の気質を持つ者は、野蛮な危険人物として扱われることが多い。
 主人の血はしもべを屈服させ支配することを是とし、それが満たされないと心身が病んでいく。
 主人の血の気質を上手く緩和できず攻撃的になり暴力事件を○す者が多いと思われている。その世間の偏見や不理解が、主人の血の特性を持つ者を孤立させ、犯罪率を上げてしまう悪循環に陥りやすい。
 しもべの血の気質を持つ者は、身近な人物に蔑まれることになる場合が多い。
 しもべの血は、主人に尽くすことで満たされる。気質の出方によってはかなり暴力的な扱いを好む者や、激しい独占欲を露わにする者もいて、主人を見つけられずに病んだしもべの者は、その気質を近しい友人や恋人に向けてしまいがちになる。その結果大切な人間を傷つけ、失ってしまい、孤独が更にしもべの血を持つ者を追い詰めてしまう。
 絶対数の少ない気質を持つ者同士が巡り合うこと自体が難しく、しもべの血の者は、友人や恋人に執着して犯罪沙汰になるのが現状だった。
 罪を○す者が居れば偏見が強まる。
 実数としては血の性質に縛られない者の犯罪行為の方が圧倒的に多いはずだが、大衆の印象を変えるのは難しい。
 
 
 アノンデアは、しもべの血の気質を持っていた。
 発現は思春期の頃。
 医師に診断された時にはあまり実感が湧かなかった。
 対処療法として胸の内に迫る焦燥感と苛立ちを抑える作用のある薬草を煎じた物を飲むことになった。
 薬師と呼ばれる老婆に診断されて出されたやたらと苦い薬は、確かにアノンデアの心に平穏をもたらしてくれた。
 しかし一時しのぎにしか過ぎない。アノンデアは血が目覚めてからずっと満たされない乾きにじりじりと炙られるような苦しみに苛まれていた。
 アノンデアの心身が悲鳴を上げ、堪えきれない乾きに追い立てられた時には、口の硬い娼館で買った娼婦に犬のように扱ってくれと頼んだこともある。
 乾いた土に数滴水が落ちた程度の潤いが得られ、それだけでもアノンデアは衝動が満たされ歓喜に震えた。
 
 地位のある者の定めとして、アノンデアには決められた結婚相手がいた。
 上手く伝えられれば、妻となった彼女に主人の真似事を頼むことが出来たかもしれないが、結局それも叶わなずに終わってしまった。
 アノンデアは戦士としては勇猛だったが、ひとりの男としては臆病であり、政略として結ばれた結婚相手には、ついぞ己の特殊な性(サガ)を告白できなかった。
 ただでさえアノンデアの姿形に怯えていた新妻に、世間に偏見を持たれる性質を打ち明けるのは酷だと思った。
 それでも長く連れ添っていれば白状する機会もあったかもしれないが、妻は嫁いで一年後身ごもるが、産後の肥立ちが悪く、数ヶ月で亡くなってしまった。
 屋敷の使用人や、乳母のおかげで産まれた息子は今やいっぱしの若者に育ったが、アノンデアは後添えを持つこともなく、独り身のままこの地をより良くする事業に没頭していた。



 硬い口調で訥々と語るアノンデアは、マリから視線を逸らし、きつく拳を握りしめていた。傷の残る険しい顔をきつく噛み締め、様相は恐ろしい鬼神と大差ない。
 マリは、恐ろしく強張ったアノンデアを見てますます笑みを深くすると、色形の良い唇を開いて鈴のような声で言った。
「まぁまぁそんなガチガチになるなって。ほら“こっちへおいで”」
 マリの言葉に、アノンデアの身体がビクッと揺れた。
 思考が真っ白になり、固まっていた身体中の筋肉がゆるく滑らかに動く。アノンデアは無心で歩き出していた。
 マリの目の前に立ってようやく、自分が自分の足で歩き、ここまで来た事に気づく。
 意識を取り戻し、目を見開いたアノンデアに向けてマリの命令は続く。
「“ここに座って”」
 告げられた言葉と指差された床。それに従って、アノンデアの膝は流れるように床に着く。
 マリの座る椅子の足元に跪く自分の動きにアノンデアは言葉も出ないほど驚き、目を白黒させている。
「“こっちを見ろ”」
 下された命令は、抵抗する必要など感じさせないほど自然にアノンデアの脳を心地よく揺らす。
 顔を上げ、目線の会った少年の顔は満足そうに美しい黒い瞳を細め、笑っている。
 その顔を見た瞬間、アノンデアの胸は強烈な感動と喜びに支配された。
「あ……ま、て……」
 掠れた声で静止を願うアノンデア。
 戦場で勇ましく戦う姿を知る部下が見たら目をむいて卒倒するかもしれないほど、弱々しい声であった。
 ――逃げたい……今、逃げなければ……
 怯え、警告を鳴らす理性とは裏腹に、膝は床に着いたまま、視線すら逸らせず震える唇を噛みしめ、アノンデアはじっとマリを見つめ続ける。
 そんなアノンデアの顎を両手ですくうように触れ、短く刈り揃えた髭をさわさわと撫でる、細いマリの手のひら。
 にんまりと蠱惑的に細められた瞳でアノンデアを見下ろし、マリは言った。
「ほら、この眼。ご主人様を見る従順な犬の目。俺の大好きな目だ“いい子だなぁ、アノンデア”」
 アノンデアの脳が、ぐらぐらと揺れた。脊椎が、ぞくぞくと歓喜で震える。
「あ、ぅ……」
 アノンデアの心の内は甘い感動に支配され、喜びに嗚咽が漏れる。視界が潤んだと自覚したとき、マリの手がアノンデアの頬を撫でた。ひや、濡れた感触に自分が涙を流していることに気づく。
「泣くなって! 首長様」
 マリは破顔している。
 その笑顔は、アノンデアの心身を恍惚で支配する。
 なんてことのない。ただ、とある事件で間接的に救う事になっただけの、被害者のひとりだ。
 アノンデアとの面識は他の被害者と同じく、ほぼない。
 今までの人生に関わりなど無かった他人。
 それなのに、目の前の少年が笑っているとアノンデアの胸には言いしれぬ多幸感が込み上げる。
 ――なんだ、この感覚は……この、激しい感情は、なんだ?
 強烈な歓喜に痺れた脳で自問して気づいた。
 ――ああ、そうか……これが、戯れるということか。ずっと飢えていた血の欲求が満たされた喜びだ……
 アノンデアは思わずマリの膝に顔を埋めて目を閉じた。
 まるで母の膝に甘える幼子のように、マリの細く若い膝に、アノンデアは自身の顔を擦り付ける。
「う、ぅ゛……ふっ、ぅ……」
 情けない嗚咽で、喉が震えていた。
「持つモン同士で遊ぶのは、すげえイイよなぁ」
 マリは歌うような声音で自分の膝に伏せたアノンデアの後ろ髪を梳いた。
 その柔らかい手つきは強過ぎる喜びの波に翻弄されるアノンデアを更に惑わせ、蕩かせる。
「……ずっと飢えていた……こんな、満たされた心地は初めてだ……」
 ぽつぽつと語るアノンデアの言葉を、マリは上体を寄せ、うん、うん、と鷹揚に頷いている。
「だよな。俺もだよ……これがずっと満たされてたら嬉しいだろ?」
 マリの言葉に、アノンデアはこくりと頷いた。


全文は支援者様限定

【 可愛い攻ガチムチ受BL小説が読めるプラン 】プラン以上限定 支援額:500円

このバックナンバーを購入すると、このプランの2024/02に投稿された限定特典を閲覧できます。 バックナンバーとは?

この記事が良かったらチップを贈って支援しましょう!

チップを贈るにはユーザー登録が必要です。チップについてはこちら

月別アーカイブ

記事を検索