荒神大助 2024/09/03 05:36

次元旅紅紀・没プロット公開の巻

皆さんこんにちは、荒神大助です。

今回は前回の記事でも書いた通り、6年前に未完成版を出しつつも、
そのままで終わったビジュアルノベル、
次元旅紅紀の没シナリオ、プロットを紹介していきます。

前置きしておきますが、今回の記事はめちゃくちゃ長くなります

今はスクロールバーをチラ見しつつ、
そこのところを覚悟の上で読んでください。

また、過去記事で紹介しました、制作中の次弦選鉱、
制作休止中の次元紀行は今回話題に出す没ゲーム、
次元旅紅紀のリブート的な側面があり、
今後のネタバレになってしまう可能性もあります

ただし、次元旅紅紀と今後の作品における同一人物は、
現行のコンテンツでいうところの、
Fate/Grand OrderにおけるそれぞれのFate本編、
スーパーロボット大戦OGにおける版権スーパーロボット大戦本編
ぐらいの
雰囲気で、一部同じ人生を生きている同名キャラクターがいたり、
過去作のことを覚えている場合があるものの、基本的には別人であり、
エッセンス程度のものと考えていただければ
と思います。

そういったことを踏まえて、
ここから記事の先を読んでいただければ幸いです。

没シナリオ「次元旅紅紀」

さて、ここからは早速、次元旅紅紀について、
コミケの頒布物の権利関係を確認する作業中に発掘した
没データを並べながら語っていきたいと思います。

作品を理解する上での前提

前提として、次元旅紅紀はそれまで学生時代から制作していた
アナザーワールドサーガ大系という作品群を完結させる、
そして完結させるにあたって、当時SNSで連載していた
スーパーロボット大戦二次創作の世界観を組み込む、
という意思のもとに制作が始まりました。

「アナザーワールドサーガ」という言葉は、
7年前の私が創作活動9周年を記念して描いたイラストにも
(右側に見辛いフォントですが)しっかり書いてあったりします。

ところでこの絵、青系を基調にちょっとオシャレ可愛い感、
アッサリアニメ塗りの側面を前面に出していて、
今でいうブルーアーカイブみたいな方向を
目指していた感じが見受けられます。
迷走ですかね。

ちなみに、アナザーワールドサーガは私が学生時代に
初めてゲーム制作をしたときに作ったRPGのタイトル
です。

世界観を共有しつつも、どこかで一区切りにしたいという思いが
当時は強くあり、大系としてまとめたところもありました。

なお、現在の作品群は「アンノウンワールドサーガ」大系であり、
まったく別の思想で作られています。

次元旅紅紀が未完成となった言い訳

さて、そんな次元旅紅紀が未完成になった理由としましては、

・制作に使用していたエンジンが更新停止となった
・利用していた背景素材の利用規約が変更となり、ゲームNGとなった
・次元旅行記という個人サイトが誕生した

の3つが重なり、当時北海道に住んでいたこともあって
本州のイベントに出展する際の旅費も馬鹿にならず、
転職や転居などの生活の変化もあり、
そういったものがモチベーションの低下に繋がって・・・
という形になります。

それで、未だにちょっとよくわからないんですが、
YouTubeの配信に利用するのはOKでゲームはNGっていう規約、
いったいどういう考えでそうなったんでしょうか。

経緯は知らないんで、一部のクリエイターが迷惑をかけたとか
そういうところがあるんでしょうけど・・・

ちなみに次元旅行記というサイトが出来たときには
ちょっとモチベーションが下がったのですが、
リブート作品のひとつである次元紀行を作り始めてから
次元紀行というサイトが出てきて
、それからはもう諦めました。

こんなもんだよな、というか、
座りの良い新しい言葉って限りがありますし、
自分が考えた一番良い名前で書いていくことが
気持ちの維持にもつながりますからね

没プロットの紹介

ここから没データを交えまして、プロットの紹介となります。
プロットは黒太字、作品についてのコメントは薄青字としていきます。

なお、次元旅紅紀は大切な人間との出会いと別れをテーマにしています。

世界を繋ぐ門が開き、技術の進んだ並行世界からの侵略者との
人型機動兵器を用いた最終戦争が終結して10年。

世界の傷痕はまだ癒えぬまま、一部の人々は救いを求め、
「真なる焔」を崇める秘密結社「ゴッドネイション」にすがっていた。

真なる焔を崇め奉れば、どんな願いも叶う、
苦しみを乗り越えられるという噂が広まっていたからである。

本作はアナザーワールドサーガ大系のひとつ、
WEB小説の機戦界ソウルエアーの続編的位置づけでもあります。

機戦界ソウルエアーはスーパーロボット物であり、
スパロボ二次創作と合体させようという考えに至った理由には
「全て終わらせて気分を変えたい」という他にも、
こういう相性の良さという面もありました。

世界を危機から救った組織「地球防衛連合」の元一員で、
現在は傭兵部隊「グレイブレイズ」の隊長である
アシュレイ・エリヤコフの元にひとつの情報が届く。

それはかつての仲間が攫われ、ゴッドネイションの巫女としての
活動を余儀なくされていることと、
巫女を生贄として高次元の存在を門の向こうから引きずり出そうと
しているということであった。

アシュレイは現在の次元紀行用のデザインと比べると、
細身で顔面もシュッとした印象があります。
現在のデザインを見たい方は過去記事を漁ってください。

なお、かつての「仲間」はスパロボ二次創作のヒロインであり、
名前はマリカ・ルミナエと言います。

半信半疑であったアシュレイだったが、
異世界からやってきたグレイブレイズの一員、
メルティーナ・アスファーは、事の重大さ、
そしてその荒唐無稽な情報が事実であると理解し、
いち早く現場へと赴く。

アシュレイ、メルティーナの二人はWEB小説時代から
複数作品をまたいでの出演となり、
当時は結構人気のあるキャラクターでした。

逆に言えば、客寄せ的に無理矢理出した、とも言えます。

結社の量産機に道を阻まれながらも、
後に続いたグレイブレイズのメンバーに助けられながら、
何とか現場に到着するメルティーナ。

しかし、結社の本部では巫女の騎士である
カイン・ブラックが待ち受けていた。
圧倒的な力を前に苦戦を強いられる傭兵たち。

そのとき、突然カインの攻撃の手が止まる。

もう一人の巫女の騎士であるヤシロ・タカミネが、
本部の人間を虐殺しているという情報が入ったからである。

「真なる焔(リーンフラメス)」を顕現させるためには、
感情の起伏が必要であり、そのエネルギーを御神体である
「紅蓮の歯車」に共鳴者である巫女を通して与えることで、
副産物として人々の願いは叶えられてきたのだ。

しかし、結社にも部隊があるとはいえ、
相手は世界を救った手練れ。

本部が壊滅させられる寸前である以上、
手段は選んでいられない。

ヤシロは当時の職場の嫌な上司とか、
学生時代の美人だけど嫌な同級生を詰め込んで
デザインしたキャラクターでした。

当時の私は現実と非現実の境目が
あまりハッキリしていなかった気がします。

こういうの、あんまりよくないので、
気をつけないといけないところですね。

戦いの最中に現れた、願いの力を受けたヤシロによって、
結社の部隊もグレイブレイズも壊滅させられてしまう。

ヤシロの機体の名前はダイストーム・オディールという名前で、
別作品「紅と黒のビヨンド」で主人公機となる予定でした。

人々の願いという正の感情と、
人々の理不尽な死という負の感情。

顕現する真なる焔。

荒野に現れた太陽のようなそれは、善も悪も呑み込み
ひとつの世界は滅亡したのであった。

黒抜きに白文字の台詞は実際のスチルで、
ラスボスであるリーンフラメスの台詞とも、
作者のメッセージとも、作品全体のテーマとも
捉えられるように書きました。

実際はラスボスの台詞で、メッセージとかテーマではありません。

ちなみに本来リーンフラメスとはSNSで公募した
スパロボ二次創作の主人公機名であり、
それをネーミングしたのは活動休止中の
所属サークルの主さんだったりします。

それから幾星霜の時が過ぎた頃。

巫女であった女性は命を取り留め、ディーネ・グノーモンと名乗り、
紅蓮の歯車をもたらしたものの正体を探り、
そして真なる焔を打倒することを決意し、数多の並行世界を旅していた。

そんな中、ディーネは一人の少女と出会う。

彼女はディーネと同じ巫女の力を持っており、
紅蓮の歯車が無くとも、願う力によって
奇跡でも起こすかのように事象をある程度歪ませることができた。

彼女はそのことに気づいておらず、
また、人間と異種族のハーフであることから実験体として
迫害を受けていた。

彼女はアヤメ・ブランディスと名乗った。

ディーネは彼女を救い出し、共に旅を続けることにする。

「知らないのか?
 アヤメは花の名前で、花言葉は『希望』だ
 君はご両親から、良い名前を貰った」

作品全体はアヤメの視点で進んでいきます。

時にはシリアスに、時にはコミカルに。

ロボットあり、ファンタジーあり、百合あり、SFありの、
超時空百合バトルSFビジュアルノベルと銘打った
作品となる予定でした。

なお、この機体はオルターディノンといって、
現在の同名機と同様、主人公のアヤメが乗る機体です。

アヤメを初の団員として、大きくなっていく「超時空旅団」。

並行世界の均衡を守ろうとしつつも、
高次元の存在に関しては関与しようとしない
時空統括機構「エグズィフ」との激突。

そしてエグズィフの暴力装置であり「死神」の異名を持つ
エレイン・ザムハスとも戦いを重ねながら、
手掛かりを集めていくディーネ達。

現在のエレインはライバルとしてのデザインですが、
当時の彼女は完全に敵役でした。

しかし、力を使い過ぎたことにより、
アヤメは心身共に異常をきたし、余命幾ばくもない状態となってしまう。

やがて世界を救う旅は、アヤメ一人を救う旅となっていく。

手掛かりを追い、来る決戦に向けて、
そしてアヤメの延命のために必要な物を数多の世界で略奪するうち、
世界は次第にディーネの敵となる。

更には、かつてのメルティーナ・アスファーもまた、
高次元の存在と契約してメルヴェイユと名乗って現れ、
事態は混沌としていくのであった。

激しい戦いのうち、命を落としていく超時空旅団のメンバー達。
団員はディーネとアヤメの二人に戻ってしまう。

EGGよりリリースした「装天のグライガー」で登場する
世界樹ユグドリオンは、このメルヴェイユの機体から
エレインが斬り裂いた右腕という設定でした。

その伏線で、最終話には主人公のグライガーと、
謎の人物メルヴェイユが会話するシーンがあったりします。

この展開はスパロボ二次創作時代のシナリオの名残で、
真・魔装機神というゲームのオマージュだったりもします。

そんな旅の最中、ついにアヤメは自身の力を永続的に維持できる
動力源を搭載した機体を手にする。

後継機の名前はゼクスブレードと言います。
当時としては渾身のネーミングでした。

だが、力を手にしたアヤメは最早以前のアヤメではなく、
破滅的感情のまま動く破壊の権化と化していた。

ディーネは自分がそれを促してしまったことに責任を感じつつも、
後戻りは出来ないという感情を抱えながら、
アヤメの破壊をある程度で止めつつも、
自分は打倒リーンフラメスのためにその力を利用するという、
複雑な立ち位置になっていく。

破壊行動を続ける中、エグズィフからの追撃を交わしていくアヤメ。

だが次第に様々な世界を訪れたことが仇となり、
アヤメやエグズィフの機体を解析し、門を開き、
対抗手段を得た様々な世界からの追手がアヤメに迫る。

そして、ディーネはアヤメを遠巻きに助けつつ、
被害が広がらないよう何とか食い止める。

そんなことが日常になりつつある中、ディーネに、
彼女のもとから行方不明になったアヤメが、
エグズィフと多世界の混合部隊に包囲されたと一報が入る。

なぜアヤメは行方をくらましたのか。

アヤメの機体は無茶な戦いを続けたことによって不調をきたしており、
暴走した自分が時折正気に戻ることがあって、
彼女はそれに失望、恐怖、葛藤していたのだ。

過去の自分からすれば、現在の自分は悪である。

だが、過去の自分はもうおらず、
それでも未来に生きるべきは現在の自分ではない。

自分の中の善と悪が拮抗するなか、
混合部隊がアヤメに迫る。

多くの機体を破壊していくうち、最後に残ったのは
かつて自分がまともだった頃、
苦肉の策で全滅させた、とある世界の部隊の生き残りであった。

生き残りの名前はナグモ・クランド、
機体はマクストライアンといい、
実際に遊べる部分でもマクストライアンを原型とした
ネクストライアンというシステムを作り出す、
とディーネが発言して触れていたりもしました。

鬼気迫る戦いぶりでアヤメを圧倒する生き残り。
アヤメに対する憎悪がそうさせるのだ。

そんな最中、何とか駆け付けるディーネ。

どちらが正しいのか、何が善で悪なのか。
ディーネにとってそれはどうでもよく、
ただアヤメに生きていてほしかった。

この紫色の機体はザインエイゼルという名前で、
ディーネが乗る機体としてデザインされました。

この機体の外装を外したものが先述の主人公機としての
リーンフラメスであり、そういった部分での
ファンサービス的な機体でもありました。

だが、一方でアヤメの気持ちは既に決まっていた。

「未来には『希望』だけが残るべきだ。
 そうだろう、ディーネ・・・付き合わせて悪かったな。
 アンタは、生きろ」

アヤメは自爆し、その場にはディーネ以外何も残らなかった。

それから幾星霜の時が過ぎた頃。

ディーネ・グノーモンは、紅蓮の歯車をもたらしたものの正体を探り、
そして真なる焔を打倒することを決意し、数多の並行世界を旅していた。

後ろの機体はオーバーマクストライアンといい、
マクストライアンを原型にした構想が形になったもの、
という設定でした。

過去が彼女を強くする。
現在は新たなる仲間達と共に。
未来の希望を目指して。

・・・というお話でした。
プロットは以上になります。

こちらの最後のイラストは6年前に今後のイベントに向けて、
ブースのポスター用に準備していたイラストなのですが、
「ポスターのキャッチコピー、そういうことだったんかい!」
・・・と、当時はなってほしかったものです。

そこまで書き切れなかった自分の筆不精さを恨みますね

勇気一つを友にして

なお、次元旅紅紀は「勇気一つを友にして」という50年ほど前の歌を
インスパイア元のひとつとしています。

近年ではバビロンズフォールというネトゲのCMに使用されたり、
TV番組でトラウマ曲として話題に挙がったりしていたので
古い曲ながら知っているという方も多いのではないでしょうか。

ギリシャ神話のイカロスをテーマとした歌であり、
蝋で作った翼で太陽に向かうも、翼が溶けてしまい墜ちて死んでしまう。
だが、その勇気を私達は受け継いで生きていくのだ、
という内容を物悲しい曲調で歌ったものです。

それで、イカロスなんですが、
原典では本来であれば親に作ってもらった翼で
牢獄から出るものの、親の注意を聞かず調子に乗って空まで飛んでいき、
太陽に近づき過ぎて死んでしまうというオチだったりします。

視点を変えればお調子者も勇気の象徴となる

そういうところから、
一方から見た善は、他の方から見た悪である、という作品の方向性、
そして歌の太陽であるところの「真なる焔」に焼かれてしまうところが
作品の発端である、というインスパイアを受けました。

ちなみに作中のカイン・ブラックは、初期稿では歌になぞらえて
ブレイブ・エンスパイア(勇気にインスパイアした)という名前でした。
やり過ぎですね。

作品の今後について当時仕組んでいたこと

主人公はアヤメ、といいつつも主軸はディーネの物語であり、
ラストに向かうにつれてプレイヤーがどちらに感情移入するか。

この前の装天のグライガーも実験作であり、
アナザーワールドサーガ大系としては蛇足でもあったのですが、
そういったところで次元旅紅紀も実験作的な趣がありました。

実は仕込みは体験版の時点で行っていまして、
体験版ではアヤメの一人称、地の文が心象ですべてが進むところ、
頒布版では全てが状況説明になっています

このアヤメとディーネが抱き合っているイラストは、
当時ディスクの盤面にも印刷されており、
バージョンによってはアイコンでもあった
のですが、
これは作中、二人が最も仲が良い段階で撮る写真。

最終的に遺影のように扱われる予定であり、
ゲームをプレイしようとするたびに遺影を見せられるという、
人の心が無い作品になる予定でした。

作者、病んでたんですかね。(お前じゃい

ただ、バージョンを更新していくうち、
途中から救いの無いダーク路線よりも現在の希望を持たせる路線に
舵取りを変えたところもありまして、
そもそもアヤメが最初から力を持っているわけではなかったり、
性格からクズな部分が削除されていたりもします。

最終的に、そういった方向性の迷子から作品の軸がブレて、
「大切な人間との出会いと別れ」
「関連作品を今まで追っているとニヤリとできる」
「最後までやってこそすべてがわかる」

みたいな要素がパアになってしまったことが悔やまれます。

作品自体も未完成で終わりましたし・・・
そこまで書き切れなかった自分の筆不精さを恨みますね。(2回目

まとめ

そんなわけで、長々と書いてきましたが、
ここで次元旅紅紀の没ネタ開示は以上で終了となります。

光あるところ闇あり。
闇あるところまた光あり。

太陽は焼き尽くすものではなく昇るもの。
世界を照らすものである。

これからはそういう「物語」にしていきたいと考えていますので、
直近の新作「語る剣のヴァイスター」を含め、
今後の展開をお楽しみに!!

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