三菱鉛筆 硬質水色の生産終了ふたたび。
アニメの作画セクションにおいて必要不可欠な三菱鉛筆の硬質色鉛筆。
特に「赤」「水色」は生命線とも言える道具で、コレがないと(少なくとも動画用紙での)作画作業に大きな支障が生じます。
……が、三菱鉛筆から「原料調達が難しくなった」という理由で水色を含む数色が生産終了になるというアナウンスが出ました。
覚えている方がどれだけいるかは分かりませんが、硬質水色の色鉛筆の生産終了宣言は今回が初めてではありません。
2015年にも三菱鉛筆から生産終了宣言が出てアニメ屋さんは大混乱に陥った事があり、この時は「アニメ業界からの強い要望」で生産継続が決まったのですが、今回は原料調達を原因に挙げてるのであの復活劇が再び!……というわけにはいかなそう。
硬質水色が必要な理由。
ボクは作画じゃないので仕上げ以降のセクション視点での話が主になりますが、あえて作画視点で言えることがあるとすれば「硬質は固いから芯が割れにくくて細い線が引けるのと軟質と比べて描画時に粉が出にくい」ということですかね、そもそもこの色鉛筆は「製図用」なんです。
さて、1990年代後半から徐々にデジタル制作化して以降のアニメ制作では紙に作画された「動画」をスキャンしてトレスして塗り作業ができる状態にする必要があります。
スキャンしただけだと(↑)この状態。
この画像データを「黒はRGB(0.0.0)、白は(255.255.255)、赤は(255.0.0)、水色は(0.0.255)、黄緑は(0.255.0)」に変換して所謂バケツ塗りできる状態にするのがアニメ制作で言うところの「トレース」という工程です。
なんでこの5色かというと、スキャン&トレースはTraceMANというRETAS STUDIOに含まれるソフトを使うのですが、このTraceMANが変換に標準対応してるのが黒、白、赤、水色、黄緑だからという理由。
厳密には他の色も設定できるんですけど、精度(と作業効率)が良くないので実質的にはこの5色以外は使えないと言っていい状態(実は黄緑の認識精度も良いとは言えなくて、動画の色トレス線に黄緑の色鉛筆が使われているのは少なくともボクの経験した中では極めて稀なケースでした)。
このトレス設定ダイアログでは「黒」「赤」「青」「緑」となっていて水色や黄緑じゃないんですが、ホントに青や緑の色鉛筆で描いてしまうと高確率で「黒」と誤認識されて使い物にならないので水色、黄緑が使われています。
なお、赤と水色の交点は黒に誤認識されるし、黒の筆圧が弱い部分は青に誤認識されるし、水色も黒に誤認識される場合があったりで……設定次第である程度緩和はできますが……色々と苦労はしてます。
お高いスキャナだとスキャン状態が良好だからトレス精度が上がるんですががが…。
まあそんなわけで主要通販サイトではあらかた硬質水色が姿を消してます。
なんか正月あたりに見たときには普通に在庫表示されてたと思うんですけど、やっぱり「無くなる」となるとみんな考えることは同じですよね……。
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