近況7/31 学問とは事実を積み重ねた先に結論を見出すものだ

「先に思いつきのような結論があってそれを証明していこうとするのは学問的な態度ではない」(キリッ

 私が最も愛する漫画作品が10年以上ぶりに続刊刊行したというので、ありとあらゆる用事を脇にのけて最優先で確保して読みました。

https://bigcomicbros.net/work/77733/

『宗像教授世界篇』……ついに帰って来たか、あの宗像教授が……!

 ……え? エッチ小説の進捗を見に来たのに、こんな劇画調ハゲオッサンの表紙を見せられても困るって?
 うん、申し訳ねぇ。でも私が好きなんだからしょうがないだろ?(キリリッ

 まぁざっくり言うと、日本神話や伝説、歴史、考古学と、ヨーロッパの神話伝説歴史や考古学を圧倒的に強引な仮説で結び付けて、あれよあれよという間にトンデモな結論をぶつけられてアゴが外れそうになる、みたいな伝奇ロマン漫画です。
 ヨーロッパからユーラシア大陸を横断して日本にやってきた古代製鉄民俗が様々な神話や伝説を持ち込み、それらを読み解くことで日本神話や伝説、歴史を全然違う解釈してやるぜー! みたいな。

 まぁぶっちゃけ、厳密な学問視点で言えば「トンデモ偽史」以外の何ものでもないんですけどね。しかし、めちゃめちゃ高い画力と、妙に詳細な考古学成果の紹介や論拠の五月雨撃ちで、なんか強引に納得させられちゃうトリップ感がクセになるんだこれがw
 最初のシリーズで、「源義経は実は生きていてそのままチンギス・ハーンになった」説を大真面目に取り上げたりしておりましたからなw でもなんか、北海道アイヌの考古遺物とか、東北地方には源義経が通過したって伝説はあるけど義経の墓を謳う伝説の地はなぜか存在しないとか、なんか妙に説得力あるところを突いてくるんだよねw

 偽史の快楽ってあると思うんですよ。
 昨今はとかく間違った情報に対するツッコミが激しくて、小説にまで学問的な正確さを求めるみたいな言説もSNSなどで跋扈していたりしますが、ぬけぬけとそこをブチ破って行くのもフィクションの楽しみの一つだと思うの。以前の近況記事(FANBOX時代ですが)で半村良の『産霊山秘録』の話をしたこともありましたがね。日本史の裏でひそかに蠢いていたヒの一族というのがあって、歴史上のあの人物やこの人物も実はその一族出身だったのだ、日本史はこの一族が動かしていたのだ……! みたいな、学問では埋められない歴史の欠落を想像で大胆に埋めちゃう楽しみってあるわけですよ。
 そもそも、「関係ないと思っていたアレとアレが実は関連していたのか!」っていうのは、真面目な学問を勉強していて最も興奮する発見の一つで。伝奇ロマンはその楽しみを大胆にジャックしちゃうジャンルですよね。なかなか敷居は高いんだけど、ハマるとめっちゃ面白いのよ、これ。SFだとホーガンの『星を継ぐもの』とかがこの「発見の面白さ、学問の面白さ」をめちゃめちゃ上手にフィーチャーしてて凄かったんですけど。ああいうの憧れるんだよね。私がもしエロ小説を書き始めてなかったら、今でも「そういう話」を書こうと悪戦苦闘し続けてたことでしょう。
 ガチに信じちゃうといろいろ問題はあるけどね。嘘を嘘として楽しむなら、これはなかなか奥深い楽しみなわけです。

 宗像教授シリーズは特に、その着眼点と、アクロバティックに関係ないものを繋げちゃう剛腕が凄くて、この手の伝奇ものの中では一番好きですねぇ。「徳川家康のブレインである天海僧正が、家康の死後、平将門を『西遊記』の孫悟空に見立てて東照宮信仰を盤石のモノにしようと暗躍していた」とか、何を言ってるかわからねーと思うが、試しに読んでみな、トぶぞ?

 で、今回の新刊もワクワクしながら読み始めたわけですが……ええ。ツボにハマりまくって、5分くらいゲラゲラ笑い続けてましたね。
 もう最高だった。「これだよ、これが読みたかった!」っていうのを期待以上のクオリティでたっぷり味わわせてもらって、まさに理想の続刊というのはこういうのだな、っていう感じでした。
 ギョベクリ・テペ(近年新しく発見されたトルコの遺跡で、先史時代の人類史を大きく塗り替えた遺跡、何気にこういう最新の考古学成果に目配りするところもさすがよね)で発見されたレリーフを強引に日本九州の装飾古墳にブッ繋げて、そのついでのようにアマテラスとスサノオの高天原神話も読み替えてしまう暴走っぷりのドライブ感、マジで最高だったw もう暴走としか言いようがないんだけど、それが気持ちいいんだからしょうがない。
 俺の宗像教授が帰ってきた! おかえり教授! また思う存分暴れてくれよな!

 いやー、良い刺激をもらいましたね。エロ小説に活かせる刺激だったかどうかは分からんけどw
 シリーズとして続くということなんで、私の生きる楽しみが増えました。ワクワクが止まらんね。素晴らしい事です。


 さて、執筆の進捗ですが。
 謎の原稿X、まぁ難航しておりますが、今日か、遅くとも明日には仕上がる予定。いつもの投稿ペースだったら締め切りオーバーですが、今回は8月後半公開予定だからセーフ!w トラブル等なければ、絵師さんに挿絵依頼して来月公開予定です。
 わりと、「これを出したらもう後には引けない」的なモノなんでドキドキではありますが、でも私自身が「これがやりたかったんだ」というのに繋げていく話でもあってワクワクも高まっておりますね。楽しんでもらえたらいいなぁ、と思いつつ。
 エッチ内容も、今までとはまたちょっと違ったテイスト、それとまた今までやったことなかった責めもあるかなーと思うので、まぁほどほどに楽しみにしていただければー。

 そんなとこです。じゃあ引き続き原稿進めてくる!


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