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近況12/15 カランコロンカランカランコロン

観葉植物にされる魔法少女 アクメ開花

 こちら、昨日投稿いたしました。今月の100円コース支援者さん向けです。
 なんかこう、セリフで「イっくぅぅぅぅぅ!」って言うだけじゃなく、絶頂してしまったのが外部から分かるようになってしまうギミック良いよね、みたいな。
 矢印キーさんの作品で絶頂回数がカウントされる淫紋とかありましたが。なんかそういうのも良いよね、口では「イってない!」って強がってるけど、イくと淫紋が光って敵に丸わかりになってしまう、とか、そういうのもいつかやってみたい。


 さて。私は執筆の合間を縫って、『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』など見てきておりまして。本日はその感想などもつらつら書いておこうと思います。
 思いっきりネタバレなので未見の方はご注意を。
 この映画もマジで良作だったんで、興味ある方は是非劇場で見てほしいかもだ。私としては、来年始動予定の新シリーズ巫女さんものを書くインスピレーションもいろいろもらえたりして、見て良かったですね。
 あと、鬼太郎に興味なくても、もし往年の角川映画金田一耕助シリーズが好きな人(こんなエロ小説書きのブログ読者層とそこかぶるのか?w)は見に行っておくべきだと思いますよ。令和の時代に横溝正史猟奇描写の正統後継者が現われたの、マジで奇跡だから。
 そんな感じで。ではネタバレ感想を。












 FANBOXの頃から当アカウントを見てくださった方はご存じかも知れませんが、去年たまたま、そういえば読んでなかったなということで横溝正史作品をつらつら読んでた時期がありましてね
 まさかそれが、こんな形で報われるとは思いませんでした。
 遺言状読み上げシーン、あまりにも『犬神家の一族』すぎて超笑ってしまった。なぜ鬼太郎スピンオフで金田一オマージュをやろうと思ったのかw

 しかもそれが、単なる遊びじゃねぇんですよ。ガチで往年の金田一耕助もの映画のスピリットを継承してる感じで、ちょっと感動してしまった。
 PG12に設定されてるように、この作品グロシーン満載なんですけど。でもさ、単なるグロじゃなくて、昭和の猟奇趣味のテイストになってるんだよね。この令和の時代にだぜ? 正気かよ……w
 そもそも、全体的に映像コードを昭和基準でやろう、という堅い意志を冒頭から感じました。宮崎駿の『風立ちぬ』で、喘息持ち奥さんの隣で喫煙する主人公がメチャクチャに叩かれたことがありましたけど、本作はわざと咳き込んでる子供のそばで大人が煙草吸いまくる列車内シーンから始まりますからねぇ。「昭和の時代はこうだったんだよ!」という表明以外の何ものでもない。
 で、だからこそこのご時世に昭和エログロナンセンスをベースにした横溝演出がやれてるんだと思う。もうね、だから完全にマニフェストだよね、冒頭の列車シーン。

 私はグロは苦手なクチなんで今まであんまり意識してませんでしたが、本作を見ることで、ただのグロと横溝や乱歩の猟奇は明確に別なスタイルなんだな、というのが分かって。なんで鬼太郎映画でそんな気付きを得ることになるのかw
 ただグロいだけなら、海外のゲームとかでいっぱいあるわけですよ。ゾンビとか、首がぶっ飛ぶとか。でも、そこに道具立てを加えてある種の「趣向」にすることで、残酷が映像的な快感に変わるっていうのがあるんだよね。そうか、これだったのか、って再発見させられた気分です。
 横溝『病院坂の首縊りの家』で、切断された首が風鈴に見立てられて吊り下げられてるシーンがあるんじゃけど。ただ首が切断されるだけならグロだけどさ、それを「何かに見立てる」ことで残酷にプラスアルファの不気味さを加える、みたいなのが猟奇なんだな。

 これはでも、エロも同じ部分があると思うのよね。
 ただ全裸でズコバコやったり、局部丸出しでエロ蹲踞してるだけでもエロいはエロいんだけど。でもそこに、プラスアルファで何かしらの趣向、見立てを加えていくことで、直接的なエロだけじゃない「淫靡なエロス」が載って、複合的に組み合わせることでエロさが増す、みたいなところがあると思うし、私が目指したいのもそこなので。
 そういう意味でも面白く見ました。


 とはいえですね、本作は鬼太郎スピンオフなんですよw
 以前書きましたが、妖怪って実は西欧モンスター映画のクリーチャーとは違って、実はあんまり血なまぐさいヤツって少ないんですよね。鬼一口みたいに、確かにいるはいるんだけど、決して多数派じゃないと思うの。
 砂かけ婆だって民俗伝承の中では砂ぶっかけてくるだけだし、子泣き爺はおぶさってきて重くなるだけだし、ぬりかべは単に山の中で急に前に進めなくなるだけなんだ。
 私が一番好きな妖怪は尻目って言うんですけど、全裸で、なぜか尻にでっかい一つ目があるのを突然見せてくるだけなんだよねw お前何がしたいねん!w でもそういうのが妖怪だと思っててさ。
 だから、妖怪と、横溝猟奇ってそんなに相性良くないという認識なんだけど、そこのすり合わせも見事だった。すごい。私が同じことやれって言われても、こうはシナリオ書けないと思う。
 ちゃんと鬼太郎世界観の妖怪バトルがあって、それと横溝映画の文法が同居してて(ちゃんとフーダニットミステリっぽく楽しめるようにもなってて)、そこに鬼太郎以外の水木しげるリスペクトな要素も絡ませてて、これらが全部ちゃんとつながって一本の作品になってる。これはもう、すげぇです。脱帽です。よくぞこんな作品を作ってくれた。

 それにしても、狂骨とはね……w そうきたか!
 たしかに石燕の画図百鬼夜行シリーズの中でも正体よくわかんねぇヤツだし、ああいう設定盛りやすい。けどマニアックだなぁ……w
 京極夏彦先生の感想が見たいね。


 いやしかし、沙代さんがああなってから、切り替えてゲゲ郎のために先に進もうとする水木さんにびっくりした。水木と沙代さんのラブロマンスメインだったらあそこで水木のモチベーション途切れてるところだけど、これは水木とゲゲ郎のバディものというラインの方が物語的に強いので先へ進むんだな……。
 私の見た劇場でも、近くの席に座ってたの圧倒的に女性が多くて、あぁ、そっち方面で沼なんだね、というのも面白かったですね。
 ゲゲ郎のキャラ良いよなー。飄々としてるところと、一途なところと、涙もろいところと、やっぱ魅力的なキャラってそういう複層的な顔を持ってるのが厚みになってくるんだよね。


 そんな感じです。

 現在、アメリカで『ゴジラ』と『君たちはどう生きるか』が公開されて異例の大ヒット、映画祭で賞も獲るなどかつてない日本映画旋風で海外が盛り上がっており、情報を追うのが楽しい日々です。
 アメリカの興行収入で、デイリーとはいえ日本映画が1位とか、君生きは先行上映で正式な数字ではなかったけど日本映画が実質ワンツーを決めたとか、マジかよ、みたいな状況が続いてますので気になる方はいろいろ見てみると良いですよ。
 まぁ、アメリカで俳優さんたちのストライキがあって、大作公開が遅れたという背景もあるらしいですが、とはいえ日本発のエンタメ作品がかつてなく世界を席巻しそうな感じです。
 そんな中でゲ謎みたいな映画も国内で元気で、多様性があるのも先行き明るくて良いですね。なにげに『窓際のトットちゃん』も実は名作だぞとかXで言ってる人もいて。マジかよ全然ノーマークだったぞw

 エロ小説を書いている弊アカウントなんかはそういうメジャーな文化に比べれば相対的に底辺でありますが、とはいえピラミッドも底辺が広いから頂点が高くなるという、文化というのはそういうものなんで。私は私にできることをバリバリやるぞ、と改めて元気をもらったわけでした。
 私も来年はまた新しいことどんどんやっていくからね! 楽しみにしていてくださいまし。
 ではでは。


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観葉植物にされた魔法少女 アクメ開花

pixiv、およびノクターンノベルズで連載したシリーズ
『ルリとルナ:ふたり魔法少女』

https://www.pixiv.net/novel/series/1350671
https://xmypage.syosetu.com/x2763bq/

こちらのヒロインたちの読み切り敗北エッチシーンが読めるシリーズです。

ADVエロゲーの回想シーンのように、前後のストーリー少なめで手軽にエッチシーンだけ読めるようにというコンセプトで毎月投稿しています。

【 100円コース 】プラン以上限定 月額:100円

プランに加入すると、この限定特典に加え、今月の限定特典も閲覧できます 有料プラン退会後、
閲覧できなくなる特典が
あります

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近況12/4 本当はエロいメソポタミア神話

エレシュキガル陰唇開花/花園に散るマシュ


 昨日投稿いたしました。いつもよりちょっと遅れてしまいましたが。
 エレシュキガルとマシュを徹底的に篭絡するエピソードでございます。FGO二次創作エル・アマルナもそろそろ後半戦に突入という事で、気合い入れて続けていきます。

 あと、DLSiteにて、DL販売版『ルリとルナ』第一話がウィンターセール20%オフになってます。
https://www.dlsite.com/maniax/work/=/product_id/RJ01095681.html
 買おうかどうか迷っていた、という方がいらっしゃいましたら、こちらもぜひぜひ。


 さて。
 紀元前1358年、エジプト第18王朝のファラオ、アメンホテプ4世はそれまでテーベにあった都をテル・エル・アマルナに移し、自ら新しい神アテンを立てて、アクエンアテンと改名しました。
 唐突に一神教を打ち立てて皆にそれを信仰させるって乱暴なようですけど、当時、テーベの既存の太陽神アメンを祀る神官たちが寄進などを集めてファラオ以上の政治力を持ってしまっていたので、それを弱体化してファラオに権力を取り戻すための措置だったとも言われます。
(宗教勢力が財力や政治権力を持つと、王の身分であっても迂闊に手を出せなくなるんで難しいんですよね。神様を掲げてる以上、下手な対立をするわけにいかないんで。一つの国に権力が二重にある、みたいになって治世をしにくくなる。何とかしようとするわけですが、それで王様が逆に恥かいて詫びを入れるハメになったのがカノッサの屈辱、天下取るためにそういう宗教勢力を無理やり排除してしまったのが織田信長の比叡山焼き討ちですね)

 そんなわけで新しい都で革新的な政治をしたアクエンアテンなのですが、彼が死去すると、息子のツタンカーメンによって都は元に戻されてしまいます。
(黄金の仮面で有名なあのツタンカーメンです。アクエンアテンの次のファラオなのです。ツタンカーメンという名も、より正確には「トゥトアンクアメン」、つまり昔からの太陽神アメン神の似姿という意味とのこと。親父がせっかく打ち立てた新宗教をあっさり廃止しちゃったんですな)
 結局、このアクエンアテンの家系は後世の古代エジプトにおいて「なかったこと」、黒歴史扱いされまして、記録もあんまり残ってないという憂き目を見ております。

 不遇な扱いだった、一代限りの都テル・エル・アマルナですが、そのおかげで思わぬ置き土産を後世の残すことになりました。
 アマルナ文書と言います。
 主に、当時のオリエント世界の国々、バビロニアやアッシリア、ヒッタイトなどと交わした外交文書が残されていました。これが、世界最古級の外交文書ということで、非常に貴重なものでした。すぐに都が放棄されてしまったんで、結果的に貴重な歴史的文書が残ったわけで、怪我の功名というのはあるものです。

 このアマルナ文書ですが。多くはそうした政治的な文書なのですけど、中に一つ、なぜかメソポタミアの神話を書き記した粘土板も含まれていました。
 その神話こそ、「ネルガルとエレシュキガル」。
 エジプトの都だったアマルナに、なぜかメソポタミア神話が残されてたわけです。

 ――で。そのエレシュキガルにまつわる神話がどういうものだったかというと……。
 えー。あー。FGOのエレシュキガルが好きな人にとってはキャラ崩壊かも知れないので、キャラの名誉を重んじて私は紹介しませんw
https://55096962.seesaa.net/article/201506article_9.html
 こことかで詳細が確認できるので、まぁ興味のある方は読んでみてください。なんというか……「エレシュキガルお前……世界最古のセックス依存症だったのでは……?」みたいな話ですw

 そういうわけで。女神エレシュキガルにとって、アマルナって実は因縁のある都市なんですね。今回の物語、開始時点ではレイシフト先がどこか判明してないということにしてましたが、もしアマルナだと知ってたらエレシュキガルは辞退したかも知れません……w


 まぁ、ざっとそういう事なんですが。
 ここまで読まれた方は、「今回のFGO二次創作にエレシュキガルがキャスティングされていたのはそういうことだったのか」と思われるかも知れません。
 でもね、ぶっちゃけますとね……私が上記アマルナ文書のことを知ったのは、つい4~5日前ですw
 単に女神系サーヴァントの中で、エッチ展開書きたかったのが今回のメンバーだったという、まぁそれだけなんですよね。同じバビロニア初出の女神鯖でも、イシュタルは……なんか私の食指が動かなかったのよね(おい
 なので私自身が、アマルナ文書でエレシュキガルが関連してくるというのを知って、偶然に驚いていたりします。
 創作なんて、案外そういうもんやで。

 とはいえ、まさにこういうところが、小説を書く面白さでもあるよなぁ、と思ってるわけです。
 作者本人の思惑を超えて、作品自身が偶然の符合を次々起こして、作者が構想した以上の「作品」に自律的になっていく、っていう。そういう側面がやっぱりあると思うんだよね。今回みたいな偶然が起こって、作者私が思ってた以上の首尾一貫した物語になってた、みたいな経験を一度ならずしてるんです。
 ルリルナ第二話バッドエンドで、サブタイトルに「人魚姫の罠!」とか付けて、さも最初から人魚姫モチーフで書いたように見せかけてますけど、あれも直前まで全く私の脳内になかった偶然の産物だからね……w 「水の泡」「声が出ない」「水中」まで要素が揃ってるの、執筆終盤になってようやく「あれ、これ人魚姫じゃん……」って気づいたみたいなスチャラカぶりです。
 作品が、作品自身の力で完成していく。作者はその奴○に過ぎない、というのが昔からの私の感覚なのでありました。
 よくTwitterのレスで「脚本の人そこまで考えてないと思うよ」というマンガのコマが使われたりしますけど。まぁね、実際そういうことあるんよw でもね、作品が、作者が構想した以上のモノにはなれない、とは私は思ってないんで、「脚本の人がそこまで考えてない」としても、作中に符合があったならそれは読解に値するんだと思っています。

 そういうわけで、作品の奴○陵魚は、今月もひぃひぃ言いながら原稿を書き続けることになるわけですね……。


 さて。ちょっと予定より遅れましたがpixiv更新ができたので、次は12月の支援者さん向けとなります。

 

 僅差でしたが、今回は魔法少女観葉植物化、ということで。
 ……昨日投稿したFGO二次創作も植物関連のシチュだったわけですが。
 植物姦と植物姦で植物がかぶってしまったぞ……(井之頭五郎の顔で
 まぁ、そこはどうにか、趣向を微妙に変えながらやっていくことにします。

 というわけで、2023年も大詰め。頑張っていきましょう。


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近況11/29 おしらせ

 毎月、前半で支援者さん向け、後半でpixivなどに全体公開作品というペースでやっておりますが。
 今月はちょっと月が替わるまでに作品公開間に合わなそうなので、それだけお知らせです。
 12/3くらいまでには公開しますー。

 まぁ死ぬ気で突貫工事すればギリギリ間に合うかも知れんけど、多分時間をおいて読み直した方が良さげな予感がするので。

 そんな感じです。では執筆に戻りますー。


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近況11/23 暁の水平線に勝利を刻みなさい!

 ちょっと変則ですが、ゴジマイを映画館で見てきたのでその感想をくだくだ書くために少し早めの近況報告。日をおくと感想書きにくくなるからね。

 FGO二次創作エル・アマルナの第4回も書き進めております。ようやくエッチシーンに差し掛かりそうなところまで。
 こちらもそろそろギア上げて進めないといかんね。

 以下、『ゴジラ-1.0』の全力ネタバレ感想なので、未見の方はご注意を。また来週お会いしましょう。









 というわけで、見て来ました『ゴジラ-1.0』。

 最初の率直な感想はといえば……「やりたいことやってんなぁ!!」でしたねw
 戦艦高雄出したいからこの時代設定にした、と事前に目にしていたのですが、それに加えて幻の戦闘機震電が出てきた時点でニヤニヤしてしまった。「お前、これ絶対作者の趣味全開だろ!」って感じでw
 あそこで「震電キターーーーーー!」と思えるかどうかで、この映画を楽しめる度がかなり変わりそうな気がしました。分からなくてもVFXの凄さで十分楽しめはするんだけど、製作陣が一番盛り上がったのは多分、そっちの方だと思うw

 評論家の福嶋亮大さんに『ウルトラマンと戦後サブカルチャーの風景』という著作がありましてね。そこで、日本で敗戦後になって急に現れた「怪獣」という想像力がどこから生まれたのかという分析がされていて。
 一個人の戦争体験がやはり大きいと言うんですね。大戦全体の戦況なんて、現場にいる個人にはなかなか見えなくて。ただ「山の向こうが燃えている」「轟音が鳴り響いている」みたいな、漠然と巨大な破壊が起こっていることだけが実感できる。個々の軍隊や爆撃機がやってくるという以上に、戦争という「見えないけど何か巨大なモノがやってくる」感覚。それをイメージ化した時に出てきた形の一つが怪獣だった、という話でして。
 ウルトラマンを作った円谷英二は元々、戦前戦中はミッドウェー海戦とかの戦争特撮を作っていた人でもあり。

 ゴジマイは、なんかその解釈をあえて逆輸入したような話でしたね。
 わりとストレートに、ゴジラに「戦争」がオーバーラップされている感じ。
 ゴジラがただの災厄の象徴に過ぎないなら、ラスト、沈み行くゴジラを全員が敬礼で見送る意味がわからないんですよな。ここでのゴジラは「戦争」そのもので。敗戦してしまった故に各々が納得いく形で終えられなかった「戦争」を葬る、そういう話になっている(あるいはなってしまっている)んだと思う。

 戦艦高雄が出てきたから、という割りと単純な理由なわけですが、『艦これ』を思い浮かべながら見てしまったりしてw
 アニメが放映される以前のゲーム『艦これ』、ストーリーらしいストーリーがなくてさ、よくわからないまま日本海軍の艦船と同じ名前の女の子たちを率いて謎の敵と、太平洋戦争をなぞるような戦場で戦う展開だった。
 メインストーリーが無いゆえに、プレイヤーたちが勝手に脳内補完して、それを二次創作マンガとかで出してた人もいたんだけど、そのうちの一つに「艦これの戦いは太平洋戦争の鎮魂の物語で、日本海軍の艦船が憑依した娘たちの戦いを通してあの戦争で戦った人たちの魂を鎮めてるんだ」みたいなのがあって、それが一番私にとって腑に落ちる感じだったんだよな。
 ミリタリー好きな趣味の人というのはどこの国にもいるわけだけど、やはり第二次世界大戦で「ああいうこと」をやった国の人間がミリタリー趣味を持つって、どうやったってある種の屈折を持たざるを得なくてさ。
 まぁ宮崎駿はその屈折のあまり自分を豚にしちゃったんだけどw(『宮崎駿の雑想ノート』は面白いぞ)
 そこを解放していくための想像力っていうのがあってさ。あの戦争を肯定するわけでは決してない、けど切り捨てたくもない、みたいな感じ。
 そういう屈折と、その屈折を突き破って「好き」がほとばしり出ちゃってる感じが、『艦これ』と似てる気がしたんだよねw

 そうでなくても、これは最初の昭和ゴジラでもそうですが、せっかく戦争が終わって、東京も復興し始めたというタイミングで、もう一度「東京を火の海にする」想像力を生み出さざるを得なかった日本人の心性っていうのがあるんだよね。これ、冷静に考えてみるとかなり不思議なことよな。
 この場で太平洋戦争について云々してもしょうがないんで深入りしませんが、まぁ日本人にとって「思い通りにいかなかった戦争」ではあったのよね。その末に敗北した。
 まぁさすがに色々と酷い戦争だったんで、あの頃に戻ろうとは思わないし、新しい民主主義と平和を基本的には肯定していくんだけども、ただやっぱり納得いく形で終えられなかった「あの戦争」を飲み下すために、もう一回、自分たちの手で主体的にやり直しをしなきゃいけなかった、そういうトラウマ克服みたいな側面がゴジラ映画にはあるんですよな。
(そしてラストで描かれた通り、ゴジラは何度でも蘇る。私たちが「あの戦争」を語る時にどうしても付きまとうもどかしさも、残り続けるのだよね)
 上映前に、ハリウッドのモンスターバース新作の予告編も流れて、そこにもゴジラ出てきてたけど、やっぱり映像的にどんだけ凄くても、日本ゴジラのこの怨念めいた空気は、アメリカ製のゴジラからは出て来ないよねw

 そういう意味で、昭和の初代ゴジラのテーマ性を忠実に再演した先祖返りみたいな、『シン・ゴジラ』とは違った意味でのリメイクのような作品でした。

 まぁ小難しい理屈は横に置いといても、映像スペクタクルとして楽しめる作品です。さすがに見ごたえあったんで、普通にそれ目当てに見に行って充分満足できる作品だと思います。

 惜しむらくは、シナリオ的に練りに練った展開、という感じではなかったところですかなぁ。
 「やったか!?」→やってない、っていう定番のやり取りも、作中に4~5回も出てきたのでさすがにちょっと笑ってしまったぞw
 あと最後の作戦開始前の時点で、そこまで描かれた道具立てで「沈降→浮上→震電でとどめ」という展開が概ね予測できてしまって、そこから特に外れてこない辺りもね。
「あ、脱出装置つけたな」っていうのも予測出来てしまったしな。
(ちなみに戦時中の日本軍の人命軽視、という言及の中で「戦闘機に最低限の脱出装置もついてなかった」というセリフがありましたが、Twitterの軍事専門の方の注釈によるとあの時代はどこの国の戦闘機も脱出装置なんてついてないのがデフォだったそうです。なのであれはラストの展開の布石にするためのフィクションらしいですな)

 初代ゴジラよりさらに前の時代、使える技術も限られた中でどうやってあのゴジラを退治するのかという話になるわけですが、その辺はわりと頑張ってた気がする。が、浮き輪で急浮上させられるゴジラさんの図はちょっと笑ってしまったところも正直ありますね……w 公開から日が経ってネタバレOKになったら、浮き輪ゴジラさんのかわいいマスコットとか出て欲しいw

 ゴジラも、シンゴジ以降、いろんな実写監督が自分の作風で「オレ流ゴジラ」を作っていく流れになったのかな、という感じもして、Twitterで「ならこの監督が作ったゴジラも見てみたい」という話題で花が咲いてたのも眺めてて楽しかったスな。
 個人的に見てみたいと思ったのは三谷幸喜監督ゴジラw 迫りくるゴジラにどう対処するのかの会議風景を密室劇でコメディ風に作ってるの、見たくない?w
 あとは『貞子vs伽耶子』や『コワすぎ!』シリーズの白石晃士監督が撮るモキュメンタリ―ゴジラもな……w

 今後、どんな作品が作られるか楽しみですな。
 そんなところで。


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