ひゅー!!! 2022/11/21 08:48

オルナアタの果実【後編】

 2

 天井から垂れた水滴に肩を叩かれて、さくらはゆっくりと瞼を開けた。うろんな意識が数秒にして覚醒していく。
 狭い根城の中で、依然としてさくらと菜月は向かい合うようにして拘束されていた。床、壁、天井の六方から伸びた幾つもの根が、うねり、ねじり合って二人の手足に絡みついている。やはり脱出は叶わない。
 菜月は頭をガックリと落としたままピクリとも動かなかった。時折苦しげな吐息が漏れることで、気を失っているだけであることは確認できた。

(それにしても……これは、一体……)

 額から伝ってきた汗が目に入りかけて、さくらは思わず顔をしかめる。
 通気性など欠片もないこの根城は蒸し返るような暑さで満ちていたが、たとえここが熱帯の密林であろうと、砂漠の中心であろうと、アクセルスーツを纏っていれば体温は一定に保たれるはずだった。
 しかしさくらは、自分の身体が激しく熱を帯びているのをハッキリと感じていた。頭、胸、そして下腹部の中心から、とめどなく熱さが込み上げてくる。

「はっ…… はぁ…… はっ…… これ、は…… はっ…… ぁ……」

 荒い呼吸がマスクの中でこだまする。エアダクトから吐き出される息が、生暖かく感じられる程の熱を持っている。アクセルスーツに何らかの異常が起きていることは明白だった。
 身体を完全に拘束された状態で、身を護るたった一つの頼りが、得体の知れない症状に侵されている。その現実は、冷静沈着なさくらにも足を焼かれるような焦燥感を与えた。
 これ以上悪化する前に何としても脱出しなくては。せめて片腕。それだけでも自由になれば、植物の蔦などサバイバスターでどうにでも出来るはずだ。
 なんとか右腕の拘束を破ろうと身じろぎした、その瞬間。いつの間にか硬く浮き上がっていた乳房の先端が、アクセルスーツの滑らかな生地と擦れあった。

「んぁっ!? く、ぅ! んんんうぅん……ッ!!」

 たったそれだけの刺激で、さくらの全身がビクリと跳ねた。胸の先端から全身に電撃が走ったかのような、鋭い衝撃。漏れ出そうになる声を、歯を食いしばって必死に抑え込む。

「な、何……が…… 起きて……」

 しかしその衝動を抑え込もうとすればするほど、心臓の鼓動は速く、呼吸はさらに荒くなっていく。身体の至る箇所から汗が噴き出し、大粒の滴が下腹部をするりと滑って内ももを舐めていく。たったそれだけの感触で、さくらの口から吐息に混じって甘い声が漏れた。

「んぁ……っ は、ぁ…… んっ…… はっ…… そん、な……」

 自らの肉体に、性的な快楽が押し寄せている。認めたくなくとも否定しようのない事実だった。
 ――依存性を伴う幻覚作用、あるいは……。
 自らの台詞が脳裡を過る。

(まさか…… オルナアタの、催淫効果……? だとしたら、一体…… いつ……)

 全身の皮膚から絶えず送られてくる刺激に耐えながら、さくらは必死で思考を働かせる。
 この森に足を踏み入れた時から、二人は常に変身した状態だった。ボウケンジャーのマスクはあらゆる毒ガスや化学兵器を遮断する。媚薬の類を吸い込むことはありえない。それは全身をぴっちりと包むアクセルスーツも同じことだった。
 これまで幾度もの困難、死闘を乗り越えてきた装備が媚薬の侵入を許すなど、にわかには考え難い。
 しかし実際、オルナアタの催淫効果は、既に獲物の肉体を完全なまでに支配していた。
 彼女たちの体に絡みつく根は、ニつの種類に分かれていたのだ。動脈と静脈のように、栄養を吸い上げる根と、淫液を送り込む根に。
 さくらの想定を上回っていたのは、その根の『細さ』だった。
 肌よりもきめ細かいアクセルスーツの繊維の隙。それすらも通り抜ける極細の根毛は、アクセルスーツに詰め込まれた様々な基盤や装置を侵食して、その内部を“樹液”で満たしていく。
 本来は緊急時に鎮静・鎮痛作用のある薬品を投与するための機能が裏目に出た。
 肌まで染み込んだオルナアタの樹液によって、さくらの肉体が快楽に見舞われると、心拍数の異常を察知したアクセルスーツが、鎮静剤と入れ替わった“樹液”を更に体内へ送り込むという、最悪の循環が完成したのだ。
 人間一人の理性をいとも容易く崩壊させてしまうという、凶悪な最淫効果を持つオルナアタの蜜を……。

「んあぁっ! く、うううぅ……! ん、ぐ……うっ」

 自らの強化スーツに陵○されていると言って過言ではない状況にありながら、さくらの脳はそこまでの考察を巡らせる余裕を既に失っていた。
 心臓の脈打つ音が頭蓋の中でいやにうるさく響く。
 今にも理性が砕け、叫び出しそうになる程の快感に襲われながら、それでもなお、鍛え上げられた彼女の精神力は辛うじて崩壊を防いでいた。

「はぁっ…… はぁっ……。こ、こんなものに、負けるわけには……」

 荒い呼吸の合間に、さくらは自分に言い聞かせるように呟く。しかし、その声に応えたのはオルナアタの根の方だった。
 最初に感じたのは、冷たさ。火照りきった手足の先が、急速に熱を失っていくような。そしてそれが、手首、腕を伝い、身体の中心へと広がって行くような……。

「あふ、く、ぅ……!? んあ、ぁ、ああああぁあああぁ……!?」

 次の瞬間には、さくらの口から震えるような長い悲鳴が溢れていた。
 胸の中央から指先や足先に向かって、無理やりに力が引き摺り出されていく。脱力感のような緩やかな苦痛。まるで体中の血液が全て流れ出ていくかのような虚無感が全身を襲う。

「こ、これは……! 身体から、力が、吸われて……!」

 味わったことのない感覚に驚愕しながらも、さくらは菜月の様子を伺う。イエローのアクセルスーツに身を包んだ菜月は、未だに頭を項垂れたまま動く気配はない。
 オルナアタは活動している獲物を取り込むことに集中しているようで、催淫効果もエナジーの吸収も、気を失っている菜摘にはまだ及んでいないようだ。
 菜月が目を覚ますまでの間に、何か打開策を見つけなければ――。そんな健気な思いは数秒後、粉々に打ち砕かれることになる。
 さくらはまだ知る由もなかったのだ。オルナアタの真の恐ろしさが牙を剥くのは、これからだということを。

「ひっ!?  んあっ!  ぁ、はぁっ!  くぅうぅぅううぅうっ!?」

 力を吸い取られる鈍い苦しみが、突如としてその形を一変させた。ボウケンピンクに変身し、全身に漲っていたエナジーが全て吸い取られたことで、オルナアタの根はさくらの肉体から無理やり生命力を吸い取り始めたのだ。
 血液が逆流するような得体の知れない感触と同時にさくらを襲ったのは、およそ味わったことのない、死のような快楽だった。

「ん゛ッ!? んお゛おぉッ!? ぐっ、うあ…… ぁ……ッ あ゛あぁああああぁああぁあああ……!!」

 なんとか声を堪らえようとする必死の抵抗を嘲笑うかのように、暴力的な快感がさくらの口をこじ開ける。
 まるで快楽に繋がる神経だけを電撃で責められているかのように、激しい刺激が肌をくまなく跳ね回り、さくらの脳内を白く染め上げていく。

(何、これ……ッ 頭が、おかしく……ッ)

 生命力を吸われたことで生まれた空白を埋めるかのように、オルナアタはさらに多量の淫液を分泌していた。肉体に絡みついた根毛が、アクセルスーツの内側に入り込み、より深くまで浸透していく。

「ふーっ、 ふーっ……、 ん゛ッ…… ぐっ……」

 快感に耐えようと食いしばった歯の隙間から息が吹き漏れる。唇の端からは涎が零れた。
 ジュルジュルとおぞましい音を立てながら、無数の根がさくらから生命力を吸い取り、代わりに淫液を注入していく。

「ん、ぐう、ぅ……ッ! まけ、ない……! ぜった、いに……」

 それでも尚、さくらの理性は必死に抗おうと虚勢を並べる。
 その瞬間、再び聞こえたのは、あの風切り音だった。気を失うまでいたぶり抜かれた、オルナアタによる鞭打ちの刑。何度も聞かされ、そして刻まれた激痛の記憶に、さくらの身体がビクリと強張る。
 その記憶のまま振り下ろされた根が、またも胸に強烈な斬撃を浴びせた。もうズタズタのアクセルスーツからそれでも火花が飛び散る。剥き出しになった神経回路を直接責め立てる一撃。
 しかし次の瞬間、さくらは激しく絶頂していた。

「きゃあぁ!? ぁ、んぁはああぁああぁああああぁぁ……!!」

 美しい声は震えながら長い悲鳴を奏で、洞窟の中を何度も反響した。
 さくらの鍛え上げられた肉体は媚薬に犯し尽され、もはやあらゆる刺激を快楽に変換するだけの装置と化していたのだ。
 ヒュン、ヒュン、と、また二つの風切り音。その瞬間、さくらの精神をギリギリの所で正気に繋ぎ止めていたか細い糸が、ついに断ち切られた。
 肩と太ももに鋭い衝撃。またも鮮やかな火花が飛び散り、そして……。

「ん゛お゛おぉおおおぉ……! だめっ、だめえええぇええぇ……!!」

 絶叫と共に、さくらの股間からブジュッと音を立てて愛液が噴き出した。アクセルスーツの吸水性を持ってしても受け止めきれなかった快楽の蜜が、ボタボタと地面に落ちる。
 絶頂に押し上げられてなお、オルナアタからの淫虐は止まらない。さくらの心が折れたことを悟ったかのように、更に激しくエナジーを吸い始める。

「いやぁあああぁ……! なに、これぇ……! あ、あぁあぁ、体が、勝手にぃ……ッ」

 唯一自由の効く腰が、ヘコヘコと前後に揺れ始める。完全に屈服したことを主張するかのように。捲れ上がったスカートから覗く股間から液体が巻き散らかされる。
 とめどなく注ぎ込まれる暴力的な快感が、さくらの深い理性を嬲り尽くしていく。
 極限まで敏感になった胸が、脇が、内ももが、アクセルスーツと擦れ合うだけで、さくらは激しく仰け反って絶頂した。
 全身から溢れ出した様々な汁が肌とスーツとの間に満ちて、ぐちょぐちょと嫌らしい水音を立てる。

「はっ…… はぁ…… んはっ、ぁ…… ぁんっ…… も、ゃめ…… ん゛あ゛あぁ!? ああ゛あ゛あぁああああぁああああッ!!」

 エナジーの吸収速度には緩急があり、激しく強引に吸い出したかと思えば、次は弱い力でじっくりと責め立てる。獲物をより苦しめ、決して逃さないという悍ましい意志。 

「お゛お゛ぉっ! ぁお゛おおぉ! んぐああぁああ゛あぁああああぁ……!!」

 情など入り込む余地のない、生命力という自然の作用が、冒険者としての経験も、戦士としての矜持も、女性としての羞恥も、全てを喰らい、溶かしていく。

「あ゛あ゛っ! あ゛っ! んああ゛あぁああああぁあ゛ああぁ……!!」

 抵抗どころか思考すらも奪われたさくらは、押し寄せる快楽の波に飲まれ、揉まれ、沈んでいくのだった。


 3


 どこからともなく聞こえてくる荒い息遣いが鼓膜を揺さぶり、脳の中心から少しずつ意識が覚醒していく。長い睫毛を震わせながら、菜月はゆっくりと瞼を開いた。
 視界が酷くぼやけている。何度も瞬きをする内に少しずつ定まってきた焦点は、アクセルスーツを身にまとったまま、細く、無数に枝分かれした植物の根に拘束された、さくらの姿を捉えた。

「さ、くら……さん……? これは……」

 その姿を見てようやく、菜月は自分もまた同じように身体を絡め取られていることに気が付く。

(そうだ…… 私たち、あの植物にやられて……)

 菜月は胴や胸から手足の先までをオルナアタに巻き付かれ、宙に浮かぶような形で四肢を固定されていた。腕を引き抜こうと思い切り力を込めるが、彼女のパワーを持ってしても根はビクともしない。まるで根の一本一本が頑強な鎖のようだ。

 ひとまず脱出を諦め、菜月はさくらの方へ向き直る。いつも冷静な判断で的確な指示をくれるさくらになら、きっとこの窮地を脱するアイデアがあるはずだ。
 しかしそこで、菜月はある事実に気付かされた。
 先程から響いていた、ふーっ、ふーっ、という荒い息遣いは、さくらのものだった。呼吸音に合わせて肩が大きく上下している。まるで激しい運動のあと息を切らしているかのようだ。
 純白のアクセルスーツに包まれた股間に、濃い染みが広がっていた。

「さくらさん、一体……」

 菜月の問いを遮って答えるかのように、ジュルルッ、という何かを吸うような不快な音が響いた。さくらを拘束する根が微かに蠢く。
 その瞬間、さくらの背中がビグン、と大きく仰け反った。

「んお゛っ! ん゛お゛ぉおおおぉっ!! ぐうううぅううあ゛あ゛ああぁぁ……!!」

 理性を失った獣のような叫びがこだまする。
 それは間違いなく、目の前のさくらから発せられている声だった。
 菜月は開いた口を塞ぐことも忘れて、その信じられない光景を見つめていた。全身をジンジンと包む痛みの余韻が、これが夢ではないことを雄弁に告げていた。

「あ゛っ! だめっ! あ゛ぁ゛! イぐ! またイく! い、いぃ、いや゛あぁ! イぐううぅ!!」

 両胸の乳首は激しく勃起し、肌にぴっちりと張り付いたアクセルスーツを押し上げて存在を主張している。同じく光沢を放つ特殊繊維に包まれた股間の割れ目から、滴るほどの液体が滲み出ていた。

「んっ…… う、そ…… さくら、さん……」

 快楽に蹂躙されるさくらの姿を前に呆然としながら、菜月は下腹部が熱を帯びながら収縮するような、味わったことのない感覚に苛まれていた。
 ボウケンジャーの中で最も戦闘経験が豊富で、不測の事態にも冷静に対応する判断力に長け、ミッション中は感情を表に出すことさえほとんどない、およそ完璧な存在。
 菜月にとってさくらとは、そんな憧れの対象だった。
 そのさくらが、圧倒的な快楽になす術もなく嬲られている姿。抵抗すらできずに淫らな声を上げて、その引き締まった肉体を揺らしている――。
 菜月の心臓がドクン、ドクン、と強く脈打ち、熱い息がメットの内側にこもる。
 さくらをこんな風にしてしまった原因を突き止めなければならない。そう思いながらも、今のさくらの姿から目を離すことができない。
 無意識のままに体が動き、菜月は自分の太ももを擦り合わせていた。肌触りの良いアクセルスーツの感触が甘い刺激となって脳まで伝わり、甘い吐息が漏れる。

「そん、な…… ぁ、はぅっ…… さくら、さん…… ぁ、ん……っ きゃっ……」

「あぁああ゛ああぁ! だめっ! だめっ!! だめええぇえええぇ……!!」

 四肢を拘束されたまま、さくらが大きく背を仰け反らせて絶叫する。その身体が何度も激しく痙攣し、またも透明な蜜が股間から撒き散らかされる。どうやら失禁しているようだった。
 これまで想像すらできなかった、さくらの恥態。快楽に完膚なきまで屈服したボウケンピンクの無様な姿。絶え間ないさくらの嬌声を聞きながら、菜月の心が音を立ててヒビ割れていく。

「ん゛イぐ! イ゛く! イ゛く! イくうううぅ!! ん゛あッ! くあああぁああぁ……!」

 あのさくらの綺麗な声で、信じられない台詞が叫ばれている。あまりの倒錯感に目の前がクラクラするのを感じながら、それでも菜月の息遣いは更に荒くなっていた。今までに感じたことの無いような強烈な疼きが、意志とは関係なく身体を操る。

「ゃ、あ…… さくらさん、が…… ぁん、な…… きゃっ…… は、ぅ……」

 弱々しく呟いてぎゅっと瞼を閉じると、大きな瞳から涙が零れた。太ももの動きが少しずつ早まり、昂りも激しくなっていく。
 既に菜月の肉体もオルナアタに支配されつつあった。アクセルスーツの内部に満たされた淫液が体内に吸収され、奥底から押し上げるような熱が全身を包み込む。
 その機を見計っていたかのように、菜月を拘束する根からもエナジーの吸収が始まった。

「んッ!? は、あうううううぅぅ……!?」

 吐息のような甘い喘ぎは一瞬にして悲鳴へと変わった。身体の芯から体液を抜き取られるかのような苦痛が、注ぎ込まれる膨大な淫液によって快感として脳を揺さぶる。
 全身が激しく震え、視界がチカチカと明滅する。菜月はあっさりと絶頂へと押し上げられた。
 さくらの痴態を見せつけられて綻びかけていた理性が、秘裂から溶け出してアクセルスーツに染みとなって広がっていく。

「んくっ!?  あ゛っ!  くはッ!  あ、くぅうぅぅううぅうっ!?」

 いくら叫んでも、身体の主導権が戻る気配はなく、肩が独りでに跳ね上がる。全身に絡みついた根の締め付けが強くなっていくのは、下拵えの済んでいた菜月の全身から凄まじい勢いで力が吸い取られていくせいだ。
 辛うじて目を開けば、霞む視界の先でさくらが尚も蹂躙されている。限界まで背を仰け反らせてビクン、ビクン、と跳ねるボウケンピンクの無様な姿に、菜月の心は絶望に凍っていった。

(ああ、私たち…… 負け、たんだ…… 完全、に……)

 押し寄せる快楽に揉まれながら、微かに残されていた最後の思考さえもが消え失せていく。
 長い時間をかけておおかたのエナジーを吸い尽くしたオルナアタは、しかしまだ、満足することはなかった。
 食事の仕上げはこれからなのだ。
 貪欲な根を体内にまで侵入させ、尽きつつあるエナジーの最後の一滴を味わうために……。
 岩肌から勢いよく飛び出したオルナアタの根が、さくらと菜月の秘所を、アクセルスーツの上から貫いた。

「ふッ!?」

「ん、ぐッ!?」

 受け入れるための液をたっぷり滴らせていたとはいえ、まだ経験のない秘部へと無理やりに突き込まれたその強烈な痛みすら、全てが快楽へと変わって……。

『あ、ぁ…… ああぁああぁああああああああぁぁ……!!』

 股の割れ目から雷のような刺激が全身に駆け抜けて、二人は同時に絶叫した。アクセルスーツ越しに挿入された根はすぐさま吸収を始める。
 ここまで媚薬に犯し尽くされた上で最も敏感な部分を責め立てられ、もはや二人の女戦士に抗う術などなかった。

「ん゛おおぉ! はっ……ん゛ぉ! お゛ッ! はぁっ! くおお゛ぉ……!!」

 挿入されたまま位置を固定した根に対し、さくらは自ら腰を前後に激しく振って、一心不乱に快感を貪る。冷静沈着な普段の面影はそこになかった。
 それは菜月も同じだ。

「あはあぁッ! あ゛っ! んあっ! くあぁああぁあぁ!!」

 まだ自分で弄ったことすらない陰核への刺激が、聞いたことのない音を立てて脳を溶かしていく。初めて味わう種類の快感にも関わらず、菜月もまた身体の赴くままに腰を激しく振り始めた。本能に刻まれた雌の動き。
 さくらも菜月も、ボウケンジャーとしてのプライドは粉々に破壊されていた。
 ただ送り込まれる死のような快楽に溺れ、その代償に生命エナジーを捧げる供物となり下がったのだ。

『うあ゛あぁあああぁあああああぁぁあ……!!』

 全てを吸い尽くされたその瞬間、二人は長い長い絶叫のあと、ついに意識を手放した。根に体重の全てを預けて沈み込む。
 完全に意識を失った獲物を、オルナアタはあっさりと解放した。二人は重力のままに床へと崩れ落ちる。
 たとえ体力が回復して目を覚ましても、さくらと菜月はもう自力でオルナアタから逃れることはできない。微かに身体を動かすだけで簡単に果ててしまうだろう。
 そうして無力化された獲物から、またエナジーを吸い尽くす。息が絶えるまで、延々とそれを繰り返す。それがオルナアタの狩りの全貌であった。

「ぅ、あ…… はッ…… ん、ぁ…… く……ッ」

「きゃ……ぁ…… ん…… は、ぁう……」

 無防備な姿勢を晒して倒れたまま、さくらと菜月は時おり身体を痙攣させた。その度に肌へと刺激が伝わり、官能的な声を漏らす。
 日も落ちかけた洞窟の中に、快楽に完膚なきまで敗北した二人の淫らな声だけが残されるのだった。

 ――信号が途絶えたことで送り込まれた第二班によって、さくらと菜月が救出されたのは翌日になってからのことだ。
 媚薬袋と化したアクセルスーツに一晩に渡って嬲り尽くされた二人は、ボウケンジャーに変身するだけで絶頂してしまう体質となっており、長い療養を余儀なくされた。
 身体を締めつけるような独特な着衣感と、滑らかな生地が肌を擦るあの刺激が、楔のように脳の奥底にまで刻み込まれたのだ。
 強き冒険者と深き冒険者、その二人のエナジーをこれでもかと吸い尽くしたオルナアタの果実は、サージェス財団によって収容されたあと、濃厚な香りを放つ、異様なまでに巨大な実をつけたという――。

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