『DQN-親友裏切り-』ちょい出しサンプル10
……………本当だったんだ。
今の会話で確信してしまった。
勲が言ったように、一志君は写真をネタに白峰先輩を脅していたんだ。
「前からクソだ、クソだと思ってたけど―――」
勲が口を開いていた。
「親友を脅して、有り余ってる欲望のはけ口にするとか、マジでクソ兄貴だな」
心底呆れたように吐き出す。
そーいえば、勲は前々からよく口にしていた。
うちの兄貴は真面目にスポーツマンなんてやってるけど、アレは全部モテるため(女のため=ヤルため)。
腹の底じゃあ何考えてるか分からないから、あまり懐き過ぎんなよって。
オレはそれを聞いて、見た目は対象的でも、兄弟ってやっぱり本質的なところは似るんだなと密かに思ったのを覚えている。
「………一志、本当に今日みたいなのはこれっきりにしてくれよ」
衣服を着終えた白峰先輩が、ベッドに腰かけている一志君の前に立つ。
「約束通りデータを消してくれ」
「とっくに消したよ」
「見せろ!」
一志君の手からスマホを奪い取る。
「信用ねーなぁ」
「当たり前だろ! お前はいつも度が過ぎるんだよ。オレにまでこんなことするなんて……マジ信じらんねぇ」
「とか言いつつ、オレらはずっと親友だろ?」
「………………………」
「あーそうそう、一つ気になってたことがあんだけど、千夏のあの乳首って天然? それともお前が舐めてしゃぶって吸いまくったから、あんなビンビンにエロ勃ちしてたのか?」
「一志っっ!」
「ははっ、ただのジョークだろ、マジになんなよ」
「だから、お前のは笑えないんだよ」
突き放すように言って、スマホを返す。
そしてチラリとオレたちの方を見て、気まずそうに顔をしかめた後、何も言わずに帰って行った。
「颯太、オレらも行こうぜ」
「………うん」
時間にして30分ちょい。
童貞のオレには、ヤバイいくらい刺激度が高かったなぁ………そんなことを思いつつ、勲に続いて戸口に足を向ける。
とその時、一志君がどことなく邪悪さを秘めた笑みを浮かべているのが、視界の隅に入った。
直観的に、ある予感がオレの胸を突き上げてくる。
(………………………………)
平常を取り戻しつつあったオレの脈拍が、またバカみたいに跳ね上がっていた。
『一章』終わり