婚約者:奇妙な婚約者【魔女のミナリア、洞窟へ行く】(25/50)
第五章 婚約者
第五話 奇妙な婚約者
あらすじ
魔女のミナリアは洞窟に住む黒髪の少女レオノーアに出会う、呪いのために閉じ込められているレオノーアは、洞窟の封印の解除をミナリアに頼む。赤と青の洞窟を攻略したミナリアは次の攻略へ向かう。ミナリアは不思議な男性から許嫁と告白される。
銃使いのオスカーがいつのまにか後ろに居る、火薬の匂いですぐに判る。体が煙臭い、彼には秘密にしている。臭いとか言うと男性はすぐに傷つくから。「ミナリアには、許嫁が居たのか? 」「私は初めて知りました」
貴族のライアンと紹介された青年は、もめごとが嫌いなのか。気分を害してギルドの館から出ていく。悪いことをしたと思う。私のような娘でも許嫁からつれない態度されたら悲しい筈だ。後で謝罪しないと。
魔女ギルドの案内人のマリアが笑いだす。「あはははっ、まぁ貴族様だ、色々と複雑なんだろ」「私も後で弟に聞いてみます」 弟のリュカも顔を一回だけ出して、会いに来てくれない、少しだけさみしい。まぁ弟も忙しくて私と遊ぶことも少なかった。立派な領主になるためには勉強も大変だ。弟ならば現在の状況を知っているかもしれない、継母とは────話をするのが難しい。追い出されてから私は彼女と話をしていない。
「でもリストは無駄になりました」 リスト作りは依頼された内容に対して、それなりの金額だったから期待していたが仕方ない、私がリストを引っ込めようとすると、マリアがその手を抑える。
「私の娘の件を頼むよ」 私はマリアにうなずく、マリアの娘が洞窟の攻略で困っている、私は承諾してギルドの正式の契約書にサインをした。
「俺も行くぞ、新しい銃の試し打ちを増やさないと」 銃使いのオスカーは前回使った新しい宝石銃を試したい、彼も一緒に仕事するための契約書を作成する、この場合は私の護衛になるので私から彼に賃金を払う事になる、前回のサファイアを加工して払う予定だ。
銃使いのオスカーと別れると宿屋に向かう、レオノーアに話をしなくてもいいかな? とも思う。今回はマリアさんの依頼だ。レオノーアも彼女なりに私生活を大事にしたい筈だ、私もずっとレオノーアと一緒に居ると、常に隣に居るのが当たり前に感じるのは問題だ、いつかは別れる運命だ。あまり親しくならない方がいいかもしれない。別れる時の悲しさで辛くなるから。
xxx
翌朝になり転送門で待っていても、銃使いのオスカーは来なかった。何か緊急の用事があるのかもしれない、私はしばらく待ってから転送門へ歩み寄った。
「ちょっとマリアさんの娘さんの様子を見に行くだけだから……」