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2023年 05月の記事 (15)

WsdHarumaki 2023/05/31 22:47

ミナリアとレオノーア:強い呪い【魔女のミナリア、洞窟へ行く】(48/50)

第十章 ミナリアとレオノーア
第三話 強い呪い

あらすじ
 魔女のミナリアは洞窟に住む黒髪の少女レオノーアに出会う、呪いのために閉じ込められているレオノーアは、洞窟の封印の解除をミナリアに頼む、全ての封印が解かれた事で、呪いが全世界に向かって広がり始めた。

「これは危険すぎるな」
 老剣士のマルシアルは、昔は魔王軍の先兵と闘う猛者だ。彼から見ても街の惨状は予想できない。樹木が宝石化していた、野良犬も宝石に変化している。生き物を宝石に変化させる呪いは、無機物である建物もゆっくりとだが美しく光る宝石に変えていた。

「ここまで強い呪いなら洞窟に入ることすら難しい……」
 老剣士のマルシアルは、大事そうにダイヤを御守り代わりに持っている。私も呪いに対抗できるのか、近くに居るだけでみんなが宝石化しない。

「洞窟までどれくらいだ?」
「歩いても数時間でつきます」
 銃使いのオスカーが質問する。軽いお手伝いの仕事を頼まれた時に見つけた洞窟だ、街からそれほどは離れていない。街から出ると別世界のようにクリスタルと宝石で埋め尽くされた景色が広がる。歩くだけで大変だが、オスカーは障害物を宝石銃で、どんどん破壊した。

「弾になる宝石がいくらでもあるからな」
 宝石の塊を銃の上の金属台に乗せて打ちまくる。台所から借りた漏斗を加工して利用する。無くなれば宝石を拾って置くだけだ。

「普段は宝石を加工するんだが今は応急だな」
 ケタ違いの魔法力で道が出来る、障害物もなくなり直線で洞窟に進む事ができた。そして懐かしいレオノーラが住む洞窟に到着する。

「ど……どんな化け物が居るんですか? 」
「骸骨くらいだけど……」
 赤の洞窟で一緒になったカルリト少年が怖そうにつぶやくが、凶悪なモンスターは居ない、中に入ると呪われて宝石化する洞窟なだけで、本来ならば人を入れてはいけない。老剣士が剣を抜く。

「俺が盾になる、十分に生きた、指示してくれ」
「彼女とまずお話します、あわてないでください……」
 老剣士のマルシアルが意気揚々と叫ぶ。どうやら私が命令を出す役らしいが、経験もない。私は彼をなだめて先頭に立つと一本道だけどぐねぐねと曲がる洞窟を歩く、周囲は美しい宝石で輝く。

 奥にある大きな洞窟に到着すると、少女が立っていた。漆黒の美しい髪、少女の顔は泣きそうだった。レオノーラが叫ぶ。

「ミナリア、助けて! 」
 彼女は、体の下半分が宝石化していた。呪いの封印が消えて全てをクリスタルに変化させ始めていた。

WsdHarumaki 2023/05/30 19:32

ミナリアとレオノーア:洞窟へ【魔女のミナリア、洞窟へ行く】(47/50)

第十章 ミナリアとレオノーア
第一話 融合する世界

あらすじ
 魔女のミナリアは洞窟に住む黒髪の少女レオノーアに出会う、呪いのために閉じ込められているレオノーアは、洞窟の封印の解除をミナリアに頼む、全ての封印が解かれた事で、呪いが全世界に向かって広がり始めた。

「姉さん、しっかりして! 」
 弟のリュカがふらふらしている私を支えてくれた。私は深い後悔で体が震える、致命的な間違いを直感していた。

「ミナリア、リュカ。どうしてここに入ったの? 」
 ドアから入ってきた継母のイネスが私を心配そうに見ている、混乱している中で、倒れている金髪の女性を屋敷に連れて戻る。私は継母から事情を聞いた。

「あの人は私の母なの? 」
 事実を知っても現実とは思えない。父が地下の洞窟に住んでいた女性を愛して私を産み育てたの?

「育ての親は私よ、白い洞窟に居たセレーナは、部屋からは出なかったの……」
 私は混乱する頭で状況を理解しようとする、もしクリスタルの洞窟に封印されていたレオノーアが、私を騙して自由になったら? 長く一緒に居たのに彼女の事は何も知らない。予測もできない。

「黒の魔女が何をしたいのか判らんが、聞いてみるしかない」
 青の洞窟を一緒に探検したマルシアル老人は、最悪の場合は倒す事も考えろと言う。私がレオノーアを殺せる? 魔法の指輪は砕けた、彼女に対抗するだけの力がもう無い。私はまたシクシクと泣き出す。

 大粒の涙を流していると、継母のイネスが私の頬を叩く。大して痛くもないのに初めて叩かれた驚きと悲しさで大泣きする。

「ミナリア! レオノーアに会えて話が聞けるのは、あなただけよ! しっかりして」
 私は継母のイネスを見る、体が震えている、怖いのだ。私はそこで気がつく、力を持てない女性達も居る、力がある私が泣いてどうするの。

「ごめんなさい、私は洞窟を知っています。」
 奇妙な事に、私は継母に叩かれて初めてイネスを感じた。母として家を守る責任や子供達を育てる事はとても大変だ。わがままで困らせた私をどう扱えば判らなかった継母。私は人に迷惑をかけていると考えなかった。自分の事しか見てない子供。

「魔女の力は判らないが、魔法の銃は通用する筈だ。俺が一緒に行く」
 銃使いのオスカーが私を見つめる、黒の洞窟を探検したラミラが片手をあげる。

「母のマリアに相談しましょう、ギルドの力を使えるわ」
 その場に居た全員が協力を申し出る、また涙があふれる。その涙をハンカチでふいてくれる継母が、本当の母のセレーナが私を呼んでいると部屋に連れて行かれる。

WsdHarumaki 2023/05/29 20:22

ミナリアとレオノーア:融合する世界【魔女のミナリア、洞窟へ行く】(46/50)

第十章 ミナリアとレオノーア
第一話 融合する世界

あらすじ
 魔女のミナリアは洞窟に住む黒髪の少女レオノーアに出会う、呪いのために閉じ込められているレオノーアは、洞窟の封印の解除をミナリアに頼む、全ての封印が解かれた事で、呪いが全世界に向かって広がり始めた。

「姉さん、しっかりして! 」
 弟のリュカがふらふらしている私を支えてくれた。私は深い後悔で体が震える、致命的な間違いを直感していた。

「ミナリア、リュカ。どうしてここに入ったの? 」
 ドアから入ってきた継母のイネスが私を心配そうに見ている、混乱している中で、倒れている金髪の女性を屋敷に連れて戻る。私は継母から事情を聞いた。

「あの人は私の母なの? 」
 事実を知っても現実とは思えない。父が地下の洞窟に住んでいた女性を愛して私を産み育てたの?

「育ての親は私よ、白い洞窟に居たセレーナは、部屋からは出なかったの……」
 私は混乱する頭で状況を理解しようとする、もしクリスタルの洞窟に封印されていたレオノーアが、私を騙して自由になったら? 長く一緒に居たのに彼女の事は何も知らない。予測もできない。

「黒の魔女が何をしたいのか判らんが、聞いてみるしかない」
 青の洞窟を一緒に探検したマルシアル老人は、最悪の場合は倒す事も考えろと言う。私がレオノーアを殺せる? 魔法の指輪は砕けた、彼女に対抗するだけの力がもう無い。私はまたシクシクと泣き出す。

 大粒の涙を流していると、継母のイネスが私の頬を叩く。大して痛くもないのに初めて叩かれた驚きと悲しさで大泣きする。

「ミナリア! レオノーアに会えて話が聞けるのは、あなただけよ! しっかりして」
 私は継母のイネスを見る、体が震えている、怖いのだ。私はそこで気がつく、力を持てない女性達も居る、力がある私が泣いてどうするの。

「ごめんなさい、私は洞窟を知っています。」
 奇妙な事に、私は継母に叩かれて初めてイネスを感じた。母として家を守る責任や子供達を育てる事はとても大変だ。わがままで困らせた私をどう扱えば判らなかった継母。私は人に迷惑をかけていると考えなかった。自分の事しか見てない子供。

「魔女の力は判らないが、魔法の銃は通用する筈だ。俺が一緒に行く」
 銃使いのオスカーが私を見つめる、黒の洞窟を探検したラミラが片手をあげる。

「母のマリアに相談しましょう、ギルドの力を使えるわ」
 その場に居た全員が協力を申し出る、また涙があふれる。その涙をハンカチでふいてくれる継母が、本当の母のセレーナが私を呼んでいると部屋に連れて行かれる。

WsdHarumaki 2023/05/19 22:03

魔女の過去:呪われた姫【魔女のミナリア、洞窟へ行く】(45/50)

第九章 魔女の過去
第五話 呪われた姫

あらすじ
 魔女のミナリアは洞窟に住む黒髪の少女レオノーアに出会う、呪いのために閉じ込められているレオノーアは、洞窟の封印の解除をミナリアに頼む、最後の白の洞窟で出会った封印は女性だった、彼女はミナリアの母親のセレーナ。レオノーアに操られたミナリアが封印の宝石を破壊した。百年前のレオノーアは、宝石への執着を捨てきれずに、母親から別館への旅を言いつけられた。母親から来た手紙を婚約者と面会の要求だった。しかし婚約者を殺してしまう。

「この扉の向こうね! 」
 私はエドに手伝ってもらいながら、宝物がある部屋に入る。今の私は、鍵を焼き切るのは造作もない。断片的な知識から、宝石を無限に生み出せる指輪なのは判る。無限に魔法が使えるなら私は無敵だ。

 宝物がある部屋は雑然と箱が並べてある、中央にテーブルがあり小さな箱が置いてある。周囲には結界なのか進入不可魔法が使われていた。私はそれも焼き切ると、小さな箱を手に取る。

「これよきっと、さぁ逃げましょうエド! 」
 ふりむくとエドは美しいクリスタルに変化していた、クリスタルで人間を掘ったような美しい立像。何が起きているのか判らない……

「―――ごめんなさい、それは呪いの指輪なの」
 私は後ろから声がするので振り向く、そこに居るのは『漆黒に輝く髪を持つ少女』だった。

「私はセレーナ、黒の魔女。呪いが発動することで私とあなたは入れ替わるの、ごめんなさい……」

 私は目眩に似たゆらぐような気持ちの悪さを感じると床に座り込む。何が起きたのか私には判らない、顔を上げると金髪の少女が立っていた。

「―――誰?」
 その娘は私だ、私は自分の髪を見る、闇色の髪は私の本来の色ではない。呪いと言ったの? 私は呪われた?

「入れ替えは終わり、私は封印の旅に出ます、呪いは広げてはダメ……」
 私の体のセレーナの体が薄れると同時に私は巨大なクリスタルの部屋に飛ばされた。黒の魔女はここで暮らしていたのか、様々な書物がある。私は呪われた洞窟に閉じ込められていた。初めは王宮から助けが来ると信じていたが誰も探しに来ない。ここがどこかも判らない。

 私は長い時間を使い、宝石の威力を上げる指輪を作る。封印を解いて黒の魔女を倒せば、呪いが消えて戻れるかもしれない。たまに洞窟を攻略する冒険者は、私の話を聞く前に呪われて宝石に変化した、増える宝石を使いながら私は待つ。

 ミナリアが来た時は期待していなかった、予想外だったのは素直な彼女は封印を次々に解いた事、最後に残った白い洞窟も封印が薄まり見つける事ができた。

「これで、私は戻れる? 」
 だが魔女を倒しても何も変化が無い。私は自分の失敗を悟る。ミナリアが持っている指輪が砕けた事で、ミナリアの状態を調べられない。そして気がつく、呪いの力が強まっていた、洞窟の外側のモンスター達も宝石に変化させていた、森も獣も全てが結晶になる。

「―――これが呪い……」
 拡大する呪いはいつか世界を全てクリスタルにする。私は絶望と希望を持つ。ミナリアがなんとかしてくれるかもしれない、なんとかして欲しい……

 そして思い出す。エドは、まだあの呪いの指輪があった王宮の宝物の部屋で、クリスタルのままなのかしら……?

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