WsdHarumaki 2023/05/30 19:32

ミナリアとレオノーア:洞窟へ【魔女のミナリア、洞窟へ行く】(47/50)

第十章 ミナリアとレオノーア
第一話 融合する世界

あらすじ
 魔女のミナリアは洞窟に住む黒髪の少女レオノーアに出会う、呪いのために閉じ込められているレオノーアは、洞窟の封印の解除をミナリアに頼む、全ての封印が解かれた事で、呪いが全世界に向かって広がり始めた。

「姉さん、しっかりして! 」
 弟のリュカがふらふらしている私を支えてくれた。私は深い後悔で体が震える、致命的な間違いを直感していた。

「ミナリア、リュカ。どうしてここに入ったの? 」
 ドアから入ってきた継母のイネスが私を心配そうに見ている、混乱している中で、倒れている金髪の女性を屋敷に連れて戻る。私は継母から事情を聞いた。

「あの人は私の母なの? 」
 事実を知っても現実とは思えない。父が地下の洞窟に住んでいた女性を愛して私を産み育てたの?

「育ての親は私よ、白い洞窟に居たセレーナは、部屋からは出なかったの……」
 私は混乱する頭で状況を理解しようとする、もしクリスタルの洞窟に封印されていたレオノーアが、私を騙して自由になったら? 長く一緒に居たのに彼女の事は何も知らない。予測もできない。

「黒の魔女が何をしたいのか判らんが、聞いてみるしかない」
 青の洞窟を一緒に探検したマルシアル老人は、最悪の場合は倒す事も考えろと言う。私がレオノーアを殺せる? 魔法の指輪は砕けた、彼女に対抗するだけの力がもう無い。私はまたシクシクと泣き出す。

 大粒の涙を流していると、継母のイネスが私の頬を叩く。大して痛くもないのに初めて叩かれた驚きと悲しさで大泣きする。

「ミナリア! レオノーアに会えて話が聞けるのは、あなただけよ! しっかりして」
 私は継母のイネスを見る、体が震えている、怖いのだ。私はそこで気がつく、力を持てない女性達も居る、力がある私が泣いてどうするの。

「ごめんなさい、私は洞窟を知っています。」
 奇妙な事に、私は継母に叩かれて初めてイネスを感じた。母として家を守る責任や子供達を育てる事はとても大変だ。わがままで困らせた私をどう扱えば判らなかった継母。私は人に迷惑をかけていると考えなかった。自分の事しか見てない子供。

「魔女の力は判らないが、魔法の銃は通用する筈だ。俺が一緒に行く」
 銃使いのオスカーが私を見つめる、黒の洞窟を探検したラミラが片手をあげる。

「母のマリアに相談しましょう、ギルドの力を使えるわ」
 その場に居た全員が協力を申し出る、また涙があふれる。その涙をハンカチでふいてくれる継母が、本当の母のセレーナが私を呼んでいると部屋に連れて行かれる。

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