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WsdHarumaki 2023/05/02 21:30

白の洞窟:団結と希望【魔女のミナリア、洞窟へ行く】(37/50)

第八章 白の洞窟
第二話 団結と希望

あらすじ
 魔女のミナリアは洞窟に住む黒髪の少女レオノーアに出会う、呪いのために閉じ込められているレオノーアは、洞窟の封印の解除をミナリアに頼まれ、赤と青と黒の洞窟は解除に成功した。最後の洞窟はミナリアの父親の屋敷内に存在していた。

「俺が呼び寄せた」
「どうしてですか? 」
 銃使いのオスカーが私の近くに歩み寄る、長身の彼からすれば私は子供に見えると思う。オスカーはいつもの無表情の顔で、最後の洞窟の攻略に人手が必要と考え、知り合いに声をかけると二つ返事で参加してくれた。

「これも人徳だな、ミナリアを助けたいと思う人が多い」
 オスカーの言葉で私は周囲に居る人達の顔を見る、すぐに顔が赤くなると涙が止まらない、感動した時も泣いてしまう。

「大丈夫よ、泣かないで、みんなで攻略しましょう」
 シーフのラミラさんが私を慰める。私はうなずく事しか出来ない。魔女ギルドの案内のマリアさんが、二階にみんなを誘導する。

 少しすると私は落ち着いた、最後の洞窟の場所を教えると、驚き全員が理由を知りたがったが、私は雇い主から言われただけと言葉を濁す。

「屋敷に入るのか?……イネス・アスタと連絡を取ろう」
 オスカーが義母の名前を口にする。私は驚いた顔をしていると、少しだけ後悔した顔で教えてくれた。

「俺は、お前を守るために雇われていたんだ」
 私はしばらく無言だった、いや何も考えられなかった。義母が私を守るために人を雇うのは理解できる。追い出して死なれたら世間体が悪い、でも義母はもっと私を嫌いだと思っていた。オスカーは私の顔を見つめる。

「ミナリア、イネスさんは君を愛していると思うよ」
 オスカーくちごもりながら馴れない言葉で慰めてくれた。私は義母に嫌われていないのかな? 

「嫌って無いなら、なんであんたを放り出すのよ」
 霊体の少女レオノーアは、私だけに聞こえる言葉で否定する。そうだ、弟を領主にするために、魔女の私は邪魔だ。冷静になろう。

「――あの、それでは、義母にお願いしてくれませんか?」
 みなで攻略するために、攻略する日時を決める事にした、何故か元婚約者のライアンさんも行く事になる。妻のラミラを一人で行かせられないと言うが、彼よりも筋肉があるラミラさんの方が強く見えた。

「それでは、みなさんよろしくお願いします」
 私はぺこりと頭を下げると何故か涙を流す、感動で止まらない。ラミラさんが私を太い腕でやさしく包んでくれた。

WsdHarumaki 2023/05/01 19:23

白の洞窟:屋敷の中の謎【魔女のミナリア、洞窟へ行く】(36/50)

第八章 白の洞窟
第一話 屋敷の中の謎

あらすじ
 魔女のミナリアは洞窟に住む黒髪の少女レオノーアに出会う、呪いのために閉じ込められているレオノーアは、洞窟の封印の解除をミナリアに頼み赤と青と黒の洞窟は封印は解かれた。最後の洞窟はミナリアの父親の屋敷内に存在していた。

「屋敷に白い洞窟があるわ」
「私の家は山には無いです」
 レオノーラは私に最後の封印の場所を告げるが、洞窟に閉じ込められているレオノーアは勘違いをしている? 洞窟は山にしかない。

「屋敷の地下が洞窟になっているのよ」
 彼女はクリスタルの封印が解け始めてからは、周囲の状況を把握できるようになる。最後の封印が私の屋敷内にあると判明した。私が不思議そうな顔をしていると

「屋敷で最後の仕事よ」
「義母に会うのはちょっと……」
 義母から屋敷から追い出された負い目もある。屋敷に戻れるか微妙だ。

「弟に頼めばいいでしょ? 」
「そうだ、リュカに頼んでみる」
 義母よりも話しやすい、この前は弟を安宿から追い返してしまった。どうやって連絡しよう? ギルドで相談する事にしよう。お金を払えば、お手紙を渡してくれる。前に私がしていた仕事だ。

 ギルドに行くために街を歩きながら、封印が全て解除され私の手から指輪が外れた後の事を考える。元の魔法の力に戻り、弱いままの私で生活できる? そう言えば、婚約者だと名乗ったライアンさんは、黒の洞窟の一件から顔を出してくれない。少し寂しい感じを覚えながらギルドのドアを開く。

「ミナリア、お友達が来てるわよ」
 魔女ギルドの案内人のマリアさんが私を呼ぶ。そこには赤の洞窟に同行したカルリト少年、青の洞窟に同行したマルシアル老人、そして黒の洞窟に同行したラミラさん、マリアさんの娘が顔をそろえていた。

「ミナリア、しばらくぶりだね」
 婚約者だと名乗るライアンも居た。貴族の彼にしては町民のような服装している。マリアさんの娘のラミアがライアンに寄り添う。

「結婚するんだ」
「え!…………おめでとうございます」
 私との婚約は破棄して、黒の洞窟でライアンを助けたラミアさんと仲良くなったのかな? とぼんやり考える。

「婚約者を取られたんだ」
 みんなには見えないレオノーアが横で笑っているが、言う程は心への痛みは無い。それでも何か釈然としないと言うか、あの時にみんなを助けたのは私だったのに……

「ミナリアさんもお元気そうですね」
 まだ歳が若いカルリト少年が私に近寄るとニコニコと笑う。彼も良い人なんだけど年下にしか見えない。結婚相手としては微妙だ。

「――みなさん、どうしたんですか? 」
 顔見知りが集まっている理由を知りたかった。

WsdHarumaki 2023/04/21 21:51

継母:白い記憶【魔女のミナリア、洞窟へ行く】(35/50)

第七章 継母
第五話 白い記憶

あらすじ
 魔女のミナリアは洞窟に住む黒髪の少女レオノーアに出会う、呪いのために閉じ込められているレオノーアは、洞窟の封印の解除をミナリアに頼み、赤と青と黒の洞窟は攻略に成功する。レオノーラから最後の洞窟はミナリアの父親の屋敷内にあると告げられた。

 私は誰か訪れるのを魔力で察知する。豪華な屋敷の地下にある部屋は白く輝いて美しい。ベッドから起き上がると、目の前に居る婦人は貴族の奥様らしい上品な姿で私を見ている。私には大事な使命がある。世界を守るために封印の指名がある。世界を守る封印を隠す事。私の体に埋め込まれた白いダイヤは世界を救ってくれる。

「必要なものはありますか? 」
 定期的に訪れる彼女はイネス・アスタ、こんなに頻繁に私に会いに来る人も珍しい、私は若いままで、屋敷内の人達は年齢を重ねて年老いて亡くなるのに自分は変わらない。私は呪いを受けている、彼女らから見ればバケモノだ。誰もが私を恐れた。

 最初に私を助けてくれた貴族は、私を普通の女として扱った。すぐに普通の女性とは違う事に気がつくと地下に閉じ込められた。私は隠れられるだけで十分で不満もない、食事も水もいらない、ただこうやって一日中、部屋に居るだけで幸せを感じる。

 たまに私に危害を加えようとする人が来ると………力を使う。白い部屋の中で消えてしまう。私の力を恐れ閉じ込めたまま、そうやって長い時間を過ごすと私は忘れられる事が多かった、そんな時に彼は私を見つけだした。

 黒い巻き毛の男の子は私の話を熱心に聞きに来た、何年かすると彼は大きくなり私を愛せるようになる。毎夜のように私を抱いた。私は男性と体を合わせるのに特別な感情は無いが、彼からの愛は理解できた。

 彼は特別だったのかもしれない、私は身ごもると子供を産む。生まれた女の子は私から離されたが、私には大事な使命がある。悲しくても我慢する。あの子は今でも元気なのかな?

「セレーナさん、また来ます」
「私の子供は元気? 」
 イネスは、ためらいがちにうなずいた。私の娘は手がかかるのかしら?

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「イネス様、いつも緊張しますな」
「夫が死んでから変化が起きるか心配だけど、大丈夫みたいね」
 執事が額の汗を拭う、強力な魔法を使える彼女を世間に知られるのは危険と判断している、彼女はこちらから何もしなければ、あの場所から動く事は無い。

 私の懸念の一つはリュカだ。あの子がセレーナを見たらどう反応するのか判らない。もし彼女を愛したら?私は体が震えた。

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