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2023年 04月の記事 (4)

ooo 2023/04/25 15:46

『進撃の巨大娘(スカンクス)』二次創作 ~進撃の牛娘? 牛舌地獄と体内監禁悪臭いじめ~

※本作は同人サークル「スカンクス」様の『進撃の巨大娘~World Defence Force~』の二次創作です。


※基本設定は前作SSか本家スカンクス様のゲームをご参照ください。

【本家】
https://www.dlsite.com/maniax/work/=/product_id/RJ190792.html

【拙作】
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=16749256
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=12810314
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=15504319
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19633934



※本作には本家作品における若干のネタバレがあります。
 先に本家作品のクリアをオススメします。





◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆






「ふふ……♪ ついに完成ね」

 WDFの探知の及ばない、巨大娘たちの領域。
 その中のとある一室は、何人もの巨大娘を束ねる元WDF長官――"レイナ"の私室となっていた。

 椅子の背もたれに体を預けながら足を組み替えるレイナの手には、試験管のような透明の小さな容器が握られていた。

「ミル・カウリアン……あれだけ強くて大きいのに、母星で平和に暮らしたいだなんて、本当にもったいないわね」

 その容器の中では白い液体が揺れており、光を反射して薄っすらと輝いているように見えた。
 ゆったりとした動きで立ち上がり、凝りをほぐすように体を伸ばした後、彼女はそのガラス容器を懐へとしまい込んだ。

「彼女達の力は私が有効に使ってあげなきゃ……さてと、どのコをイジめちゃおうかしら? 今から楽しみだわぁ……♪」

 自室の外へと向かう彼女の足取りは軽く、どこか楽しげな様子であった。




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




「到ちゃーーく!」
「っとと、こちらトリス、作戦領域に到着しました。 索敵を開始します!」

 数時間後、ある場所で巨大娘の活動反応を探知したWDFは、現地に二人の隊員を送り込んでいた。
 名実ともに本部のエース隊員となった"ルゥナ・ロップイヤー"と、戦略情報支部において活躍の目覚ましい"トリス・コッカースパニエル"である。

 巨大娘との戦闘を前にして気負う様子もなく、元気溌剌といった様子でルゥナが笑いかけた。

「周囲に敵影無し……」
「トリスさん! 今日はよろしくねー!」
「ふぇっ?! あ、はい! ほ、本部のエース…いえ、英雄の方と一緒に出撃できるなんて……」
「あははっ♪ そんなかしこまらないでよー! トリスさんの方が年上なんだし、気軽にルゥナって呼んでね!」
「え、えと……はい。 じゃあ、ルゥナちゃんって呼ばせてもらいますね」
「うんうんっ! 改めて、よろしくねー!」
「わわっ……ふふっ♪ こちらこそ、よろしくお願いしますね」

 年相応に小柄だが元気いっぱいのルゥナが、ルゥナの手を取ってブンブンと降る。
 ルゥナの勢いに押されつつも、支部まで届いていた彼女の鬼神の如き活躍から抱いていたイメージを一瞬で掻き消すような彼女の笑顔に毒気を抜かれたトリスは、同じく笑顔を浮かべてルゥナの手を取ったのであった。

「さて、それじゃパパッと倒して帰っちゃおう! クリスが今ごろ心配してるだろうしね!」
「パパッと…!? あはは……そういえば、クリスさんは体調不良なんですよね。 大丈夫でしょうか……」

 支部に比べて戦力の高い本部隊員達でも、巨大娘との戦いに勝利するのは至難の業である。
 そしてその中で連戦連勝を重ねている規格外の戦績を持つのがルゥナ・クリスのペアであるが……今回、急遽自分がペアを組むことになった原因の、クリス隊員の体調不良についてトリスが尋ねた。

「だーいじょーぶだよ! ただの風邪だって先生も言ってたしね! まったく、クリスってしっかりしてるように見えて抜けてるとこあるんだから……あたしがその分しっかりしなきゃね!」
「そうなんですね……ふふっ、二人はやっぱり仲良しなんですね」
「えっ? ま、まぁ……仲良しっていうか、幼馴染だし、あたしの方がお姉ちゃんだし! お姉ちゃんとして弟分を守ってあげな――」

 ズドォオオオオオオオオオオオンッ!!!

 ルゥナの本来のペアであった幼馴染の少年隊員――クリスは、風邪を引いたのか熱を出して寝込んでいるのであった。
 ちょうどそのタイミングで強力な巨大娘の反応を探知したWDFは、急遽ルゥナとトリスを変則的にペアにして出撃させたのであった。

 顔を僅かに赤らめ、わたわたと早口で言葉をまくし立てていたルゥナの言葉を遮るように、前方に見えていたビルが破壊され、巨大な人影が現れた。
 一瞬にして二人に緊張が走る。

「――っ!? トリスさん! 来るよっ!!」
「は、はい! 本部へ、こちらトリス……対象を確認! 対象は…………えっ!?」

「あら、珍しい組み合わせね。 うふふっ、これは面白くなりそうだわ♪」

「レ、レイナ……長官……!?」
「ふふんっ、今日こそは捕まえちゃうんだから!」
「……そ、そうです! 覚悟してください、長官!」

「うふふ……♪」

 輝くフォトンブレードでビシッとレイナを指し示し、ルゥナは飛行ユニットのブーストを点火した。
 現在確認されている最強の巨大娘であるレイナを前に一度は怯んだトリスであったが、隣で闘志を燃やすルゥナに勇気をもらい、レイナの方を見据えて装備を構えた。

 それに対して不敵な笑みを崩さないまま、レイナは懐から小さな容器に入った白い液体を取り出した。

「さぁ、アナタ達にはたっぷりと、実験台になってもらうわよ♪ んくっ、んくっ……ふぅ……んっ!? んんんっ……!!」

「なっ、何あいつ……!? 光っ――まっ、眩しっ!?」
「くぅっ!? な、何かを飲んでたような……?」

 懐から取り出した容器の液体を飲み干すと、レイナの体が輝き始めた。
 直視出来ない程の強い光の中でバチバチと音を立ててフォトンが拡散し、輝くレイナのシルエットが更に大きく巨大化していく。

 やがて発光が収まると、光に包まれていたレイナの体が露わになった。

「んんんっ……はぁああ……ふぅ…………変身完了ね♪」
「うぅ……? えぇーっ!!?」
「な、何……!? あの姿は……!?」

 驚愕する二人を余所に、レイナは手足を曲げ伸ばししながら、きょろきょろと周りを見渡した。
 レイナの体は全体的に一回り大きくなっており、透き通るような白い肌は白と黒のまだら模様になっている。

「ふぅん……体はやっぱりそこまで大きくならないみたいね。 体色は"彼女たち"と同じ……あとは……」

「うっ……ウシっ!? ウシになっちゃったっ!?」
「お、大きい……!? 一体どうなって……!?」

 レイナがどこからともなく取り出した平らな装置は宙に浮かぶと、レイナの姿を反射して映し出した。
 そこに映るレイナの美しい顔はそのままだが、頭には太く角が2本生えており、元々豊かであった彼女のバストは今やはち切れんばかりのサイズに成長している。

 今のレイナの姿は巨体と白黒の体色から、動物でいう"ウシ"――それも乳牛特徴を数多く持ち合わせていた。
 鏡に映った自身の姿をまじまじと観察した後、鏡を消したレイナはあまりの事態に呆然と立ち尽くすだけだった二人にゆるりと向き直った。

「うふふっ、待たせたわね♪ 今日はこの姿で相手しレェ~……?」
「うぇえっ!? しっ、舌っ!! 舌なっがぁぁ!?」
「た、確かにウシは舌がすごく長いって聞きますけど……ひっ!?」
「……あら、ごめんなさいね♪」

 ジュルルゥンッ!!

 二人を見下ろすように屈んだレイナの口から、へそまで届く程のとんでもない長さの分厚い舌がデロンとまろび出た。
 それはレイナとしても不可抗力であったのか、すぐに気づいた彼女がまるで勢いよく元に戻る巻き尺のように舌を口の中に戻していった。

「うふふ♪ どう? ここと別の星に住んでいる、とある種族のエキスを加工して変身してみたのよ♪ 今日はこの……この……ンレレェ~……あらあら?」
「わわっ!! また出た!?」
「うぅっ、き、汚いです……!」

 レイナが話し始めると、再び彼女の口から長い舌が唾液を滴らせながらデロリと垂れ下がる。
 粘着質の唾液を纏ってぬらぬらと光を返すその舌は、レイナが研究のために長期間研究室に籠もって不摂生をしていたためか、全体が汚らしい舌苔にビッシリと覆われていた。
 見た目の汚らしさもさることながら、それ自体がかなりの臭気を放っていることが予想される。
 巨大なナメクジを連想させるその醜悪な見た目に、ルゥナとトリスは嫌悪感でその身を震わせた。

 レイナはジュルジュルと舌を出し入れしつつ、興奮したように頬を上気させ始めた。

「うふふっ……これは…んっ……薬の副作用なのかしらね……ちっちゃなアナタ達が、とっても美味しそうに見えちゃって……♥」
「ひぃい……き、気持ち悪いぃ……!」
「うぅ……あんなのに捕まったら……ぜったいヒドいことになっちゃいます……」

「可愛いアナタ達の泣き顔……このベロでたぁ~~っぷりと味わってあげるわぁ♥♥」




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




「うふふ♪ んれぇ~~~~~ろっ♥♥ れろれろぉ~~~~~っ♥♥」
「いやぁああっ!? こっち来たぁあああ!!!」
「うっ! くぅっ!? こ、この距離なら……ひぃっ!!?」

 ベロンベロンと長大な舌を振り回しながら、レイナは二人に向けて突進した。
 唸りを上げて迫りくる肉厚の舌に生理的嫌悪感を覚えたルゥナがすぐさまブーストを展開して距離を取り、同じくトリスもフォトンを足元に集中することで後方へと跳躍した。

 ビチャッ!!
 ビチャビチャビチャッ!!

「うぇええっ!? つ、ツバ飛んできた!! き、きたな――う゛ぅっ!? くっさぁああ……!?」
「す、酸っぱいニオイと……うぅうっ!? 野菜が、腐ったみたいな……強烈ですぅ……!!」

 まるでムチのように振り回される舌はそれ自体が脅威であるが、そこから更に唾の飛沫が周囲に撒き散らされた。
 ウィング装置の片翼に張り付いた唾は人間のものとは比べ物にならない程に濃い唾臭をルゥナへと届け、地面に落ちた唾を迂闊に踏んでしまえばトリスは足を取られてしまうだろう。

「うん、うん……ちょっと分かってきたわね。 それじゃこんなのはどうかしら? ん、ぐっ……グェエエエエエエエ~~~~~~~~ップ♥♥♥」
「えっ!? ん゛に゛ゃあっ!!?? げほっ!! くっ、くっさぁああああああいっ!!!」
「ルゥナちゃんっ!?」

 振り回していた舌を一旦口の中に収めたレイナは腹部を撫で摩り、次の瞬間には轟音を響かせながら特大のゲップを放った。
 
 草食動物特有の複数個の胃の中で発生した腐敗ガスは凄まじいほどの臭気を帯びており、ひやりとした周囲の空気との温度差によって景色が霞むほどのモヤとなってルゥナが飛んでいる一帯を包み込んだ。
 熱く湿った空気に全身を包み込まれたと思った直後に、涙が出るほどに濃厚なネットリとした臭気を吸い込んでしまい、フォトンの制御を失ったルゥナは悶絶しながらひゅるひゅると下降をし始めた。

「うふふっ♪ いただきまぁ~~す♪」
「ルゥナちゃんっ!! 避けてくださいっ!!」
「げほっ、ごほっ!? う、うぇええっ!!?」

 ジュルルルゥウンッ!!
 バキッ、バキバキィ……!!

「はぁ…はぁ……!? ごほっ……す、すごい力……!」
「んれぇ~ろ? あらあら、逃げられちゃったわねぇ」

 ルゥナに向かって勢いよく舌が伸ばされたが、すんでの所で制御を取り戻したルゥナは舌を躱し、代わりに巻き取られた廃ビルの一角は粉々に破壊されてしまった。
 フォトンで守られたルゥナ達の体はビルよりも頑丈とはいえ、あの舌に捕まってしまえば脱出は困難であると窺える。

「こっちを見てない……今がチャンス……!」
「うふふっ、コッチの方はどうかしらね……んんっ♪」
「えっ!?」

 ブッボォオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!

「んぐっ!? ふぎゅううううううううっ!!!??」

 ルゥナの方を向いていたレイナに対し、トリスは鋭いステップで背後から強襲しようとする。
 しかし、それをレイナが放った特大のオナラが迎え撃った。

 草食動物特有の長い消化器で長時間熟成されたガスに全身を包み込まれ、トリスはもんどり打って悶絶した。
 ネットリとした粘度まで感じるような重みを持ったそのガスはその質感通りに濃密な悪臭を備えており、一呼吸の度に涙が溢れてくる程であった。

「く、くっさぁぁ……げっほ!! う゛ぇえっ……! ごほごほっ―――――っ!?」
「うふふっ、スキありね♪」
「トリスさん!!」
「むぎゅううっ!!? んぶぶぶぶっ!!??」

 あまりに強烈なニオイに精細さを欠いたトリスは、レイナが何度目かに伸ばした舌に絡め取られてしまった。
 体をぐるぐる巻きにされた状態で舌肉に顔が押し付けられると、その表面からは粘着質の唾液が大量に分泌される。

「んぶぶっ!? じゅぶぶぶ!! ん゛ん゛ーーーっ!!!!」
(やだ…っ! 顔に唾が纏わりついて……ネトネトして気持ち悪いぃ…生臭いよぉぉ……!!)

「あらあら、ずいぶんイヤそうねぇ。 イヤがる顔もかわいくて素敵だけど……今日はコッチを試させてもらうわね♪」
「ん゛んっ!! ぺっ! うぇえ――――えっ……? あっ、あぇっ…!? うぁぁっ……!?」
「その反応……ふふ、どうやら成功みたいね♪」

 唾まみれの舌に巻かれて苦しんでいるトリスを愛おし気に眺めた後、レイナはおもむろに懐から取り出した装置をトリスへと向け、謎のフォトン光を照射した。
 すると、唾液の不快感とニオイに苦しんでいたトリスが顔を真っ赤にして突然俯き、ビクンビクンと震え始めたのであった。

「ト、トリスさん……!? あ、あんた! トリスさんに何したの!?」
「うふふっ♪ ほら、ルゥナちゃんが心配してるわよ? あの子にも見てもらわなきゃね……♪」
「やっ、やぁっ!? ダメ……あっ!?」
「えっ…!? うそっ……!? それって……おち、ん……っ!?」
「あぅぅ……み、見ないでくださいぃ……」

 レイナは必死に体を隠そうとしているトリスを捕まえ、股間部を隠していた太ももや腕を広げてしまった。
 露わになったトリスの股間部には、固く勃起した男性器がいつの間にか備わっていたのであった。

「あははははっ♪ 安心してちょうだい。 トリスちゃんが実は男のコだったってわけじゃないから。 私たちが開発した新たなフォトン変質機でホルモンに作用して……まぁ、平たく言えば"ふたなり"になっちゃったのよ♪」
「ふたなっ……!? えっ!? えぇえっ!!?」
「うぅ……やだぁ……元に戻してくださぃぃ……!」
「うふふっ♪ 心配しなくても時間が経てば元通りになるわよ。 その代わり、戻るまでの間は……ハァアァァ~~~~~~~♥♥♥」
「ん゛ぁっ!!? ん゛んんん~~~~~~~~っっ♥♥♥」

 ドプッ♥♥
 ドピュルルルッ♥♥

「あはっ♪ 出てきたわぁ♥」
「あっ、うぁっ……なにっ…これぇぇ……」
「トリスさんっ!?」

 レイナがトリスに向かってねっとりと濃厚な吐息を吐きかけると、既に破裂寸前であったトリスのふたなりペニスから勢いよく白い液体が放たれ、レイナの舌の上に落ちた。
 トリスは発射と同時に全身を駆け抜けた強烈な快感に体をピンと仰け反らせ、未だ続く余韻に体をビクビクと震わせている。

 舌の上に落ちたまるで精液のような白い液体は、一瞬だけ輝くと、すぐに舌の中に吸収されて消えてしまった。

 ジュルルルルゥッ

「うふふ、思った通り濃密なエナジーね♪ これで女のコが相手でも効率良くエナジーを絞り出せるわ♪」
「ふぁっ!? あっ♥ んっ……うぅうんっ♥♥」
「……っ!? トリスさん! 私が攻撃するから、そのスキに……トリスさん……!?」
「んっ♥ ふぁ、あぁぁ……♥♥ なに、これ……き、気持ち良すぎて…頭が……あぅうぅっ♥♥」

 ドプッドプッ♥♥
 ピュルルルルルルッ♥♥♥

 体に巻き付いた舌をレイナが動かすたび、トリスの疑似ペニスから耐えがたい程の快感が全身に広がり、トリスは全身に力を込めることが出来ないでいた。

 更に、彼女の身に起きた変化はそれだけではない。

「すん、すんすん……んっ♥ げほっ……!? すんすん……!?」
「うふふ♪ そんなにお鼻クンクンしちゃって、何が欲しいのかしら……んゲェエエエエエ~~~~~~~ップ♥♥♥」
「んぐぅうううううううっ!?!?♥♥♥ すぅはぁすぅはぁすぅはぁっ♥♥♥」

 ドピュゥゥドピュッドピュッ♥♥
 ドップルルルルルルッ♥♥♥

「ト、トリス、さん……!?」
「すぅぅ……はぁぁ♥♥♥ な、なんで……クサいのに……このニオイ……しゅきになっちゃって……あ゛っ!? んあぁああああああっ♥♥」

 ギュルルルルルルルッ!!

「ほぉら、舌でグルグルにして、ぎゅうう~~って締め上げてあげるわ♪」
「んぶぐぐぐっ!!!! ん゛ぅううううううううううううっ♥♥♥」

 ドピュウウウウウウウルルルルルルルッ♥♥♥

 ふたなりフォトンの影響で、トリスの体はあれだけ嫌がっていたはずのレイナの口臭や唾臭を嗅ぐたびに興奮してしまうようになっていた。
 フォトン放出を伴う疑似ペニスからの射精は、通常の射精に比べて数倍の脱力感があるが、それに合わせて快感も数倍となって全身を貫き、その後も快楽の余韻が延々と全身を駆け巡る。

 トリスの全身を覆って締め上げていた舌がゆっくりと解かれていくと、そこには指一本動かせないほどにぐったりとして、恍惚な表情を浮かべているトリスの姿があった。

「あ゛っ♥ うっ、うぅう……♥♥ レイナ長官……もっと……くしゃいの、もっとぉぉ……♥♥」
「あらあら、すっかり素直ないいコになっちゃったわね♪ 続きはおうちに帰ってからよ……うふふっ♪」
「んぁっ……あぁぁ……♥♥」
「トリスさん!? トリスさんっ!! くっ……!!」
「さて、次はアナタよ♪」
「……負けるもんかぁっ!!」

 ふたなりフォトンと未曽有の快楽によって精神が魅了され、ついにトリスは自分からレイナの悪臭を求め始めた。
 射精しすぎてもはやペニスしか動かせない程に無様な状態となっているトリスを、レイナは転送装置によってどこかへワープさせてしまった。
 
 その場に取り残されたルゥナは動揺しつつも闘志の込められた瞳をレイナに向ける。

 一人になった事でフォトンの相互干渉が無くなり、ルゥナの動きは目に見えて素早く、力強くなったが――――




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




「あぐっ、うぅう……!」
「うふふ……結構頑張ったけど、しょせんウィング兵科が一人だとこんなものね。 まぁ、そうなるように私が設計したんだけど♪」

 やがて数十分が過ぎた頃には、レイナの巨大な手によってルゥナの小さな体が握りしめられていた。
 一人になった事でフォトンを回復する余裕もなく、ついにブースト状態を維持できなくなったルゥナは捕まってしまったのである。

「ん、ぐぅ……はな、せぇぇ……!」
「ふふっ♪ ほぉら、フゥ~~~~っ♥ フゥウウ~~~~~っ♥♥」
「むぐっ!? げほっ! くさっ!! くさぃいいいっ!!」
「あっははは♪ クサい? 酸っぱくて、生臭くて、イヤ~~なニオイがするかしら? うふふ♪ でも、アナタもすぐに好きになれるはずよ……♥」
「ひっ!? や、やめっ――――あぅううっ!!?」

 再び謎の装置を起動させたレイナは、そこから放たれたフォトン変質光線をルゥナに浴びせていく。
 すると、ルゥナのピッチリとしたボディスーツの股間部が輝き始め、ピンと上を向いた小さな疑似ペニスが現れたのであった。

「……あら? それだけ? うふふっ、ルゥナちゃんのおちんちんはちっちゃくてカワイイわね♥」
「うっ、うるさいうるさいっ!! この変態っ!! いいから早く戻しなさいよっ!!」
「ふふふ…………んゴェエエエエエ~~~~~ップ♥♥♥」
「はぎゅぅうううううっ!!??? ん゛んんんんん~~~~~っ♥♥♥♥」

 ビクビクビクビクッ♥♥
 ピュルルルルルルッ♥♥♥

 手足をバタつかせてキンキンと喚いていたルゥナであったが、ルゥナの腹の底からせり上がった腐敗ガスに全身を包まれると、あっけなく体を痙攣させながら人生初の"射精"を経験した。

「あ゛っ!? あ゛ぅっ!! うぁあっ!!?? なにっ♥♥ これぇっ♥♥ 何これぇええっ♥♥♥」
「あっはははははは♪ 初めておちんちんでイッてビックリしちゃったの? カワイイわね~♪」

 まるで落雷のような未曽有の快感が全身を貫き、尚も全身をぐるぐると巡り続ける電気的な快感がルゥナの体を小刻みに跳ねさせる。
 既に反撃はおろか逃亡の力も無く、レイナの手のひらの上で未だ収まらない快感に身を震わせているルゥナへ向けて、レイナがその長大な舌を伸ばす。

「んれぇ~~~~~~……♥♥ ふふっ、ほら、ルゥナちゃん?」
「あぅっ、うっ……う゛ぅっ!? あっ、あぁ……ダメ…ダメぇぇ……♥♥」

 伸ばされた長舌はルゥナに触れることなく、ただ眼前に差し出されただけであった。
 しかし、先端から立ち上る湯気混じりのムワリとした悪臭を吸い込んだルゥナは、まるで花の蜜に魅せられた蝶のように、目の前の舌へとフラフラと歩み寄ってしまう。
 そして、ついに先端へ自らしがみ付いてしまったのである。

「んぶっ……じゅぶぶっ♥♥ ぷはぁあ…しゅきぃ……♥ これぇ……くしゃすぎてぇ……しゅきなのぉ……♥♥」
「うふふ……♪ 赤ちゃんみたいにしがみ付いちゃって……キモチいい? もっとキモチ良くなるにはどうしたらイイか……分かるわよね?」
「うぁっ、あふっ……んっ♥♥ んぅうぅん……♥♥」

 フォトンの影響か、何か別の装置を使っているのか、舌を伸ばしたままのはずのレイナの言葉はやけに鮮明に、まるで染み入るようにルゥナの耳の奥まで届いた。
 レイナの言葉がまだ終わらないうちに、ルゥナは股間の小さな突起をヌメヌメとした暖かな舌先に自分から擦り付け始めた。
 そしてそのまま更なるニオイと快楽を求めて、ルゥナは腹ばいの状態でレイナの舌を芋虫のように登り始めたのであった。

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ooo 2023/04/05 22:29

『進撃の巨大娘(スカンクス)』二次~はじめての毒ガス! 毒ガスの巨大娘による新人隊員オナラいじめ~②

※文字数が入り切らなかったので分割投稿しています。
 先に前の投稿をお読みください。

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ooo 2023/04/05 22:15

『進撃の巨大娘(スカンクス)』二次~はじめての毒ガス! 毒ガスの巨大娘による新人隊員オナラいじめ~①

あらすじはこちらの投稿のキャプションをご覧ください。
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19633934

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ooo 2023/04/05 02:42

ヒーローが来るまでの話 ~深海怪人ゲソ女の場合~

 季節は夏。
 とある不人気の海水浴場にて、一人の女性が海から浮かび上がり、人の疎らな砂浜へザブンと飛び出した。

「イーーーカッカッカ!! ここが地上っ!! ついにたどり着いたでゲソーー!!」

「うぉ、なんだあいつヤバくね?!」
「ボディペイントってやつ? てか裸じゃん完全に」
「ちょっと! 見すぎだから!!」
「わ、悪ぃ……いや、でもだってあれ、痴女じゃん絶対。 通報とかしとく?」

 その女性の風貌は、"異様"の一言に尽きた。
 
 180cmほどの暗褐色の肌はぬめぬめとした不自然な光沢を放っており、体中のまだら模様が次々に色を変えていく。
 頭部から後方に向けて髪の代わりにヒレのような物が伸びており、その金色の目はまるで猫のように瞳孔が縦に裂けている。

 極めつけには、股のあたりから伸びた6本の吸盤だらけの触手がウネウネと宙空を動き回っているのであった。

 人々はまるでヒトとイカを掛け合わせたかのような異様な姿の女性を視界に収めつつも、どこか楽しむような様子であった。

「いやー、ははっ、やーばいでしょアレ」
「何のコスプレなんかなー……おっ、誰か行った!」
「スゲっ、オレさすがにあれナンパする勇気ないわ」

「イーーーカッカッカ!!! さーてまずは……ゲソ?」
「ねーねーおネェさーん、それってコスプレ? ぶちイケてんねー」
「それ触手的なんどうやって動かして……ってか臭くね?」
「マジだ! めっちゃイカ臭いんだけ――ぐぇっ!!?」
「はっ? えっ??」
「おぉ! これが地上人でゲソね!」

 女性に向かってナンパ目的で近づいた男二人組の内、一人が触腕に掴まれて軽々と持ち上げられる。
 単なる飾りと思っていた触腕が相方を持ち上げたことで、もう一人の男は呆気にとられていた。

「地上人の……オス? めっちゃ軽いでゲソ!? へぇ~……ワタシたちとちょっとだけ似てるでゲソ!」
「や゛めっ……がっ…ぐる、じ…………」
「ちょ、ちょいちょいちょい!! やめろって!! やり過ぎだって!!」
「ん? やり過ぎって、ただ持っただけ――」

 ゴギッ!!

「あぎゃあああああああっ!!??」
「わわっ!? 何でゲソ!?」
「がふぁっ!! い゛っ、いでっ……いでぇえええ……!!」
「おまこれ、折れて……お、おい!! 何してんだお前ぇッ!!」

 耳に残るような鈍い破裂音が響いたかと思うと、ゲソ女は男を触腕から取り落とした。
 慌てて相方の男が駆け寄ると、掴まれていた男の両腕があらぬ方向へ曲がっていたのであった。

 それを見て頭に血を上らせた男が女に詰め寄る。

「てめコラッ! 聞いてん――ぼぇえっ!!?」
「おっとと……あれ? でゲソ」

 急に掴みかかってきた男を払い除けるように触腕が振るわれると、ムチのようにしなる肉塊の直撃を受けた男が歯を数本散らしながら数メートル吹き飛び、砂浜へと叩きつけられた。

「がっ……かっ…あっがが……」
「ひぃいいっ!!??」
「おいおいおいヤバいヤバイあいつ!!!」
「け、警察!! 警察呼べ!!」
「救急車じゃないの先に!?」

「えっ……?! と、飛びすぎでゲソ!? ちょっと叩いただけで……こ、これはもしかして……!?」

 少し握っただけで骨が潰れ、少し叩いただけで数メートルも吹っ飛んでしまった男たち。
 海底で自身より遥かに大きな体をもった存在に囲まれていた彼女にとってはあり得ないことだった。

 しかし、それは彼女の"目的"にとって極めて都合が良いことである。

「うーん……? もう一回……えいっ! でゲソ」
「あぁっ!!? あ゛っい゛っ! ぐぁあああっ!!」
「ミッくん!? ちょっ!! やめっ、やめろよアンタ!!」
「わっ、邪魔するなでゲソ! ぷぅうううっ!!」

 ブジュウウウウウウウウウッ!!

「ぶわぁっ!? な、にっ……い゛ぃっ!!? いだっ!! いだいいだいいだいっ!!!」
「あぎぎぎぎっ!! がぼぉっ!? げっ……がはぁ……」

 ゲソ女が今度はカップルの男性の方を締め上げ、女性の方には口から黒い液体を吐きかけた。
 ドロリと粘つく墨のような液体を顔に浴びた女性の視界は黒一色に染まり、ナイフで刺されるような鋭い痛みが走った両目に走ったことで彼女は悶絶した。
 男性の方もバキバキという音とともに骨の何本かを砕かれ、胸の奥からせり上がってきた血しぶきをゴボリと口から溢れさせた。

「がっ……あ゛っ……ぅぅ…………」
「いだい、いだいぃ……ミッくぅん……ぐすっ…見えないよぉ…どこぉお……!!」
「おぉ……おぉおおお!! 腕使わなくてもスミだけでも勝てる!! 地上人弱すぎでゲソーー!!! 楽勝でゲソーーーーーー!!!!」

 喜びながら触手を振り乱し、ピョンピョンと跳ねる姿はどこかコミカルな印象を与えるが、彼女が振るう暴力は一般人を簡単に壊してしまえる程に恐ろしいものであった。

「イーーーカッカッカッカ!!!! イーーーーーカぁ……はふぅ……そういえばお腹空いたでゲソ……地上までかなり遠かったから……う~ん、地上人はいっぱい居るけど、大きさが……おぉっ!」
「な、なんだよアレ……!?」
「おかーさーん、あの人、ハダカー」
「に、逃げた方がいいんじゃ……ひっ!? き、来た!?」

 すっかり萎んでしまったお腹を押さえてため息を吐いた後、辺りを見回したゲソ女はやがて一組の家族に目をつけた。
 触手を器用に使いながら砂浜を滑るように動いたゲソ女はあっという間に家族の前にたどり着いた。

 明らかな危険人物である目の前の女に対し、父親が家族を守るために立ち塞がる。

「お、おいアンタ! うちの家族には――がはぁあっ!?!」
「邪魔でゲソ! 大きいのに用はないでゲソ!!」
「ユウジさん!? や、やめて! おねが――ぎゃぶぇっ!!?」
「おとーさん! おかーさん……う、えっ…うぇええええん!!」
「おぉっ! やっぱりそうでゲソ!!」
「わっ!? やぁっ!! やぁあああああっ!!」
「ちっちゃくてつるつる! これは地上人の幼体でゲソね!!」

 しかし、勇んで歩み出た父親どころか、息子の手を取って逃げようとした母親までもが、巨大なムチのような触手の一撃によって冗談のような速度で吹き飛ばされ、砂浜に突き刺さった体をピクピクと痙攣させている。

 そして、取り残された幼い少年はヒトの特徴を残す腕によって捕らえられ、その顔を間近で観察されていた。

「お、おいアレやばいだろ!!」
「子供だよ……ちょっ、だ、誰か男が助けなさいよ!!」
「いやお前が行けや!!」
「そんなこと言ってる場合じゃ……!」

「ゲソゲソ~♥ なんかちょっとカワイイでゲソね~♥」
「うっ、お、お姉ちゃ……うぇっ…! げほっ……く、くさいぃい……!」
「んなぁっ!!???」

 抱きしめられるような形でゲソ女と密着させられた少年は、彼女の体から発せられているあまりに強烈なアンモニア臭に咳き込んだ。
 肌を覆うぬめぬめとした粘液の感触も相まって、思わず体が震えてしまう程の不快感であった。

「く、く、クサいと言ったでゲソかっ!!?? ゲソリング族長の娘であるワタシに向かって……い、いや! 身分はともかく! 海底人のことごとくを虜にするワタシのフェロモンを……はっ!?」

 地上と海底におけるあまりに衝撃的なカルチャーショックに、思わず少年を取り落として頭を抱えてしまったゲソ女であったが……ふと、何かに思い立った様子で手を叩くと、腰に手を当てて満足げな表情を浮かべた。

「はい……はいはいはいはい、な~~るほど完全に理解したでゲソ! オマエはアレでゲソね! 生まれたばかりの幼体だから、ワタシの魅力が分からないのでゲソ!!」
「うっぇえ、おぇっ…げほっ……うぇええええん……!」

 文字通り目と鼻に沁みるように刺激的なアンモニアの臭気で涙と鼻水と溢れさせている少年に向けてビシッと指をさしながら、ゲソ女が得意げに言葉を続けていく。

「イカカッ!! 全く、幼体にしては大きいと思ったでゲソが……あっ、もしかしたら地上人は知能も高くないのかもしれないでゲソ! いや、きっとそうでゲソ!! まっ、それならば無礼は許してやるでゲソ!! 持てる者の余裕というヤツでゲソなー!! イーーカッカッカッカッ!!!」

「な、なんだあいつずっと笑ってるぞ……」
「今の内に助けられない? 後ろから、とか」
「いやあれは無理だろ……つかケーサツ遅くね?!」
「警察でも勝てるのか……? 呼ぶなら自衛隊とか」
「ねぇ! それより早く逃げようよぉ!!」

 周囲の混乱をよそに、ひとしきり笑ったゲソ女は尻もちをついている少年を見下ろすような姿勢で彼を跨いで立った。

「う、わっ……わぁああああっ!!」
「おっと、逃げるんじゃないでゲソ! 無知で可愛そうなオマエに、ワタシが特別サービスをしてやるでゲソ!! とくと見るが良いでゲソ……ぉ……ふぅ゛うううんっ!!!!」
「ふぁっ……あぁ……!?」

 ゲソ女が再び腰に手を当て、息むように下腹部に力を込め始めた。
 するとメリメリ、グチグチと音を立てながらゲソ女の股間部に太い棒状の器官が現れたのであった。

「うぇ、えぇ……気持ちわるぃい……!!」
「きもっ……!!?? お゛っ……ん゛んんんっ!! くっ、はぁ、はぁ……怒らない……怒らないでゲソよ……! 相手は無知でアホな幼体でゲソ……持てる者の余裕でゲソ……!!」

 股間部からダラリと垂れ下がるそれは、まだら模様の包皮を被った男性器のような醜悪な見た目をしていた。
 ゲソ女の腰の動きに合わせてブルンブルンと揺れる先端からは黄濁した粘液が滴っている。

「見るでゲソ!! これが真の美しさというものでゲソーー!! これを見て虜にならない海底人は居ないでゲソ!! オマエのオス親やメス親についているものとは格が違うでゲソなー!!」
「うぇえっ……おかーさんにはついてないよぉ……」
「はぁ? 何言ってるでゲソ。 マラーナがついてないヤツがいたらそいつは病気でゲソ! メス親の方は収納してるだけでゲソ!! 全く……地上人は幼体にマトモな教育もしないでゲソか……? 姿が似てるだけになげかわしいでゲソ」

 彼女たちの種族は男女ともに"マラーナ"というペニスに似た生殖器官を持ち、それらを組み合わせることで交尾を行う。
 地上人のペニスは彼女らと違い、男性にしかついていないのだが……初めて地上に来たばかりの彼女がそれを知る由は無かった。

 やれやれ、と呆れた様子で首を振りつつため息を吐いたゲソ女は、腰を屈めて少年へ近づき……その顔に粘液滴る"マラーナ"を押し付けた。

「んぶぅっ!!? ん゛んんっ!! ん゛ぅうううううっ!!!」
「コラコラ、暴れるなでゲソ! ほら、オマエも頭じゃなく本能で分かってきたでゲソ? 族長の娘であるワタシのマラーナがいかに素晴らしく、高貴で――」
「ん゛ゃっ!! やぁああああああっ!!! くさいくさいくさいっ!!! きたなぃいいいいっ!!!」
「くさっ、きっ、たっっ……!!!???」

 先端から滴る黄濁した汁は言うまでもなく、マラーナそれ自体もまた凄まじいアンモニア臭を放っていた。
 例えるならイカを小便に漬け込んだまま暗所で腐らせたかのような、まさしく汚物と言って相違ない程の激烈なニオイであった。

 だがしかし、ゲソリング族ならば間違いなく骨抜きになって神々しさすら覚える程の自身のマラーナを"汚い"とまで言われたゲソ女の衝撃もまた相当のものであった。

「なっ、なななななっ!!? 何てこと言うでゲソーーー!!!?? いくら幼体でもレディに言って良い言葉じゃないでゲソ!! オマエの親は一体どんな教育をしてるでゲソ!!??」
「ぶぇっ! うぇえっ!! やだぁあああ!! やっ――――んごぉおおっ!!?」
「オラッ!! ちゃんと咥えるでゲソ!! ワタシが常識ってヤツを"分からせ"てやるでゲソ!! ありがたく思うでゲソー!!」
「んぐぉっ!!? げぇ゛っ!!?? お゛ぉおごごごっ!!! 」

 世間知らずの少年による種族差別的な一言に、ついにゲソ女の堪忍袋の緒が弾け飛んだようだ。
 ゲソ女は悪臭とぬるりとした感触から逃れるようにイヤイヤと首を振っていた少年の顔を抑えつけると、その小さな口の中に自慢のマラーナをブチ込んだ。

 口内の粘膜ににゅるりとナマコのような物体が入り込んだと思った次の瞬間、それはニョロニョロと先細りしながら喉の奥まで入り込んできた。
 激しい嘔吐感と共に少年の食道が必死に異物を押し出そうと蠕動するが、まるで別の生き物かのようにウネウネと動くマラーナは一向に出ていく気配が無い。

 凄まじい嘔吐感と酸欠で少年が失神するかに思われたが、実際にはわずか数秒ほどで事態が動いた。

「イクでゲソ!! ちゃんと飲むでゲソよ!? ワタシの、マ、マ、マラ汁ブシャアアアアアア!!!!でゲソ!」

 ブジュゥウウウウウウウウッ!!!!

「んごぉおおおぼぼぼぼぼぼぼぼっ!!!!???」

 少年の細い食道を通って胃の入り口まで伸びたゲソ女のマラーナは、彼女の声に合わせて何かを大量に吐き出した。
 胃の中に直接何かを詰め込まれていくという空前絶後の不快感に少年の体が意思から離れてビクンビクンと痙攣する。

「んほぉおおおおおおっ!!! 奥に残ってた濃いのがいっぱい出てるでゲソ!!!」
「んごぼごぼごぼごぼごっ!!??? ぼぁっ!!!? おぼろろろろろろろぇえええっ!!!!」
「えっ!? もうイッパイでゲソ!?? 地上人の胃、幼体にしても小さすぎないでゲソ!!?」

 やがて小さな胃をすぐに満たしたマラーナが少年の口から飛び出すと、少年は胃の中の物を砂浜に勢いよく吐き戻した。

「うわっ!? なんっだアレ……!?」
「えっぐ……! お゛ぇっ…!!」
「あの子死んじゃうって!! 助けなきゃ!!」
「そんなこと言ってもさ……うわヤッベ……」

 少年の口の中から大量に吐き出されたのは、先ほどゲソ女のマラーナの先端から滴っていた黃濁粘液であった。
 遠巻きに見ている人々からは分からないが、当然のように猛烈なイカフェロモン――アンモニア臭を放っている。

「げぼっ!! べぇっ!! うぇ゛ぇえっ!!! えぶぅうっ!!?」
「まったく! 初めてだったからって、ワタシのマラ汁を吐いてしまうなんてとんでもないことでゲソ! 仕方ないから頭からも浴びせてあげるでゲソ!」
「ぶぇえっ!! やめ゛っ! え゛ぇっ!! うぇえええええっ!!!」

 ビチャビチャと周りに飛び散りながら、少年の頭と顔に黃濁した粘液が浴びせられていく。
 マラ汁とやらは鼻が千切れるかと思う程のニオイもさることながら、舌を刺すような塩気と苦味、そしてエグ味もまた格別のものであった。
 もしも少年が"小便"の味を知っていれば、これはそれを何倍にも濃縮して腐敗させたようなものだと感じたであろう。

「ふぅ~~~、でゲソ。 ほらガキんちょ、これだけやれば少しはワタシのフェロモンの――」
「おぶぇえっ!! げぇっ!! え゛ぇええっ……!! かはっ…ぁ……!!」
「――素晴らしさが……はぁ、やっぱりダメでゲソか。 怒りを通り越してもはや哀れでゲソ。 この調子だと他の個体もダメそうでゲソね……地上人、かわいそうなヤツらでゲソ……」

 少年は胃の内容物どころか胃液も全て吐き出し、尚も口内と体内にベットリと残る不快感に嘔吐反射を抑えられないでいた。
 顔にもベットリと張り付いたマラ汁によって目は塞がれ、助けを求めて空を彷徨う手を取る者はどこにもいない。

 そんな少年を見下ろしつつ、ゲソ女は種族間の格差を憂いでいた。
 やはり地上人は姿や言葉が似ているだけで、知能の低い獣のような存在であると彼女は結論付ける。

「まっ、それならそれで侵略が捗ってイイことでゲソ! ややっ! 反応が大げさなのは面白いから、ペットとかにするのはイイかもでゲソね!? イカカー!! 一瞬で利用方法を思いついてしまうなんて、ワタシかしこすぎでゲソーー!!」
「げぼっ、ぶぉぇぇ……だじゅ、げで……おど、さん……」
「うーん、でもコイツはもうペットとしてもダメそうでゲソねぇ……あっ、そうだ!!でゲソ!」
「おが、さ……あぅっ!? んむぐっ……!!??」

「お、おいアレ、何してんだ…!?」
「知らねぇよ……くそぉ! ケーサツまだ来ないんかよ!!」

 文字通り瀕死の状態で蹲っていた少年を再び跨ぐような姿勢で立ったゲソ女の周りで蠢く触手が動き、少年を包み込むように覆い隠していく。

 触手の檻の中に完全に隠された状態で、少年は見た。
 
 ゲソ女の股ぐら、触手の付け根にぽっかりと空いた空虚な穴を。

 その穴が涎を垂らしながら蠢き、次の瞬間にはグバリと大きく口を開けたのを。

「やっ、あっ……たずげっ――――ん゛んんんんんーーーーっ!!!!??」
「んほっ、おぉう……ちょっと大きいけど、伸ばしたらギリギリいけそうでゲソ! いや~~~初の生きた地上人、それもプリプリの幼体! どんな味がするんでゲソかね~~!!」
「ん゛んんんんっ!!!!! むぐっ!!!! ん゛ぅうううううう!!!!!」

 ゲソ女の発声器官は頭部にあるが、獲物を捕食するための真の意味での"口"はこの股ぐらに備わった穴であった。
 窄まった肛門のような見た目の穴は一瞬にして何倍にも広がり、少年の頭を丸呑みにしてしまった。

 バグン、と少年に食らいついたゲソ女の"口"は、モゴモゴと蠢きながら少年の体を徐々に飲み込んでいく。

「ん゛んんんんんっ!!! んぶぶぶぅううう!!!!??」
(ボクいまお尻に食べられてる!? く、くさい!! 気持ち悪いよぉお!!!)

 ゲソリング族にとってその器官は"口"であり、また肛門でもあった。
 彼女たちの生態を知らない少年がその位置や見た目からそれがただの肛門であると誤認したことは些細なことである。
 事実、胃と腸を兼ねたような彼女の"口"の奥は消化中と消化後の物が混在しており、肺を焼くかのような汚臭に満ちていたのだ。

 触手と同じく伸縮性のある彼女の身体が、小柄な少年の全身を飲み込んでしまうのに時間は掛からなかった。

「ん゛っ…………!!! も゛っ……っ!!!! ごぉ……ぉ…………」
(くさいっ!! あつい!! 息できない!!! しんじゃう!! たすけ……だれ…か…………)
「んぷぅっ! やっと大人しくなったでゲソ……。 それにしても地上人の幼体はなかなかに美味でゲソ! つるっとした食感とクリームのようなまろやかな味わいがたまらんでゲソ~!! やっぱり新鮮なヤツは踊り食いに限るでゲソね~~!!」

「う、うそっ……たべ、た……?」
「子供……に、人間、食いやがった……う、うわぁああああ!!!」
「きゃああああああああ!!!!??」
「やべやべやべやべぇえ!! あいつマジやばいってぇええ!!!」

「イッカぁ~~!! 頑張って地上まで来た甲斐があったでゲソね~~!! ナマの地上人の幼体がこんなに美味しいとは思わなかったでゲソ~~!! おっ!? 来た来た来たぁあ~~~!!!! でゲソ!」

 少年を丸呑みにし、ぽっこりと膨らんでいたゲソ女のイカ腹が徐々に萎み始めたかと思うと、それに合わせるようにして彼女の体が巨大化し始めた。
 暗褐色の腕や足、そして触手は一回り太くなり、背丈も180cm程だったものが今や2mを優に超えている。

 実は彼女の体は、深海から地上までの超長距離遠洋による疲労と渇きによって大きく縮んでしまっていたのであった。
 少年の体を消化して得たエネルギーによってゲソ女の体がいくらかの活力を取り戻したのである。

 地獄へ向かって際限なく加速するような事態に、人々はパニックになって逃げ出してしまった。
 ご機嫌なゲソ女は彼らを追いかけるでもなく、触手を宙にうねらせながら腰に手を当てて高笑いしている。

「イーーッカッカッカ!! まだ本調子じゃないでゲソが、この調子でどんどん食べたら元の大きさに戻れそうでゲソ! 待ってる同胞たちには悪いでゲソが、一足先に地上で食べ歩きグルメツアー開幕でゲソ!! 役得ってヤツでゲソーーー!!!」
「うっ、うぅう……かえ、してぇ……ソウタを…おね、がいぃ……」
「ゲソ??」

 地上人の居住区であろう街並みを眺めて楽しげに計画を立てていたゲソ女の足首を弱々しく掴む手があった。
 ずるずると浜辺をフナムシのように這いずって彼女の元までたどり着いたのは、先ほど彼女が殴り飛ばした少年の母親であった。

「ソウタ……?? あー、もしかしてさっきの幼体のことでゲソ? 返せと言われてももう食べちゃったから無理でゲソよ」
「しょ、う……!? うそっ、うそぉおお……!! かえしてぇ……! かえしてよぉおお……!!」
「なんでそんな……あっ、そういえば聞いたことがあるでゲソ! 地上人は一度に1匹か2匹くらいしか幼体を産まないって! はーーー、理解できないでゲソ! 幼体っていうのはほとんどが食べられてしまうのが当たり前でゲソ! それ1匹しか産まないで惜しむなんて自業自得としか思えないでゲソ! やっぱり地上人はバカでゲソねー!! イーッカッカッカ!!!」
「あぅっ、うぐぅうう!! がえじでぇえ!! おねがいぃいい!! ソウタぁああああ!!!」

 一度の産卵で数百から数千の子を産むゲソリング族の彼女にとって、地上人の子どもへの執着は理解しがたいものであった。
 もちろん、仮にそれを理解していたからといって、彼女が下等生物と見下す地上人への扱いを改めることなど無いのであるが。

「はぁ~~~~わかったわかったでゲソ! 仕方ないでゲソねえ……そこまで言うなら返してやるでゲソ! まだ消化中だったけど……ワタシ寛大さに感謝するでゲソ!!」
「あっえっ……!? あ、ありが――」
「ふっ、ぬ゛ぅううううんっ!!! でゲソ!」

 ブリュッ!!
 ボブリュリュリュッ!!

 ベヂャアッ!!!

「―――えっ……?」

 少年の母親の前に触手を広げて立ったゲソ女が野太い声で息むと、股間部の"口"からは湿った排泄音と共に茶色い物体が放り出された。

 ゲソ女の出したてホヤホヤの大便――そう形容するしかない見た目と臭気を持ったその物体の中央には、半開きの口から汚物を溢れさせながらピクリとも動かない少年の顔が覗いていたのであった。

「はふぅ~……あぁ~~あ~もったいないでゲソぉ~……まだ味があったのに……でゲソ」
「ソ、ウ……あぁっ……!? いやぁあああああああああっ!!!!!!」
「うわっ!? なんでゲソ!?」

 体中あちこちが萎んだように溶けて汚物に変わり、もはや排泄物としか思えない見た目に変わり果ててしまった息子の姿を目の当たりにし、ソウタの母親は絶叫した。
 元凶であるゲソ娘は耳を押さえながら迷惑そうな顔をしている。
 
「うるっせぇえええ……でゲソ。 地上人は声だけはデカいでゲソね……ていうかオマエ、食べないでゲソ? せっかくワタシが断腸の思いで返してあげたのに……?」
「うぁあああああっ!! ソウタ!! ソウタぁあああ!! あ゛ぁあああああああっ!!!!」
「えぇ~~……もしかして食べて次の幼体を産む栄養にするんじゃなくて、まだ生きてると思ってたでゲソか?? うへぇ……地上人の感覚がぜんぜん分からないでゲソ……さすがのワタシもドン引きでゲソよぉ……あっ!」

 悪臭を放つ排泄物と化した息子の亡骸に縋り付いて慟哭を上げる母親の姿を見て、ゲソ女が顔を顰めながら後ずさる。
 と、そこで彼女は何かを思いついたように手を打った。

「そうでゲソ! そろそろイイ時期だし、ワタシも地上で産卵するでゲソ! 幼体が産まれたら侵略は捗るし、無知なオマエらに産卵の何たるかを教えてやれて上位者たるワタシも満足でゲソ!! 一角二魚でゲソ!! ワタシの聡明さが留まるところを知らないでゲソ~~!!!」
「ソウタぁああ! いやぁああ、いやぁああ……!! い゛っ!? あ゛っ!? やっ!! いやあぁああっ!!!」
「イカカ! そうと決まれば…………ゲソぉ……??」

 巨大化した人間部分の腕でむんずと体を捕まれ、ソウタの母親はまるで玩具の人形のように股を広げた状態でぐるんと裏返された。
 一瞬にして下衣を剥ぎ取ったゲソ女は、彼女の股間部を凝視しながら頭にハテナを浮かべた。

「これ……えぇ……? なんで穴が二つあるでゲソ? マラーナも付いてないし……やっぱ地上人の体はヘンでゲソねぇ~……まっ、いいか! よいしょっ!! でゲソ!」
「あ゛ぅう゛うううっ!!??」

 太ももを固定するように触手が巻き付いたかと思うと、次の瞬間にはズドンと大きな衝撃と共に、ソウタの母親の膣にゲソ女自慢のマラーナがブチ込まれた。
 骨盤が砕けるかと思う程の衝撃と激痛に、母親の全身が硬直する。

「うぉお……せンっっま!!! でゲソ! こっちの穴じゃなかったでゲソ……? まっ、あとで両方に入れたらイイでゲソね! それじゃイクでゲソよ~~~……コダネ汁ブッシャアアアアア!!! でゲソ!!」
「あ゛っ……がぁああっ!!?? がひゅっ!! ごっ……おごごっ……!!」

 ソウタの母親の膣へマラーナを無理やり挿入したゲソ女が力を込めると、先ほどソウタにブチ撒けたよりはいくらか白っぽい、ツブツブとした質感の粘液が母親の胎内へと大量に放たれた。
 それはゲソリング族である彼女の無数の子種であった。

 そしてその直後、彼女らの足元でソウタの父親がようやく目を覚ました。

「うっ、ぐっ……!? っつぅ……! 何が……うぁあっ!!?
「あ゛っがっ……ががががっ……だじゅっ、げ……」
「イーーッカッカッカ!! その身をもって味わうでゲソ!! これが本当の産卵というもので――――ゲソ?」
「お、おい!! やめろ!! 頼む!! やめてくれぇえ!!!」
「今イイとこでゲソ!! オマエはコイツの後でゲソ!!」
「頼む!! 何でも―――モ゛ギャッ」
「ん? あぁあーーーーっ!!?? でゲソ!?」

 ゲソ女の股間の産卵管に貫かれ、妊婦もかくやという程にどんどん腹を膨らませていく妻の姿を見て、父親は同じようにゲソ女の足元に縋り付いた。
 だが、産卵中で昂ぶっていたのと少年からエネルギーを吸収した後だったのとで、力加減を誤ったゲソ女が振るった触腕は父親の頭部をやすやすと吹き飛ばしてしまったのだ。

 ビクンビクンと電気的な死後反応を返しながら崩れ落ちた父親の亡骸を見て、ゲソ女が頭を抱えた。

「しまったでゲソーー!! こっちにも後で産み付ける予定だったのにでゲソ……!! さすがに死体に産んでも幼体が育たないでゲソからねぇ……」
「お゛っ、ごぉっ……ぼぁっ……バブジュッ」
「もったいな――うわわっ!?!? えっ!? バクハツしちゃったでゲソーー!!?」

 ゲソ女がよそ見をしている間に、許容量を大きく上回る量のコダネ汁を無理やり注ぎ込まれ続けた母親の体はドバンとゴムタイヤが破れるような音を立てて破裂してしまった。
 当然ながら注ぎ込まれていたコダネ汁は全て飛び散り、熱い砂浜にシュワシュワと染み込んでいってしまった。

「ぐゎーーーー!!? でゲソ!! なんてことでゲソ!! 地上人に産み付けるの難しすぎでゲソ!!? こんなだからコイツらは数が少ないんでゲソ!!」

 陸の上で暮らす数十億の地上人も、面積だけで3倍近い海の遥か深くで繁栄を極める彼女たちにとっては少数の珍獣でしかなかった。
 触腕の先に僅かに残った肉片を放り投げ、ゲソ女はどんどんと地面を踏み鳴らした。

「ふん! まぁイイでゲソ! 海にはほとんどいなかったけど、ここにはやっぱり結構な数の地上人がいるみたいでゲソ! さっきの産卵でまた縮んじゃったし、まずはやっぱりグルメツアーの開幕でゲソー!!」

 ひとしきり悪態をついたゲソ女は、気を取り直して遠くに見えるビル群を見つめた。
 まだ見ぬ美味、そして珍味を同胞たちより一足先に味わうために、彼女は胸を高鳴らせながらその一歩を踏み出したのである。

「イカカ!! 早く次の幼体が食べたいゲソねぇ!! さっきは邪魔されたし、こんどはジックリ……あっ、そうださっきのはオスだったから、メスとの食べ比べもしたいでゲソ!! ワクワクドキドキ! 夢が広がりんぐで……ゲソ?」

「こ、これは……くっ、遅かったか……!」

 じゅるりじゅるりと"口"から涎を滴らせながら、悠々と歩を進めていたゲソ女の目の前に、やけに派手な大型のバイクが停められた。
 そこから降りた男は他の地上人と明らかに違う……いや、形はよく似ているのだが、何かを着込んでいるのか肌の色は見えず、触覚と複眼のようなモノが備わった頭部はまるで以前、海底で見たグソクムシのようで……その手には禍々しいトゲに覆われた棒状の鈍器が握られていて……

「なんでゲソ? オマエも地上人でゲソか? その割には固そうで、トゲトゲして……うぇえ、マズそうでゲソ……」
「怪人め……覚悟しろ!! とォウッ!!!」
「ゲソぉおっ!!?? と、跳ん――――」
「バッタァアアアアア!!!! ストライクゥウウウウ!!!!!」
「――――でゅぶぇえええっ!!!???」

 ベゴッ!!! ドグチャッ!!!

 ズドォオオオオオオオオオオオオオオオンッ!!!!!



 辺鄙な海水浴場を襲った未曾有の災害――深海怪人ゲソ女は、駆けつけた正義の味方――"仮面バッター"の渾身の一撃で頭部から上半身までを粉砕されて絶命した。
 ガクリと倒れ込んだ彼女の下半身もまた、残心を決める仮面バッターの背後で無惨にも爆発四散したのであった。


 稀によくある怪人災害、その一つを一撃のもとに華麗に解決した正義のヒーローを人々は讃え、歓喜に両手を打ち鳴らす。


 しかし、文字通り超人的な強さを持つ彼らでも、駆けつけるまでに失われるような儚い命を救うことは不可能である。


 人類滅亡の脅威を幾度となく食い止める彼らの活躍劇の裏側では今もまたどこかで、人知れずに無辜の命が失われているのであった――――

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