リア☆カレ 2023/04/28 21:06

2222DLお礼SS 裏アカ声優の絶頂管理 ~嫉妬心と独占欲のその先にあるもの~

 煌びやかな歓声に包まれて、ライトの下で手を振る要くんは、私の知らない誰かのように見えた。
 要くんが声をあてた映画の完成披露試写会は盛況で、壇上に立って挨拶する要くんには多くの賛辞が送られる。
 それに応えるように要くんが手を振ると、一際大きな歓声があがった。
 その大半は、可愛い女の子達によるものだった。
 嫉妬深い方ではないつもりだったけれど、要くんと付き合ってから、私は自分の中に潜む嫉妬心と独占欲に気付かされた。
 彼氏が多くの女の子達から恋心を抱かれる人気声優だというのは、妄想ならばとても楽しいものだろうけれど、現実となるとそれだけでは済まなかった。
 要くんは私のことが好きだと言うけれど、私は要くんに釣り合うのかと問われれば、そんな自信はない。
 自己肯定感が低いつもりはないけれど、あれだけ多くの女の子達から騒がれる人気者に釣り合うと豪語出来る程には、私は自分に自信を持てなかった。
 壇上で輝く要くんを、会場の隅に座りながら静かに見つめる。複雑な思いを抱えた私を置き去りにして試写会は終了し、私は一人会場を離れた。
 会場から少し離れた駐車場に向かい、車の中に乗り込む。
 要くんの愛車だ。
 要くんの自宅の鍵も、車の鍵も、私の手の中にあるというのに。
 それなのに、どうしてこんなにも心が騒めくのだろうか。
 それはきっと私が、要くんを――。
「お待たせ」
 不意に運転席の扉が開く。
 乗り込んできたのは要くんだった。
「ごめんね、ちょっと会場を出るのに時間がかかっちゃって。怒ってる?」
 色々考え込んでしまったせいで、そんなに時間が経っていることにはまったく気が付いていなかった。
 だから軽く否定したのだが、そっけない私の返答に要くんが悲しそうに眉根を寄せた。
「……やっぱり怒ってるの?」
 困ったような顔で見つめてくる要くんは、先程の姿とは違う等身大の要くんだ。子犬の様な瞳でうるうると見つめられると、自然と笑みが漏れた。
「怒ってないよ、要くん」
「そっか、よかった」
 私の返答に安堵したような顔をして、要くんが微笑む。
 可愛い姿にぎゅっと抱きしめたくなるのをぐっと堪える。車内とはいえ油断は出来ない。どこで誰が見ているかわからないし、写真でも撮られた日には最悪だ。私が要くんの足を引っ張るのは嫌だった。
 しかし、そんな私の気持ちを無視するように、要くんが急に手を伸ばしてきて私を思い切り抱き寄せた。
「ねぇ、じゃあどうしてそんな風にそっけないの?」
 先程までの子犬のような瞳から一転して、支配的な瞳で要くんが私を見つめてくる。
 間近で見るその瞳の美しさに息を呑んでいると、要くんはなおも私を強く抱き寄せた。
「要くん…だめだって…」
 慌てて身体を引き離そうとするけれど、要くんは更に強く力を込めて来た。
「俺以外の誰かを見てたの?」
 言葉の意味がわからなくて思わず見返すと、要くんがじっと私を見つめていた。
 女の子達から熱視線を浴びる要くんを見て嫉妬していたというのに、要くんはまるで正反対のことを言う。
 だから、そんなことないと否定するけれど、そんな私に要くんがおかしそうに口許を緩めた。
 そして不意に顔が接近したかと思うと、耳元に唇が触れる。
「…んっ……ぅ…」
 くちゅりと舌で耳朶を舐められて、触れる要くんの吐息に思わず声が漏れる。そのままはむっと熱い唇で食まれて、身体がピクリと僅かに仰け反った。
「俺以外の男を見てたから、そんなそっけない態度を取るんじゃないの?」
「…ゃ…ちが…う……ぁ…」
 逃れようと顔を動かすと、逃さないとばかりに力強く後頭部を掴まれた。その力の強さに、要くんの本気を感じ取る。
「…っ…だめ…要くん…誰かに…」
 誰かに見られてしまう。
 そう思って制止しても、要くんはまったく聞いてくれない。私の耳朶を甘く食みながら、熱い吐息を耳奥に吹きかけてくる。
 その吐息に感じてひくりと震えると、要くんの手がブラウスに触れて来た。服の上から乳首を探るように撫でられて、そのもどかしさに首を振る。
「っ……ふ…ぅ……要…くん…」
 ただ指で撫でられているだけで、服とブラジャーに阻まれて刺激などほとんどないのに。それでも、要くんの指で触れられると、じっとしていられない。
 時折強く爪で引っ掻くようにされると、圧迫された乳首が甘く疼く。
 だめだと言いながら、直接触って続きをして欲しいと願ってしまう浅ましい己の姿を突き付けられる。
「んっ…やぁ…そこ……っ…」
 感じている私を見た要くんは、やめるどころか更に力を込めて来た。
 カリカリと爪で乳首の上を引っ掻いた後、初めからわかっていたかのように的確に乳首を服の上から摘まみ上げる。
 親指と人差し指できゅっと強く摘まれて、身体が大きく仰け反った。
「アァっ……っ…」
 大きな声を出してしまったことを恥じるように声を抑えても、要くんは指の力を緩めてくれない。強く摘んだまま何度も力を込められて、口がはくはくと開閉する。
「あっ……ふ…ぅっ…んっ……ヒッ…ィ……」
 乳首を摘まんでいた指が、唐突に捻られる。
 ぐりっと力強く指で捻られる刺激に耐えきれなくて、悲鳴のような声を上げてしまった。
「やっ…それ…やだ……捻るの…だめ…ぇ…っ…」
 ぐにぐにと押し潰されながら乳首を上下左右に捻られると、両脚を擦り合わせるように動かしてしまう。その卑猥な動きを要くんに見られているのだと思うと、羞恥でどうにかなってしまいそうだ。
 そんな私を、心底楽しそうに要くんが見つめていた。
 私はいつもこうやって――要くんに堕とされていく。
「ねぇ…こう言う時はさ…」
 指で乳首を抓る動きはそのままに、耳元で要くんの声が響く。
 それだけで、吐息が漏れてしまう。
「…っ……ぁ…」
「要くん以外の男を見てた…って言いなよ」
「え……」
 益々意味がわからない。
 要くんの意図が掴めなくて呆然と見返すと、要くんが嗜虐的な瞳を見せた。
「俺以外の男を見た罰として、お仕置きさせてよ」
 耳元で囁かれて、舌を耳の中に差し込まれる。
「んっ…っ…」
 否定したいこととか、聞きたいこととか――いや、そもそもこんなところでしちゃだめだとか。言いたいことは山程あるのに、そのどれもが口には出来ない。
 要くんに乱されて、私の理性はぐずぐずに溶かされていく。
「ここでしたら、誰かに見られちゃうかな」
 要くんが独り言のように呟く。
「でも別にいいよ。誰かに見られてもいい」
 誰かに見られてもいい――その言葉を聞いたら、もう制止することは出来なかった。
 要くんが欲しい。
 ただ、その想いで満たされていく。
「お前は俺だけのものなんだから……」
 要くんの唇が、私の唇に触れる。
 そのまま舌が唇を割って、口内に侵入する。要くんの舌で甘く口内を犯されながら、私は要くんをぎゅっと抱きしめ返した。
 深いキスで口を塞がれていて告げることは出来ないけれど。
 今の気持ちを伝えるように要くんを強く抱きしめる。
 大好き。
 要くんのことが大好きだよ。
 可愛くてかっこいい――私だけの要くん。


                 (終)

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