リア☆カレ 2023/08/18 20:55

【続編発売記念SS】裏アカ声優の絶頂管理 ~お仕置きのあとの甘い罰~

「お仕置きと罰ってさ、似てるけど厳密に言うと違うものだと思わない?」
 読書をしていた要くんが、不意にそんなことを言い出した。
 要くんは時々難しいことを言うから、何か哲学的な話なのかと思ってそのまま聞いていると、手にしていた小説をテーブルに置いた要くんが私に顔を向けた。
 その唇は薄く笑っている。
 あ、これは――スイッチが入ってる時の要くんだ、と本能的に悟る。
「浮気した『お仕置き』はこの前したけどさ。浮気した『罰』はまだ与えてないよね?」
「それは……」
 この前のことに触れられると、私は何も言えなくなってしまう。
 言い淀む私を置き去りにして、要くんはどんどん話を進めていく。
「貞操帯ってさ、中世ヨーロッパが発祥なんだって。従軍する兵士が、離れている間に妻や恋人の貞操を守るためにつけさせたらしいよ。俺は別にどこか遠くへ行くわけじゃないけどさ。ちょっと目を離した隙に浮気しちゃうような悪い子が恋人だから、貞操帯をつけた方がいいんじゃないかなって思って」
「貞…操帯…?」
 聞きなれない言葉だけれど、それが何を意味するものなのか、何となくわかってしまう。
「実はさ……もう用意してあるんだ。ほら、これ見て」
 これ見て、と言って要くんがベッドの下から取り出したのは、黒い革とステンレスのような金属で出来たものだった。想像していたものよりもはるかに毒々しくて本格的なそれに、私は嫌々と首を振る。
「嫌なの? でも、浮気したのは誰? 俺を不安にさせちゃったのは誰だっけ?」
「でも……」
「本当に悪いと思ってるなら、貞操帯くらいつけられるでしょ?」
 どう見ても、お遊び用のグッズという域を超えている本格的な貞操帯に、嫌な予感が拭えない。あれを受け入れたが最後、とんでもないことになりそうな気がする。
 未だに覚悟を決められない私を追い詰めるように、要くんが貞操帯を手に迫る。
「俺さ……お前のことが大好きなんだ。大好きだから、誰にも渡したくないの。俺だけのモノにしておきたい。わかってくれるでしょ?」
「…………うん」
 要くんにそう言われると、私はいつも逆らえない。
 何故なら、私も要くんのことが大好きだからだ。
 私の返答を聞いた要くんは、それはそれは幸せそうに微笑んだ。
 この顔に、私は弱い。
「いい子。じゃあ、下、全部脱いで?」
 促されるまま、履いていたスカートごと下着もすべて脱ぐ。
「これ、履いて」
 要くんに手渡されたものに、渋々脚を入れていく。
 革と鎖で出来た貞操帯に脚を入れるのは、とても抵抗があったけれど、なるべく見ないようにして脚を通す。両脚を入れると、要くんが私の脚元にかがんだ。そのまま貞操帯のベルトを締めて、私の股間に固定する。
 下着を履いたというよりも、おむつをつけられたような感覚に、何だかとてもぞわぞわしてしまう。
 とても卑猥だけれど、それよりも今は不安の方が大きい。
「可愛い。じゃあ、鍵掛けるよ」
「待って……本当に…掛けるの?」
 貞操帯を使ったプレイを楽しみたいだけなのではないか、という私の淡い期待を、要くんはあっさりと打ち砕く。
「当たり前でしょ? そのための貞操帯なんだから。ほら、動かないで」
 鍵穴に鍵を差し込んで、そのまま鍵が掛けられる。
 カチャリと音を立てて鍵を掛けられると、取り付けられた貞操帯がより密着した気分になって不安を煽った。
 仕組みはよくわからないけれど、要くんの許可がなければ外してもらえないのだということだけはわかる。
 こんなものをつけられてしまって、これからどうやって生活していけばいいのだろう。
「これでよし、っと。これでおまんこは勝手に使えないけど、クリトリス側はまた別の鍵だから、まだ触れるよ」
 言われて見ると、下側と上側で施錠がそれぞれ別で出来るようになっていた。
 今鍵を掛けられたのは下側で、クリトリスがある上側はまだ金属の扉が開いたままになっている。
「貞操帯を嵌められて感じちゃったの? なんか、少し勃起してない? ここ」
 ここ、と言いながら要くんがクリトリスに軽く触れる。
「ふっ……んっ…っ…」
 それだけで感じてしまって声を漏らすと、要くんがしっかりとクリトリスを摘まみ直す。
「変態だなぁ。貞操帯嵌められて罰を与えられてるのに、ここ、こんなに勃起させて感じちゃって。嫌だとか言ってたけど、本当はこういうの好きだった?」
「ちがっ…ぅ……んんっ…っ」
「違わないよね? だって、こんなに硬くなってる。俺の指でくにくにって潰してあげると……ほら、感じちゃう」
「あぁっ♡……っ…」
 指で強く押し潰されて、快感で脚ががくがくと震える。
 耐えられなくて要くんの肩に手を置き強く掴むが、要くんは指の動きをとめてくれない。
「クリトリスを指で押し潰されるの大好きだもんね? 指で揉み込むみたいにくにくにされると我慢出来なくなっちゃうね? もっと強い方が好き?」
「ヒッ♡♡…いぃ♡♡……っ♡」
 揉み込むような動きをしていた指が、急に強く絞るような動きに変わって、悲鳴が漏れる。
 だめ。こんなやり方されたら、すぐにイッちゃうっ。
「アァっ♡♡…だめっ♡…それ…だめっ♡♡」
「先端を絞るみたいに強く潰されると感じちゃうね? もうイッちゃう?」
「はっ♡……っ…い…く♡…いくっ♡♡」
「相変わらず早いなぁ。クリをイジめられると、いつもすぐイッちゃうもんね」
 絶頂を促すように、要くんが根本からしこしこと上下に扱く動きを繰り返す。
「ヒィっ♡♡…いく♡…だめ♡……っ…いく♡…いくっ♡♡」
 絶頂に向かって身体が震え、要くんの肩を掴む指にも力が入る。ぎゅうっと力強く掴んで絶頂に至ろうとした時、要くんが急に指の動きをとめた。
「ああ、いい感じに勃起したし、丁度いいかな」
「…ッ……ぇ……」
 意味がわからなくて、はぁはぁと荒い息を吐きながら要くんを見る。
 イク寸前になっていた身体は、未だにひくひくと震えているのに、要くんは至って冷静に私のそこを見つめている。
「じゃあ、自慰防止板を付けるよ?」
「えっ……」
「せっかく勃起させたところ悪いけど……クリトリスとはしばらくお別れだよ」
 まったく話についていけなくて、呆然として要くんを見つめると、要くんが怖い程に優しい笑顔で私を見つめ返す。
「まだ貞操帯は完成してないから。上から自慰防止板を被せて……ほら、こうやって留めると、クリトリスも触れなくなるから、オナニーも出来なくなっちゃうの。さあ、上の鍵も掛けようね」
 イク寸前まで勃起させられていたクリトリスの上にメッシュ状の板のようなものを被せると、要くんがそれを固定する。そのまま上側の鍵も掛けるつもりでいるらしい。
 こんな状態にさせておいて酷過ぎる。
「待って……やだよ、要くん…」
「他の男から守る目的もあるけど。俺と離れている間に一人でシテ欲しくないんだよね。シたくなったら、俺にお願いすればいいでしょ?」
「じゃあせめて……今、イカせて……」
 こんな風にしてから貞操帯をつけるなんて酷い。
 今、既にイキたくて堪らない状態になっているのに。
「だめ。発情した状態にしてから貞操帯つけた方が、次に会った時に楽しめるでしょ?」
「……そんなの…酷いよ…」
「だってこれは罰でしょ? つらくないと意味ないよね?」
「っ……それは…」
 こんなの酷い。酷過ぎる。
 でも、要くんにこれは罰だと言われてしまうと、何も言い返すことが出来なかった。
 黙った私に満足したように微笑みながら、要くんは笑顔のままで言う。
「でも、無理矢理は嫌だからさ。ちゃんと自分でお願いして?」
 こんなのほとんど強○なのに、要くんは無理矢理ではなく、私から望んだ形にしたいらしい。
 要くんはそういうところがあって、どんなに酷いことをする時でも、必ず私からお願いした形にさせたがる。そういう時は、私がお願いするまで絶対に許してくれないということも、既に私は知っていた。
 だからこれは――強○的で、甘い罰なのだ。
「……貞操帯の鍵を…掛けて下さい」
 だから意を決してお願いしたのに、要くんは満足してくれなかった。
「それだけ? 他に言うことは?」
「……っ…我慢の出来ない浮気まんこを…要くんの手で管理して下さい……」
 ぎゅっと手を握りながら、望んでもいないおねだりを口にすると、要くんが嬉しそうに笑った。
「いいよ。二度と浮気出来ないように、俺が管理してあげる。じゃあ、鍵掛けるよ」
 ガチャリと音を立てて、上側の鍵も掛けられてしまう。
 これで、もうセックスが出来ないだけでなく、自分でオナニーすることも出来ない。何をするにも、要くんにお願いして鍵を外してもらわなければいけないのだという恥ずかしい現実を、急速に思い知る。
 不安になって要くんを見ると、安心させるように要くんがキスしてくれた。
「んっ……ぅ…」
 唇を離しても、要くんはじっと私を見つめていた。
「お前のすべてを管理したい。全部、俺のモノにしたいから……」
 熱っぽい視線を絡ませながら、要くんが囁く。
「どうしてこんなに可愛いんだろう……好き過ぎておかしくなりそう…」
 私の耳朶を食みながら、要くんが甘く囁く。
「だから、お前もおかしくなって? 俺がいないとだめになるくらい…おかしくなってよ……」
 耳元で囁く要くんの声に感じてしまい、身体がぞくりと震える。
 要くんの言葉は、言霊のように私の中に入り込み、私をおかしくさせていく。
「…ぁ……要くん…」
 要くんは知らないだけだ。
 私はもうとっくに、要くんにおかしくされてしまっている。
 だけどそれをあえて口にはせず、要くんの唇を奪う。
 私から口づけて舌を絡めながら、薄く目を開けて要くんを見ると、私を見つめる要くんと目が合った。吸い込まれてしまいそうな光を帯びた要くんの瞳が、嗜虐心をいっぱいに湛えて私を見つめていた。
 その瞳を見た瞬間、ぞくぞくとしたものが背筋を駆け上がる。
 もっとイジめて欲しい。
 もっとおかしくして欲しい。
 全部、要くんのものにして欲しい。
 期待を込めて見つめ返すと、わかっているといいだけに、要くんが貞操帯の錠前に触れた。
 カチャリと響いた金属音は――これから訪れる甘い罰を連想させた。

                      (終)

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