書き殴りー♪
少年は目の前の光景にただ見惚れていた。
少年自身、今自身がいる場所も現実感が薄く感じていた。彼が生まれてからずっと過ごし、裏路地すら全て把握していると自称できるほどよく知る街に、こんな場所があったのかと思うほどであった。
世間は大型連休、少年が住む街も、普段人通りが多い駅前や商店街も皆出かけているのか閑散としている。
そんな中、おそらく過半数には満たない例外として自宅に篭っていた少年はふと思いついたのか、コンビニへと向かい始めた。
最寄りのコンビニへは歩いて5分もかからない短い道程だが、顔見知りのご近所さんと会釈をしてすれ違い、何事も起こることなく目的地に辿り着く、筈であった。
角を曲がれば目的地というところで、少年の足が唐突に停まる。期待していなかった偶然に彼の目が少しだけ見開かれた。
彼の視線の先には、制服に身を包んだ若い女性がいた。髪はショートカットで顔は若々しさの中に大人への女性へと変わる最中と喩えられるような可愛いと美しいが混ざったような。コスプレなどではなく、正真正銘の女子高生である。
しかし少年にとっては彼女の姿は誰よりも美しく女神と言っても過言ではなかった。彼女は少年の小さな頃から良く知る間柄であり、常に憧れであり、ひとりっ子であった彼にとっては姉のような存在であった。
少年はこの気持ちを恋だと気づいたのは、彼女がひと足先に中学生になり、一緒に登校できなくなった時に遡る。
ほぼ毎日のように一緒にいた姉がいなくなった寂しさもあったが、制服を着た彼女の姿がとても眩しく見えたのだった。
しかし視線の先の彼女は顔が赤らみ、どこか心あらずのように少年には映った。その表情は少年が想像と夢の中でしか見たことのない妖艶さが滲んでいた。
普段と違う少女に姿に声をかけることを躊躇していると、その間にも彼女はゆっくり離れていく。
少年は彼女の背中を距離を空けながらつけていった。
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