緒又しゆう 2024/01/08 00:00

【#4-4穂香おばさんは欲求不満】第四話 おばさんはデカチンディルドで裏垢デビューしがち

 平日の午後、夕暮れ時。20時を回ったオフィスには、もうほとんど人は残っていない。私は管理職だけを残して、企画部の会議を進めていた。

「それじゃあ、一課の担当は……♡」
「おお……♡」
「それで、二課の担当は……♡」
「み、見え……♡」
「六木部長、これはなかなか……♡」
「馬鹿、聞こえるぞ……!」
「……♡ と、こんなかんじね。会議はこれにて終了。皆、引き続きよろしくね」
「は、はぁ~い……♡」

 一通りの会議を終えて部下たちは、鼻の下を伸ばしながらその場を去っていった。
 私は一人残された会議室でそっと、外を見てみる。日の沈んだオフィス街ではまだまだ明かりの灯っている窓もあるが、暗い夜空をバックにして鏡のようになっていた。明るい会議室にたたずむのは、黒い髪をセミロングにし、ノースリーブニットと柔らかい素材のスカートを合わせた私が映っている。

「……さすがにちょっと、攻めすぎたかしらね?♡」

 小さく呟きながら、私は少し、身体を半身にしてみた。
 ノースリーブの袖口が大きく開いたニットは、軽く横を向いただけでブラがチラ見えしていた。下着に少しおっぱいの肉が乗っている様子だって……♡ 他の社員もいる手前、オフィスではジャケットを着て隠しているが……会議室ではそのジャケットも取り払っている。両腕を軽く上げれば、一日の業務を終えて蒸れた脇も丸見え……綺麗に処理した脇はちょっと肉を寄せるとおマンコみたいに筋を作っている♡
 普通はもっと若い子のを見たいはずだろうに……よっぽどみんな、女性に困っているのかしら。私としては、こんなアラフォーのおばさんをエッチな目で見てくれるなんてありがたい話だけれど……♡

「いい加減、何か方法を探さないとなぁ……はぁ……」

 ただ、ありがたい話なのは別として、私がやっていることはセクシャルハラスメントに他ならない。今は幸いなことに、皆……一応は喜んでくれているから問題にはなっていないものの、誰かが問題として掲げたら私への注意は免れないだろう。もしかすると減給、下手をすると懲戒免職という事にもなりかねない。となれば……なんとかしてこれ以外の方法を見つけなければならないわけだが……現実はそう甘くない。前回利用した女性向け風俗は、もう駄目だ。私が利用できる範囲内のお店は、軒並み着信拒否となってしまった。となれば、私に残された道はオナニーくらいしかない。おかげで毎晩騒音にならない程度は一人で慰めているわけだが……当然、そんな程度のオナニーで満足できるはずもなかった♡

「おや、六木部長」
「ん、あら。どうかしたのかしら? 鈴木さん」
「え、ええ、ちょっと資料を忘れてしまいましてな……部長はまだ残るんですか?」
「少しだけね…………♡」

 ほら、また……♡

「んっ、ンン~…………♡」
「うぉ……おぉ……♡」
「……♡」

 忘れ物を取りに来た部下を前に、思い切り背伸びして胸やら脇やら見せつけてしまう。薄眼で見やる、スーツ越しの勃起オチンポ……♡ 相手がイケメンだから求めているわけじゃない。今私を見ている部下の鈴木課長は、バーコードハゲのおじさん社員だし……何度か女性社員からセクハラの相談を受けている男性だ。それでも、いやらしい視線を向けられると、自然とアピールしてしまう……♡ 流石に翔太ほどってわけには……いかないわよね……♡ だけど同じような人を何人か誘ってワンナイトとか……いやでも妻子持ちの方に誘いをかけたりしたら今後の仕事に……でも課長クラスなら口も堅いだろうし……♡

「あ、あの、六木部長……?」
「え……あ、ご、ごめんなさいね。やだわ、おばさんになると、どうしても恥じらいってものが……♡」

 笑ってごまかしつつ、ひとまずジャケットを羽織って自分の脇や横乳を覆う。本能と理性との間で揺れ動く、私の欲求を隠すように……。本能っていうよりも、煩悩ってほうが近いんだろうけどね。もう頭の中では、彼のつやつやした頭に手を当てて、私のオマンコを舐めてくれるところを想像してしまっているんだから……♡ 本当にもう……何とかしないと♡

「……六木部長……♡」
「ん、どうしたの?」
「いやぁ、その……ヒヒヒ。少しご質問がありましてな?」
「何かしら? 私に答えられることならなんでも」
「そ、その……」

 鈴木課長は何やら言い難そうに周囲を見回した後、片手を口の横に添える。何やら内密にしたい話なんだろうか。私はそっと、片耳を向けた。

「……アキコ……裏アカ……」
「……?」
「こ、これに何か、き、聞き覚えは、ありませぬかぁ?♡ ぬふふ……♡」

 アキコ……? ウラアカ……?
 頭の中でぽくぽくと木魚が鳴り響く。本当ならここで数回鳴った後に鐘の音がチーンっと鳴り響けばいいのだが……。頭の中の木魚はぽくぽくなり続けて、やがて絡まった糸くずのようなイメージに飲み込まれていってしまう。というかチーンなんて考えたら、どっちかっていうとチンチンの方しか……ああもう、こんな思春期の男の子みたいな思考回路、本当にやめないと。

「ごめんなさい、聞き覚えがないわ」
「ま、またまた、ご冗談を……♡」
「あの……ごめんなさい、本当にわからないわ。どこか取引先の担当者さん……じゃないわよね。娘さんだったかしら?」
「えっ……あ、ほ、本当に……?」
「ええ……皆目見当がつかないわ……。ウラアカ……ウラアカ……ウラは……裏表の裏? アカは……赤? 赤の裏だから青? いや、反対色って確か緑よね? 緑? 緑……あ! そういえば取引先の部長さんに、緑谷さんっていたわね! 緑谷さんのご息女がアキコちゃんって事かしら?」
「い、いやいやいや、申し訳ございません。私の思い違いでしたな」
「……?」
「ハハハ。それでは……」
「え、ええ……それじゃあ、また」

 あれこれ聞きすぎたのだろうか。鈴木課長は何やら苦笑いしながら踵を返すと、そのまま腕を組んで離れて行ってしまった。会議室から出ていくすがら「まさか……」とか「しかしあのケイタイ……」と言っていたが、いったい何だったんだろうか……? まあ、そもそもとして緑谷さんのご息女がアキコちゃんだったからとして、それをこんな隠語にして伝える意味が分からない。となると何か、別の意味……?

「…………」

 私はふと、ポケットからスマホを取り出して、画面に親指を滑らせてみた。アキコは結局人名らしかったが……もう一つ、ウラアカの方が検索にヒットする。

「裏……アカウント……?」

 どうやらインターネットでの匿名アカウントのことを意味するらしい。ここまでくれば、流石にインターネットに詳しくない私でも、多少なりとも予想がつく。後ろ手に会議室のブラインダーを閉めた。指を滑らせ、空白の後もう一つ……「アキコ」の文字を追加してみる。少し前の投稿の中に、その動画はあった。私は音量を最小限にして、動画を再生。首から下だけの、女性の裸体が映ったその動画を……。

『ほうれ、言うてみい』
『……夫に先立たれてェ♡ 欲求不満なアキコのオマンコをぉ、今日もいっぱい皆さんのおちんぽ様で、いじめてくださぁ~い♡』
『よく言ったのぉ~、ほれ♡』
『お゛っ、んぉお、おマンコッ、お゛っ、まんこきもっぢぃ、きもぢぃン♡♡ お゛っっ、んぉっ、お゛っ、ぉぉ~~~、未亡人マンコッ、未亡人マンコぃっぐ、いっぐンぉっ、お゛っ、んぉ~~~~っ♡♡♡』
「……これ、か……♡」

 私は静かに呟きながら、スマホの音量をゼロにした。確かに私は未亡人だ。髪の毛の長さも同じくらいだし、鈴木課長も恐らく私と見間違えたのかもしれない。……声は全然似ていないと思うのだけれど。多分この人は、私よりももっと若い女性のはずだ。園花と同じくらいか、それよりも若いくらい。ただ……私はしばらくその画面を見やる。動画の下についた大量の、おそらく男性と思われる感想を見て、もう一度小さく呟いた。

「……これ、かぁ……♡」

 今度はまったく、別の意味を持って……♡

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