西縞りす汰 2024/01/06 21:00

【レポ】スランプを抱えた弱小絵描きが、ヌードデッサンに行った話。

 絵が上手くなりたい!!
 でも上手くなる方法がわかんねぇ!!
 エモい絵が描きたいけど、毎回棒立ちしかかけねぇ!!
 おらぁ神絵師になりてぇんだけど、メイキング見てもポーズ集見ても、ぜ~んぜん絵が上手くなった気がしねぇよ~~~~~~~!!!

 ……というのが、絵描きあるあるだと、私は思っています。
 皆さんは美術の授業で、デッサンを学ばれたことがありますでしょうか? 画塾や美大に通ってる方なら、もしかしたらデッサンやスケッチをする機会が多いかと思われます。
 ちなみにりす汰の幼少期のお絵描きは、常にダークマターを描いていたらしいです。クラスメイトの絵を集めた冊子には、皆は家族や友達やペットの犬をかわい~く描いてたみたいですが、何故か私だけなんか黒くてデカいぐるぐるを紙に目いっぱい描いてたようです。

 当時の幼稚園の先生は凄く気を遣ってくれたのか、コメント欄には「りす汰さんのポケットには、一体何が入ってるんだろう~?!」って書いて貰っていたそうです。こんな深淵みたいなポケットが実際にあったら困る。

 私がちゃんと絵を描き始めたのが中学生の頃だったのですが、周りに異様に画力が高いイキリキッズがいたせいで、とりあえず上手い絵を描かないとハブられるという暗黙の了解がありました。普通に怖い。元々小学校の頃も絵があんまり得意じゃなく、先程出たイキリキッズのせいでクラス全体の画力偏差値が爆上がりし、図画工作でいい成績を叩きだしたことはありませんでした。なんなら高校までは、美術よりも音楽の授業の方が成績良かったくらいです。楽譜読めないのに、なんでこっちの方が成績良かったんだろ……(???)

 それでもある時絵を上手くかけるようになりたいという思いから、上手く描くコツをまとめた自作のノートを作ったり、なけなしのお小遣いから交通費を出して、芸大が主催のデッサン講習会に数回通ったり、ノートに描きためた絵を人に見て貰うようにしました。
 とはいえまぁ、あんまり周りと比べるのもよくないとは思いますが、自分より上手い人って数えきれないほどいます。学校の先生やイキリキッズに「お前は下手だから信用できん」ということを散々言われ、絵を褒められた記憶がほとんどないです。なので背景なしの一枚絵を投稿しただけなのに、不特定多数の人から♡を頂けてる人を見ると「何が違うんだろうな……」と思うことが多かったです。りす汰よ、お前と神絵師の絵は根本的にレベルが違うぞ。

 それから月日が流れ、いつか好きな絵師さんみたいにかっこいい絵が描けるようになりたいなという思いがあったのと、上手くは無いけど描くという行為を積極的にしていきたいと思うようになり、SNSに絵をあげ始めたのが、後に一次創作を始めるきっかけの一つになりました。とりあえず描く、そんで色んなツールを試す。これの繰り返しでした。お陰で大昔よりも、上手いこと描けるものが申し訳程度に増えました。

 丁度先日、三年前くらいに描いた立ち絵をリメイクしたので、比較画像を作ってみました。前よりもマシにはなったと思います。多分。いやでも、もっとうまくなる方法がどこかにあるかも……?

 一枚でも多く絵を描きたい思いはあるのですが、数年描いてても解決しない課題は構図が全然思いつかないということでした。絵のシチュエーションを考えろって話なのですが、ここでシチュエーションにあったポーズが描けないという課題が増えたわけです。更には不規則な時間帯での勤務を求められたせいで、決まった時間に絵を描くのが難しくなったという、課題のトリプルパンチに見舞われることになりました。
 やばいぞ、色んな意味で満足に絵が描けない! そういう思いを抱えながら過ごしていると、だんだん絵を描くのが苦痛になってしまうんですけど、これは絵描きあるあるだと思いたい。なんとかして絵を描く機会を、それでもって、少しでも上達する手段が欲しい! そう思いながら過ごしていると、ある時毎週ヌードデッサンをやっているアトリエがあるという話を耳にしました。

 行かねば!!!!!!!!!!!!!

 これまた移動距離がとんでもなくかかる場所でしたが、スケッチブックと鉛筆数本を鞄に詰めて、藁にも縋る思いでアトリエに突撃することにしました。「風呂屋以外で人様の裸体を見るのは初だし、風営法に引っかかることが起きたらどうしよう……」というくっそしょうもないことを思いながら、手頃な席でモデルさんを描かせていただくこと三時間……。

 人間ってどうやって描くん???(混乱)

 何もわからねぇ~~!! 周りにいたのは絵が異様に上手いおじちゃんたちと、国籍バラバラのAPPバリ高美大生軍団。美出身でもなければ、本職は絵と無関係なので、マジでこの空間に自分がいていいのかがわかんなくなりました。
 それとその時思い出したのですが、私が前に通っていたデッサン講習会は野菜とか物体をモチーフにして、手順を教えて貰った状態で描いていたんですよ。なので生身の人間をモデルに描くという経験が今まで一切無く、アトリエそのものが「好きなように描いていいよぉ!」というスタンスだったので、マジでこれでいいのかがわかんなかったです。
 それからアトリエのオーナーさんと連絡先を交換して、開催日とモデルさんの特徴を不定期で教えて貰いながら、ひとまず行ける時に行ってみようという方針で行くことにしました。デッサンと銘打ってありますが、鉛筆のみではなく、好きな画材を持って行ってもOKとの許可も貰いました。なので初回以降は、水彩色鉛筆とつけペンとインク三色を持ち込むようになりました。
 デジタルで絵を描くときはグリッド線を頼りにアタリをとって、適宜資料写真を見ながらやるんですけどね。デッサンの時にアタリとろうとすると、なんかうまくいかないんですよね。一応見たままを描いてるつもりなんですけど、上手くいかないってことはアタリをとる能力が低いのかもしれない。上手く描けなさ過ぎて自己嫌悪に陥ることが多く、途中で抜け出した回数も少なくはないです。
 しかし、行ったこと自体は、決して無駄ではなかったです。わりとアンバランスな構図になりがちではありますが、自信を持って「ここは上手く出来るようになった!」と思える箇所が出来ました。それがこちらです。

 脚の塗り、結構うまくなったのでは???
 そうです、私が行ってるヌードデッサンのアトリエは好きな画材を持ち込んでも良い場所。つまりモノクロではなく、カラーでもOKということです。鉛筆の濃淡で色を表現したかったのですが、それが上手くいかなくて挫折した(挫折すな)ので、前から部屋の片隅で眠っていた水彩色鉛筆を使うようになりました。
 肌ってよく見たら黄色みがかってるとこや青みがかってる場所があるのと、影が右にあるなら左は白っぽくしないと駄目ってわけでもない。おおよその人がわかっているかもしれないことに、やっと気づけた。その甲斐あってか、最近肌の色塗りが楽しくなりました。

 

 また、同じアトリエではクロッキーもやっているらしく、今までクロッキーの存在を全く知らなかった私は結構衝撃を受けました。バランスがおかしくなる率は高いけど、普段自分が描かないようなかっこいいポーズをモデルさんが作ってくれるので、収穫が出来て良いなと思いました。まぁ、クロッキーは結構体力使う(個人の感想)なので、あんまり行けてないんですけどね……。

 ちなみに一度、オーナーさんが「モデルさんに絵見せてあげて」ということを言ってきたので「正気……???」となったことがあります。案の定美大生軍団が神作画のクロッキーを持って、モデルさんに寄ってたので、かなりハードルが高かったです。ワンチャン美大生の人に評価貰えるかなと思い、声をかけた結果。

モデルさん「これ私ですか? こんなに可愛く描いてもらってびっくりした~」
美大生のお姉さん「お、漫画描いてる人ですか?」
「独学で絵を描いてスランプ抱えた一般人です」

 ……というやり取りがありました。

 結論を言うと、ヌードデッサンに行って絵が上手くなるかどうかは、その人次第です。飛躍的に上手くなる人がいれば、何回も言ってるのに、部分部分しか上手くいかなかった……って人もいると思います。ですが、絵を描く機会を増やすきっかけにはなるはずです。こういうとこに来てるモデルさんって美男美女が多いのと、隣に座ってた海外出身のお兄ちゃんが凄く渋い水墨画風の絵を描いてたことがあるので。ある意味未知との遭遇です。もしお近くにそういうことが出来る場がありましたら、是非行ってみてください。私もクロッキーの上達を目指して、行く回数を増やしていきたいです。

【 まかない 】プラン以上限定 支援額:500円

実際に描いたヌードデッサンたち

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