3話<挿絵付き小説>一年後、オタクのオレ♂は爆乳(ビッチ)ギャル♀になっている

♯3 
五月も後半に差し掛かったある朝。目が覚めて、大きく伸びをしながらなんとなく発した声は、聞き覚えの無いものだった。 
「あ゛……んん゛…?」
顔をしかめながら何度か声を出してみるが、ガラガラとかすれてうまく出せない。今度は風邪か?と思ったが、
特に熱などもなく、体の調子はむしろいい。それに声はかすれているものの、喉が痛いということもない。これには、覚えがある。
…声変わりだ。
オレは首を少し上に傾け、自分の喉をさわる。
指先には喉ぼとけの形がきちんと感じられたが、これがあったのはいつからだっただろうか。
二度目の声変わり。昔の自分の声なんてもう覚えていないけど、中学の時の声に戻るのか?それとも、また違う声に変わってしまうんだろうか。

オレは洗面台で顔を洗い、鏡をのぞきこむ。
自分の顔に自信があるわけでもないので、オレはあまり鏡を見る習慣がない。
だからもしかしたら、他にも自分で気づかないうちに変化は起きているのかもしれない。
鏡に映っているのは、見慣れたさえないオタク顔だ。
運動も得意ではないため、体はやせ型。身長は中学であまり伸びなかったためクラスで前から3番目くらいかな。
高校で伸びることを期待していたんだけど…。まだ伸びる…よな?
なんとなく裾をめくって、自分の手足をマジマジと見つめた。
体毛が薄くなってる…ような気もするな。まぁ元々濃いほうではなかったし、薄くなって困るってこともないんだけど。
いかんいかん。なんか神経質になっているのかも。まだ一か月も経ってないんだ。そんなすぐに変わるわけない。
今までと何も変わっていない。変わっていないはずだ。
声のことだって、オレが勝手に声変わりだと思っただけで、本当は喉の調子が悪いだけかもしれないし。
もう一回、冷たい水で顔を洗い流し、ついでに念入りにうがいをしておく。
声の調子は戻らなかった。

6階建て賃貸マンション3階に我が家はある。間取りは2LDKで、個室はオレと弟が占有し、両親はリビングで寝ている。
昨年までは4つ下の弟と同室だったが、高校進学を機に父親が使っていた部屋を譲ってもらったのだ。
おかげで深夜アニメを気兼ねなく見れるようになったし、ヒトリアソビも捗るぜ。
…ん?そういや入院以降、一回もしてないような…?あれ?何日してないんだっけ?
一回夢精したきりで、それから………。
うん…色々あったしな。そういうこともあるだろう。今日帰ったら久しぶりにお気に入りのエロ画像(二次元)で励むとするか。
リビングに行き、声の調子の事を母親に報告し、寝ぐせ全開で起きてきた弟と一緒にニュース番組を見ながら朝食をとる。
父親は朝早く仕事に出かけるため、この時間は大抵いつもこんな感じだ。いつもと何も変わりはしない。
自室に戻り、パジャマを脱ぎすて、なるべく、自分の身体に目を向けないようにそそくさと着替えていつも通り登校した。
学校では声のことはすぐバレたが、単にかすれてるだけなので特に気にされなかった。オレは一体何を気にしていたんだろうか。
ホッとしたのもつかの間、問題はその後に起きたんだ。

(まずい、まずいぞ、これは……)
2限目、体育の授業中。マラソンとかいう苦行とは関係なく、オレの背中は冷や汗でびっしょりと濡れていただろう。
グラウンドを走っていると、胸に違和感を感じた。妙に擦れて痛いのだ。
はじめはわずかな違和感だったが、だんだんとはっきりと痛みを感じるようになり、
次第にガマンできる限界を超えつつあった。
さすがにおかしいと思い襟を引っ張って覗き込むと、Tシャツの上からでもわかるくらい、くっきりと乳首の形が浮かんでいる。
ただ寒さで乳首がたってしまうときとは違う。
上にジャージを羽織っているためそれほど目立っていないが、
山なりに服をもちあげるその形は、明らかにおっぱいの膨らみを主張していた。

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