神原だいず / 豆腐屋 2024/07/03 19:01

【再掲 / 玲と悠馬⑧】酔いが回って

 全力で問いたい。
 一体何なのだ、この状況は。
 なんで悠馬にベッドに押し倒されているのだ。
 これじゃいつもと逆だ。
 いや、押し倒されたというような色気もない。
 クッションも巻き込んでベッドにタックルされたかのようなこの雑多さは、一体何なのだ。

「なんで、かまってくれないの!玲、おれの事きらいなの?」
 キスしようと悠馬が顔を近づけてくるので、手のひらで頬を押し返した。
「いや、嫌いとかじゃなくて、君べろべろに酔っぱらってるじゃん…」

 事の発端は30分前、私のスマホに突然悠馬から意味不明の怪文が送られてきた事から始まる。

『えいはうまそこみおりに?』
「え、急にスマホ壊れた…?」
 お風呂上りで体がほこほこ、なんだかいい気分。
 ベッドに寝転がりながらだらだらとスマホをいじっていた。
 すると、急に悠馬から一切意味の分からない文が送信されてきたのだ。

 スマホを何度かたたいてみるが、特に変化はない。
 再起動してみても全然メッセージの文面に変化はない。
 あれこれ試しているとポシュッと軽い着信音がして、友人から
『来週って語学のテストあったよね?』
 と、普通に意味が通る文が送られてきた。

 ということは、悠馬の文はスマホのバグなどではなく、悠馬のスマホから送られた文章そのままなのだろう。
 余計意味がわからなくなってしまったが。
「えいは、うま、そこ、みおりに?エイ?海で泳いでるあのエイ?うまは馬?そこって、ど、どこよ…?」
 みおりに?に至ってはもう推測しようもない。

 もしかして。
 小説やドラマで恋人や友人から怪文が送られてくるという時は、きわめて危険な状況に巻き込まれている。
 悠馬も必死にメッセージを残そうとしたのかも。これは暗号なのかも。

 真剣に考えなくては、と思ってカバンからルーズリーフと筆箱を取り出した瞬間。

 ピリリリリリ、ピリリリリリ。
 着信だ。それも悠馬から。

「はい、もしも」
「うわっ!三河ちゃんじゃん!久しぶりー!覚えてるー?俺の事」
 言い終わらないうちにテンション高めの声が聞こえてくる。
 このスピード感、声のトーンはもしや。

「浅尾くん?」
「えっ、覚えててくれたの!まじで嬉しい!」
「いや、だって全然変わってないもん、しゃべり方。浅尾くん、相変わらずうるさいよね」
 高校生の時から本当に変わっていない。
 いつも、クラスの中心でよく笑いよくはしゃぎよく怒られていたうるさい、否、元気がいい男の子だった。

「いや、辛辣すぎじゃね?」
「…さお、要件言わな…と…」
 浅尾くんの声の後ろで、これまた聞き覚えのある声がする。

「え、阿波崎くんもいるの?」
 しばしの空白があって、電話の声の主が変わった。

「三河さん、久しぶり」
「うわあー、久しぶり!元気してた?」
 阿波崎くんも変わってない。
 浅尾くんと正反対で大人しくて真面目だったけど、あまりにも正反対すぎて逆に話が合うのか、浅尾くんとよく仲良くしていた。
 高校3年のクラスで阿波崎くんと仲が良かった悠馬は、彼を通じて浅尾くんとも知り合い、仲良くしていた。

 ぶっきらぼうな悠馬と、穏やかな阿波崎くんと、にぎやかな浅尾くんの3人組は、クラスのみんなからは不思議な組み合わせだと思われていたみたいだけど。

「元気だよ。ごめんね、急に電話かけちゃって。今、渡の携帯からかけてるんだけど」
「うん、悠馬に何かあったの?」

「いや、それがね。僕と浅尾が夏休みに旅行でここの近くに来たもんだから、渡と3人で遊んでご飯食べに行ったんだけど…」
「うんうん」


「…ってわけで」
「ごめんなさい!!今すぐ、馬鹿悠馬を迎えに行きます!」

 お風呂上り、ほぼスッピン部屋着のままでマンションを飛び出し、電車に飛び乗った。


 事の経緯はこうだ。

 浅尾くんと阿波崎くんと悠馬は一緒に遊びに行ったあと、晩ご飯を食べに行った。
 悠馬はお酒が全く飲めないので、ソフトドリンクを頼み、阿波崎くんと浅尾くんはお酒を頼んでいた。
 全員で2杯目を頼んだ時に、事件は起こった。
 店員さんが、ソフトドリンクとアルコールを間違えて渡したのである。
 運が悪いことに、ジュースの色とアルコールの色がそっくりで見分けがつかなかった。

 そして悠馬は、阿波崎くんが頼んでいたお酒をジュースだと勘違いして飲んでしまい、完全に酔っぱらってしまったのだという。
 酔っぱらった悠馬は本当にたちが悪い。いつもの5倍くらいたちが悪い。
 私はお酒が飲めるから一度、映画鑑賞会の時にお酒を持って行ったことがあるのだが、悠馬がべろっべろに酔ってしまったので、それ以降二度と悠馬とお酒は飲まないと誓った。


 連絡を受けた店の前に着くと、ひらひらと浅尾くんが手を振っていた。
 阿波崎くんの肩にぐったりと悠馬がもたれかかっている。

「ほ、本当にごめんね…!」
 息を切らしながら彼らのもとに走り寄る。
「いや、大丈夫だよ。というか、こればっかりはどうしようもないよ」
「とりあえず、渡の家までタクシーで行こうぜ。三河ちゃん、案内よろしく」

 タクシーに悠馬を詰め込み、悠馬の家へと向かっている道中だった。
「…いや、でも三河さんと渡が仲良さそうにしてて僕、安心したな」
 タクシーの中で阿波崎くんがしみじみとつぶやく。

「ほんとそれ!渡、酔っぱらってから三河ちゃんの話しかしねぇし」
 助手席に座っていた浅尾くんも振り返って悠馬を指さしながら言う。
「いいじゃーん、愛し合ってるねー!」
「ほんとに浅尾くん、うるさいままだね」
「おま、ほんと辛辣だな!照れてんだろ!」
 別に照れてない。ちょっと嬉しかったな、とか全く思ってませんから。ええ。

「いや、浅尾くんと阿波崎くんこそどうなの?どうせ、今も仲良くお付き合いしてるんでしょ?」
 阿波崎くんの顔を覗き込むと、彼は照れもせずに
「うん、今も付き合ってるよ。僕は浅尾の事、大好きだな」
 と言い放った。

「だってよー、浅尾君」
「ねえねえ、なんとか言ってよ、浅尾ー」
 二人してニヤニヤと浅尾君をからかったが、彼は真っ赤になって何も言わなくなってしまった。
「浅尾、恥ずかしくなったら急に静かになるよね。かわいい」
「…だって、急に、言うから」
 付き合うまでも付き合ってからも、いろいろな事があって、悠馬と一緒に彼らの悩みを聞いたりした事もあった。
 時には、二人とも泣くほど思い詰めている時があった。
 だけど、今、二人が幸せそうに笑っているから、私はなんだかとっても嬉しい。

 悠馬をマンションの部屋に放り込んだあと、2人はホテルへ帰って行った。
「悪い、俺たち明日には帰るから今日はホテルに戻るわ」
「ほんとごめんね」
「いやいや、こっちこそほんと悠馬が迷惑かけちゃって、ごめんね」
 またこっちに来る時は連絡してね、と言って2人と別れた。

 …さて。
 このベッドでのびてる悠馬をどうにかしないと。
 ぴくりとも動かないけれど、死んでいやしないだろうか…。

 心なしかほっぺがいつもより赤い気がする。
 悠馬の顔に耳を近づけると、すうすうと寝息らしきものが聞こえたので、どうやら死んではいないらしい。
 メガネを取ってあげよう。寝返りした時に割れたら危ない。
 起こさないようにそっとそっと、メガネのつるに手をかけた瞬間だった。

 天地がひっくり返った。
「…玲ぃい…好き…」
 えへ、とだらしない笑みを浮かべる悠馬が私の上に覆いかぶさっているではないか。

 そして冒頭に戻るわけである。
「んんんんーーー!」
「だから今日はだめだってば。酔ってるでしょ」
 悠馬はほっぺを膨らませて拗ねた。

「なんで!いつもは強引にしてくるくせに!なんで俺が甘えた時はだめなの!」
 ぽかぽかと肩をグーでたたかれる。地味に痛い。
「だから、あなためちゃくちゃ酔ってるじゃんか…大人しくしてください」
「酔ってるとか関係ない!」

 悠馬が私の肩にしなだれかかってきた。
 私にだけ効果があるフェロモンでも出てるのか知らないけど、ものすごく甘い香りがする。
「かまって、ねえ、お願い…。素面じゃ、はずかしくてこんなこと、できないもん…」
 ほーう。そういう事言っちゃうか。必死で突き放して我慢してあげてたのにな。

「えい」
「あっ」
 私に覆いかぶさっている悠馬の脇腹にぎゅっとしがみつく。
 そのまま、壁側にぐるりと回転するとあら不思議。形勢逆転だ。
 おでこと頬に何回もキスを落とす。
「さて、これで満足かね、悠馬さん」

「…う…」
 なんだ、その顔は。
 めちゃくちゃ嬉しそうな顔してるじゃないか、その顔はなんですか?
 口角が上がっているよ、おでこをおててで押さえてるよ、ほっぺが真っ赤っかだよ、なにこの可愛い生き物。

「うれしい…」
 悠馬を酔わせてみれば、理性大決壊の音がする。
「覚悟しなさいよ、悠馬…」
 さんざん煽っておいて、無事に済むと思わないことね。


「ひっ、はうぅ…っ、んぅう、み、みみ、も、なめないでぇ…」
 悠馬は耳も絶対に弱いとは思っていたけど、実はきちんと虐めてあげた事がなかった。
 しかし、こんなに気持ちよさそうな声を出すなら、もっと早くに開発してあげればよかった。

「んっ、や、あ、…うぅう」
 右の耳たぶを食みながら、舌でじゅっ、と吸い上げた。
 左は耳の後ろや、耳穴のあたりをくるくると人差し指で触れるか触れないかくらいで、撫でてあげる。

「ひ、ぅう、ゃ、はう、んぅう…」
 必死で私の手を押しのけようとしているが、全く力が入らないらしい。
 手首を持っているだけになっている。

 耳の外側をゆっくり舌で舐め上げると、悠馬が体をよじらせて喘いだ。
「んんんぅ、それ、や…」
「あら、これが好きなんだね」
 もう一度、ゆっくり舐め上げ、折れ目の部分を舌でちゅるちゅると刺激する。

「ひっ、や、あぁ、みみ、や、やだ、あぁあん…」
 執拗に舐めていると、悠馬の声がどんどん熱を帯びていく。
 酔っているからか知らないが、いつもよりスイッチが入るのが早い気がしてきた。
 今日、ものすごい可愛い顔が見られるかもしれない。
 ちょっとだけ期待で胸がわくわくしてきた。

「ふーーっ」
「ひぅうう!?」
 息を唐突に耳に吹きかけると、悠馬はより一層高い声で鳴いた。
 よほど驚いたのか、目をキョロキョロさせている。

「へへ、かわいい…悠馬、もっと耳の奥まで犯したげようか」
「うぅ、う…」
 迷ってる迷ってる。素直に言うのが恥ずかしくて迷ってる。全然こっち見てくれない。

 お、目が合った。

「して…?」
 首かしげちゃうのまでワンセットなのが控えめに言って可愛すぎるな。
 私の彼氏、すごいな。
 これは全人類が平伏すレベルの可愛さだと思うし、なんなら自主的に平伏してほしい。

「いいよ」
 耳穴の周りを一周、れろっ、と舐め上げる。
「ひっ…」
「まだ、入り口だよ」
 もう一度、舐める。もう一度。
 少しずつ感覚を狭めていき、れろれろ、くちゅくちゅ、と音がするまで耳穴付近を虐め続ける。

「んはぁあ♡んっ、んぅう…」
 内ももどうしをすり合わせているのが視界の端に見える。
 きっと下着は少しずつ愛液でじっとりと濡れ始めているころだろう。まだ触ってあげないけども。
 わざと音を立てながら舐め続ける。
 時折、耳の穴の中に舌を割り入れると悠馬の体が一層大きく跳ねた。

「ぁあ、う、ぅうう、んん、ん♡」
 少しずつ耳の中に舌を進めていく。最初は浅くちろちろと素早く出し入れを繰り返した。
「んぅ、ひっ、あぁ、そ、それ…ぁ、ああ♡」
 悠馬が逃げようとするので、頬に手を添えてぐっ、と口元に近づけた。
 今度はゆっくり、奥深くまで舌を入れ、ぬろろっ、と引き抜く。

「んんんんぅう…」
 もう一度、ゆっくりゆっくり奥深くまで舌をねじこみ
「ひうぅう…んっ」
 またゆっくりゆっくり引き抜く。
「ぁ、や、やぁああ♡」

 これを何回も何回も繰り返す。
「悠馬、腰揺れてるね」
「…っだ、だってぇ…んんんっ」
 悠馬の腰がいやらしく揺れている。
 着衣でもこの色気なのに、脱がせたらもう我慢が効かないかもしれない。
「だめでしょ、耳だけでそんな色っぽい声出して腰揺らしてちゃ」

 ジーンズの上から悠馬のペニスをそっと撫でた。
「んっ、んぅ」
「まだズボンの上からしか触ってあげない」
 何度も軽く上下に撫でているだけなのに、悠馬はたちまち息を荒くして喘いでいる。
「ひ、ひぁ…っんんぅ、や、ぁ…っ!」

 やたら気持ちよさそうにしているので、耳を虐めるのも再開してあげると、悠馬はさっきよりも激しく身をよじりだした。
「んぅうう、はぁ…っ、ぁ、あ、ああ。れ、れいぃ…あ、だめ、いっぺんに、あ♡だめぇ…」
 少しずつ舌を抜き入れするスピードを速めていく。
 耳元からちゅこちゅこと、さらにいやらしい音がする。

「悠馬は、耳犯されてこんなに感じちゃうんだね」
「ぅ、ぅううん、はうぅ、や、ぁあああ、ひぁあっ♡」
 ちゅぐちゅぐちゅぐ、ぐちゃ、ちゅこ、ちゅく、水音がどんどん悠馬の脳を支配していく。

「脳まで犯してあげようか」
 手近にあったタオルを悠馬の目元に巻き付けて、視界を奪った。
 そして一気に耳の奥まで舌を割り入れ、できる限り早いスピードで悠馬の耳を○す。

 悠馬が口端から唾液を垂れ流しながら喘ぐ。
「ぁあああっ、こ、これ、だめ、ら、らめ、や、脳みそおかされちゃ、うっ…♡」
 ほんとに虐め甲斐があるな。
 ここまでぐずぐずに感じてくれるのは嬉しい反面、ほんといつも心配になってしまう。
 たまに突然ねっとり、ゆっくり舐めてあげると、折れるのではないだろうかと思うほど腰が跳ね上がる。

「ぁ、あ、あ、あ、あぁああ♡んんんっ、も、らめ、おかしくなる…っ、めかくし、とって、や、これ、らめ…」
 ついに悠馬の呂律が回らなくなってくる。
 ジーンズのチャックを下ろすと、すでに下着は濡れそぼっていた。
 やっぱりそうだ、今日、やたら感度が良すぎる…。
 目隠しされているのも相まって余計に感じているのだろうか。

 耳を犯し続けたまま、ふにふにと下着の上から悠馬の中心を刺激する。
「ひぐっ、ひぁ、ぁああ、んんっ」
「下着、めちゃくちゃ濡れてるね。気持ちよくて先走りいっぱい出しちゃったの?」
「んんんぅうーー…っ、ひっ、あぁ、う」
「答えて」
 悠馬のペニスをぎゅっと握る。

「ひうぅ!」
「答えてよ、ねえ」
「ぁ、ぁうう…きもち、くて、あ、う、いっ、ぱいでちゃ、でちゃったの…っあ、あぁ♡」
 だめだ、可愛すぎてもうどうにもできない。
 ちゃんと言えたご褒美に、キスをしてあげよう。

 口の中に舌を割り込ませると悠馬の熱い舌が必死に追いかけてきてくれる。
 よっぽど嬉しいのだろうか、なかなか離してくれない。
「ぅ、ふぅ…んっ」
 本当に可愛い。
 キスをしながら、下着の上からまた虐めると、悠馬の体は気持ちいいところをかすめる度に、びくびくと跳ねている。

 ちゅぱっ、と音がして二人の唇がやっと離れた。
「はふ…っ、ふ、う…も、おねがい、も、ちょくせつ、さわって、おねがい…」

 この声は本当にずるい。
 いつもの低くて落ち着いた声はどこへやら。
 ただでさえ、普段から悠馬のお願いなら何でも聞きたいと思っているのに。
 そんな切なそうに上ずった声で強請られたら、断る理由なんかどこにもない。
「いいよ」
 だから、無意識のうちに許してしまう。

 悠馬の下着をずり下ろしていく。
 直接、そっと優しく触れるとそれだけで悠馬は口元を抑えて声を我慢しようとしている。
「触っただけだよ…?」
「んぅ、だ、だって、みえないから…」
 ぬるっ、と上に手を滑らせる。
「んんんぅう」
 次は下に。
「ひぁぁあ」
 もう一回。また上に、下に。

 ぬるぬると手を滑らせて刺激すると悠馬はまた私の手首をつかんだ。
「や、はや、はやい…だめ、い、いっちゃ…」
「何言ってんの、1回イったくらいでやめたりしないから安心してよ」
 ぬちゃぬちゃといやらしい音が部屋を支配する。
 悠馬は体を弓なりに反らせて必死に快感を逃そうとしているが、もう限界が近いようだ。

「だ、だめ、い、いく、いっ、ちゃう…ぅう♡あぁああああん♡♡」
 大きくびくんっ、と悠馬の体が跳ねたあと、白濁がどくどくとあふれ出してくる。
「ぁ、ぁぁあ…っ、はう」
 そのまま間髪入れずに片手で先っぽをひっかいて、もう片手で上下にぬるぬると刺激すると悠馬はさらに乱れた。
「えっ、やっ、なに、なにしてるの、まって!ぁっ、ぁああ、ひうあ、やっ…」
「待ちません」
「ぁああ、やぁあん♡いま、い、いっ、いったからぁあ♡いま、だめ、らめ、い、いじっちゃ、あぁ、さきっぽ、らめぇ、らめ、はうううう♡♡」
 悠馬は首を横にいやいやと駄々をこねる子どものように振り続ける。
「もっかい、イこうね、悠馬」
「や、やだああ、やだああああ♡あ、ま、また、またいっちゃ…!」
 ベッドの上でのたうちまわる悠馬はひどくいじらしい。
 どうしてこんなに嬲りたくなるのだろう。不思議な人だ。

 前髪は汗を吸ってペタリとおでこにくっついている。
 耳や首まで真っ赤にしながら、必死に歯を食いしばって快感に耐えている様は何というか非常に嗜虐心を煽るというか。
 目隠しの下の目はどうなっているんだろう。

「~~~っっ!!♡」
 2回目はあまりの快感に、もう声も出ないまま悠馬は果てた。
 白濁はさっきより多くないがそれでもびゅく、びゅく、と零れ落ちている。

「な、なんでぇぇ、おねが、て、もう、とめて…っ、も、いけない…いけないぃいっ」
「やだよ、止めない。だいたい、悠馬もう勃ってきてるよ」
「ひぁ、も、ぁ、だめ、だめ、おかしくなる、せめて、めかくしとって、きもちいいのいっぱいきちゃうから…っ」
 悠馬の体を起こし、後ろから抱きかかえるような形にする。

「わかったわかった。じゃあ最後にするから、悠馬が気持ちいとこ全部虐めてあげるね」
 耳を犯しながら、右手は乳首に、左手はペニスに持っていく。
「らめ、いっぺんは、ほんと、らめ、こわれる、こわれちゃ、こわれちゃうから…っ」
「でも悠馬、期待してるでしょう。気持ちいいところ全部いっぺんになじられて、頭おかしくなっちゃうくらい気持ちよくされる事、期待してるでしょ」

 悠馬は、少しだけ考え込んだあと、ゆっくりとうなずいた。
 顔が見れないのが残念だけど、きっとすごく虐めたくなる顔をしているから、見るのはやめておこう。

 乳首をひっかき、ペニスを上下にしごき、耳の奥深くまで舌で○す。
 一度に三か所も責められて、悠馬はたまらず体をよじらせて逃げようとした。

 だけど、逃がしてあげない。逃がすわけにはいかない。
 乳首を虐めている腕で悠馬の上半身をがっ、と抱き寄せ、自分の脚を外側から悠馬の脚に絡めて、ぐっと外に広げる。

「はあうううう、らめ、あぁああ、ぁん♡も、だめ、これ、きもちよすぎて…あ、あ、ひうう♡も、おかしくな、る…っ」
 先っぽを親指でぐりぐりと虐めると、悠馬は体をひくひくと震わせた。
「ん、ん、んんんんぅう♡も、だめ、や、きもぢ、ひぅうううう」

「…好きだよ」
「やっ、あぁ、~~~~~っっ♡♡」
 悠馬は最後にがくがくと体を震わせながら精を吐き出した。
 3回連続で出したからさすがに薄くなってはいたが、手にはてらてらと悠馬の愛液が張り付いている。
 悠馬はぜえぜえと息をしながら、私の肩にもたれかかってきた。
 体に全く力が入らないようだ。

「ごめん…虐めすぎた…」
 事が終わると、急に頭がさえてきた。
 どう考えても、酔っぱらいにやる所業ではなかった。
 思いっきりがっついてしまった…。
 翌朝、殺されるのではないだろうか。冷や汗が滝のように流れ落ちる。

「あ、そういえば目隠し…」
 慌てて彼の目隠しを取り、顔を覗き込むと、ぐずぐずにとろけた瞳と視線がかち合う。
 虐めてる最中に目隠しを外さなくて心底よかったと思った。
 
 気持ちよさで放心状態になって、さっきから微妙に焦点が合ってない感じがする。
 ビー玉のような丸い黒目がころころと動くその様の色っぽさ。可愛い。
 じっと眺めていると悠馬が口を開いた。
「もうだめ…」

「え?」
 悠馬がずるるる、と崩れ落ちた。

「え、うそ、悠馬!悠馬!悠馬―――!」


「確かに昨日酔っぱらって、阿波崎にも浅尾にも玲にも迷惑かけた。それは本当に悪かった。ごめん。あとでお詫びに何かする。だけど、どう考えてもお前もやりすぎだよな?なあ?」
「申し訳ございません…」
 翌日、案の定悠馬に死ぬほど怒られて、平謝りをする羽目になった。

「何かお詫びします…。何なら今からデートしようよ、最近行けてなかったしさ」
 悠馬はしばらく黙ったあと、立ち上がってすたすた歩いて行ってしまった。
 ううん、さすがに今回ばかりは本気で怒らせたかもしれない。
 どうしよう…と思案するもつかのま。

「何ぼおっとしてるんだ、早く準備しろよ」
「えっ」
「行くんだろ、デート」
「えっ」
「えってなんだ、玲が言ったんだろ」

 悠馬が振り返った。面食らっている私を見て、少し照れたように笑った。
「…阿波崎と浅尾見たら、俺だって玲とデートしたくなったんだよ、ほら早く」

 すさまじい衝撃波をまともに食らってしまった。
 心臓が死ぬほどバクバクする。
 これは、やはり惚れた方が負け。何でもお願いを聞いてあげたくなってしまう声だ。
「しよう、デート!私は映画館と水族館とゲームセンターと最近できた新しいカフェとショッピングモールに行きたい!」
「どれか一つにしなさい」

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