夜山の休憩所 2022/02/03 11:56

魔滅の巫女(書き下ろし小説アップしました)(2022年02月03日)

いつも応援ありがとうございます。

100円の有料プランにて、
本日発売の同人作品をアップしました。

内容は次のとおりです。
・製品のPDFデータ版(表紙、表紙差分、文章すべて収録)
・表紙の帯なし差分

最後になりましたが、
来月の初めにも同じ内容をアップします。

今のところ私の場合、
有料プランにアップした内容は、
翌月にも再掲載しています。

なお、この下の方にも文章を載せています。
途中までとなっていますが、
有料プランの方でDLできるPDFデータには、
全文が収録されています。
続きはそちらか製品版でおたのしみください。

よろしければご利用ください。



■作品につきまして■

●タイトル(英語名)※国内販売オンリーです。
「魔滅の巫女」(Shrine maiden warrior of Setubun)

●種類 小説

●分量 短編(文庫換算で80ページ程度)

●ご紹介
 小説でよくわかるかも知れない節分。

●傾向 
 書き下ろし。短編。節分。
 戦うヒロイン。巫女。鬼。
 凌○。快楽責め。
 キス。キスハメ。オッパイ。
 後背位。中出し。フェラチオ。輪○。

●お値段 250円(税込み)

●販売店
 https://amzn.to/32U1I0v

●その他
 アマゾン様のキンドルでのみ発売中です。
 他のお店で販売する予定は今のところありません。
 Kindle Unlimited(読み放題)でもお読みいただけます。

●小説、表紙イラスト 木森山水道(きもりやま すいどう)
 (石川檸檬、石川れもんの別名です)
 ・ツイッター https://twitter.com/kimoriya31


「最近の作品」

●木森山水道(きもりやま すいどう) 名義
・「純愛闘士ピュア・ストラグル 正義の力は不倫で輝く」
  表紙、挿絵:肉バキューム 先生
  出版社:キルタイムコミュニケーション 様
  公式サイト:http://ktcom.jp/books/2dn/dnd39
  主な販売サイト:https://amzn.to/3btu9D4

●石川檸檬(いしかわ れもん) 名義
・「ハツハメ 内定と引き替えに恋人の父に捧げる晴れ着姿」
 表紙:ロッコ 先生
 出版社:フランス書院 様
 公式サイト:https://www.france.jp/c/item/82960020900680000000.html
 主な販売サイト:https://amzn.to/3rqvj9M

・「ハメクリ ビキニサンタ姿で夫の部下にハメられる人妻のメリークリスマス」
 表紙:ズッキーニ 先生
 出版社:フランス書院 様
 公式サイト:https://www.france.jp/c/item/82960020900630000000.html
 主な販売サイト:https://amzn.to/3FpLQRo

・「ナツハメ 色白人妻が年下男たちに何度もイカされた話」
  表紙:ロッコ 先生
  出版社:フランス書院 様
  公式サイト:https://www.france.jp/c/item/82960020900350000000.html
  主な販売サイト:https://amzn.to/3CBOsKr
 ※同作の発売前に販売終了した同人作品を加筆修正したものです。

・「強○スワッピング 生贄になった人妻」
  表紙:アレグロ 先生
  出版社:フランス書院 様
  公式サイト:https://www.france.jp/c/item/82960020900330000000.html
  主な販売サイト:https://amzn.to/3w1MJM0
 ※同作の発売前に販売終了した同人作品を加筆修正したものです。

●同人作品(サークル:夜山の休憩所)
・「ギャル義母」(アマゾンのキンドル限定)
・「年越しネトラレ」(FANZA専売)
・「気の強い美妻 ゲス重役とのホワイトクリスマス」(アマゾンのキンドル限定)
・「なれそめのゴー淫ハロウィン!」(アマゾンのキンドル限定)
・「ちょろヒロイン即堕ち2コマ集」ほか

※販売店へのリンクはアフィリエイトです。
 踏んで飛んでお買い物していただくと当方にささやかながら広告料が入ります。
 リンク先の品物以外をご購入いただいた場合も入ります。
 ご利用いただければありがたいです。




「魔滅の巫女」
※途中まで。続きは有料プランのデータか製品版でお楽しみください。



     1

 おにはーそと、ふくはーうち。

 からっ風が吹く寒空の下。
 素足の小男は、月下の凍えた雪道で顔をしかめた。
「どこまで行っても、どこの家でも、バカみたいに同じ文句を唱え、忌々しく豆を撒いてやがる。己らの浅ましさに気づきもせずによォ」
 白目がちで深緑色の細い瞳が禍々しく光るものの、薄汚れたトラ柄の腰巻き一丁で骨と皮だけの身体をさすりながらでは、惨めでしかない。
 太い剛毛がうねる頭から漆黒のか細い角を生やす薄緑色の痩躯は、ときおり吹く冷え切った強風にたたら踏みつつも、行き交う人もない住宅街を進む。
「あん?」
 気付くと行く手の真ん中に、若い女が佇んでいる。
 足音はまったくしなかった。
「季節の境界に現れる邪気の化身……」
 白く整った細面の紅をさした唇から、よくとおる凜々しい声がした。
「巫女が祓うは世の太平を願うが故……」
 女にしては背が高く、神木と崇められる樹みたいに背筋の通った身体は、路肩に寄せられた雪よりも神秘的に光る白衣と、炎めいた緋袴、それに足袋と草履を纏っていて、周りの空気すら清浄に見せている。
「如月美春、参る!」
 夜よりも黒々とした前髪の左右をピンで留め、腰まで届く後ろ髪を低い位置で垂髪にしている巫女が、裂帛の気合いを放つ。
 異形の小男の目から、巫女の華奢な両肩から先が消えた。
 呑気に目を瞬かせた自分を罵る暇もない。
 気付いたときには、白衣緋袴は手にしていた弓を構え終えている。
 容赦の気配など一欠片もない、まつげの長い切れ長の目は、こちらをひたと見据えていた。
「ギャァァァッッ! お、オレの目が、目がァッ!」
 刹那、頭の中まで苛烈な灼熱感で満たされた。
 潰れた目で見たのは、矢を放ち終えた姿だったのだ。
 しかも女は、間髪入れずに二本飛ばしていた。
 一瞬呆けた己を罵倒する前に、軽すぎる身体をひねったお陰で、片眼のみを貫かれるだけで済んだ。反対の目を狙った矢は、顔面の左下を大きく抉って後方に消えた。
「どう見ても若い女のクセに、神棚で清めた炒り豆じゃなく、桃の弓に葦の矢の電光石火で両目を潰しにくるだと?」
 難を逃れた左目に映る横手の路地へ飛び込み、一目散にとん走する。
「己を〝魔(ま)を滅(め)する〟豆としているどころじゃねぇ……毘沙門天の化身かよ!」
 人間ならば噴き出るべき体液は一滴もこぼれていないが、死ぬほど痛い。
 泣きわめかずにはいられなかった。
「ひぃぃ、目がいてぇッ、口の横がいてぇッ、空気が歪むまで熱くした焼きごてを、ひぃぃぃッッ、常に押しつけられてるみてぇだ!」
 街灯にぼんやり照らされた雪道をひた走る。
 聞こえてくるのは、周囲の家からくぐもって響く祈りの文句と、見た目の割りに大きく甲高い悲鳴と、みっともない駆け足の音のみ。
 だが、立春に現れた鬼である自分を殺すと宣言した巫女が、追ってこないわけがない。
「走りながら逃げる獲物を矢で射貫くのは、達人といえど困難。力を温存して追いかけ回し、疲れるか隙を見せるかしたときに狩る腹づもりに違いねぇ」
 無駄なく着実に追いこむやり口を感じて、雪道よりも背筋が凍えた。
 逃げ場があるとも思えない。
 風習が形骸化している現代らしく、神棚で清めた炒り豆を使わず、落花生の類いを放っている家がほとんどなものの、豆類は素でも神聖なのだ。
 撒いて清められた場に踏み込めば、巫女に射られるのと大差ない痛苦に襲われるのは必至。何歩も進まないうちに消滅してしまう。
「クソがっ……だが、このオレが生まれたんだぞ、なにもかもおキレイに完結している世の中なら、生まれるワケのない邪気の化身が現れたんだぞ!」
 あてはないものの、自分がいることが希望だった。
 産まれ落ちたものに共通する生存本能のままに、かいた汗が矢を生やした目に流れるのも構わず、白い息を吐き散らして駆け抜ける。
 どのくらい走ったろう。
 息は上がり、目は掠れ、振り続けた手足が痺れて感覚がおぼつかなくなってきた。目どころか全身から葦の矢を生やした自分の姿が脳裏を掠めだした頃、待ち侘びた言葉を耳にする。

 おにはーうち、ふくはーそと!

 鉛みたいに重かった胸が躍った。
「おお……これだ、この言葉を聞きたかった……この怨念を浴びたかった!」
 最後の力でアイスバーンを蹴り、古く陰気なアパートの庭先に飛び込んだ。
「しめた、柊鰯もねぇぞ、これなら侵入できる!」
 雪かきもされていず、膝まで積もったままの凍った雪肌に顔面から突っこむ。
「弱り切るまで後追いしていたのが仇になったなァ、クソ巫女ッ! ここからはわしが主役よォ!」
 キバを生やした大口を開け、バラ撒かれていた落花生を泥混じりの雪ごと存分に食らう。粗野な咀嚼音がする度に、砕けた殻がヨダレごと飛び散っている。
「な、なんだこいつッ」
「アンタ……落ちた豆を食うほど腹が減ってたのか?」
「よく見れば、パンツ一丁の裸じゃないかっ」
「角を生やして身体も緑で……節分の鬼役のバイト中……?」
「こんなに哀れに痩せこけてるのが、コスプレなもんかよっ」
「女も仕事もカネもない、すかんぴんのおれらより酷ぇや」
 サッシから顔を出すむさ苦しい男達が同情し、鬼の快哉が響き渡る。
「わははは、世の中への不満、成功者への嫉妬、己の境遇への呪詛……大地と人の信仰が付与する理力が、邪気で塗りつぶされている豆は実に美味い!」
 骨と皮だけの身体が、みるみる太く逞しく膨れあがっている。
 ついた肉は筋骨隆々の大男の形を作っていった。
 貧相な体色も、灼熱の精気が溢れる赤いものへと移っていく。
 顔面の損傷は広がって伸びる肉と骨で埋まっていた。ごく自然に押し出された目の矢は雪の上に落ち、大喜びで力の源を食らう鬼の大足の下敷きになって粉々に砕ける。
 と、鋭く大気を切り裂いて、葦の矢が飛んできた。
「今のわしに通じるものかっ……うおッ!」
 殺気に振り向き、後頭部を狙った矢が五本もあったのを目視して仰天した大口で、ぜんぶかみ砕いて吐き捨てる。
「同時にこんなに射られたとは、若いのに末恐ろしい巫女だわい。物心つく前から、血の滲む鍛錬を積んできたのだろうなァ」
 腕を組んだ仁王立ちで、庭の端に佇む女を見返す。
 短くない時間、弱っていたとはいえ異形と追いかけっこをしてきたというのに、息がほとんど乱れていない。
 とはいえ、密かに焦っているのは、冷酷な狩人には不似合いに、獲物をねめつけているのが物語っている。
 顔よりも大きい女の連山でパンパンに張り詰めている白衣が、ゆっくり上下しているのも、心拍数が不穏に上がっている証拠だ。
「この場でぜんぶ、成果は淡雪よりも儚く消える。わしが消すからだ」
「少しばかり力を得たからと浮かれ、なにもかも思い通りになると思ったら大間違いですよ……ッ」
「ようやく出たまともな言葉は強がりか……膝を着いて赦しを乞えば、叶えてやらなくもなかったのだがなぁ」
 今度は巫女の目から、鬼の巨体がかき消えた。
 目を見張った次の瞬間、抜群に胸が大きい白衣姿が、くの字に折れる。
 岩石と見まごう鬼の拳が、深々とめり込んだのだ。
「かはっ」
 割り開いた紅唇から若い娘の甘いツバが飛ぶ。
 スカート型の緋袴は宙を舞い、白く眩しい太ももの半分以上が露出した。
「トラ柄パンツの鬼こそ地上最強ぉぉぉぉぉ!」
 身体をひねり、突き上げる勢いに遠心力を上乗せして、拳を振り抜く。
 圧倒的な力の差を思い知らせていた狩る側が、狩られる側の一撃で、人形みたいに吹き飛んだ。
 アパートの開いていたサッシから和室へ飛び込み、黒く汚れた柱に当たって畳へ跳ね返る。
「な、なんだよこれっ」
「貧相なバイト鬼が、落花生を拾い食いして本物の鬼になって……」
「なんか、矢を撃ったっぽい巫女さんが反対にぶっ飛ばされた……?」
「ひぃぃぃ、わけがわかんねぇ! 夢を見てるのかおれはァ」
 男達が頭を抱えるのを尻目に、鬼がのっそりやってくる。
 太く邪気が漲る一本角から室内に入り、凶悪に爪が伸びた足でレールを跨ぎ、洗い立てみたいに輝くトラ柄の腰巻きを翻して、仰向けで苦しげに呻く巫女を見下ろす。
「重症ではないが、しばらく動けまい」
「くぅ……わたしは……ッ」
 なんとか立ち上がっても、千鳥足で小さく震え続ける白衣姿に、赤鬼へと変貌した邪気の太い眉が「ほう、思ったよりやる」とばかりに上がる。
「わしを消そうとしたお返しに、祓おうとした鬼に負ける意味を教えてやろうと思っていたが、想像以上に嬲り甲斐がありそうだわい」
 邪気の化身は含み笑いした。

     2

「邪気祓いの巫女を……」
 吹き飛ばされても外れなかった背中の矢筒から、よろよろと二本の葦の矢を掴むと、固く握りしめた。
 外で殴られたとき、弓は取りこぼしてしまっている。
「甘く見ないでください……ッ」
 いくら圧倒的なまでに力が増したとはいえ、邪気の化身であることには変わりない。
 急所は、ランランと光る白目がちな両目だ。
「ハァァァァッッッ!」
 なけなしの力を振り絞り、見下しきった目つきで見下ろす化生に飛びかかる。
「のろいのろい。あくびが出るわ」
 またもや鬼の姿がかき消え、次の瞬間、後ろから頭を掴まれた。
 陰気に薄汚れた部屋を転げたときに、埃がついた白衣姿がデタラメに弾み、巫女の仕事に不必要なのに、やたら大きくて邪魔くさい肉の小山も宙で踊る。
「嬲るために手加減したとはいえ、わしの拳を受けてこれほど動けるとは驚いたぞ。これはますます、責めがいがある」
 筋骨隆々の赤鬼が舌なめずりした。
 緋袴を畳に立たせ、後頭部を掴んでいた手で若い女の頬を撫でつつ、細く尖った顎を掴む。
「な、なにをするのですかっ」
「路上で出くわし、追いかけられていたときは恐ろしくて憎らしくて仕方なかったが、こうしてよく見ると、なかなかのべっぴんではないか」
「わけのわからないことを……離しなさいッ」
 逃れようと身をよじると、空いている手で矢筒をむしられた。放り投げると、その勢いでお腹に巻き付いてくる。
「くっ……ぐうッ……」
 人間の倍は太い豪腕は、胸とお尻は抜群に大きくても、胴体は細身の娘を完全に抑えこんでしまう。額に汗して抜け出そうとしてもビクともしない。
「凜々しいが金平糖を思わせる甘い声音からも、喋り方や立ち振る舞いからも、品性が溢れている。この紅唇が象徴的だなァ」
 静かに白く光るおしろいの細面で、炎みたいに赤く浮かび上がる唇に目が細まった。
 紅を塗った若い唇は、柔らかく膨らみながら眩しいまでに照り光っている。
 見れば見るほど魅惑的で、ニヤニヤ笑うのが止まらない。
「まずはここからだ」
 上品で瑞々しい唇の官能的な吸引力に乗り、名前とは反対に黒ずんで無骨に分厚い唇を押しつける。
「んむぅッ」
 劣勢でも敵愾心を失わない切れ長の目が、大きく見開いた。
「い、いやですっ……むぐぅぅッ」
 倒そうとした異形に唇を奪われるなど、この上ない不覚である。
 邪悪な存在に、巫女として飾った部位を蹂躙されるおぞましさもあり、振り払おうと頭を振りにかかる。
 だが、長く尖った爪の手指の力は絶大で、ピクリとも動かせなかった。
「正気ですかっ……んぷぅ……わたくしは、お前を消そうとしている巫女なのですよっ……んぶぅッ」
「わしは人間の邪気……悪徳の化身だぞ。常識を説くなど噴飯ものだなァ、ぶちゅぅッ……ぶじゅぅぅッ」
 目だけで嘲笑して、ついばみ気味に口唇を押しつけてくる。
 戦乙女の紅唇は、強く触れる異形のに合わせて何度もめくれてひしゃげた。
「破った巫女を穢すのは愉快だが、んむぢゅ」
 恐ろしくもうら若い女の唇は、神秘的なまでに柔らかくて接触感がいい。
 何度触れても、化け物の唇にも優しく吸い付き、絶妙に引っ張る。
 唇の間から漏れる吐息や唾液は、きび団子めいた仄かな甘みを孕んでいて、豊満な紅唇の感触との相性は抜群だった。
「それを抜きにしても、紅をさしたこの唇は絶品だわい、はむっ、はむちゅぅ」
 繰り返し押しつけるだけでなく、上唇と下唇を交互に自分ので挟んで弱く吸うこともする。
 自分から吸い付くと、向こうの吸い付きがいよいよ増して、一段と心地いい。
「あっ、気色の悪い、んっ、んふぅっ」
 祓うべき異形に乱暴されるしかないのは情けなくて、目尻に光るものが浮く。
 だが、振り払うこともできず、されるがままでいるしかなくても、屈するつもりはない。
 頼みの綱の両手の矢を握りしめて耐える。
(この者は自分の優位を疑わず、調子づいています……であれば、必殺の一撃を双眸にたたき込む機会は遠くないはず)
 自分に言い聞かせて隙を窺う。
 けれど、一瞬でも早く終わって欲しい強引接吻を続けられていると、妙な情感が湧いた。
 禁欲的に鍛錬を積む乙女であっても、その前に健康な身体を持つ身である。
 粘膜同士の接触には、少なからず反応してしまい、唇全体がざわつく。
「んぅ……いつまで続けるつもりですか……んくぅ」
 顔を横に倒し、自分のを重ねたり、上下のを順番に吸い上げたりする異形を睨みつけても、種火めいた情動は消えない。
(この鬼……女性の扱いに……慣れている……?)
 山に籠もって修行に励んでいる立場でも、おぼろげに思い至った。
 性戯に長けているのでもなければ、好意など一欠片もない巫女を、夢見心地の境地に足を踏み入れさせられるわけがない。
(これは……考えていた以上に……いけないかも……)
 意識したとき、他者が息を呑む音が連続した。
「すげぇ……赤鬼が……学生級に若くて超美人の巫女さんの唇を犯してるっ」
「自分もしたことないけど……他人がキスしてるのをナマで初めて見たぞ」
「エーブイとは迫力が違うぜ」
 いつの間にか、七人の男達が周りを囲んでいた。
「み、皆さん、んぷっ、ご覧になりましたよね、はぷぅ、この者は大変危険な鬼なのです、どうか安全な場所へ退避してください、んぷぷぅ」
 キスされる合間に呼びかけるが、ひとりも微動だにしない。
「怨念をこめて豆まきをしていたお前らだ。富や名誉だけでなく、女にも縁はなかろう。すこぶる美しい巫女と醜悪な赤鬼の交わりを、しかと見物するがいい」
 男達は顔を見合わせたが、退出するものはいなかった。
 瞬きも忘れ、荒く呼吸をしつつ、手を伸ばせば届く至近から鑑賞し続ける。
「邪悪な者の誘惑に惑わされてはいけません、んんっ、人間らしい心を強く持ってください、あふっ、これは婦女暴行の現場でもあるのですよッ」
 誰も助けようともしないのは、気にならなかった。
 勇気や義憤で立ち向かってもらっても、酷い目にあうのは目に見えている。
 危機感に駆られるのは、別のことだ。
「この女は、お前らを苦しめる【正義】や【秩序】の守り手だ。わしが敵討ちをしてやる。一部始終を見届けるがいい……むちゅぅッ」
 傲然と言い放ち、男達の目に暗い炎がついたのを見届けた後、またもや唇を押しつける。
(ああ……やはり……鬼の力が増しています……っ……ただでさえ、手に負えなくなっているのに……ッ)
 常人には見えないが、女が乱暴される様子を性欲と憎しみ混じりに見る彼らからは邪気のオーラが溢れ、鬼へ吸い込まれている。
 人間の邪気の化身は、人々の悪徳の波動で無限に力を付けるのだ。
「皆さん、お願いです、人間らしい心で行動してくださいっ」
「鬼との接吻に悦びを覚えていた巫女が、よく言う」
 自分の口元を少し離し、彼女の紅唇と唾液の糸で繋がりつつ、嘲笑する。
「わ、わたくしは悦びなどっ」
「正義の女が嘘を吐くのか? ……まぁ、こんなにもたわわなメスの象徴をぶら下げているしなァ」
 お腹に巻き付けていた腕を肩に回し、白衣を撫でて、スイカみたいに丸く突き出ている片乳を鷲づかみにした。
「ふ、不埒者っ……女性の胸は子を育む神聖なものなのですよっ」
「お前ら見ろ。わしの大きな手でも、掴みきれない巨大さだぞ」
 広げた太い五指を白衣に深めに沈ませる。
 厚い布地は引っ張られ、顔よりも大きい片乳の輪郭が薄く浮いていた。
 呼びかけられた男達は口々に「すげぇ」、「こんなに美人なのに巨乳なのかよ」、「Gカップはあるぞ」などと呟いた。
 瞳のドス黒い炎は燃え上がり、一段と濃くなった邪気が鬼へ流れこんでいる。
「しかし、妙な手触りだ。乳当てでもしているのか? 巫女ならばのーぶらでしかるべきだろうが」
 またも大きな手が滑り、今度は身頃の内部へ潜り込む。
「それ以上、触れるなぁっ」
「追い払いたいなら、自分の手でしたらどうだ、ん?」
「くっ……なんて卑劣な……ッ」
 一縷の希望である矢を持つ両手がぶるぶる震える。
 片手で顎を、反対の手で肩の方から胸をまさぐられている体勢では、急所の目に突き立てられない。
 偶然とは思えなかった。睥睨する態度でありながら、反撃を受けないよう注意深く事を運んで、着実に辱めてくる。
「口だけか。本音は、唇だけでなく乳も気持ちよくして欲しいらしいな」
「バカなことを……く……あっ」
「この手触りは、今時の女らがするぶらじゃーではなく、サラシだな。くくく……見えないところもなんと時代錯誤なことよ」
 人間と遜色ない温もりがある手の平が、胸元をまさぐる。
 白衣は鬼の手の形に膨らみ、豊かな隆起をさする動きに合わせて蠢く。
「あぁ……いやぁ……ッ」
 男達の視線も強くなっていて、羞恥と屈辱で顔が赤らむ。
「どれ、邪魔な布は取り払ってしまおう」
 鋭い爪を突き立てて布地を破り、そのまま引きちぎってしまう。
 純白の被服の下から、長く綿を裂く音が低く響く。
 鳴り止むや否や、胸元は左右に分かれながら重たげにわずかに下がる。
「まさか……邪気への耐性を備えた……一種の鎧なのに……こうも簡単にっ」
「今のわしには造作もないこと。その気になれば、瞬きする時間でお前を八つ裂きにもできる。もったいないからしないがな」
 ハギレを適当に押しやってから、被服の下で裸にした片乳に触れる。
 五指で下乳を掴むが、ほんの少し凹む程度に親指を沈ませ、残りの四指は触れるか触れないかのタッチでさすってくる。
「唇もよかったが、オンナの膨らみもすこぶるよいな」
 親指を埋めては力を抜き、反発力で元の形に戻ったらまた埋めるという愛撫で感触を楽しみつつ、鼻を鳴らす。
「柔らかさといい、弾力といい、まるでつきたての餅ではないか。この大きさでこんな感触とは、やはりふしだらだ」
 下ぶくれしているラインをしつこくさするのにも、相好が崩れる。
「肌も申し分ない。しっとりと潤っていて、異形の指にも絶妙に吸い付いてくる。このなめらかさからして、キズの類いも皆無だ」
「わたくしに触れないでくださいっ……んぅっ……あふ」
 目だけを動かして睨むが、鬼の生臭い唾液がついて妖しく光る紅唇から、ときどき熱めの吐息がこぼれてしまう。
(接吻されていたとき以上に……胸が……ああ……落ち着きません……っ)
 親指が浮き沈みする内側には疼き混じりの、四指にまさぐられる外側にはくすぐったさめいた性感が湧く。
 触られれば触られるほど乳悦は濃く明確になって、無視できなくなっている。
「真面目に修行に明け暮れているのでは、こういう楽しみは味わえまい」
 親指が持ち場から離れ、他の指と合流した。
 長い爪を備えた鬼の手は、壊れ物を扱う手つきで下乳全体を撫でてくる。
「はああっ……くぅぅ……どうして……こんなに……ッ」
 くすぐったい性感が白衣の乳房を貫いた。
 一、二度さすられるごとに背中が落ち着きなく小幅に反れ、触れられていない反対側のオンナの膨らみも連動して揺れる。
「生まれつき淫らな乳なのだ。存分に楽しむがいい」
 今度はぜんぶの指を埋めてきた。
 甲も柔肉に包まれるまで時間をかけて深く沈ませた後に、脱力して反発力に押し返されるのを繰り返す。
「んんっ……いいように……くふ……玩弄されているのに……ああ……ッ」
 丹念で飽きさせない愛撫に、禁欲的なオンナも昂ぶる。
 乳房の体温は着実に上がり、比例して感度も増していた。
 五指が下乳に埋まるときには、胸の切ない詰まりとともに小さく仰け反り、解放されるときは安堵の溜息がこぼれている。
(なんてみっともない……あうう……けれど……っ)
 意志の力では身体の反応を止められない。
 こらえようとしても、鬼の手つきに従順で、痴態を演じてしまうのだ。
(胸が……熱いです……ああ……普段はなんともないのに……サラシを破られてしまったのに……なぜこんなに……白衣を窮屈に感じるのですか……)
 肌に沿う小さいものを無理矢理着させられ、炎天下に放り出された気分だった。
 整った細面は赤らみ、薄く汗が浮く。
 胸元はもっと酷く、汗だくになっているのは見なくても分かった。
「おやおや。敗者の権利を貪るにしても、少々いきすぎではないか?」
「んんっ……なにを言ってるのですか……はああ」
「こういうことだよ。そらっ」
 身頃を割って潜り込んでいた手が出てきた。
 甘い香りの汗で全面的に濡れた赤黒い手は、乱れた合わせ目を力尽くで順番に外側に引っ張る。
「あっ……そんな……ッ」
 秘められていた巫女の双乳が、被服を押しのけて転げ出た。
 己の顔よりも大きい膨らみは、一緒に引き出されたサラシの破片が舞う中、何度か粘っこく揺れた後に落ち着く。
「おおっ……とうとう巫女さんのナマオッパイきたッ!」
 固唾を飲んで見守っていた男達が、一斉に身を乗り出した。

     3

「み、見ないでくださいっ……女性の胸元は、好きに目にしていい場所ではありませんよッ」
 巫女の仕事には不必要なだけに、執着の薄い部位だが、衆目に晒されて平気なわけではない。
 濃い落ち影を生み出しながら片方ずつ左右に別れ、乳頭もそっぽを向き合っているオンナの柔らかい膨らみをまとめて両手で隠そうとして、ハッとした。
「触れたら折れてしまいそうなか細い腕で、少しでも覆わないのか? 奴らが女に飢えているのは、邪気を吟味せずとも目つきで分かる。思い切り見られるぞ」
「くぅっ……」
 赤鬼の含み笑い混じりの忠告は言葉責めだった。
 一発逆転の武器である矢を持ったまま両腕を交差させて胸部を守ったら、握ることへの意識が疎かになるし、体勢も不安定になる。常人離れした鬼に矢を掴まれ、引っ張られたら、こらえきれずに離してしまうだろう。
「卑怯……者め……っ」
 女であることよりも巫女であることを選んだ。
 イヤな汗が噴く手の平で、腰骨の少し下まで腕を垂らした状態のまま、矢を握り直す。
「ほんとにすげぇっ……白い服を着てても大きいと思ったけど……」
「脱ぐとさらに巨乳とくる……いや、これは爆乳だっ」
「熟女ならともかく、どう見ても学生してても不思議じゃない若さなのになぁ」
「だから、余計に色っぽい……というか、いやらしいぜ」
「しかも、常在戦場って感じの巫女さんだぞ」
 歯がみし、顔を背けて胸を無防備にしても、男達は良心の呵責を覚えるどころか、ますます興奮した目つきで凝視してきた。
 白衣を根元からかき分けて露出している柔肉の膨らみは、外に積もった雪よりもなめらかで、シミもキズもひとつもない。瑞々しく鎮座する様子は、若く健康な色気で輝いている。
「ちょっとオイリーなのは、赤鬼に悪戯されて感じてた証拠だな」
「先っぽも見事だぜ」
「ほんとだよ。フレッシュな色合いでさ。まさに乙女の鑑って感じだぜ」
「普通の女より面積が広くて太めだけど、爆乳とバランスがとれてて色っぽい」
 乳暈と乳頭は、薄いピンク色に光っていた。
 だいぶ充血しており、肉の土台は杯を逆さにした形に盛り上がり、中央に太く屹立する尖りも見るからに硬く、しかもときどきヒクンと強く脈打つ。
「くぅっ……おっしゃらないで……ください……ッ」
 男達の視線は、刻一刻と粘っこくなる。
 まるで七人全員にまさぐられている気分だった。
 誰にも見せない部位を、好き勝手に品評されるのも恥ずかしくて屈辱的で、顔が猛烈に熱い。
「隠しもせずに自分から見せているくせに、よく言う」
「元凶のくせに、バカなことを言わないでくださいっ」
「こんなにもいやらしい乳をぶら下げて、少し触ってやっただけで淫らに興奮しているオンナに反論されても、挑発されているとしか思えんなァ」
 顎を掴んでいた手も、贅肉のない素肌をすべる。
 鬼の大きな両手は、わきの下をとおってたわわな膨らみを下から掬う。
「やはりやわこいな。それでいて、弾力が申し分ない。しかもこの大きさ、重さでだ」
 開いた十指を軽く広げ、乳肉に浅く沈ませつつ、双乳を同時に内回しする。
「んっ……また……くぅっ」
 熱さと狭窄感から解放されると、一段と感度が上がっていた。
 倒すべき異形に甘い香りを放つ下ぶくれを鷲づかみにされ、軽く根元から捏ねられているのに、先ほどよりも性感が起こる。
 胸の奥がざわめくというよりも騒がしくなり、薄いピンク色の斑点が乳肌全体に散らばりだす。
「わしの手の中で指に押されて形が変わっているのも、揺すられて波打っているのも、無様なものだ。なのに、悦びを覚えているとくる」
「んんっ……わたくしは……べつに……んふぅっ」
 揶揄されて悔しいが、息は着実に乱れている。
 自分でも聞いたことがないほど鼻にかかった声が出るし、ふしだらな呼吸音になってしまう。
「こうされるのはどうだ、ん?」
 手の平で下乳を少し持ち上げつつ、親指が埋まるまで内側に沈ませた。四指は束ねて外乳に触れる。そうして腕を左右に振りだした。
「んぅっ……今までよりも……ふぁぁ……お肉が流動して……感覚も……っ」
 親指をひっかけたまま限界まで外側に押しやっては、一瞬ですべての力を抜いて反発力に乗り、柔らかい膨らみを定位置に戻し、また押しやるのを繰り返す。
「くぅ……ふぅぅッ……ああ……こんな……ぁ」
 着衣で責められていたときよりも、胸元全部が火照っている。
 熱を伴う甘い性感に、不感症でない証拠のピンク模様が、見間違いようがない濃さになっていく。
 四指を添えられている横側では薄い青筋が浮いていた。
「ああ……そんなにしつこくされたら……はあああ」
「己のイヤらしい部分を、執拗に嬲られるのがいいのだろう、ん?」
 赤鬼のギラギラした視線は、自分の手の中でひしゃげては戻る肉のスイカから、先端に移る。
「なんとも気持ちよさげに、切なげに勃ちおって。敵である鬼にオンナの証を嬲られるのが、そんなに心地よいのか、ん?」
 先端は完全に勃起していた。
 乳暈はパンパンに張り詰めている。ピンク色の尖りも負けじと、よく実ったブドウの粒みたいに太く長く斜めに屹立しつつ、強く小幅な振幅を繰り返していた。
「甘酸っぱい匂いを濃く放ちおって。目立つ乳房に負けまいと、オスを誘惑しておるわい」
 禁欲的な巫女のカラダのだらしのない反応にニヤニヤ笑い、人指し指を向かわせる。
 内側から外側へ押しやる愛撫を続けながら、充血した尖りを下から弾く。
「ふあああッッ……ああ……なんなのですか、これはっ……ああンン」
 間隔を置いて弾かれれば弾かれるほど、鮮烈な快感電気が流れる。
 カラダは勝手に反応し、今までよりも幅広く仰け反り、下から鷲づかみにされている豊胸が波打った。
「くぅぅッ……今までとは次元が、ああンン、ち、違いますっ……あああっ」
 どうしても黙っていられなくて、ふしだらなあえぎ声が出てしまう。
 迸る声は確実に甘みが増しており、自分の声音なのが信じられない。
「ほんの少し弄ってやっているだけなのに、随分な反応だなぁ。相当、性欲がたまっていたらしい」
「わ、わたくしには、はあ、そ、そんな、ああッッ、ものぉ、ああんん」
 反駁もままならない。
 硬く淫らな尖りを弾かれるだけで、意識が途切れて甘く叫んでしまう。
「ここまでふしだらなオンナなら、乳だけで満足できまい。どぉれ」
 白衣を引っ張って乱したときに帯が緩んだ緋袴の穿き口へ、片方の手を這わせる。
「ま、まさか、はああん、お、おやめなさいっ、ふああっっ」
 制止の声は完全に無視された。
 緋袴と白衣の裾をかき分けて潜り込んだ鬼の手指は、オンナの中心で止まる。
「ここだな。ほほぅ……やはり、熱く湿っているなぁ。異形に乳を嬲られて、股まで濡らすとは、思った以上のはした女らしい」
「で、デタラメを吹聴しないでくださいッ」
「また嘘を吐くか。自分のカラダだ。本当は分かっているのだろう? 股ぐらの入り口から子を孕んで育む聖域までが、子づくりの開始を待ち侘びているのを」
「ぐっ……そ、それは……っ」
 ハッキリ問われては、反論しようがなかった。
 確かに今や、胸元だけでなく股間まで熱くなり、しかも潤っているのが自分でも分かる。
「お前は敗者らしく、勝者に嬲られる権利を貪るのだな」
 尊大に言い放って、緋袴の裏を軽くまさぐる。
「この手触りから材質と形状を察するに……ぱんてぃーとやらではないな……ははは、そうか、フンドシか。こんなところまで時代錯誤とは徹底している」
「巫女の正式な装いですっ……鬼などに馬鹿にされる道理はありませんッ」
「では、己の信念の象徴に甘美に苛まれるがいい」
 親指と他の四指を大きく離し、胴底にかかる白い布地を確実に掴んで細くより合わせる。
「な、なにを……」
 次の瞬間、紐状に捩れた下着がお腹側へ引っ張られた。
「はうぅぅぅッッッ!」
 引き絞られた布地は寸分違わず淫裂へ落ち込み、ぐいぐい食いこんでくる。
「くぅぅっ……こんなことまで……はああぁぁ」
 ふしだらに敏感になっていた場所が、濃密な性感の塊になった。
 鬼は、引っ張っては緩めるのを繰り返す。
「なんて穢らわしい……ぐうぅぅぅ……やり口でしょうっ……ふぐぅぅぅ」
 肉溝の内側を巻きこんで、無理矢理押しこまれては自然な形に戻される緩急は堪らなかった。
 足袋と草履の両足は爪先立ちになりながら震え、緋袴のお尻がどうしてもくねって、帯の先がゆらゆら揺れる。
 そうこうしているうちに、最後まで乳房を責めたてていた手も降りてきた。背中側から回り込み、逆手で着衣の股間を鷲づかみにする。
「あああッ……そ、そこまで、ああンン、す、するのですかっ……はああっ」
 逆手に掴んできた手は、探り当てた陰核を親指で押して転がし、陰部から臀部の裂け目にかけてを優しく強く揉みこむ。
 その間、反対の手で下穿きを引いては緩ませるのも怠らない。
「ああっっ……だ、だめです……あああぁ……ああんん」
 女の急所を両手で徹底的に責められては、昂ぶったカラダはひとたまりもなかった。
「くぅ、ふぅぅぅッ、ああん、や、やめてください、あああンン」
 急所を責めたてられる悦びは、刻一刻と甘く濃密に肥大している。
 爪先立ちの両足どころか、腰から上も震えっぱなしだ。
 顔より大きい裸の双乳も、かいた汗で艶めかしく輝きつつ、気持ちよさそうに弾んで波打っている。
 そそり立つ先端の尖りも濃い体臭を放っており、ときどき、汗の粒が飛んでいた。
「すげぇ……美人の巫女さんが……オッパイ揺らしてよがってる」
「ナマで見てる分、えーぶいよりも迫力あるな」
「見ろよ。袴に恥ずかしいシミができ始めたぜ」
 男達の声に反応した風に、鬼の両手がゆっくり離れた。
 皺だらけになっている股ぐらには、大きめの楕円のシミが浮いている。
「もっとよく見てやるがいい」
 汗とレモン臭がする恥汁で濡れた手は、スカート型の緋袴をからげた。
 ハチも顔負けのくびれまで上げると、丸めて帯の内側に突っこむ。
「はあ……はあ……あああ……そんな……ぁ」
 悶え疲れた巫女には、隠す気力もなくなっていた。
 禁欲的な戦乙女であっても捨てられないオンナの証が、薄汚れた畳の部屋の中で、異形と男達に向かってさらけ出されている。

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