ポケトレスラー ユウキ VS カスミ 時間無制限 3R ノーマルマッチ
ユウキ VS カスミ
時間無制限 3R ノーマルマッチ
リングで二人の選手が対峙していていた。
一人は挑戦者のユウキ。
黒とオレンジのラッシュガード、ボクサーパンツを身に着け、トレードマークの帽子をかぶっている。
顔には、まだ少年の幼さが残るものも鍛えられた胸や腕の筋肉は逞しく盛り上がって、身に着けているラッシュガードをはち切れんばかり押し上げている。
その表情は怖いもの知らずの活発な少年そのもので、これから始まる試合に目を輝かせている。
そして、もう一人は、ジムリーダーのカスミ。
「お転婆人魚」の異名を持つジムリーダー。
プロレスと水泳で鍛えたその体は引き締まって、無駄なところがない。
オレンジ色の髪をゴムで束ね。ささやかに実った胸を水色のスポーティーなブラが包み、白と水色のスパッツを着用している。
露わになった腹部は、腹筋が鍛えられてほんのりと割れている。
ローライズなスパッツからのぞく、おへそと内腿のラインが浮かび上がってなんだか艶めかしい。
コスチュームからのぞくピチピチと健康的な白い肌はフレッシュなお姉さんジムリーダーの魅力をこれでもかと感じさせていた。
「あなたね。挑戦者君っていうのは?」
カスミは腕組みをするとふふんと不敵に笑い、自分よりも少し背の低いユウキを見つめて言った。
「新人君にお姉さんがジム戦の厳しさ教えてあげる」
ユウキは自分を見下したカスミの態度にカチンときて、カスミを指さすと言い放った。
「あんたこそ、俺をガキ扱いしてると、痛い目見るよ」
「ふーん。噂通り口だけは達者みたいね」
カスミは流し目でユウキを見る。
「あなた、この間別のジムリーダーと対戦して勝ったからって、調子に乗ってるんじゃない?」
「別に調子にのってねぇしっ!」
ユウキは上目遣いでカスミを睨み付けると口を尖らせて言った。
「あんなへぼい奴でもリーダー務まるなら、俺なんてすぐリーダーになってやるぜって周りに言いふらしてるらしいじゃない?」
ユウキはカスミの言葉を聞いて、ぷぷっと噴出した。
「ねぇ?本当のこと言ってなにがわるいわけ?あんなに弱い俺に一方的にボコられる雑魚がジムのリーダーとか、マジで信じられなかったし。そこらへんにいる虫取り少年じゃあるまいしさ。あははははは」
ユウキが挑発するように馬鹿笑いするのをカスミは冷ややかな目で見つめる。
「ビギナーズラックや闘いの相性が良かったのを勘違いしてあまり思い上がらないことね」
カスミはやれやれと言った風に肩をすくめて見せた。
「あなたこそ、ジムリーダーを舐めてると、痛い目見るよ」
「お姉さんに思い知らせてあげるよ。俺の実力」
ユウキは自分の拳をボキボキと鳴らすとカスミを睨み付けた。
「ふーん。ずいぶん威勢がいいみたいだけど?実力が伴っているか試してあげる」
二人は睨みあい、闘う前から激しい火花を散らしていた。
[newpage]
ゴングがなり、闘いの火ぶたが切って落とされた。
「先手必勝!オラッ!」
ゴングと共にユウキは電光石火のスピードでカスミと間合いを詰めて、脇を絞めてジャブを連続で叩き込んでいく。
「くっ!」
カスミは少し顔を歪めると顔の前で腕をクロスさせてユウキの打撃の雨を防ぐ。
電光石火の速攻で相手に反撃する隙を与えずに叩きのめす。
このスタイルこそがユウキの常勝パターンなのだ。
防御を気にするとか、体力を回復させるとか、そういった小細工は必要ない。
圧倒的な力と手数で相手をねじ伏せ屈服させるのがユウキのスタイルだ。
「オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!どうした?どうした?反撃してこないと、試合おわらせちまうぞ!」
自分の猛攻にまるで殻にこもった貝のように動かず耐えしかないカスミの姿を見て、ユウキは優越感に浸る。
この間のジム戦もこのパターンに入り、ジムリーダーを完膚なきまでに粉砕してやったのだ。
なにが、ジムリーダーを舐めてると、痛い目をみるだ。
一方的に殴られて、ただ喘ぐしかできないくせに、笑わせるなよ。
俺の実力を試すとか、やれるもんならやってみろってんだ。
ユウキは思いを巡らせながら一心不乱に拳を振り回していたが、さすがに息が上がってきたので、少し攻撃の手を緩めた。
クロスさせた腕の向こうで、カスミはその一瞬を見逃がさなかった。
「ぶえっ!」
ユウキは鼻先に突然焼けるような痛みを感じた。そして頭が突然真っ白になり、体がのけ反る。
ガードを解いたカスミのストレートが自分の拳の隙間から鼻をぶち抜いたことを理解するのにしばらく時間が必要だった。
あまりの痛みにユウキの目に涙が溢れ、視界が見えなくなってしまう。
「いい?パンチはこうやって打つんだよ」
ユウキの耳にカスミの声、そして次の瞬間ユウキの胸や腹にカスミの拳が叩き込まれる。
「ぐえっ!えぶっ!」
ユウキは顔へのダメージを恐れてガードを上にあげてしまい、次々にくりだされる胸や腹を狙った打撃を防ぐことができない。
「くそっ!やめろ!」
ユウキはたまらず、目の前のカスミの体に寄りかかり密着させることで、打撃から逃れようとする。
ユウキはカスミの体に密着することでなんとか打撃の苦しみから一時的に逃れる。
しかし、カスミが攻撃の手を緩めるはずがない。
カスミは自分に必死に抱き着こうとしてくるユウキの脚に自分の脚を絡めた。
バランスを崩したユウキはカスミに押し倒されて、背中をしたたかに打ち付けた。
ズダン!という音がリングに響く。
「げほげほ!」
ユウキは息が詰まり、むせ込む。
素早い動作で動きが止まったユウキの両脚をカスミは捕らえ、一気に反転させる。
「ぎゃああああああああ!」
カスミがユウキの腰にどっしりと腰を下ろし、両脚を限界まで反らす逆エビ固め。
リングにユウキの悲痛なこだまする。
「男の固い体で、こんなに体を反らされたんじゃ。辛いでしょ。はやくギブしたほうがいいんじゃない?」
カスミは自分のお尻の下でリングに這いつくばっているユウキをギブアップへと誘う。
カスミの言う通り、ユウキは体が柔らかいほうではない。こんな風に体を反らされてはたまったものではない。
「だれがするかぁ!」
売り言葉に買い言葉、ユウキはカスミのギブへの誘いを拒否する。
「あっそう」
カスミはそう言うと無慈悲にもさらに腰を落として、ユウキの脚をきつく反らす。
みしみしみしみしっ!
ユウキの背中と腰の骨が軋みをあげ、全身に激痛が走る。
「ぐああああああああああああああああああ!」
ユウキは半狂乱になって腕や顔を振り回して痛みに耐える。
「強情なんだからっ!」
ぎしぎしぎしぎしっ!
「うああああああああああああああああああああ!」
カスミに体を絞られるたびに激痛でユウキは悶える。額には玉のような汗が溢れてくる。
なんとかカスミを振りほどこうとしてもがっちりと技を極められていて振りほどけない。
相手をいままで打撃で滅多打ちにしてKOしてきたユウキは、関節技に対する対策を怠ってきたし、そもそもかけられた経験もないので、カスミの関節技になすすべがない。
「くそっ!なんとかロープへ……」
ユウキはロープに救いを求めて、ほふく前進でもするように腕でリングを掴んですこしずつ這いずっていく。
しかし、カスミが黙ってはいない。
「ギブすれば、早く楽になれるのにねっと!」
カスミがロープへ逃げようとするユウキを牽制するように、足を極めなおす。
その度に、ユウキは悲鳴を絞り出されながらも、カスミに負けたくない意地と根性だけでロープへと這いつくばっていく。
そして、ついにユウキはあと少し手を伸ばせばロープが掴めるところまで来た。
するとまだユウキがロープに触れていないのに、ユウキの背中に腰を落としていたカスミが掴んでいたユウキの足首を放して逆エビ固めからあっさりと解放する。
「ぐわっ!」
ユウキは小さく悲鳴を上げた。
カスミが帽子ごしにユウキの髪の毛を乱暴に掴み、無理やり立ち上がらせようとしたのだ。
「ほら!立ちなさい。まだまだ終わりじゃないわよ」
カスミはそういうと足元のおぼつかないユウキの背後に周り、喉に細い腕をするりとまわすとがっちりともう片方の腕でホールドした。
チョークスリーパーが極まり、ユウキは呼吸を阻害され、顔を真っ赤にしはじめた。
「うふふ。すっかりおとなしくなっちゃって、最初の威勢はどうしたの?」
ユウキの頭の後ろから、カスミの声が挑発してくる。
「う……うるさいっ……」
ユウキは首を背後から絞められて息も絶え絶えになりながら、抵抗する。
「ギブしなよ!ほらっ!ギブしないなら!みじめなオチ顔晒すことになるよっ!」
カスミはそう言って、より一層ユウキの首を締め上げる。
「ノー!」
ユウキは顔をしかめながらも、ギブアップを拒否する。
「もう、しぶといなぁ」
しばらくユウキを絞め続けても、根を上げないのでカスミが呆れたようにため息をついた。
カスミはユウキの首にまわしていた腕を外して解放してやる。
支えを失ったユウキはがくんとリングに膝をつき、ゴホゴホと咳き込み、腕で喉を庇った。
「よく我慢したから、あなたにご褒美あげる」
膝立ちになって咳き込むユウキの目に軽くステップを踏むカスミの姿が浮かぶ。
次に起こる出来事はユウキにはまるでスローモーションのように見えた。
カスミの引き締まった脚がまるで鞭のようにしなやかな動きで自分の顔面に迫って来た。
カスミのハイキックがユウキの側頭部を捕らえる。
ユウキはぎゃっと悲鳴を上げた後、脳をシェイクされ、ばたりとリングにダウンした。
あまりのダメージに、ユウキの体がひくつかせて、動くことができない。
「これで、終わり!」
カスミは半失神状態のユウキの体を仰向け状態でコーナーポストの近くまで、引きずっていき、自身はコーナーポストのてっぺんに駆け上がる。
「食らえっ!」
カスミは、仰向けにダウンしたユウキの腹部めがけて、膝をそろえてダイブした。
カスミの膝がユウキの鍛えられた腹筋の肉の壁を突き破り、内臓に甚大なダメージを与える。
「おげぇっ!」
ユウキはつぶされたカエルのようなみじめな声を上げる。
あまりの衝撃にユウキは目を白黒させ、口をパクパクさせることしかできない。
「フォール!」
カスミは、自分の優位をユウキの体に刻むように、立ったまま、ユウキの胸板を踏みつけての余裕のフォール。
「1……2……3!」
ユウキはぴくりとも動けず、あっという間にスリーカウントが入ってしまう。
無様にダウンして動けないユウキをカスミが見下ろす勝者と敗者の鮮明なコントラスト。
「ジムリーダーを舐めないでよね」
カスミはユウキにそうつぶやいた。
[newpage]
「わかったでしょ?わたしとあたなの実力の差」
カスミは自分サイドのコーナーにもたれかかると余裕の笑みを浮かべながら言った。
「うふふ、しっぽ巻いて逃げ出したっていいんだよ?」
「くそ、だれが逃げ出すか!」
ユウキははぁはぁと荒い息をつきながら、カスミの膝で破壊された腹をおさえ、ロープを掴んでやっとの思いで立っている状態だ。
「うふふ、せいぜいがんばってね」
ユウキの体力が完全に回復する前に無情に第2ラウンドがはじまる。
案の定、ユウキはペースを掴めず、一方的にカスミに攻め立てられる展開になってしまう。
「ほーら!お腹つらいよねっと!」
カスミの容赦のないニーリフトが傷めたユウキの腹を深々とえぐる。
「がはっ!」
ユウキの体がくの字に曲がり、口からは唾液を垂らす。
ドスッ!ドスッ!ドスッ!
一撃でとどまらず、たっぷり引き絞ってユウキの腹をえぐる、カスミの膝、膝、膝!
ユウキに、1Rのトラウマを呼び起こす恐怖の膝地獄
「ほら!ほら!ほらっ!最初の威勢はどうしたの?反撃しないと、すぐに終わっちゃうよ」
「ぎゃあっ……うがっ……ごほ……」
ユウキは目を白黒させて、されるがままになる。
ユウキはたまらずドシンとリングに尻餅をつく。
「お次は!」
カスミはユウキの背後に周ると両手を掴み、ユウキの背中を力いっぱい踏みつけるサーフボードストレッチを完成させる。ユウキにとっては、自らの背中をサーフボード代わりにされ痛めつけられる屈辱の波乗り固め。
「ぐああああああああああああああ」
腕を逆方向にひねりあげられ悲鳴を上げる。
「ほらほら!お腹も背中も痛いでしょ!」
カスミはユウキの背中を強弱をつけて踏みつけいく。
「ぎゃああああああああああああああ」
ユウキは必死に身をよじり、技から逃れようとするが腕をがっちりつかまれて、うまくいかない。
くそっ!くそっ!おれがこんな女にやられ放題なんて!
ユウキは、ぎりりと歯ぎしりをして、心の中で悪態をつく。
今のユウキはなすすべなく、カスミの技の痛みに耐えることしかできない。
しばらくの間、カスミにされるがまま痛めつけられる。
ユウキはカスミが技を解きようやく解放される。
「はぁ……はぁ……はぁ……ぐっ!?」
尻餅をついた状態のユウキの髪の毛をカスミが乱暴に掴む。
カスミは自分の勝ちを確信したのか、仁王立ちになり、余裕の表情を浮かべている。
「覚悟しなさい。もう一度、ハイキックをお見舞いしてあげる」
前のラウンドでユウキを半失神させたことに味を占めたのか、ハイキックの予告をするカスミ。
ユウキはすぐに立ち上がれそうになく、ハイキックを回避するのが難しい絶望的状況。
このままじゃ、またこの女に負ける!ちくしょうっ!手も足も出ずに馬鹿にされたままで、終われるか!
ユウキは必死にこの状況を打破する手立てを模索する。
カスミに髪の毛を掴まれ、下を向かされているユウキの目の前に、勝ちを確信し、完全に油断したカスミの無防備な股の間がふと目に入った。
サーフボードストレッチから解放され、今やユウキの腕は自由に使うことができる。
この状況を打破するにはこれしかない。
ユウキはぎゅっと握りこぶしを固めると力いっぱい、カスミの股間を狙って腕を振り上げた。
ユウキの振り上げた腕がカスミの急所に当たった。起死回生のローブロー。
カスミはユウキの髪を掴む手を放すと自分の股をおさえて、内股になり、体をびくつかせている。
「くっ……卑怯者!」
目にはうるうると涙を溜め、恨みのこもった眼でユウキを睨み付ける。効果は抜群だったようだ。
「まだ、終わらせねぇぞ!」
一気に流れを掴もうと、ユウキは立ち上がり、動きが鈍ったカスミを背後から腰を掴んで捕らえた。
「きゃあっ!」
カスミは小さな悲鳴を上げ、ユウキにリフトアップされる。
易々とリングから離れるカスミの脚。
まずい後方に叩き付けられる。
カスミは警戒し、身構える。
「これでも食らえ!」
ユウキは掛け声と共に、カスミを力いっぱい叩き付ける。それはカスミの予想したように後方ではなく、ユウキが膝を突き立てて待ち構える前方へだった。
「ひぎぃいいいいいい!」
アトミックドロップ炸裂!
股間を膝に叩き付けられた瞬間、カスミの全身に電流のような痛みが駆け抜け、はしたない悲鳴を上げてしまう。
脚は踏ん張りがきかず、がくがくと生まれたての小鹿のように震え、眼球は裏返りかけ、口は弛緩し、みだらなアへ顔を晒してしまう。
「あひぃい……おかしくなっちゃう……」
カスミは股間をおさえて、その場にへたり込もうとするがユウキがそれを許さない。
「まだまだ!」
逃げようとするカスミの腰を掴むともう一度担ぎ上げて、カスミの股間を膝に連続で叩き付ける餅つき式のアトミックドロップ!
ドスン!
「あぎぃいいいいいい!」
股間から突き上げてくる痛みにたまらず、アへ顔を晒すカスミ。
「やらっ!もう、やらっ!」
またユウキに体を抱え上げられカスミがイヤイヤと首を横に振りたくる。
「はは、いてぇか?まだ終わりじゃねぇぞ!」
ユウキは意地の悪い笑いを浮かべるといままでの借りを返すとばかりに攻撃の手を緩めない。
ドスン!
「きゃああああああああ!」
カスミは悲痛な叫びをあげる。
「いや!おかしくなっちゃう……」
ユウキは、合計3発のアトミックドロップをカスミに食らわせたところでやっと解放する。
「あうう……」
カスミは糸の切れた操り人形のようにリングにへたり込み、動けなくなる。
「ほら、立てよ!」
ユウキは右手でカスミのスポーツブラの胸倉を掴むと無理やりカスミを立ちあがらせた。
カスミのささやかに膨らんだ胸がふるんと揺れ、下乳がまろびでる。
「いや!放して!」
カスミは目に涙を浮かべて、首を横に振る。
「オラ!」
ユウキは空いた左腕を引き絞り、渾身の一撃をカスミの鳩尾に叩き込む。
「えぶううううううう!」
カスミの体がボディブローでくの字に曲がる。カスミは目を白黒させ、がはっと口から唾液を吐き出した。
「かはっ!かはっ!」
カスミは息が詰まって、咳き込む。
「オラ!オラ!オラ!」
怯んだカスミに容赦なくユウキがボディブローを叩き込んでいく。
ドスっ!ドゴッ!ボゴッ!
「きゃっ!いやっ!あうんっ!」
1Rと違い、一度ガードを崩されてしまうと連続して叩き込まれる拳をカスミは防ぐすべがない。
じりじりとユウキの攻撃に後退させられるカスミ。気づけばコーナーポストに追い詰められる。
「これで終わりだ!」
ユウキは左手でカスミの首を掴みコーナーポストに押し付ける。
「きゃふっ!」
カスミは呼吸を阻害されて苦悶の表情を浮かべる。
「いくぞ!」
ユウキは右手を引き絞り、力を溜める。
そして、一気にカスミのどでっぱらを打ち抜く。
「きゃああああああああああ!」
ユウキの拳がカスミの腹筋を破壊して深々と腹に突き立てられる。
カスミの体は拳とコーナーポストに挟まれて、衝撃を外に逃がすことができず、もろにダメージが内臓まで達する。
鍛えられた腹筋も一度拳で破壊されてしまうと、内臓を守る鎧としての機能を果たせない。
「あひっ……」
カスミはユウキに突き立てられた拳で支えられて辛うじて立っている状態。
ユウキが拳を引き抜くと力なくどさりとその場に尻餅をついてダウンしてしまう。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
カスミは辛うじて意識を保っているという状態でもう動けそうにない。
ユウキはそんなカスミを横たえさせ、自身はコーナーポストによじ登り始める。
何をされるのか察したカスミが青ざめて、震え始める。
「いや、やめてっ!」
恐怖から涙を目に溜めて哀願するカスミ。
ダメージで立ち上がり逃げ出すことができず、いやいやと首を振ることしかできない。
ユウキはコーナートップに上り、逃げ出せそうにないカスミの様子を見下すと意地の悪い笑みを浮かべた。
「いくぞ!!!!!」
ユウキは掛け声とともにコーナートップから飛び降りて、カスミの腹を両脚で踏み抜いた。
1Rの意趣返しのフットスタンプが炸裂。
ぐみゅりっ!
「いやあああああああああああ!」
カスミは腹を踏み潰された瞬間、断末魔の絶叫を上げる。
カスミはダメージが大きすぎて、指一本動かせない。
そんなカスミの胸をシューズでぐりぐり踏みつけての余裕のフォール。
これも1Rの意趣返し。
「1……2……3……」
カスミ、試合の後半から、一方的になぶられ、屈辱のフォールを返すことができない、完全敗北。
「うう……」
ユウキはカスミは見下し、動けないカスミの胸をさらにぐりぐりと踏みにじる。
「オラ!見たか。俺の実力!」
「あうう……」
「なにがジムリーダーだよ!ボロボロじゃん」
ユウキはカスミの体に敗北の現実を教え込んでいく。
[newpage]
カスミのダメージの大きさから、3R続行できるか懸念されたが、カスミのたっての希望で3R続行が決定。
ゴングが鳴らされて、試合が始まる。
二人は間合いを取り、相手の出方をうかがう。
「さっきのダメージが辛いんだろ?」
さっきのラウンドでの勝利で勢いにのるユウキは余裕の表情を浮かべて言った。
「甘く見ないで、あたなの攻撃なんて、たいしたことはないわ」
カスミはユウキをキッと睨み付けて言い放つ。
「敵わないから、もう許してくださいって言うなら今のうちだよ。カスミさん」
「冗談でしょ。汚い手を使わなきゃ勝てないような卑怯者に、私は負けないわ」
「ふん!言ってろ!」
ユウキは得意の電光石火の速攻を仕掛ける。
もちろん前のラウンドで痛めた腹狙いのパンチ連打。
「うぐ……」
ユウキの拳がカスミの腹を打つ。
しかし、カスミは意外な行動に出た。
ユウキのパンチに怯んで後退することなく、逆にユウキの体に抱き着き、自分の体を密着させた。
「なっ!」
ユウキの鼻孔をカスミの髪の甘い匂いがくすぐる。
ユウキは動揺してしまう。
体を密着されて、ユウキはパンチを放つが威力が通らない。
「くそ!放せ!」
カスミは、無駄のない動きで、動揺するユウキの脚に自分の脚を絡めていく。
ユウキはカスミに足元をすくわれて、バランスを崩し、リングに押し倒されてしまう。
ズダン!
「がはっ!」
ユウキは背中をリングに打ち付けて、肺の息を縛りだされる。
カスミはユウキの腹にどかりと腰を下ろしてマウントポジションを取ると拳を振り下ろしていく。
ドスッ!ドスッ!ドスッ!
「ぐ!ぐあっ!そんな攻撃効くか!」
ユウキは腕をクロスさせてカスミの拳を防いでいく。
「舐めんな!」
「きゃあ」
ユウキは一気に力を込めて状態を起こし、腹にのっていたカスミを跳ね除けた。
逆にカスミがリングに仰向けにダウンする形になる。
立ち上がったユウキは、今度は自分がマウントポジションをとり、滅多打ちにしてやろうとリングに倒れたカスミに駆け寄った。
ユウキがカスミに駆け寄って、顔にパンチを下ろそうとした瞬間、ユウキの腕をカスミがキャッチし、両脚がユウキの首に絡みついてきた。
「なっ!」
ユウキは動揺する。
虚を突かれたユウキは膝をつかされ、伸びてきたカスミの太ももで首を絞められてしまう三角締め。
ぎゅううううううううううううううううううう
「ぐあああああああああああああああああああ」
ユウキは腕を引き延ばされる痛み、カスミのほどよく肉のついた脚に呼吸を阻害される苦しみでうめき声をあげる。
ぎゅううううううううううううううううう
カスミは容赦なく、ユウキの首を絞めつけていく。
「ほら!苦しいでしょ!ねぇ!」
「うああああああああああああああああ」
「早くタップして楽になっちゃいなよ!でないと窒息させちゃうよ!」
ぎゅうううううううううううううううううう
カスミの太ももがユウキの首にさらに食い込んでいく、絞められるユウキは真綿で絞められるような苦しみを味わう。
ユウキは自由に動く片方の腕で必死に自分の首に絡みつくカスミの太ももを引き剥がそうとするが、うまく技から脱出することができない。
ユウキは、脳に行く酸素も血流も途絶えさせられ、視界にもやがかかり始める。
このまま絞め続けられればカスミに締め落とされる。
ユウキは失神させられることを覚悟した。
しかし、ユウキのプライドが、カスミに敗北を認め、無様に太ももをタップすることを良しとしなかった。
負けてたまるか、まだ体力は残ってる。体を動かせるチャンスは今しかない。
ユウキは全身の力を振り絞り、カスミに組み付かれたまま上半身を持ち上げた。
「うおおおおおおおおおおおおおおおお!」
そして、ハンマーを振り下ろすようにリングにカスミを何度も叩き付けた。
「きゃあ!」
背中をリングに叩き付けられ、ユウキの体を拘束するカスミの力が一瞬緩んだ。
ユウキは、一瞬の力が緩んだ隙をついて三角締めから脱出する。
「はぁはぁはぁはぁ」
ユウキは新鮮な酸素をむさぼる。
全身に酸素がやっとめぐり始める。
体力を十分回復させたいところだが、余裕がないユウキは、苦しい体に鞭打ってすぐさま反撃に転じる。
未だにダウンしたカスミをストンピングに攻め立てる。
カスミは腹や胸を踏みつけられて悲鳴を上げる。
「さっきはよくもやってくれたな!」
首を絞められたお礼とばかりに、ユウキはカスミの首を両手で絞めた!
「おらああああああ!」
ユウキの叫びと共に持ち上げられるカスミの肢体。ネックハンギングツリーが完成する。
ぎゅううううううううううううううう
ユウキの握力と下に下がる重力でどんどんカスミの首が締まっていく。
「うぐっ……あがっ……」
カスミに効果抜群のようで、よほど苦しいのか顔を赤くして、自分の首を絞める腕をなんとか引き剥がそうと手でユウキの腕を掻き毟る。宙に浮かされた脚を必死にばたつかせてもがく姿はその苦しさを物語っていた。
「はは。苦しいか?でも、本番はこれからだ!」
ユウキはそういうとカスミの首を左手だけで吊し上げ、右手はカスミに見せつけるようにたっぷりと溜めて引き絞る。
「いやっ!」
カスミは恐怖に震えおののいた。
「いくぞ!!!!」
ユウキの掛け声と共にカスミの無防備な腹へと叩き込まれるばくれつパンチ。
ズドンッ!
ユウキの拳はもともとダメージが蓄積して脆くなっているカスミの腹筋の壁を易々と破壊して、腹に深々と突き刺さる。
「かはっ!」
あまりの痛みにカスミは悲鳴すら上げられず、あまりの激痛に目をカッと開き、口から唾液を吐き出した。
ユウキはすぐに拳を戻さず、ゆっくりと拳を引き抜き、破壊したカスミの柔らかい腹の感触を堪能する。
カスミは、首を圧迫されるダメージと腹に叩き込まれた強烈な一撃でもはや瀕死寸前の様相。
さすがに片腕でネックハンギングツリーを極めることが難しくなったユウキがカスミの首を解放する。
カスミはどさりとリングに倒れ伏す。
「うっ……うっ……」
うつ伏せにダウンしたカスミ。
体をびくんと時折ひくつかせ、すぐに立ち上がれそうにない。
「そろそろ楽にしてやるよ!!」
ユウキはラフにカスミの髪を掴んでいく。
「いや……」
されるがまま、よろよろと立ち上がるしかないカスミ。
ユウキはかがんで、自分の右ひざを立てるとその上にカスミの腰を乗せた。
重力でカスミの頭と足が引っ張られ、腰を反らされる風車式バックブリーカー。
そして、カスミはこの試合で散々痛めつけられてきた腹を無防備に突き出す形になってしまう。
カスミはもはや、いやいやと力なく首を振ることしかできず、抵抗できない。
「これで止めだ!!!!」
ユウキは、ダメ押しで、まるで瓦割でもするように突き出されたカスミの腹に正拳突きを叩き込んだ。
「いやああああああああああああああああああ」
拳と膝に挟まれ、ダメージを逃がすことができず、カスミの内臓にもろにダメージが伝わる。
カスミの体から見る見る力が抜け、腕がだらりと垂れ下がる。
屈辱の失神KO
2本先取で、ユウキが勝利をおさめた。
ユウキはカスミの失神KOを確認すると、勝ち名乗りを上げる。
「あはははは、もっとがんばれよな。こんなんじゃ、すぐにバッチ集まっちゃうじゃん?」