[ヤマト日記] しっかりしろハイド! 2024/06/21
- ヤマトからハイドへ -
駄作!?
キミ、オレの作品を駄作って言ったのかい?
オレもオマエの事は好きだし、なんなら愛してる。忘れるなよ兄弟。
だから言わせてもらうぜ。
オマエの編集技術はトップレベルだ。コミケで見つけたオマエの童貞ならではの視点と純粋さ、そして野心がオレにはお気に入りだった。
女とヤリてェ、しかし叶わねぇ…。そこでオマエはかれこれと架空のアイドルとの妄想を重ね、ゴミ箱へのクリネックスの束を重ねてた…。それは大変美しい世界として、独りぼっちのお前を輝かせていた。キレイだったぜ兄弟…。
あのな、泣き言なんぞ聞いてるヒマはねぇんだよ。てめぇ、編集担当だろう!?
オレは素材を撮り、キミが編集する。
オレは監督として命がけでカメラを構えた。いいか、オレはミヤコさんの車に右ひざをひかれたんだ。今でも歩く度にヘッコヘッコなる。しかしその時もオレは無言でカメラをかまえ続けてた。
コレ、なるべく早く病院に行った方がええんちゃうのん?
分かってた。でもオレはファインダーを覗き続けた。なぜか?
ミヤコさんの靴下のニオイが変わるからだ。
「あれ?ヤマトくん大丈夫?」
せっかくカースタックでアクセルクサくなってた女優の足のニオイに、心配という余計な要素が混入するんだ。
これは蛇足だ。これが分からなきゃ、キミ、今後オレらの倶楽部にいても苦労するぜ!? これはスタクラの基本なんだ。
ハイド、キミこそいい加減にしたらどうだ。我々の会員に加わった時の喜びを、感動を忘れているんじゃないのかい?
ちょっと頭を冷やせ。予め備わった動画を並べて作品っぽくするだけなら、オレが天才だと認めたキミを逐一雇う意味も曖昧になるんだ。
天才はな、無から何かを作り出すから天才なんだ。用意されたモノを少しいじくって、「あー、私はこれを作りました」って、オマエ、そんなんでホントウに人生楽しんでんのか!?
もし兄弟、キミがそれでいいんなら、オレは失望する。
兄弟、キミはオレが認めた数少ない天才だ。
キミが天才じゃないんなら、オレがかつてコミケで見かけた、誰にも相手にされず独りぼっちで床を眺めてたあの寂しげな原石は、ただの独りよがりな甘ったれだったという悲しい現実を認めざるを得なくなる。
オレは認めたくない。オレの直感は正しかったはずだ。