【小説サンプル】死にたがりの魔女と上位魔族2・えっちシーン抜粋
『死にたがりの魔女と上位魔族2』のえっちシーンのサンプルです
あらすじ
逃げ出した魔女が上位魔族に連れ戻され、快楽責めによるお仕置きを受ける話。
全体を通したプレイ内容
人外(魔族)攻め・囚われ・無理矢理・肉体開発・しつけ・羞恥プレイ・子宮責め・快楽責め
・ヒロインが攻め以外から性感開発・お仕置きを受けるシーンがあります。
・作中にモブキャラの殺傷描写、流血描写がございます。
【第2話 しつけなおし】より
目蓋の裏に届く光が眩しくて、ユキはうっすらと目を開けた。
ドーム状に嵌め込まれた透明度の高いガラス越しに見える空は嫌味なほどに晴れ渡っている。
鳥籠の中で正確な時間は知れないが、どうやら随分と長く眠ってしまったようだ。
気怠い体は寝返りを打つのも億劫で、寝過ぎたからか頭が重い。こんなに眠れたのはいつ以来だろう。随分と長い夢を見ていた気がする。
鳥籠から逃げ出して、捕まり、人前でサファルに仕置きを受ける。
散々な目に遭う夢だった。
おまけに勇者召喚の魔法陣まで壊されてしまった。この先何を目標に生きればいいのか。命がまだ続く事実に落胆し、ユキはひとり途方に暮れた。
とことんわたしは悪運が強い。そろそろ終わらせてくれてもいいのでは……。
体にかかった毛布を顔まで引き上げようとして、違和感に気づく。掴んだ手のひらに毛布が引っかかるのを感じたのだ。
きっかけひとつでユキの脳は寝ぼけた状態から一気に覚醒した。
体から毛布を跳ね除ける。着ているのはいつもの白いワンピースだけど、いろいろとおかしい。
節々の肌が裂け、アカギレだらけの荒れた両手。手首や腕、身体中に残る痣も……。
——夢なものか。
鳥籠を逃げ出してから、西方大陸で聖女に拾われた。教会で暮らしながら勇者召喚の魔法陣を破壊する機会を狙っていたが、魔族の襲撃にあい、サファルに見つかり……。
次々と記憶が映像となって頭の中を流れていく。最悪だ。焦燥に駆られて起き上ろうとするも、上手くいかない。
足を体のほうに曲げて引き寄せることができず、シーツに肘をついてどうにか上体を持ち上げた。
「——んぅっ⁉︎」
ベッドに座ったユキは驚き自身の下腹部を見下ろす。体勢の変化に伴い、胎内で何かが動いたのだ。
気のせいなどではない。
膣奥の違和感は情事の後だけでは片付けられないぐらいに鮮明だった。今も痛みのない圧迫感をユキに与えてくる。ともすれば悦びになりかねないそれを苦々しく思いながらも、考えないように別のところへと意識を逸らした。
膣奥の異物も、腹の奥に残る熱も——。不用意に気にしてはいけない。
そんなことよりもと、ユキは自身の足へと目を向けた。
痛みなどの触覚的な異変はないのに、足が動かせない。
両足はシーツの上に縫いとめられたまま、まるで重りを付けられたかのように引きずることも叶わない。
足首の裏、腱の周りの空気が陽炎のように歪んでいて、何かをされたのは明白だった。
ユキは膣奥を刺激しないようにゆっくりと身を屈めた。
腱へと手を伸ばし施された術を解析しようとしたまさにその時、鳥籠の空気が揺れた。
隙間風が吹くように、体の中に残るものと同質の魔力が漂う。
ぎくりと体を硬直させてユキは顔を上げて鳥籠の一点を見つめた。
じっと身構えていると視線の先にサファルが現れる。赤い瞳の魔族は穏やかな笑みをユキに向けた。
いつもと変わらぬ態度が癪に障る。
ユキは閉口して目を背け、破裂しそうな憤りをどうにか堪えた。当たり散らしたところで、事態が好転するわけでもない。
「おはようございます。よく眠れましたか?」
歩み寄る男にユキは顎を引いて身を固くした。警戒心から離れようとするも、足が動かせずサファルとの距離は縮まるばかりだ。
サファルがベッドの縁に腰掛け、ユキの右足首へと手を伸ばした。
「お仕置きが済めば重りは外しますが、足は当分治すつもりはありません」
「……っ、まだっ」
人前であれだけ辱めておいて未だに気が済まないのか。言葉を失うユキにサファルが当然とばかりに鼻で笑う。
「あの程度で終わるとでも? どうやら自分がしたことの重大さを理解できていないようだ」
「…………っ!」
軽々と抱き上げられ、サファルと交代するようにベッドの縁に座らされる。
つま先が床につくも体を支えるには至らず、お尻に体重がかったことで膣奥の異物が奥の壁をぐっと押した。声が漏れそうになるのを必死に堪える。
実体のない足枷に重みはない。故に両足を床に引っ張る力は足自体の重さと重力だけだ。
それなのに、ユキの足首から親指の先にかけては自由にならず、膝や腿に力を入れて足をたぐり寄せることもできなかった。
「不便はかけさせません。私も世話役たちも、いくらでもあなたの足になれます」
床に片膝をつき、サファルはユキの手をとった。ユキの指の節々にできたアカギレを丁寧に指先でたどる。
「これでも心配していたのですよ。無闇に生き急いでいないかと、気が気でなかった」
「……っ、う……くっ」
サファルの魔力が皮膚を通して浸透していく。指の節々に感じていた痛みがすっと消えた。反対の手も同様に。一瞬にして皮膚の裂傷はおろか手のかさつきひとつなくなった。
滑らかな手のひらにサファルは口を寄せた。
「決してその身は丈夫でないのですから、無茶な行為は控えなさい」
「無茶なんて……」
したつもりはない。
手荒れは労働に従事する者ならあって当然の傷だろう。
魔族と比較されたら人間は誰もが脆弱だ。しかし日々の生活で死ねるほど極端に貧弱でもない。
サファルはユキの身体に傷が出来るのがとことん嫌らしい。
所有物の価値が下がるのを厭うからか、支配者としてのプライドの問題か。ユキには判別がつかなかった。
「無茶でないなら、間接的な自傷行為を認めると?」
揚げ足を取られユキは押し黙る。痛みを精神の安定に使っている自覚はあるので反論できない。
ふう、と。サファルの吐いた息が手のひらに触れる。
「ようやくこちらの生活に慣れてきたかと喜んでおりましたが、また逆戻りとは」
ベッドの外に足を投げ出したまま、肩を押されて上半身をシーツの上に倒される。起きあがろうとするもサファルに乗りかかられて身動きが取れない。
「いつになれば、あなたは心を許してくれるのでしょう」
「……そんな日は来ない」
顔の左右に両手をついたサファルと近距離で見つめ合う。
サファルが真剣なのはその表情からも明らかで、ユキはなぜ自分にそんな顔を向けるのかと泣きたくなった。
「甘え上手な人間が欲しいなら、そういうのを探せばいい」
「勘違いしないでいただきたい。私は甘える人間を欲しているのではなく、あなたに甘えて欲しいのです」
大きな溜め息ひとつ。安穏とした男から笑みが消える。
「なんにせよ、以降は際限のない自由を与えるつもりはありません。精霊避けを施しましたので、異界の者を鳥籠に喚ぶことも不可能だと、先に教えておきます」
「……どんな状況であっても、それはわたしが服従する理由にはならない」
閉じ込められてひどい仕打ちを受けようが、ユキの自我はユキのものだ。
生き様を変えるつもりはないし、命の終わりを目指すのも止められない。歩みを止めようものならば、それこそ心が壊れてしまうだろう。
ユキの頬にサファルの手が添えられる。
「長期戦をお望みでしたら、いくらでも付き合いましょう。どれだけ意地を張ろうが、私はあなたを諦めたりはしません」
「どうしてっ」
なぜ執着の対象がわたしなのかと言いかけて口を閉ざす。
答えを聞いたところでどうせ納得できるはずがない。無意味な問いかけだと途中で気づいたからだ。
理不尽な事象に理由を求めても仕方がない。互いの主張が並行している時点で、ユキとサファルに歩み寄りは発生しない。
少なくともユキはサファルのもたらす待遇を受け入れるつもりはさらさらなかった。たとえ力では叶わないと理解できていてもだ。
怯えながらも支配者を睨む。そんなユキの頬に軽く口付け、サファルは己の下唇をゆっくりと舐めた。
「抵抗したいならお好きにどうぞ。嫌だと泣きながらも快楽に悶えるあなたはとても愛らしく、嗜虐心がそそられる。この手でもっと泣かせたくなります」
「——っ!」
両手でユキの頬を挟むように固定したサファルに口付けを受ける。
覆いかぶさる男を突き返そうとするも、思うように力が入らない。
体内に溜まるサファルの魔力を思い出し、ユキははっと目を見開いた。
「んっ……うんぅ……っ」
気付いた時にはもう遅い。
こじ開けられた口にサファルの舌が侵入した。
歯列の裏側を舐められ、舌を絡め取られる。舌が痺れて脳が蕩けた。
サファルに魔力を口腔から体内へと送られ、それは元から子宮に留まる魔力を呼び覚まし、下腹部に欲情の火種を灯す。
サファルの肩を押していた両腕がぱたりと力なくシーツの上に落ちた。
弛緩して投げ出された四肢に焦りが芽生えるが、どうすることもできない。
「……っ、いやだ……」
「せっかく馴染ませた私の魔力も、時間が空いては体から抜けて当然です。西方大陸では加減しましたが、もうその必要もありません。もう一度と言わず何度でも、その身を染めて差し上げます」
「いやっ、……やめて」
「心配なさらずとも、あなたならまたすぐに動けるようになりますよ」
サファルがユキの下腹部に手をかざす。
「あっ……っ!」
腹の奥の熱が暴れて、膣が締まった。異物を嫌でも意識してしまう。
膣壁が収縮を繰り返し、緩い快感を拾うさまはまるで異物を用いて自慰をしているかのようだ。
「うぅっ、やだっ……」
体の自由が利かないなかでも膣壁はうごめき、ユキの羞恥を増幅させる。
淫らな生き物だと言われても否定できそうにない。
サファルはユキのワンピースを脱がせた。体にできたアザや傷に舌を這わせる。
「やっ……ぅっ」
サファルの手指が、舌が肌に触れるたび、じんとした熱が浸透して体の痛みが消えていく。むず痒さに身をよじろうにも力がこもらず、ユキは漏れそうになる嬌声を堪えるしかできなかった。
「……んぅっ」
痛みに対しては耐性がある。反して全身に与えられる悦びは耐えようがない。
足を持ち上げられ、見せつけるようにサファルがねっとりと脛を舐める。
膝付近の、聖女付きの侍女が踏みつけたことによって変色した部分を甘噛みされて、微かに足が揺れた。
サファルがユキをベッドの中央へ運び、うつ伏せにする。背中に残るおびただしい折○の痕が曝け出され、呆れた溜め息が降り注いだ。
「少し目を離しただけでこれとは……、教会の後始末を友人に任せたことを後悔してきました」
「……んっ……やめっ」
「あなたはこれを付けた者たちに、同じ痛みを与えたいと思いませんか?」
「知らな……っ、どうでもいい」
こんなことでいちいち腹を立てても仕方がない。疲れ以外に得られるものがないのに、無駄なことに心力を注げというのか。
聖教会での生活は、仕事が遅いと鞭を振るわれるのは日常だった。
修道女に関係なく、聖騎士たちからもつねられたり殴られたり、あそび感覚で石を投げられたりと、髪や目の色が違うユキを異質者として排除しようとする空気は教会の中で常態化していた。
ユキには幻覚系の術が通用しないから素性を知れたが、おそらくトオワタは認識阻害のアイテムを使い容姿を変えていたのだろう。
聖教会では唯一ユキだけが邪教からの改宗者と見なされ、それ相応の扱いを受けていた。
聖女はユキを表面上は気にかけていたが、下の者が懲罰と称して暴力をふるうのをやめさせようとはしなかった。
罰を受け続け、皆に許された時、初めてユキは真の信者になれるのだと、本気で信じている節さえあった。
この程度で死ぬならユキの信心が足りなかっただけ——と。ていのいい言い訳を持つ聖教会の人間たちはユキに容赦がなかった。
そしてたとえ味方がいなくても、どれだけ周囲から虐げられようと、ユキにも聖教会に留まる目的があった。
勇者召喚の魔法陣を潰せるまで体が保てばそれでよかったのだ。だから酷い扱いを受けてもさして抵抗する気になれなかった。
結果としてユキが命を落としてでも成し遂げたかったことはサファルに横取りされてしまったわけなのだが。ユキがあそこで終われていたら、サファルがこうして憤ることもなかっただろうに。
「……まあ、あなたが他者に無関心であっても、私もそれに倣う必要はありませんので。これからはあなたに向けられる害意については私の好きにさせていただきます」
静かに宣言し、サファルは背中の傷跡を消していく。
かさぶたになっていた部分にも滑らかな肌が戻り、そこをきつく吸われては新たな鬱血痕が残った。
体中の傷が消えていくにつれ、ユキはさらなる熱にうなされる。うつ伏せの状態で胸がシーツに擦れるのがもどかしい。
「うっ……ん、……やぁっ」
シーツと腹部の間に手を差し入れたサファルが、へその下辺りをすくうようにして揉み込む。
子宮が圧迫され、余波は膣奥にまで及んだ。腹を押されるとその都度膣内に埋まる異物が僅かに位置を変え、嫌でも存在を意識させられる。
「やっ、待って……っ、そんなっ」
腹筋に力を入れることも叶わず、外から子宮を揺さぶられて訳もわからず感じてしまう。指の腹でぐにぐにと押されるたびに無機質な異物を飲み込んだ膣が今以上に大きな質量を求めて切なく収縮した。
「ふぁっ、あっ、あっ、……っ、んああっ」
「こんな身体をして、これまでよくひとりで我慢ができましたね」
サファルの魔力に侵されたユキは、悶えることすらできず、与えられるままに快楽を受け続けるしかない。
「治療は終わりです。改めてお仕置きと参りましょうか」
ユキが達してしまう前に、サファルは腹部を押すのをやめた。
「はぅっ……ぅう……、ぁぁ……っ」
熱を持ったユキの体をサファルは軽々と持ち上げ、自らに背中を預ける形でベッドに座らせた。
膝裏をすくわれ、足を外側へと大きく広げられる。
見えない枷のついた両足はユキの力で移動させることができない。膝を内側に倒そうとするも秘所を隠すことはできなかった。
「正面をご覧なさい」
背後から耳打ちされ、ユキは恐々と顔を上げた。
空中に生成された水が集約し、眼前の空気に波紋ができる。ゆっくりと波が消えていくのに合わせて、透明だった水から光の透過がなくなった。
奥の光景が遮断され、銀色になった水の板は光の屈折が起こし、正面にある物をありのままに映す。
「——なっ、こんなっ」
足を広げて秘所を晒す自身の姿を見せられ、ユキは顔を真っ赤にして慌てた。
「顔を背けてはいけません。この淫らな肉体を、その目でしっかりと受け止めなさい」
「……いや、……やだぁ……っ」
眉を寄せて首を振れば、鏡に映るユキも寸分違わぬ動きをしてくる。
映るものがユキの目で見えているということは、これは幻覚でない。まごうことなくユキの痴態だ。
サファルがユキの左足を持ち上げる。ぱくぱくと刺激を欲する膣口に、自由な手の中指が挿れられた。
「こんなに濡らして、それでも嫌、ですか?」
「やっ……ぁあっ」
膣はすんなりとサファルの指を咥え込む。
奥へ進む途中で遭遇した異物を、サファルはぐっと中へ押し込んだ。
「ん——っ、……ああっ、あん、んっ、……やあぁっ」
細長い異物が膣奥の壁をぐにぐにと押してくる。
「やっ、ああぁ——っ! いや、……やだっ! あっ、あうっ、うぅ……」
羞恥に耐えかねたユキが目を閉じる。
つるりとした異物は子宮口をこじ開け、奥に侵入を果たそうとしてくる。怯えながらもどうにか首を振ると、異物を押す力が緩められた。
目を開けば鏡越しにサファルと目が合った。優しく微笑んだ支配者はユキの視線を釘付けにした状態で膣に侵入する指を二本に増やし、中の異物をコツコツと小突いた。
「はぅっ、あっ、や……っ、あぁっ、おく……おくの……っ、もぅっ、抜いてっ」
「なぜ? ナカは私の指と一緒に、こんなにも締め付けてくるのに?」
「ああぁっ、やだっ! 押し込むのっ、だめっ……うあっ、あぁ、やだぁ!」
子宮の入り口がぬぅっと広がりかけるのを腹の奥に感じて、ユキは思わず泣き叫んだ。
そこにサファル以外を受け入れるなど、考えたくもない。
サファルが膣を責める指を微かに後退させる。しかし依然として異物は膣奥に当たり、ユキは緊張に呼吸を早くした。
「嫌なら鏡を見続けなさい。自分がどれだけ快楽に弱い、淫らな体をしているのか、記憶に焼き付けるのです。わかりまましたね」
嫌だと言った先の未来が安易に想像でき、ユキは震えながら小さく頷いた。
膣内で異物の外周を指でくるくるとなぞっていたサファルが、二つの指で異物を挟んだ。部分的に膣道を広げながら入り口へと指が引かれていく。
「はあぁ……っ、あっんん、……あぅ……」
やがてサファルの指が愛液を伴いながら抜け出た最後に、透明でつるりとした長細い異物が膣口より姿を現した。
「ぅあっ、……ぁ、やぁ……っ」
ぬぽぉ……っと、ぬるぬるの愛液をまとった硬質な物体がナカからゆっくりと出てくる様子があまりにも卑猥で、耐え切れずユキは鏡から目を逸らしてしまう。
刹那、サファルは外に出かかった異物を再び膣奥へと押し戻した。
「あうぅっ、や、やだっ。んん——っ!」
膣道は難なく異物を奥まで通す。柔らかく緩んだ奥の肉壁をぐにぃ……と先が押し上げた。
「ああっ、ごめっ、……なさ、いっあぁ! ……んっあぁ、い……言い付けっ、を……まもれなくっ……て。んぁっ、やあぁっ、奥は……っ、やだぁっ」
得体の知れない無機質な物体が子宮に入り込もうとしている。拒否感がひどく、体に力が入らないながらもユキは必死に逃れようともがいた。
ポルチオでの快楽は拾えているのに、腹の底からは不快感が込み上げてくる。
なぜそれほどまでに嫌なのか、ユキ自身もはっきりしない。その場所を○すのはサファルだけだと、徹底して教えられたからかもしれない。
鏡の中で、自分自身が眉を寄せて苦悩の表情を浮かべている。
だらしなく開かれた口。汗ばんだ肌。はしたない姿を目の当たりにし頭がくらくらした。
「……えっ、あっ」
異物に触れるサファルの指先がじんわりと熱を帯びる。それが魔力だと知覚するのは早かった。
「ああっ、や、なにっ、これ……っ⁉︎」
異物に触れる膣奥がじんと痺れる。まるで電気が流れているようだ。
「あっ、あっ——っ、きゃあぁっ!」
びくんっ。動かないはずの体が大きく跳ねた。
ちりちりと異物全体に蓄積された電気に似た力が、膣奥に触れている箇所で弾けたのだ。
確かな質量をもって膣奥を蹂躙していた異物は肉壁の締め付けから逃れるように、余韻を残して跡形もなく消え失せた。
一瞬の出来事にユキの目の前が真っ白に染まった。
びくびくと膣がうねり、ナカの物を締め付けようとする。しかし刺激は長く続かず、達しかけた体は新たな征服を求めだす。
「……うぅ、ぁ……ど、して……ぇ」
混乱するユキのナカから指を抜き、サファルは持ち上げていたユキの片足をシーツに下ろした。
小刻みに震える腹を圧迫される。
「物足りませんか?」
「うっん……っ、やだ……あっ」
質量を欲して膣が切なげにうごめく。サファルが腹の上から与える振動が膣奥の疼きに拍車をかけ、ユキの欲求は際限なく高まり続けた。
「あぅっ、う、あぁ……」
栓が消えたことにより、子宮に溜まっていたサファルの精液が膣道を下る。膣口からどろりと愛液と精液が混ざった白濁色の液体が溢れた。
サファルはユキの腹部を押していた手を下へ移動させ、溢れた精液を膣に戻すように指を挿入する。
「あっ、やっ、ああぁ! あんっ、んやぁっ」
ぐちょぐちょと秘所から響く卑猥な水音がユキの羞恥を煽る。
ナカを抉る指は精液を膣壁に塗り込むように敏感な箇所を刺激した。
喘ぐ自身の姿に涙を流しながらも、ユキは正面の鏡から目を離そうとはしなかった。
「——んぅっ」
異物によって遮られていた膣奥にサファルの長い指が到達する。
「んあぁっ! あっ、や……っ! やだっ、一緒は……やあぁっ!」
子宮口を小刻みに押しながら、サファルは親指でクリトリスをぐりぐりと転がした。もう片方の手はユキの胸を揉みしだき、つんと立ち上がった乳首を軽く引っ掻く。
「あぁっ、あっ、——っく、イク……、イっちゃ……っ! あ、ああ——っ!」
羞恥と快楽に悶える自分自身を見つめながら、ユキは絶頂を迎えた。
「やああっ! イった……、からっ、もっ、おくのっ、だめっ、あっ! またっ……、——やああぁっ!」
一度の絶頂で責めは止まらず、ユキは立て続けに何度もイカされた。
鏡越しサファルと目が合う。涙で歪む視界の中、笑みを深くした男の表情に快楽責めがまだ終わらないことを悟る。
「——っ、やぁっ、……もう、きもちいいの、やだぁ。あっ、やぁ——っ!」
絶頂の波から降りられず膝が震えた。膣口から止めどなく溢れる愛液がサファルの手とシーツを濡らしていく。
「苦しいですか?」
「んぅっ、うっ、うぅ……」
耳元で囁かれ何度も首を縦に振った。ポルチオとクリトリスの責めが止まる。
サファルは胸をいじっていた手を下腹部へと移動させた。反対の手は親指をクリトリスから離し、中指を膣のさらに奥へと押し込む。
ぬうぅ……。
「——っ!」
鈍いながらも確かに感じる圧迫感。子宮口がこじ開けられる感覚に、ユキは目を見開いた。
「はっ、あっ……あぁ……、ぁ……」
「そんなに怯えなくとも、こちらは何度も私を迎えているでしょう」
「ぃや……っ、でも……」
そこは本来、外から何かが入るような場所じゃない。サファルのペニスを受け入れるのだって、本当はおかしいはずなのだ。
「抵抗があるというなら、無理に入れるのはやめておきましょう」
「んあっ!」
子宮口を指の腹で引っ掻き、サファルは膣奥を抉っていた指を抜いた。
ユキの背後を退き、腰を掴んで持ち上げる。四つん這いになったユキは目の前に接近した鏡に映る上気した自らの顔に驚き、反射で目を逸らした。
「顔を背けてはいけません。お仕置きはまだ終わっていませんよ」
「んあっ、やっ……」
クリトリスをきゅっと摘まれ、ユキはどうにか前方へと顔を向ける。
おしりの丸みを弄られると背中が反り返った。
「はぁ……ぁ、あぁ……んっ」
鏡の中のサファルが着ている衣服を脱ぎ捨ててゆく。
褐色の肌。引き締まった肉体。聳り立つペニスを目の当たりにし、腹の奥がきゅんと疼いた。
膣口に熱が当たる。これからもたらされるであろう強い快楽に期待して、熱い吐息がこぼれた。——そして鏡に映る恍惚とする自らの顔を目の当たりにして、ユキは愕然とした。
「やっ、うそ……っ、そん、なっ。あっ、あぁ——っ!」
しかしそんなまごついた心も、強烈な快感によっていとも簡単に押し流される。
膣道を○すペニスは難なく奥の肉壁へと到達し、ピストンを開始した。
「あっ、ああっ! や、あっ……、あうっ、ん、んんぅっ……ああぁ!」
感じる自分に恥じて声を抑えようにも、膣奥を穿つペニスによって簡単に表情が蕩け、口が開いてしまう。
灼熱が子宮口をごつごつと抉り、咄嗟に逃げようとしてユキはベッドに肘をついた。
泣いて喘ぐしかできない無力な自分を鏡で見せられる。
屈辱的な格好で獣のように交わる、それでもなお感じてしまう体に嫌悪するも、ポルチオをぐりぐりと突かれると苦い気持ちは呆気なく快楽に流れていった。
「あぅっ、うっあ、……んっ、ああっ」
ユキがシーツを握りしめる。絶頂の予兆に子宮が熱を期待して、ひくひくと腹がへこむ。突き上げにより緩んだ子宮口はペニスに合わせて何度も口を開きかけた。
しかしサファルは自らの肉棒を奥の奥まで押し込もうとはしなかった。
「ああっ、やっ、イク……、くぁっ、いっ——、ああぁっ——っ!」
手加減された抽送によって、ユキはポルチオの刺激で達した。
「やあっ! イクっ、また、あっ……、いっ——、ああっ!」
絶頂の余韻に浸る間を与えず、サファルはピストンを再開した。
強引に与えられる強烈な快感に、ユキの視界に火花が飛んだ。
気持ちいい。気持ち良すぎる。それなのに最奥が満たされない。
感じながらももどかしさに当惑するユキに対し、サファルは容赦なく快楽を送り続けた。
「ああっ、やっ、もうっ……、それはっ、やめっ……っ、やだぁ——っ」
なりふり構わず泣き叫ぶ。ユキの腰を押さえつたサファルが、ぐりぐりと子宮口にペニスを突き立てた。
「……っ」
「あっあぁ——っ!」
熱い飛沫が膣奥を満たす。その衝撃にユキも絶頂に呑まれた。
断続的に注がれる熱が子宮内に入り込み、じんわりと腹部が暖かくなる。しかし記憶に残る圧倒的な充足感には到底及ばず、虚しさが胸の内に湧き上がった。
欲求不満を訴えるかのように膣壁がペニスを締め付け、勝手に先をねだり出す。
「あぁっ、あっ、あんっ……うぅ……」
ユキの願いは届かず、サファルは呆気ないほどあっさりと膣からペニスを抜いた。
絶頂の余韻が冷めない体はびくびくと痙攣を繰り返す。なんとか呼吸を落ち着けるも、腰がの震えが治まらない。
蜜口より流れ出た液体が太腿を伝う。
発散しきれなかった最奥の疼きに耐えながらゆっくりと顔を上げる。鏡越しにサファルが微笑んだ。
「人間の性交を真似てみましたが、その身は満足出来ましたか?」
「——っ!」
見透かしたような問いかけに息を詰める。サファルはユキの背中から腹へと手を移動させ、臍のあたりを優しくさすった。
「あなたから望ない限りは、こちらを○すのは控えるとします」
「なっ……」
「形ばかりの拒絶を示すあなたの本当の望みを、私が叶える理由がありますか?」
絶句するユキの身をサファルが起こす。逞しい腕の中に閉じ込め、ユキのこめかみに口付けた支配者は喉の奥でくっと笑った。
「先ほども申し上げましたが、こちらも好きにさせていただきます」
とびきりの笑顔で宣言され、背筋が凍った。
視界の隅で鏡が波紋を描き、蒸発して消える。映す媒体がなくなっても自身の法悦に染まった顔はいつまでもユキの記憶に残された。
足りない。満たされない。子宮が切なさを訴えるも、それを言葉にするにはいささか理性が戻りすぎていた。
うろたえるユキに口づけを施し、サファルは口腔から惜しみなく魔力を注ぐ。
「ふっ、ひゃ……ぁ……っ」
互いの舌を絡ませ、唾液に乗って喉を通る魔力はユキの全身に行き渡り、戻りかけていた体の自由を再びなくす。
サファルの魔力は腹の中に燻り、ユキの性的な欲求をより一層掻き立てた。
「うぅっ、あ……、あぁ……」
「敏感な肉体を恥じることなどありません。もっと淫らに、欲しいままに求めていいのですよ」
「——んっ」
耳元で吹き込まれるように言葉を紡がれ、むず痒さにユキは肩をすくませた。
「意地を張ったところで、私があなたを手放す日は訪れません。根比べがしたいなら望むところですが、辛いのはあなたです」
「……っ、うそっ……」
必死で首を横に振ると、サファルは抱きしめる腕の力を強めた。
「偽りだと思われるのは心外ですね。……さて、どうやってあなたの信頼を得ましょうか」
優しい口調にユキの思考がぐちゃぐちゃになる。
サファルを否定する自分がおかしいのか。無理矢理ここへ連れてきて、好き勝手に体を暴き、自由を奪う。そんな行為を容認できる訳がないのに。
確固たる正義を心の軸に持たないが故にユキは揺らぎ、苦悩してしまう。
ただひとつ。サファルが与えようとしてくう幸せだけは、自身には不要なものだと、ユキにははっきりと断言できた。
安息に身を置けば過去の記憶が悪夢となって精神が蝕まれてしまう。
ユキが苦々しく顔を顰めたタイミングで鳥籠の空気に揺れた。
サファルとは違う気配を感じてユキは身を固くする。サファルが顔を上げると、視線の先にノースとサウスが現れた。双子はサファルへと深く頭を下げる。
「下の準備が整いました」
ノースの報告にサファルは鷹揚に応じた。
「すぐに向かいましょう」
サファルがユキをそっとベッドに寝かせて、名残惜しげに頬を撫でた。
「所用があるので私は一度退散します。足りないならば彼らに可愛がってもらいなさい」
「——っ、いらないっ」
「ご冗談を。腹の奥が物足りないのでしょう?」
慌てるユキに冷笑し、サファルが双子へと向き直る。
「後は任せます」
「承知いたしました。……しかし、本当によろしいのですか」
「ええ、構いません。あなたたちに委ねます」
意味深にユキを見下ろし、サファルがベッドを下りる。
ノースとサウスは深々と頭を下げて主人への敬意を示した。
「必ず、ご期待に応えてみせましょう」
「意欲的なのは結構ですが、ほどほどになさいね」
配下に苦笑しつつ、サファルは裸体のまま転移で鳥籠から姿を消した。
大きな魔力の余韻が消えたところで双子が同時に頭を上げ、ユキへと体を向けた。
「……どうやら君には、以前の調教だと甘すぎたみたいだね。僕たちも加減を学び直す必要がありそうだ」
ノースのにこやかな笑顔と、サウスの野生味がある笑い顔。両者の属性の違う笑みの中に共通する嗜虐性を察し、ユキは身を強張らせた。
思わず震える手で掴んだシーツをたぐり寄せた。
「お許しをいただけたことだから、躾け直しといこうか」
「——っ!」
接近する双子に怯え、ユキは不自由な体を、それでもぎゅっと縮こませた。
【第3話 支配者の腕の中】より
ユキが鳥籠で過ごすのはベッドか三人掛けのソファに限定されていた。
だからソファのある位置と反対側の壁に長方形の台座が置かれているのは知っていたが、それに触れたことはこれまでにない。
たまには趣向を変えてみるかと言い出したのはサウスだった。
終わりのない愛撫によってまともに思考が働かなくなったユキを抱き上げ、ベッドを避けてあちら側へと移動する。
腰ぐらいの高さの診察台のようなそれをノースが引いて壁から少し離し、そこにユキは仰向けに寝かされた。ベッドのようなスプリングはない。上部の面は体が沈むことがないクッション性の低い素材だった。
台の幅は中央に寝ていても、仰向けからうつ伏せへ寝返りを打てば落っこちてしまう程度にしかない。
大した高さはないのだから、転げ落ちたところで怪我をすることはないだろう。それでも不安定な場所にいる心許なさからユキは上体を持ち上げた。
羽織っているだけとなったバスローブの合わせを胸元に引き寄せて握る。
「そんなに不安そうにしなくても、苦しいことはしないよ」
自然な流れでノースはユキの足を両サイドにそれぞれ落とす。枷によって動かない足は台の上に自力で持ち上げられず、ユキは股を大きく開いた状態で固定されてしまう。
「——っ、なに、を……」
おかしいと、不審に思った時にはもう遅い。
背後からサウスに目隠しをされ、焦る間も無く台に体を倒される。
「怖がるなって。力を抜いて、俺たちの与える感覚にだけ集中してろ」
「手は邪魔だから、まとめておくよ」
両手を頭上で固定された。バスローブの帯を解かれ、合わせが左右に広がる。汗ばんだ肌に外気が触れて総毛立った。
「ひっ……や、……手、解いてっ」
「はいはい。また後でね」
ノースに適当にあしらわれ静止の訴えは無駄だと悟る。
鼠蹊部をなぞる指はどちらのものか。脇腹に触れていた手が胸へとたどり着く。敏感な頂に軽く触れたかと思えば膨らみを下り脇をくすぐられた。
「ふぁっ、あぁ……んっ、もっ……ゃあっ、あぁっ」
欲情が鎮まりきっていない体はどこに触れられても気持ちよく、最終的に愉悦は腹の奥へ蓄積されていく。
物足りないわけじゃない。感じているのに、最後まで満たされない。
戸惑いは最初だけで、ユキは次第に二人の施しに翻弄されていく。
「やっ、な……に? はうっ、あっ、やぁあっ……。なにを、して……っ」
乳首とクリトリスが同時に摘まれ、くにくにとこねられる。左右から挟まれているようだが、敏感な部分に触れているのは指じゃない。滑りを帯びた、舌のような柔らかさがある。
「……んあ、や……やだっ、だれ? 目隠し、解いてっ」
「怖がらないで。僕とサウスしかいないから安心して。……乳首、こうやって吸われるの、気持ちいいよね?」
胸の頂を口に含まれ、ちゅうーと吸い上げられる。つんと立った乳首を舌で押して、転がし、歯で軽く甘噛みされた。
「ああんっ、んんっ、あ……っ、あ、やっ、みぎ、ばっかり……っ」
「ああ、ごめんね。こっちが寂しかったね」
「ちがっ、やあっ……あっ、うぁ……っ」
ノースが左の胸へと移動する。
右と同様に吸い付かれては乳首を舌で遊ばれ、自分で触れても何とも思わない場所が敏感な性感帯へと変えられてゆく。
「こっちも、うんと可愛がってやろうな」
水気を帯びた柔らかな感触がクリトリスを包む。
「きゃっ……あっ、ああっ、それ、な……んっ、ぐにぐに、しないで……っ、やだっああっ!」
クリトリスを摘まみ、左右交互に小さな突起を上下していた柔らかなそれが、二股の根本でクリトリスの裏筋を押しながらゆっくりと登る。
たまらずユキの背中が弧を描いた。
「サウス、やりすぎ」
「はいはい」
双子は軽い絶頂に見舞われたユキから手を離した。
「はっ、あ、ああっ、……んあっ、あっ……、う……ぁ…………」
ひくひくと揺れていた腰が次第に治まってゆく。呼吸が安定してくると、ユキは塞がれた視線をさまよわせて頭を動かした。
「やっ……、ぁ、どこ……? ……っ、やだぁ……」
近くに気配はあるのに、ノースもサウスも話さないし、触れてこない。
ぽつんとひとりで取り残されたような孤独感にうろたえていると頬に吐息がかかった。
「そんなに不安そうな声を上げなくても側にいるよ。ほんとに……、本当は怖がりで寂しがり屋のくせに、素直じゃないね」
するりと頬を撫でるのはおそらくノースだ。彼はユキの頭上に移動して耳を揉み、顔の輪郭を指でなぞる。
同時にクリトリスをちゅっと吸われ、びくりと体が跳ねた。強い快楽に突き落とされる前に、おそらくサウスであろう口は離れていき、つぅ……と舌が秘所を下方へと辿っていく。
「いっ、あぁ……っ、やっ、それは……、やめっ……、んぁっ……」
「感覚でわかるよね? サウスは今、君の膣口を舌でゆっくりと舐めている。穴に沿って丸くなぞろうとしているだろうけど、君がぱくぱく動かしてしまうから、うまくいかないみたいだね」
「いやっ、言わないで。あっ、あぁ、もぅっ……、やめてっ」
目隠しで見えないはずが、くすぐるような刺激とノースの説明によって秘所の情景が鮮明に思い浮かんでしまう。
「やめてじゃなくてもっと、でしょ? サウスの口元、君の愛液にまみれてびしょびしょだよ」
「も、やだあっ、んぅ——っ」
ジュッ、ジュル……、ジュルル……、ズズゥ——ッ。
ノースの言葉を証明するかのように、サウスが膣口から溢れる蜜を吸い上げた。
卑猥な水音にユキの顔が真っ赤になる。ノースはそんなユキの額に浮いた汗を優しく拭った。
「いい子だね。些細な快感でも拾える、敏感な体だ。とてもいいことないんだから、恥ずかしがる必要はない。感じるままに声を出して、気持ちいいって言ってごらん」
「あっ……、ん、んあぁ……っ、あっ、あう、……うぅ」
「うん? 刺激が足りないのかな? もっと強くしてほしい?」
「ちがっ、う……んっ、……いい……。んっ……、きもち、いい……からっ」
「そう、よかった」
「いっ、あ、あぁっ」
膣道へと舌が侵入し、舌先でぐにぐにと肉壁を押し上げてくる。
予測不能の動きに翻弄されて、ユキの腰が上下に揺れた。
「これも、気持ちいいんでしょ?」
「ん、あん、んっ……ぃいっ、……きもちいいっ……あぁっ、あうっ……いい……」
意識が蕩けて、自分で何を口走っているのか把握できない。
「……っ、きもちいい……、気持ちいい、の……、んっ」
くっと、サウスが笑ったような気がしたが、膣道に再び舌が突き入れられては思考を巡らせている余裕もない。
絶頂に至ることのない緩やかな快感が延々と続く。ユキが少しでも昇り詰める気配を見せると、サウスは膣から舌を抜いてしまう。不思議と焦らされているという感覚はなかった。
達することは望まないものの、時間が経過するにつれて別の欲求が深まっていく。
「あ……うぅ……、ど、して……。気持ちいい、のに……、おかし、い」
「どこもおかしくないよ。とても可愛く鳴けている」
上から降り注ぐノースの声に、違うのだと首を横に振った。
感じれば感じるほどに虚しさが積み重なってゆく。
激しい刺激を求めているわけではない。与えられる快楽は十分すぎるほどに心地よく、ユキを淫らに染めている。
しかし、サウスやノースでは、本当の意味で欲望を満たすことはできない。愛撫を受けるほどに子宮が寂しさを覚え、征服者の熱を切望する。反動で膣壁がきゅっと締まった。
「…………っ、サファルさまぁ……」
ここにいない男の名前が、自然と口から出た。
欲しくてたまらない。子宮の中まで、余すことなく満たされたい。
望みを自覚してしまうと、切なさはより一層強まる。
「……っとに、可愛いなぁ」
呟きが聞こえ、秘所の責めが強まった。膣道を舌で押されるのと同時に指がクリトリスをこねる。
「あぁっんっ、あっ、も、いいの、やぁ……っ」
「一回イっとけ。その方がお前も楽だろ」
膣口の間近で低音の声を出され、ユキはむず痒そうに身をくねらせた。
サウスはすぐに膣への刺激が再開する。長い舌で愛液を掻き出すように膣の腹側を奥から膣口へと舐められ、その間もクリトリスを指で摘まれて腰がびくびくと跳ねた。
ノースが両頬に手を添える。
「ほら、イクときは何て言うんだっけ?」
「ああっ、……ぃっ、く……、いく、イクっ、あぁっ、あっ、いっ——!」
ぎゅうっと体に力が入り、膣がナカの柔らかな舌を締め付ける。僅かに浮いた腰が、体の弛緩によって台座に小さくバウンドした。
「はっ……あうぅ……、んっんん……っ。あっ……はぁ……」
脚の付け根からサウスが離れていく。絶頂の余韻に震えるユキの頭に置かれたのはどちらの手か。腹部を軽く押してくるのは……?
「教えたことを忘れずに守れていて偉いね。……でも、どんなに達したところで、体は満足できない。違う?」
「あっ、あうっ、うんっ、ぅ……っ」
腹の上から子宮を軽く圧迫され、欲求がさらに強くなる。全てノースの言う通りだった。
「欲しいんだろ? サファル様に、子宮の中まで満たされたい。体の奥から、主人の熱を感じたいって、本当はずっと願ってるんだよな?」
顔の近くでサウスが囁く。違うと、否定することができなかった。
「お前の性に貪欲で淫らな体を、サファル様もさぞお喜びになられるだろう。そのままもっと、何もかも忘れて乱れたらいい」
「君が淫乱になるのは喜ばしいことなんだよ。だからサファル様がお戻りになられるまでに、もっともっと、敏感になろうか」
左右の耳元で言葉を注がれ、元々あった価値観を見失う。
羞恥を感じ、快楽に怯える自分の感覚よりも、彼らの言っていることが正しいのだと錯覚してしまう。
「あぁ……、あんっ」
脇腹をまさぐられ、ユキは甘い声で鳴いた。
「……っ、……ぁっ、サファルさまっ、サファル……さまぁ……っ」
視界は奪われたまま、双子の施しはまだ終わらない。
いくら絶頂を迎えたところで、最奥が満たされることはない。虚しさばかりが蓄積され、それがただ一人の男を求める焦燥感に変化するのはすぐだった。
焦りと並行して、もたらされる愉悦はぬるま湯に浸るような甘い世界へ精神を沈めていく。
抵抗の意思を掻き消され、ユキは穏やかな快楽の波に囚われていった。
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